【るろうに剣心】高荷恵は才色兼備な医師！「女狐」のキャラを解説

妖艶な魅力溢れ、さらに「女狐」キャラとして定着していた高荷恵は「るろうに剣心」の物語で医師としての腕を奮って活躍をしました。まずは高荷恵について詳しく紹介する前に、ここで「るろうに剣心」とはどんな作品であるのかを作品情報やストーリーのあらすじをネタバレする事によって解説していきます。

正式名称「るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-」は和月伸宏が原作を務めて1994年から「週間少年ジャンプ」にて連載していた漫画作品です。時代背景は幕末直後の明治時代を舞台としており、基本的にはオリジナルキャラによるフィクションとなっていますが、「新撰組」など実際に存在した歴史上の人物も登場します。連載は1度終了しましたが、2017年から「るろうに剣心-明治剣客浪漫譚・北海道編-」が新たに連載開始されました。

その他にも今までに「弥彦の逆刃刀」や「春に桜」などといった多くの番外編が作られており、登場キャラの日常やその後などを見る事が出来ます。またキネバ版と称した「るろうに剣心」のリメイク漫画が人気となり、原作者である和月伸宏が一から執筆しているという事で話題となりました。登場人物の設定などに多くの変更が加えられているため、原作漫画をすべて読んだ事のあるファンでも新たに楽しめる内容となっています。

1996年からはアニメ化もされ、主人公である剣心の声優に元宝塚トップスターの涼風真世を起用するなどして人気作品となり、その後は小説やゲームなど様々なジャンルにメディアミックスされていきました。2012年からは佐藤健主演で映画化されて前3部作が公開されましたが、日本のみならず世界中で大ヒットとなり、日本以外でのアジアでの興行収入が日本映画で初めて1億円を超えるという快挙を成し遂げました。

実写映画版は基本的に原作のストーリーに沿った展開となっていますが、3部作に原作漫画の「京都編」で志々雄真実を倒すまでの物語を凝縮しているため、多少スピーディーに進んでいきます。この映画の大きな魅力はキャスト陣それぞれがモデルとなっている登場人物を非常に高く再現している事で、主人公である緋村剣心を演じている佐藤健や神谷薫を演じている武井咲、鵜堂刃衛を演じている吉川晃司など多くの役者が評価されました。

幕末の動乱の頃、修羅さながらに人を切り「人斬り抜刀斎」という通り名で恐れられていた緋村剣心は、時代が明治になると「不殺(ころさず)」を心に誓って流浪の旅をしていました。そんな剣心が東京の道を歩いていると突然女性に「人斬り抜刀斎覚悟!」と木刀で切りかかられてしまいます。その女性は神谷薫という名前で、自分が経営する剣術道場の過去の門下生が「人斬り抜刀斎」を名乗って辻斬りをしていて困っているとの事でした。

もちろんその門下生は「人斬り抜刀斎」などではなく比留間伍兵衛という名前の男で、「神谷活心流」を名乗って辻斬りを繰り返す事で「神谷道場」の評判を下げ、自分の道場に辞めていった門下生を招き入れようとしていたのでした。比留間伍兵衛はその後、本物の「人斬り抜刀斎」である剣心の「飛天御剣流」によって倒され、その事がきっかけで剣心は薫の信頼を獲得し、気に入られた事で「神谷道場」に居候する事になりました。

それから剣心は様々な事件に関わっていきながら相楽左之助や明神弥彦、高荷恵などの仲間と出会い、多くの出来事を経て信頼関係を築いていきます。物語が進んでいくと「新撰組」の斎藤一や明治政府の内務卿である大久保利通など、剣心が「人斬り抜刀斎」として活動していた時に因縁の深かった人物も多く関わってきます。かれらは剣心に政府側の人間として活動してほしいと頼んできますが、剣心は流浪人としての道を選びます。

その後も仲間達と東京で暮らし続けていた剣心は、明治政府転覆を企む志々雄真実一派が平和を乱そうとしている事を知り、自分しか止める事が出来ないと感じた事でみんなと別れを告げて京都に向かいます。しかし薫や弥彦など、剣心を信頼する仲間達はあとを追い、剣心を説得した事で共に戦っていく事になっていきます。そして激闘の末に志々雄真実を倒しますが、新たな敵が次から次へと現れ、剣心の前に立ちはだかります。

