笑ゥせぇるすまんの怖い回や神回・トラウマ回まとめ！ハッピーエンドもある？

一話完結のオムニバス形式から成る「笑ゥせぇるすまん」は、謎のセールスマン喪黒福造（もぐろ ふくぞう）が、『人々の様々な願望を叶えたり、欲望を満たしてあげたりしてあげるが、その代わりに、もし忠告を聞かず約束を破ってしまったら容赦なく代償を負わせる』という、まるで人生の教訓にもなりそうなストーリーを展開させ、かなりの確率で破滅へと追い込んでいく、ハッピーエンドとは程遠い怖い内容を含んだ漫画です。

そんな「笑ゥせぇるすまん」ですが、人気漫画家「藤子不二雄Ａ」先生の代表作であり大人気マンガでもあります。日本が世界に誇るブラックユーモア漫画「笑ゥせぇるすまん」は、今まで児童漫画の明るいイメージの強かった藤子作品の印象を大きく変えた作品と言っても過言ではないでしょう。そんな暗くて怖い結末が多いといわれている「笑ゥせぇるすまん」ですが、ごく稀にハッピーエンドな神回が存在するといわれています。

怖い中にハッピーエンドが存在すると少し救われたような気がしますが、結局のところ人の醜さや弱さ、愚かさなどを描いた作品なので、当然見ると落ち込んでしまいそうなトラウマ回も存在しています。全体の割合でいうとハッピーエンドよりトラウマ回の方が圧倒的に多い「笑ゥせぇるすまん」ですが、アニメではそれを物語るような意味深なセリフからスタートします。

少し怖いスタートですが、「私の名は喪黒福造。ひとよんで、『笑ゥせぇるすまん』ただのセールスマンじゃ御座いません。私の取り扱う品物はココロ。人間の心で御座います。オーッホッホッホッホ！この世は老いも若きも男も女も心の淋しい人ばかり。そんな皆様のココロのスキマを、お埋めします。いいえ、お金は一銭も頂きません。お客様が満足されたらそれが何よりの報酬で御座います。さて、今日のお客様は・・・。」

そんなセリフから始まり、毎回お客様としてその回の主人公を紹介していきます。この少し謎めいた語りから始まった時点ですでに視聴者は「笑ゥせぇるすまん」の世界に迷い込んでるのかもしれません。ダークな印象がありつつも大人だけではなく子供にも支持されている「笑ゥせぇるすまん」とはいったいどんな作品なのでしょうか？トラウマ回など怖いストーリだけではなく、神回やハッピーエンドも紹介していきます。

「笑ゥせぇるすまん」は1968年に小学館『ビッグコミック』の読み切り作品「黒イせぇるすまん」として登場しました。そして1969年～1971年まで実業之日本社『漫画サンデー』で「黒ィせぇるすまん」として連載された後、ＴＢＳ系の番組「ギミア・ぶれいく」でアニメ化されそのタイミングで「笑ゥせぇるすまん」に改題されました。そして1989年～1992年まで放送されこのアニメ化により人気に火がついていきました。

「笑ゥせぇるすまん」の主人公である喪黒福造（もぐろ ふくぞう）は、主人公ながらいまだ謎に包まれています。前述の通り、丁寧いな言葉を話す自称セールスマンである彼の取り扱う品物は「人間のココロ」とされています。お客様の心の隙間を埋めるサービスを提供し、「満足してくれればそれが報酬です」と一切お金をとることはありません。まるでボランティア精神に溢れた神様のような存在に思えますが実際はどうなのでしょうか？

喪黒福造は神出鬼没で、心に隙間のありそうな人をセールスの標的にし話しかけたり、話をするシチュエーションに持ち込むことを得意としています。それで、ターゲットになったお客様に対してその人の求めているサービス(物であったり、解決策など)を提供するのです。「笑ゥせぇるすまん」では、そこに毎回大事な約束事が存在し、神回、怖い回、ハッピーエンド回も関係なくその約束事を絶対に守らなければいけないことを伝えます。

