ハッピー・マニアは伝説の恋愛漫画！ネタバレあらすじや続編も紹介【安野モヨコ】

2001年に完結した漫画家・安野モヨコの「ハッピー・マニア」ですが、2017年に完結後のストーリーが発表され話題になりました。連載当時は、大人の世界の恋愛事情をコミカルに描いた新しい恋愛漫画として衝撃を受けた女性も多く、ドラマ化もしています。

この記事では、「ハッピー・マニア」を振返りたい人や読んだことのない人にもどのような作品だったのか、安野モヨコ先生のプロフィールとネタバレを含め、続編についての情報も合わせて紹介していきます。

安野モヨコの「ハッピー・マニア」は1995年から2001年まで、祥伝社の月刊雑誌「フィール・ヤング」に連載していました。単行本はA5判で全11巻、文庫版だと全6巻発売されています。1998年には「ハッピー・マニア」を原作としたテレビドラマがフジテレビ系で1998年7月8日から9月23日まで毎週水曜日22:00 - 22:54に放送され、稲森いずみ、藤原紀香、金子賢などが出演しました。

安野モヨコ（あんのもよこ）1971年3月26日東京生まれ、牡羊座のO型。1989年に漫画家として「別冊フレンドジュリエット」でデビュー後「ハッピー・マニア」でブレイク。2005年には、「なかよし」に掲載されていた魔法少女ものを現代風に仕立てた「シュガシュガルーン」が講談社漫画賞を受賞しました。

エヴァンゲリオンやシン・ゴジラを手掛けた映画監督の庵野秀明（あんのひであき）と2002年に結婚。この結婚生活を題材にした「監督不行届」を執筆。アニメ化、ドラマ化もした「働きマン」、「鼻下長紳士回顧録」などの人気作品を執筆しています。2008年には体調を崩し一時休業しますが、その後回復。2017年「ハッピー・マニア」の続編を執筆し、2018年11月現在は「AERA」で『オチビサン』を連載中です。

「ハッピー・マニア」の最大の魅力である登場人物、ドラマのサブタイトルにもなった恋の暴走機関車と異名を持つ主人公シゲタと、主人公を見捨てず面倒を見ながら結婚に思いを寄せる主人公の親友フクちゃん、そしてその暴走機関車になぜか恋をしている男性タカハシについて紹介していきます。

「彼氏が欲しい」が口癖の、恋の暴走機関車と言われる主人公。その名の通り、理想の彼氏が見つかると自分の外見や生活スタイルを変えてでも手に入れたいと突っ走ります。連載当初は24歳。恋に憧れ、自分も他人も振り回しながら走ることを止めない、衣食住より恋が大事な超ポジティブな女性です。

シゲタの親友でルームメイトでもある29歳のフクちゃん。美しく生きることに手を抜かず、仕事も出来るクールな女性です。シゲタの暴走に呆れながらもアドバイスや突っ込みを入れ、時には怒ってたしなめる事もするシゲタにとってもっとも頼れる存在です。

シゲタがバイトをしていた本屋の同僚で、バイト当時は20歳の大学3年生。眼鏡男子で見た目は地味ですが性格は穏やかで優しく、シゲタのことを気に入り好きになります。シゲタの我侭に振り回されながらも、頼られる事を嬉しく思い、いつも陰から見守っています。

「ハッピー・マニア」のあらすじとネタバレについて紹介します。「ハッピー・マニア」は、シゲタが理想の相手が見つかると恋に落ち、ひと騒動して恋が終わるという話の繰り返しです。恋が終わる理由は様々ですが、問題のある相手に恋をしてしまう、急激に冷める、恋ではなく気のせいだったなどシゲタの思い込みの激しさが要因となっています。シゲタはどのような恋をして破れているのか、1巻のネタバレを含むあらすじから紹介していきます。

なんであたしには恋人がいないの、と本屋で働きながら嘆くシゲタ。同じバイトで働くタカハシの言葉は、耳に入ってきません。恋占いの本を読み、「理想の彼氏が急接近」という言葉を真に受け、目の前に現れたなんかいいと感じる男性に一目ぼれ。昨年の夏に男に振られたシゲタは、彼が本物の彼氏になってくれる事に賭けます。相手もシゲタを気に入ったのか、注文した本が届いたら電話してくださいと、メモを渡します。