「るろうに剣心」には剣客や忍者など、様々な肩書を持つキャラが登場しますが、高荷恵は医師です。腕は非常に優秀で、傷ついた剣心や仲間達をサポートしていくという重要な役割を担っていました。そこでここでは高荷恵が医師としてどれだけ優秀であるかを解説し、どのようにして剣心達から信頼されるようになっていったのかを説明していきます。

高荷恵は武田観柳という悪徳実業家に監禁され医師としての優秀な腕を利用されて当時麻薬として使われていた阿片を作らされていました。隙を見て何とか逃げ出した恵は剣心たちのいる「神谷道場」へと逃げ込み助けを求めますが、そこに武田に雇われた隠密集団「御庭番衆」の1人癋見(べしみ)がやってきて恵に向かって毒入りのネジを飛ばしてきました。恵を庇って弥彦がネジを代わりに受けますが毒によって重体となってしまいます。

恵は弥彦の容体を確認し、その症状からすぐに毒が「曼陀羅葉の毒」である事が分かった事で、やってきた町医者に治療薬の指示をして、その薬を飲んだ弥彦はすぐに容体が落ち着き、回復に向かっていました。迅速で的確な指示によって弥彦の命を救っていた事から、恵がどれだけ薬学についての知識が豊富かが分かります。

ちなみに「曼陀羅葉」というものは実在し、別名は「チョウセンアサガオ」といいます。世界で初めての麻酔として使われた植物で、中毒作用があります。弥彦は「チョウセンアサガオ」の有効成分が効きすぎてしまった事で「抗コリン薬中毒」という症状に陥ってしまい、瞳孔が開いて白目をむいてしまいました。恵はこの症状を冷静に判断し、「曼陀羅葉の毒」とすぐに診断を下して対応しました。

刀剣商の息子である塚山由太郎が、先生と呼んで憧れていた剣客・石動雷十太に裏切られ、雷十太の放った「飛飯綱」によって右腕に大けがを負ってしまいます。すぐに由太郎は高荷恵に見てもらう事になりますが、恵は適切な治療によってものの30分で由太郎の腕を縫合するという高い技術を見せました。切断寸前であった由太郎の腕を短い時間でつなぎ合わせた事から、恵が外科治療も得意である事が分かります。

恵の外科手術は迅速であったため右腕を失わずに済んだ由太郎でしたが、上手く動かす事が出来なくなってしまったため、その後ゆっくりと治療をするために弥彦との再会を約束してドイツへと渡り、剣術を磨きながら治療に専念しました。そして数年後には右腕を動かせるようになった事で日本へと帰国して「神谷道場」で剣術を学び、弥彦と共に師範代にまで上り詰めました。恵による手術が無ければここまでの回復はありませんでした。

前述してきたように高荷恵は薬剤の知識から外科手術まで医師として一流の腕を誇っている事が分かりました。そんな素晴らしい女性である高荷恵が何故「女狐」と言われているのか、キャラ設定や性格を紹介しながら解説していきます。また高荷恵はモデルが存在するという噂があるので、モデルとなった人物を検証し解明していきます。さらに他の「るろうに剣心」のキャラとはいったいどんな関係性なのかという事もここで紹介します。

薫や左之助などに、しばしば「女狐」と称されている高荷恵は、1857年生まれの初登場時・22歳で、非常に端整な顔立ちをしている美人医師です。初登場時は武田観柳から逃げるために剣心を利用しようとしていましたが、その事に気付きながらも自分のために真っ直ぐ敵に立ち向かっていく剣心に心魅かれるようになり、恋に落ちます。原作者の和月伸宏によると、スタッフの間では一番人気のキャラだったと単行本で語っていました。

また和月は高荷恵は絵的には蒼紫、性格的には左之助と相性が合うのではないかと語っていました。ちなみに「るろうに剣心」の完全版の18巻では武田観柳に捕われていた時の罪悪感から黒い着物を着ており、その上に白衣を羽織ってメガネをかけていて、髪型はウェーブがかったロングヘアーという、原作漫画とは少し違う見た目となっています。また過去に阿片を作って多くの人々を苦しめた事から、阿片患者は無料で治療しています。