セールスの際には「ココロのスキマ、お埋めします」というキャッチコピーが書かれた名刺をお客様に差し出し自己紹介をします。ちなみに、画像のようにハートマークがついていますが、「笑ゥせぇるすまん」のアニメや漫画、新しいシリーズでは書かれている場所が違っています。悩んでいる人からすれば救いの名刺に感じるかもしれませんが、名刺を渡されてしまったら、後は自分の欲深さに負けないようにしなければいけません。

欲張って更にサービスを要求したり、言うことを聞かず忠告を無視していると「契約違反」になり、お客様である各回の登場人物は、良くて元の生活に戻るだけですが、ほとんどが破滅へと導かれるのです。漫画やアニメとしては後味の悪い結末かもしれませんが、嫌でも人の欲深さを感じてしまうエンディングであり、これこそが「笑ゥせぇるすまん」だと思わせてくれる怖いお約束の名シーンでもあります。

でも、逆に約束を守ったお客様に対しては更にいい方向へと導くというケースもあります。本人が導いたのか、結果的にその方向に導いてしまったのかは分かりませんが、喪黒福造自身が約束を破ってしまいいい方に転がるという事もあるので、もしかしたら気まぐれな部分もあるのも否定はできません。結末が暗めなので、少しでもプラスの方向に向かうだけで、なぜかハッピーエンドに感じてしまう不思議な感覚も本作の見どころです。

「笑ゥせぇるすまん」の名シーンと言えば忘れてはいけないのが「ドーン!!」となるシーン。お客様に対し気合を入れる意味もありますが、主に約束を破ったり忠告を無視したお客様に対して人差し指を向けるシーンで、これが出てしまうとほとんどが破滅へ導かれてしまいます。このシーンに関しては、原作よりもアニメ版の方が迫力があり、小さい子から見ると少し怖いシーンであり、トラウマ説が出るのも不思議ではないかもしれません。

この「ドーン!」が超能力なのかは定かではありませんが、1話のなかに2,3回出てくることもあり、指さしをしないこともあれば、両手で指さしをしたり物を用いてすることもあります。神回、トラウマ回関係なく物語の序盤・中盤・終盤では意味の違う「ドーン!」になっています。それがハッピーエンドに繋がるかは最後まで分かりません。

また、絡んできた相手に対して護身のために使うこともあれば、車にひかれそうになった人をこの「ドーン!」で救ったエピソードもあります。具体的にどのように救ったのかは不明ですが、インパクトのあるこのドーン演出は「笑ゥせぇるすまん」の代名詞とも言えます。場合によってはドーンの使い方でハッピーエンド予測ができるかもしれません。

噂では小田急電鉄沿線沿いに住んでいると言われている神出鬼没の喪黒福造ですが、たまにお客様を連れていきセールスを行う場所があります。それが「bar魔の巣」です。バーの常連である喪黒福造が、ターゲットであるお客さまを連れていき、相談に乗りながらサービスの提供を行い前述の流れに持っていくパターンもあります。そこのカウンターで喪黒福造からのアドバイスや提案、時には物の受け渡しが行われたりするのです。

ちなみに「笑ゥせぇるすまん」でも隠れファンの多いマスターは、一切しゃべることはありません(原作で一度しゃべる描写が存在する)がその存在感は大きく、「笑ゥせぇるすまん」のユーモアとサスペンスのバランスを取るうえで欠かせない登場人物です。本作の別の飲み屋さんには、マスターと似ている人物が何度か登場しますが同一人物かどうかは不明のままです。何かを知っているのか、知らないのか、本作の謎のひとつでもあります。

有名な漫画である「笑ゥせぇるすまん」ですが、更にアニメ放送で知名度が上がり人気に火が付きました。そんなアニメ版には、登場人物にも勝るとも劣らない個性豊かに声優さんたちが揃っています。1989年の放送開始から、2017年の新シリーズが終了するまで途中20年以上のブランクがあり、130話以上が放送されるなかで声優の交代などがありましたが、それぞれが「笑ゥせぇるすまん」の神回を演出してくれています。

「笑ゥせぇるすまん」の主人公『喪黒福造』の声を担当しているのは、俳優やナレータとしても有名な大平透さんです。元はフリーのアナウンサーですが、ニッポン放送開局と同時に、制作プロデューサー・ディレクターとして週二本のドキュメンタリーを制作していました。その後、フライシャー・スタジオ制作のアニメシリーズ「スーパーマン」を再編集した『まんが・スーパーマン』で日本のテレビ史上初の日本語吹き替えを行いました。