男性から電話番号を教えられ、本が到着してなくても気にせず電話をし、彼の家に行き早速関係を持ちます。幸せを感じるシゲタは自分が彼女であることを確かめますが、そういう関係ではないと言われ、欲しいのはセフレじゃない、彼氏だ、と言って怒って帰ります。あっという間に恋が終わり、そしてまた思います。本当の彼氏が欲しいと。

本屋に地味で眼鏡をかけた女の子（シゲタいわく女タカハシ）が、新しくバイトに入ってきました。彼氏からもらったという指輪を見せびらかす彼女にシゲタは劣等感を感じ、彼氏がいない自分は不幸だと悲しみバイトを早退。列車の中で、眼鏡をかけた誠実そうな男性と目が会い妄想しながら帰ります。後日、その彼が女タカハシの彼氏だと知り動転。カッコイイ男にはすでに彼女が居るのが当たり前、カッコイイ男はうばうしかない、と心に決めました。

誠実そうな彼に合うような化粧や服を整え、女タカハシより先にバイトを終え、彼女を車で迎えに来た彼氏を見つけ出します。自分から声をかけ車に乗り込み、海辺までドライブすることになりました。車の中でシゲタは彼女を置いて行ってよかったのかと尋ねると、別にいいと言われます。違和感を持ちながら海岸に停めた車の中で関係を持ちますが、彼女を置き去りにした事と指輪を贈った子は彼女ではないと言った彼に対し、誠実ではないと幻滅して、そのまま別れます。

次にシゲタは顔や体の作りが全部好きなDJ男性と出会い、関係を持ちます。彼と会うために仕事を休み、ずる休みをタカハシに咎められても悪びれもせず幸せだと言います。本屋を首になっても気にせず彼に会いに行きますが、ベットに別の女性が居て動揺します。しかし、シゲタの姿を見た女性は彼に平手打ちをし去っていきました。シゲタは、幸せになるには彼女がいると知っても乗り越えないとだめなんだ、と思います。

彼が女にだらしないと分かっていても、自分が彼女だから、という思いで全てを受け入れようとします。しかし彼に、自分に彼女はいない、好きな人を好きなだけじゃだめなのか、と言われてしまい動揺します。新しい女性が彼と一緒に過ごしているのを知り、一時はこういう愛もあると受け入れましたが納得いかず、居留守を使う彼の家の扉を蹴りながら罵り、恋を終わらせます。今までもひとり、これからもひとりになっただけだからもういいや、と泣き笑いしながら自分に言い聞かせ、次の恋に向かいます。

その後もシゲタは、インチキ宗教団体幹部の元同級生やクールな陶芸家、既婚者のサラリーマン、元カレ、思い込みの激しい自称作家、フクちゃんとも関係を持つ友達の彼氏、旅館の若旦那達に理想の恋を求めて関係を持ちます。人からの言葉を自分に都合よく変換できるシゲタは、自分で間違った事に気づかないと軌道修正できません。そんな暴走列車シゲタのポイント切り替えをしているのが、フクちゃんとタカハシの存在です。

フクちゃんの存在は、シゲタの相談相手であり駆け込み寺でもあります。シゲタからこじれる恋愛を相談されるたびに冷静にリスクを分析し、シゲタの深層心理まで読み解きアドバイスをします。シゲタが落ち込んだ時は、おしゃれをして外に連れ出したりご飯を食べに連れて行く姉御肌の女性です。素顔は地味ですが、すっぴんで人前に出ることがなく、美容や服装にはとことん気を使います。シゲタもフクちゃんから美についてのアドバイスを受ける事が多く、頼りにしています。

フクちゃんも幸せとは何かを探していきますが、結婚に対する思いはシゲタよりあります。運命の人と出会い結婚すると決めましたが、その人には奥さんがいました。離婚しフクちゃんと結婚することになっても、結婚式をドタキャンし1人で過ごすことを取るくらい、結婚しても幸せになるとは限らない、自分も略奪したし、という不安と戦っている感じが見えます。しかし、最終的には別れた彼氏と再会し、結婚して子供もできました。幸せを手に入れたのかもしれません。

タカハシはシゲタの暴走行動を分かったうえで、シゲタのことを思い続けます。シゲタに、あたしはあたしのことをすきな男なんてキライ、と言われても、危なげなシゲタを自分が支えなければという使命感に燃え、自分と結婚するのが一番いいと考えます。最初は相手にされませんが徐々に距離が近くなり、シゲタと関係を持ち、婚約までします。しかし、シゲタに恋を捨てきれることができ無いと言われ婚約は解消してしまいます。