高荷恵は初登場時、自分の身を守るために剣心達を陥れようとしていたため、「女狐」と言われてもしょうがありませんでしたが、剣心の活躍によって武田観柳の元から解放された後も薫や左之助から何度も「女狐」と呼ばれていました。恵が「女狐」と称される原因は人をからかう事が大好きだというその性格にあります。恵はその頭脳を活かして説得力ある言葉で薫や左之助を騙してからかったうえで大笑いする事を趣味としています。

その度に2人から「女狐!」と怒られていますが、恵は全く気にしている様子はありません。しかし恵は人を陥れようとしている訳ではなく、ただ単純にからかっているだけなのでそれを分かっている薫や左之助もいつも本気で怒ってはおらず、むしろ実際はその頭脳を頼りにしています。しかもどれだけ恵が人をからかっていても大体許してもらっているので、その事もすべて含んで「女狐」と呼ばれている理由となっています。

高荷恵のモデルとなった人物は実在の人物では無く、デザインのモデルは土方茂が1989年から連載していた漫画「CYBORGじいちゃんG」の壊造喜由(かいぞうきゆ)の若い頃だという事です。たしかに髪型や端整な顔立ちといったルックスが似ているため、恵のモデルとなっている事が分かります。ちなみに壊造喜由は基本的に老婆として登場しているので、恵も歳をとったらモデルとなった壊造喜由のようになると考察出来ます。

「るろうに剣心」の「女狐」キャラである高荷恵は、会津出身で医師の名家である高荷家に生まれました。明治時代はまだ女性の就く事が出来る職業は限られていましたが、会津では知らない人がいないという代々医師の家系・高荷家の娘である恵は幼い頃から医師としての教育を受けて育ちました。高荷家の医師としての向上心は凄まじく、西洋医学を学ぶために一家全員で脱藩したという事で、これにより恵はさらに医術を磨きました。

しかしその後に「会津戦争」が起こった事で父親である名医者・隆生が死んでしまい、兄2人と母親ともはぐれてしまった事で1人となってしまいます。その後、医師としての腕を振るう事が出来る居場所を求めて上京しますが、武田観柳にそそのかされてしまった事で今までの医師としての技術を悪用されてしまう事になり、しばらく阿片を作り続けた後に剣心によって助けられるという流れになります。

高荷恵は、主要キャラの1人として多くの登場人物と関わっていきます。まず剣心との関係性ですが、恵は剣心に惹かれているのでアプローチを繰り返しており、この事でも薫から「女狐」と言われています。しかし恵は薫が剣心の事が好きな事も知っているため、時にはアドバイスをしています。また薫は料理があまり上手ではありませんが、恵は非常に得意としているため、薫の料理に普段文句を言わない弥彦も恵の料理には特に喜びます。

左之助とは当初よく意見の食い違いから喧嘩を繰り返していましたが、左之助は恵に何度も治療してもらう事になり、それによって一緒にいる時間が長くなった事でいつのまにか信頼関係で結ばれていきます。ファンの間でも恵と恋仲になるキャラは左之助だという意見が多くあったので、2019年現在連載中である新作漫画「るろうに剣心 北海道編」での2人の進展が気になるところとなっています。

高荷恵は原作漫画のラストで、会津に医師が少ない事を知って生まれ故郷に帰っていきました。そして剣心と薫の最後の物語を描いたOVA「るろうに剣心 星霜編」で病気になった薫の容体を見るために東京へと戻ってきます。しかしその時の薫の身体は手の施しようが無くなっており、恵は助ける事が出来ない自分の医師としての力の無さを情けなく感じていました。

「るろうに剣心」の「女狐」キャラ・高荷恵の声を担当した声優は土井美加です。宮城県仙台市出身で1956年8月4日生まれの2019年現在62歳で、学生時代に女優を志した事で高校卒業後に「劇団昴」にオーディションを経て入り、声優と女優のそれぞれの演技を同時に学びました。それから舞台やドラマを中心に女優としての活動をはじめ、その後にアニメ「まんが日本絵巻」に出演した事で声優としてデビューを果たしました。

現在では独立しており、声優業を中心としながら演劇の舞台のプロデュースなどを行う中で、「声優口演」といった新しいジャンルにも挑戦しています。目標としている先輩声優は京田尚子で、彼女のように声優以外でも幅広く活動できる人物を目指しています。また特技は日本舞踊と三味線で、特に日本舞踊は藤間流名取の腕前を持っています。