「喪黒福造」の声優として知られている大平透さんですが、その他にも有名な映画やアニメのキャラクターの声を担当しています。「スーパーマン」や「ハクション大魔王」、スターウォーズの「ダースベイダー」、おそ松くんの「デカパン」、ワンピースの「ガイモン」、科学忍者隊ガッチャマンの「南部考三郎博士」、ザ・シンプソンズの「ホーマー・シンプソン」など、長いあいだ日本のお茶の間を楽しくしてくれました。

当初、喪黒福造のふてぶてしい容貌はタレントとして有名な大橋巨泉をモデルにしていると言われていましたが、次第に担当している大平透に似てきたという噂があります。キャラクターに命を吹き込む仕事だからこそ担当している声優さんに似てしまうという現象が起こるのかもしれません。大平さんが命を吹き込んだ「喪黒福造」は、28年の時を経て、大平さん直々の後任声優である「玄田哲章」さんにより蘇ることとなりました。

2代目「喪黒福造」の声を担当する声優さんは、初代の大平透さんから直々に指名を受けた「玄田哲章」さんです。ナレーターや舞台俳優としても知られている玄田哲章さんは、独特な太い低音の声質が特徴的で、洋画(主に鍛え抜かれた体を持つ俳優)の吹き替えを多く担当しています。日本を代表するベテラン声優の玄田哲章さんですが、当初はアフレコという作業が分からず共演者に激怒されるなど、スタート時は苦難が重なったそうです。

人気声優である玄田哲章さんも数多くの声を担当しています。ハリウッドスターであるシュワルツェネッガーの吹き替えはとくに有名で、シュワルツェネッガー本人の声よりも玄田哲章さんが吹き替えをしている声の方が印象が強いのではないでしょうか？その他にも、幽遊白書の「戸愚呂・弟」、トランスフォーマーの「コンボイ」、クレヨンしんちゃんの「アクション仮面」など、日本国内外の人気キャラクターの声を担当しています。

「笑ゥせぇるすまん」では第2話「イージードライバー」と第52話「安心カプセル」の２話に登場する珍しいキャラクターです。原作では「安心カプセル」の主人公は違う男性ですが、アニメでは浦成平一の後日談となっています。ちなみに、2作ともファンの間ではハッピーエンドではない為、「笑ゥせぇるすまん」史上一番ついていないキャラだと言われています。

そんな浦成平一の声を担当しているのが、アニメ「ちびまる子ちゃん」のナレーションなどで有名な「キートン山田」さんです。当初は、サラリーマンと劇団員を4年間ほど掛け持ちしていましたが、役者に専念するためアルバイト生活をしているときの縁で、声専門のプロダクションを紹介して持ったようです。アニメブームで声優の仕事が中心となっていましたが、ブームが終息し仕事が減っていき食べていくのも苦労したそうです。

アニメの声優だけではいずれ新人に役を取られてしまうと思ったキートン山田さんは、ナレーションでもできる声優になることを考えていました。もちろんアニメなどでも沢山の声を担当していますが、前述の考えもふまえ「自分らしいナレーション」をするために、旅番組ではナレーションに落語を取り入れる工夫をしています。キートンさんの名前の由来は、むかし先生に言われた「聞いとんのか山田」を短くしたというはなしです。

『藤子不二雄Ⓐブラックユーモア短編』1977年作品『大変愛』の主人公である茂手内 蛾次郎は、「笑ゥせぇるすまん春の特大号」の「大変愛」に登場しています。ハート型の頭が特徴的で、少女漫画を好んで読み喪黒福造やクラスメイトからは「茂手内(もてない)」とからかわれています。

「茂手内 蛾次郎」の声を担当するのは、こちらも有名な声優の「山口勝平」さんです。今や主役級のキャラクターを多く担当している山口勝平さんですが、もともとは劇団俳優からスタートし23歳から声優としても活動を始めました。2017年に滋賀県長浜市のＰＲ(声の観光)大使を委嘱され、長浜観光協会のＰＲキャラクター「ひでよしくん」の声を担当するための「キャラクターボイス任命式」が行われました。