タカハシは傷心のまま旅に出ますが、旅のバイト先でハチに刺され記憶喪失になり、その状況を利用したバイト先の娘の策略により、記憶が戻るも結婚してしまいます。しかしやはりシゲタの事が忘れられず、再会をきっかけに、既婚者のまま関係を持つことになります。シゲタと両想いになりなんとか離婚にこぎつけたタカハシは、念願のシゲタと結婚します。

シゲタの恋は一目ぼれから始まります。そのため見た目が地味なタカハシは、最初全く相手にされません。自分が困ったときだけ頼る存在で、都合のよい相手です。タカハシが自分の窮地を救ってくれたことで、一気に距離が縮まりますが、タカハシが留学してアメリカに行ってしまうと居ないのが悪いと他の彼氏を探し始めます。

実はタカハシは、東大生でお坊ちゃまであり、自分の事が好きで浮気もしないという優良物件であることが分かりますが、それでも心が揺さぶれるような恋の方を好むという徹底ぶりです。

シゲタは恋に破れるたびに何がだめなのかを考え、少しずつですが同じ失敗はしないようにと思い始めます。それでも、出会いがあり運命を感じると歯止めがききません。恋することに恋をし、間違っていても今が幸せだからと思い込む性格は治りません。

自分のことを好きだと言う相手は嫌いと言い切り、タカハシの事を素直に受け入れられない性格でもありました。タカハシと別れ、結婚すると聞いた時も気にならないと言っていたシゲタですが、気になる存在であり続けたようです。

フクちゃんが結婚して自分から離れてしまったあと、熱を出したシゲタが頼った相手は結婚しているタカハシでした。その時タカハシの存在が、自分の中で大きいことにようやく気づきます。ただ、相手がすでに結婚しているからこそ、燃え上がる恋だったのかもしれません。

なぜなら、シゲタはタカハシと一緒に居たいと言いますが、結婚しなくてもいいとも言うからです。結婚することになっても、浮気するかもと言うシゲタ。一つの幸せは見つけたが、「ハッピー・マニア」の旅は終わらないのかもしれません。

2001年の完結後から16年の時を経た今を描いた作品が、2017年7月に同雑誌に復活しました。この時、ハッピー・マニアの続編を求めるファンにより、多くの取扱店で完売してしまったため、翌月にも同雑誌で再掲載するという事態になりました。16年経った今でも安野モヨコ先生の描く漫画、特に「ハッピー・マニア」の人気が衰えていないことが分かります。

タカハシとの結婚式でウェディングドレスを着たシゲタが、彼氏ほしーと立ち上がって叫ぶラストシーンから16年。2017年七夕の日にフィールヤングで続編が掲載されたその名も「後ハッピーマニア」。結婚して夫婦になったシゲタとタカハシ、そしてフクちゃんの今が描かれています。

45歳になったシゲタがフクちゃんを訪ねるところから始まります。5年間些細な喧嘩をして交流がなかった、シゲタとフクちゃん。行く場所がないとフクちゃんを頼ってきました。話を聞くと、タカハシに好きな女性ができたから、別れて欲しいと言われたとのこと。

浮気しない男だからそれは本気だというフクちゃん。フクちゃんの方も旦那と息子が別の女性のところに行っており、自分も若い男性と会っているようです。フクちゃんに嫁なのだから戦えばと言われ、はっとするシゲタ。これから自分の現実に向き合わなければいけないと悟ります。

男女のもつれや恋愛背景に現実味があり、恋愛の黒い部分がコミカルに描かれている所が面白い作品です。シゲタのキャラは強烈で、悲劇のヒロイン思考や急に思いついて踊るマッシモ体操など、意味不明な言動やギャグにより、泥沼化している男女関係が滑稽に見えます。

自分は今のままで良いのだろうかと疑問を持ったとき、この究極の恋愛漫画「ハッピー・マニア」でヒントを探してみるのもいいかもしれません。共感できる部分がきっと見つかります。

今回は、安野モヨコ先生の「ハッピー・マニア」について、安野モヨコ先生のプロフィールや1巻のあらすじと主要登場人物についてのネタバレ、更に続編である「後ハッピー・マニア」に関する情報について紹介しました。特定の物事を好み関連物の収集を積極的に行うひとをマニアといいますが、シゲタは幸せに繋がる男を積極的に探すというマニアかもしれません。

シゲタ、フクちゃん、タカハシが掴んだハッピーは正解だったか、なぜ続編が「続」ではなく「後」なのか、安野モヨコ先生の狙いを含めどのような結末になるのか、次の続編に期待しましょう。