高荷恵の声優である土井美加は、「ディズニー」の人気キャラクター・デイジーダックの声優としても知られています。デイジーダック以外でも「ディズニー」作品とは関係が深く、長い間声優仲間である江原正士と共にビデオ作品でナレーションを務めていました。また「不思議の国のアリス」のヒロイン・アリス役や、「くまのプーさん」のクリストファー・ロビン役など、「ディズニー」のメインキャラを多く演じてきています。

「ディズニー」作品以外での代表作では、1982年に放送されたアニメ「超時空要塞マクロス」の早瀬未沙役や1983年に放送されたアニメ「聖戦士ダンバイン」のマーベル・フローズン役などがあり、1980年代の話題のアニメのヒロインを演じてきた事で人気声優となっていきました。最近では2019年1月に放送されていたアニメ「臨死!!江古田ちゃん」の主人公・江古田ちゃんを演じるなど現在でも声優として第一線で活躍しています。

佐藤健主演で2012年に公開された実写映画「るろうに剣心」で高荷恵を演じた蒼井優ですが、キャスティング当初は多くの高荷恵のモデル像とは似ても似つかないという事で、ファンからミスキャストなのではないかと囁かれており、蒼井優自身もミスキャストであると語っていました。しかし実際に映画を観た視聴者達は普段の蒼井優では見る事の出来ない妖艶な演技を見た事で考えを改め、多くのファンから高評価となりました。

「宝塚歌劇団」でも2016年に「るろうに剣心」の舞台が公開されました。そこで高荷恵を演じたのは「雪組」の大湖せしるです。この大湖せしる演じる高荷恵は、見た目から動きなども含めて原作のモデル像そのままだという事で大好評となりました。しかし大湖せしるはこの「るろうに剣心」のミュージカルを最後に「宝塚歌劇団」から退団し、現在は舞台を中心に女優として活躍しています。

「るろうに剣心」の高荷恵の衣装がかわいいという事で、多くの女性がコスプレをしています。コスプレイヤー達は高荷恵の妖艶な紫色の衣装をモデルとして自作で衣装を作り、「るろうに剣心」の世界観に近い和テイストな場所で撮影をするのだという事です。さらに高荷恵は黒髪のロングヘアーであるため、女性はウィッグを被らずとも地毛で再現しやすいところが良いところの1つだというコスプレイヤーの感想もあります。

実写映画「るろうに剣心」での高荷恵が存在感抜群で最高という視聴者が多くいます。特に3部作である映画の1作目は恵を監禁していた武田観柳が黒幕となっているので、高荷恵が阿片を作らされていた原作での話がふんだんに使われており、高荷恵ファンにはたまらないストーリー展開となっています。キャスティング当初こそモデル像からかけ離れているという事で酷評された蒼井優ですが、演技力でそういった意見を覆してくれました。

「るろうに剣心」の高荷恵がコスプレのモデルとして選ばれる事が多い事は前述しましたが、切り絵やイラストなど、多くのファンによって高荷恵をモデルとした作品が作られています。やはり美人でかわいい事が大きな理由となっていますが、原作で医師として真剣に患者のために尽くすという姿に心を打たれたファンも多いようです。ちなみに高荷恵のイラストを描いているファンによると、黒髪を綺麗に描く事がポイントとの事です。

高荷恵は「神谷道場」を中心とした主要メンバーの中で剣心を除けば最年長となっているため、感情的になっている仲間達に冷静な意見を述べてまとめるという事が多くあります。さらに過去の辛い経験なども相まって悟っているようなところがあるので、女性でありながらかっこいい名言が多く存在し、いわゆるみんなの頼れる「お姉さんキャラ」となっています。この母性溢れたキャラクター性が受けた事で人気となっていきました。

「るろうに剣心」に登場する「女狐」キャラの美人医師・高荷恵について解説し、モデルとなった人物やアニメ版で声を担当した声優キャストなどを詳しく紹介してきましたが、医師として優秀な腕を持ち、才色兼備で魅力あふれる人物である事が分かります。今回の高荷恵についてのまとめ記事を読んだ後でもう一度、漫画「るろうに剣心」を1巻から読み返してみるというのはいかがでしょうか?