山口勝平さんも数多くのキャラクターを担当しており、活発な少年や青年を演じることが多く、特に主演作では明るく健全な役柄が多い印象です。主な作品としては、らんま1/2「早乙女乱馬」、名探偵コナン「工藤新一」、犬夜叉「犬夜叉」、ワンピース「ウソップ」、魔女の宅急便「トンボ」などがあります。「らんま2/1」はオーディションで受かった初のレギュラー作品の為、山口さんにとって特別な作品となっています。

大人気の「笑ゥせぇるすまん」ですが、原作にもアニメにも怖い作品がいくつか存在するため、子供だけではなく大人にも支持されています。神回やハッピーエンドも多いですが、そのなかにはトラウマになってしまいそうな作品もあるため見るときには覚悟をするべきなのかもしれません。それでは、児童漫画のイメージが強い藤子作品の印象をガラリと変えてしまう「笑ゥせぇるすまん」の怖い回・トラウマ回をご紹介いたします。

お客さまは直木純一・23歳・男性・サラリーマン(アニメ：銀行員)。この話の主人公である直木は朝のホームでいつも見かけるマスクの女性に恋をしていました。電車の中で女性と並んで立っていると、バランスを崩して寄りかかってきたその女性を抱きしめてしまいます。その女性は逃げてしまいましが、なぜかそのとき直木の後ろには喪黒福造が立っていました。そこで喪黒福造は、直木に女性を紹介するという内容の提案をしました。

そのマスクの女性を紹介するという喪黒福造の提案を一度は断りますが、考え直した直木は喪黒福造に頼ることにします。ふたたび直木の前に姿を現した喪黒福造は、今朝のマスクの女性が、今夜直木の部屋を訪れると伝えます。そしてここからが衝撃のラストへと向かっていきます。トラウマ・ネタバレの可能性もあるのでご注意ください。

まさにラストシーンは、トラウマになる話として有名な『プラットフォーム』だと思わせてくれる描写となっています。素性も全く知らないマスクの美女は、マスクを外しても美人で、そのうえ体も美しくすべてが完璧だと思われていました。ですが、それは作られたものであり、女性が顔を叩くと顔面が崩れていき、隠れていた醜い顔が現れてしまいます。この「素顔」の恐ろしさがトラウマになると言われ、神回候補でもあります。

お客様は頼母雄介、41歳、男性、会社課長。この物語の主人公である頼母雄介は、誰からも頼りにされる男性ですが、実は本人は頼られる事と常にしっかりした自分でいる事にプレッシャーを感じていました。それでも、家や職場で常に頼られてきた頼母は、いざ後輩たちとバーで酒を飲むときでも弱い部分は全く見せず、何事もない様子でバーを去っていきます。

ですがみんなと別れた後、頼母が道で吐いているところを喪黒福造に介抱されます。その後、喪黒とは初対面でしたが、周りからいつも頼られていることの辛さを告白します。その話を聞いた喪黒は、頼母を家に送り届けるとき「頼母が頼りにできる人」を紹介する提案をするのでした。翌日、約束通り喪黒は頼母の会社を訪れ「頼母が頼りにできる人」が見つかったと伝えますが、頼母は喪黒を追い出してしまいました。

やはり、その後も妻や部下達から頼られ続けた頼母は、とうとう限界を超えてしまい喪黒に連絡を取ることにしました。すると、喪黒福造は素晴らしい女神を紹介すると言い、頼母を部屋へ案内しました。そこには金色に光る観音様がいて「おいで坊や」と言って甘えさせてくれるのでした。それに対して頼母も「雲の上にいるようだ」と言い、安心して全力で観音様に甘えていました。

そのころ喪黒は、頼母の妻子をタクシーに乗せて「いまご主人は療養されています」と伝え頼母のいる部屋へと案内するのでした。「主人の身体はどこも悪くないはず」と妻に対し喪黒は、アパートに着くと「もう少しで手の施しようがなくなるところでした。では、私はこれで」と立ち去る。不思議がる妻がドアを開けると、そこには全裸で観音様に似たおばさんに甘えている赤ちゃんのような頼母の姿があったのです。

お客様は内名木 洋介 (うちなき ようすけ)、53歳、男性、サラリーマン。見た目通り気が弱く、家と会社でのストレスにいまにも潰されそうな主人公で、まさに喪黒のターゲットにふさわしく、進められる商品やサービスに欲望を抑えられそうにない定番お約束パターンのお客様。

通勤中、満員電車の中で喪黒に足を踏まれてしまうところから内名木の物語がスタートします。会社までの道中にある喫茶店の前で喪黒に呼び止められ、足を踏んだ事へのお詫びにとコーヒーをごちそうしてもらいます。会話の流れで、月曜日の出社が辛いという話になり喪黒から「退行性月曜拒否症候群」ではないかと言われます。早めに処置した方がいいと勧められ、連れて行かれた場所が会員制の「日曜クラブ」だったのです。

やはり喪黒が案内する会員制クラブ「日曜クラブ」は、怪しさが漂っています。原作とアニメとでは異なりますが、ハードな道のりだったり、探しにくい入口や立地からして普通のクラブではないこたは確かです。クラブにはメンバー共通の奥さん的存在『カズコ』が出迎え、飲み物などを持ってきてくれます。こういったシステムが、ファンの間や、当時見ていた人からは「メイド喫茶」の先取りという風に言われています。

当然喪黒は、いつものように約束事を伝えます。今回の内名木に対しては、「月に1回の日曜クラブ通いを認めている」と伝え、それ以上通ってしまうと社会生活に戻れなくなることを理由に禁じていました。言うまでもありませんが、定番パターンの内名木は忠告を無視して2日連続で行ってしまい、見事に生活が破綻してしまいました。トラウマシリーズの中では描写が軽い方かもしれません。

お客様は73歳、男性。どう見ても50代にしか見えない73歳の主人公『出雲』は、もてはやされるほど若々しい容姿をしていますが、そんな彼も肉体の衰えには悩んでいました。そんなときに喪黒に出会い、まともに話を聞くつもりはなかったものの、悩みを見透かされた出雲は藁にもすがる思いで、喪黒のすすめる商品「鉄アレイ」でトレーニングを始めました。

 その商品の名前は「マッスルアレイ｣。見た目はごく普通の鉄アレイですが、朝晩念じながらトレーニングを行っていくと、昔のようなたくましく力強い肉体が戻ってきました。マッスルアレイの効果に浮かれる出雲は、若いクラブのホステスと関係を持ってしまいます。ですが出雲は、「ほどほどにしないと大変なことになる。絶対に若い女性と恋をしたらいけない」という喪黒の忠告を無視していたのでした。

そうすると当然地獄に落とされます。女性が出雲がシャワーを浴びているシャワールームの扉を開けると、無残にも黒髪が抜け落ち、ムキムキの肉体にしわだらけの顔、髪と歯が抜け落ちてしまった出雲がいたのです。『プラットホームの女』と匹敵するほどのインパクトで、当時小さい子供たちは怖くて見れなかったと言われています。神回候補のこの怖い描写が「笑ゥせぇるすまん」のトラウマ回に相応しい結末です。

「笑ゥせぇるすまん」には、怖い話やトラウマになってしまいそうな話が沢山あります。ですが、その中にもハッピーエンドや神回と言われる物語が存在します。いつもの流れなら、主人公が欲望に負けて自滅する姿をみて、笑いながら去っていく喪黒福造ですが、そんな、不気味な喪黒福造に対して喧嘩を吹っ掛けるだけではなく殺害計画まで企てた怖いもの知らずな主人公がいたのです。

その話はかなり有名で、「笑ゥせぇるすまん」ファンの間では『神回』とされています。欲望に負け自滅してしまう主人公を見て笑っている喪黒福造ですが、この神回ではなんと命を狙われてしまうのです。画像の後ろ姿で気づく人も多いと思いますが、これから「笑ゥせぇるすまん」の『神回』をご紹介します。

この物語の主人公である小学生の今仁見手郎は、野良猫のドラに引っかかれたり、同級生のガマグチにいじめられたりすると手帳に黒い星を書いていきます。この星が10個貯まってしまうと処刑と称していろんなやりかたで仕返しをしているのです。そんな見手郎を不思議に思う喪黒は、しばらく様子をうかがうのですが、見手郎の復讐方法が小学生とは思えないほどにエスカレートしていくのでした。

ある日、男が乗っているジェットスキーがバランスを崩し事故が起きます。何者かの釣り竿の針が引っかかったことが原因のようで、ジェットスキーはそのまま、近くを散歩していた女性と犬にぶつかり、その横でペンキ塗りをしていた人のペンキが、女性と犬にかかってしまいます。それを見にきた野次馬の中に釣り竿を持った見手郎が立っていたのですが、周りが騒ぐ中ひとりだけ平然とそれを見ていたのです。

その帰りに見手郎は、同級生のガマグチにいじめられたり、近所の猫のドラに顔をひっかかれたりします。そこで、縁あって喪黒福造が登場し見手郎を助け、事故を見ても全く動じない見手郎に対し「好奇心でついてきてしまいました」と言い興味があることを伝え名刺をわたすのでした。ちなみにその名刺はスチールでできていて、見手郎が叩くとコンコンと音が鳴り、本人曰く「いろんなとこに持ち歩くものですから」とのことでした。

そのあと、このひっかきによりドラは星が10個貯まってしまったため「残念だがオレの定めにより、処刑しなければならない」と、見手郎のターゲットになってしまします。その夜、見手郎が刑を執行しようとしますが、失敗に終わってしまいます。このことにより見手郎は、その場に居合わせ、秘密を知ってしまった喪黒福造に対して不信感を抱き、昼間に見手郎を助けたことが帳消しになり、ノートに黒い星マークを付けるのです。

その後も見手郎の復讐劇はエスカレートしていきます。ガマグチに対しては、自分では登れないような古井戸の中に落ちるように仕向け恐怖を与えます。ドス(犬)に対しては、バイクに乗った若者がカジキ用の釣り竿でドスを引っ張って走るように仕向け、そのままドスは無残な姿になってしまいます。この段階でも、いつもの喪黒が主人公を陥れるようなストーリーとは違い、単純に悪魔のような少年が物語を制圧しています。

喪黒福造に変装し、陥れようとした見手郎の作戦により警察に捕まりそうになりますが無事に逃げることに成功しました。そしてここから、二人の対決がはじまります。見手郎は喪黒に対してボーガンを放ち、倒れた喪黒に近づき魚拓をとろうとすると死んだはずの喪黒が立ち上がりました。

矢から喪黒の命を救っていたのが、何枚にも重なったスチール製の名刺でした。いつも、標的の魚拓をとっていた見手郎でしたが、やはり喪黒福造相手だと返り討ちにあってしまいまい自分が魚拓となってしまいました。死んでしまったのかこのまま魚拓として生きていくのかどちらにしても怖い結末ですが、ここまで物語の雰囲気を変える回は他には無いように思えます。ファンの間で『神回』となる理由に納得する内容ではないでしょうか？

ここまでは、怖い話やトラウマな話、それを踏まえた神回の物語をたくさん紹介してきました。ですが、「笑ゥせぇるすまん」にも勿論ハッピーエンドが存在します。それでは「笑ゥせぇるすまん」のハッピーエンド回をいくつかご紹介いたします。

原作3巻『カンタンの夢枕』、原作5巻『住めば天国』、原作３巻『家庭教師』、原作3巻『ブルーアイ・ジャパニーズ』、原作3巻『夜行列車』、原作4巻『下り電車への招待』、原作5巻『夜の女王さま』。ちなみに、「笑ゥせぇるすまん」のハッピーエンドは、本人が笑っている・不幸と思っていない・死んでいない等の状態に対してもハッピーエンドとなるため、読者や視聴者の価値観により変わる場合があると言われています。

ここまで「笑ゥせぇるすまん」の怖い回、トラウマ回、神回、ハッピーエンド回をご紹介しましたがいかがでしたか？勿論マンガ・アニメとして娯楽的な感覚で楽しむのも一つですが、人間の裏側を描いた単なるブラックユーモアの作品ではなく、寓話として作られているので、人生の教訓としてとらえることも可能だと言われています。「笑ゥせぇるすまん」を違った角度から見てみると喪黒福造の言葉が心に響くかもしれません。