ウソップの声優は山口勝平！コナンの工藤新一や犬夜叉など演じたキャラ一覧

ワンピースは1997年に週刊少年ジャンプでスタートし、現在も連載中の尾田栄一郎先生の漫画。海賊王を夢見るモンキー・Ｄ・ルフィと麦わらの一味の仲間たちによる、「ワンピース＝ひとつなぎの大秘宝」をめぐる冒険を描いた物語です。ジャンプのキーワードである友情・努力・勝利を兼ね備えた少年漫画の王道ともいうべきストーリーと魅力的なキャラクターが読者の心をつかみ、今では世界的な人気を誇る作品となりました。

1999年からはフジテレビ系列でTVアニメが放送されており、ルフィ役の田中真弓さん、ゾロ役の中井和哉さん、ナミ役の岡村明美さん、サンジ役の平田広明さん、ウソップ役の山口勝平さん、チョッパー役の大谷育江さんをはじめベテラン声優が多数出演しています。近年では様々な企業やイベントとのコラボレーションも実施され、ワンピースという作品が国民的な人気アニメとして定着していることがうかがえます。

ウソップは麦わらの一味の1人で、ゾロ、ナミに続いてルフィの仲間になったキャラクターです。年齢は登場時17歳、2年後の新世界編では19歳になっています。長い鼻とゴーグルが特徴的な狙撃手で、勇敢な海の戦士を夢見ている少年です。生まれ育ったシロップ村では有名な大嘘つきですが、ウソップが嘘をつくのは病気の母親や両親を亡くした親友のカヤを元気づけるためで、人を傷つけるような嘘は絶対につかないと言われています。

ウソップはお調子者でルフィやチョッパーとよく悪ふざけをしている一方、臆病かつネガティブな性格の持ち主でもあります。初めのうちは戦闘には及び腰で逃げようとばかりしていたウソップでしたが、大事な戦いから逃げたことからルフィたちと同じ船に乗る資格はないと自身を奮い立たせ、戦いに参加するようになりました。戦闘能力は低いものの、戦略や話術と得意の狙撃で仲間たちをサポートします。

ウソップは手先も器用で、仲間の武器制作やゴーイングメリー号の修理も担当していました。それだけにゴーイングメリー号への思い入れは強く、ウォーターセブン編で修復不能になったゴーイングメリー号の放棄を決めたルフィと対立した末に麦わらの一味を脱退してしまいます。しかし、ロビンのピンチを知ると正体を隠して「そげキング」として救出作戦に協力し、ロビンを解放した後はルフィと和解し麦わらの一味に復帰しました。

ワンピースでウソップの声を担当している山口勝平さんは悟空所属の声優で、事務所の代表も務めています。明るく元気な少年役を演じることが多く、ワンピースのオーディションは当初ルフィ役で参加していましたが落選し、後にウソップ役のオファーが来たそうです。公式サイトのインタビューによれば、当時はウソップのような役を演じることが少なく戸惑ったそうですが、今では自然とウソップになれるとのことです。

山口さんの生年月日は1965年5月23日、出身は福岡県福岡市です。19歳の時に上京し、専門学校東京アナウンス学院に入学。劇団21世紀FOXに入団し舞台での活動を行いつつ、23歳でらんま1/2の早乙女乱馬役を演じて以降、本格的に声優としての活動を始めています。代表作はワンピースのウソップ役の他、名探偵コナンの工藤新一役、犬夜叉の犬夜叉役、DEATHNOTEのL役などがあります。

山口さんは上京後劇団21世紀FOXに参加し、1985年から2011年までのほとんどの作品に出演していました。劇団21世紀FOXは2016年6月の第76回公演をもって無期限の充電期間に突入しましたが、2016年に主宰の肝付兼太さんが亡くなられ、現在は活動していないようです（肝付さんと交流のあった声優の水田わさびさんのブログでは、2016年6月に解散したと言及されています）

2017年からはTVアニメ昭和元禄落語心中の放映に合わせて開催されたイベント・声優落語天狗連をきっかけに落語を始め、立川志ら乃氏に師事しています。その様子は山口さんの公式Twitterでうかがい知ることができます。また、2018年には浪川大輔さんと朗読劇の公演も行っており、舞台に立つ機会も多いようです。

山口さんは絵を描くことを得意としており、アニメ・声優関連の雑誌にイラストを提供することもあります。らんま1/2や犬夜叉で共演した日髙のり子さんのエッセイ「のんこ」のイラストを手掛けたのも山口さんです。

山口さんの声優としての初仕事は1988年、どんどんドメルとロンというTVアニメです。元気な老人ロンと、ロンの飼い犬で人間の言葉を理解するドメルが巻き起こす騒動を描くギャグアニメで、劇団21世紀FOXの主宰・肝付兼太さんがロン役を演じていました。山口さんの役は船員Aというモブ役で、「見ろ、あれがキングドック島だ」というのが初めてのセリフだったそうです。

翌年の1989年には美味しんぼの相川孝、ジャングル大帝（第3作）のケン一という名前の付いた役を獲得しています。山口さんが演じた代表的なキャラクターは、次項以降で紹介していきます。

山口さんが初めてレギュラーを務めた作品は、1989年に放送されたTVアニメらんま1/2でした。水を被ると女性になってしまう特異体質の持ち主である早乙女乱馬を主人公とする格闘ラブコメディで、山口さんは乱馬の男バージョンと少年時代を演じました。山口さんは当時23歳で、この作品以降声優として本格的な活動を始めています。

らんま1/2のヒロイン天道あかね役を演じたのは日髙のり子さん。山口さんと日髙さんは犬夜叉でも共演しており、それぞれ主人公の犬夜叉とヒロインの1人桔梗を担当しています。二人の共演作品は多く、名探偵コナンの工藤新一と世良真澄、DEATHNOTEのLとニア、HUNTER×HUNTER（2012年）のフェイタンとシャルナークなどがあります。また、接点はありませんがワンピースでもウソップとベルメールとして共演しています。

1989年7月に公開されたスタジオジブリの映画・魔女の宅急便。山口さんが演じているのは、飛行クラブに所属し、後にキキと友達になる少年トンボです。公開された順番としては1989年4月に放送が始まったらんま1/2の方が先ですが、山口さんが初めてオーディションに合格した作品はこの魔女の宅急便なのだそうです。

魔女の宅急便の主人公キキとその友達で絵描きの少女ウルスラは、どちらも高山みなみさんが演じています。高山さんといえば名探偵コナンの江戸川コナン役で知られている声優。山口さんはコナンの本来の姿である工藤新一を演じており、魔女の宅急便がテレビで放送されるたびに「江戸川コナンと工藤新一だ！」という驚きの声があがっています。ちなみに高山さんはらんま1/2にも天道なびき役で出演し、山口さんと共演しています。

1993年から放送がスタートし、現在第26期が放送中の忍たま乱太郎。山口さんは自称剣豪の花房牧之介を演じています。忍術学園の戸部先生をライバル視してことあるごとに勝負を仕掛けてきますが、実力はへっぽこの上に乱太郎たちには疎まれているというちょっと残念なキャラクターです。出番は少ないものの、第1期からほぼ毎シーズン登場しているので、見覚えがあるという方も多いのではないでしょうか。

ワンピースのルフィを演じている田中真弓さんは、忍たまでは主役3人組の1人である摂津のきり丸を演じています。また、先に紹介した魔女の宅急便やコナンでも山口さんと共演している高山みなみさんは主人公の猪名寺乱太郎の声を担当しています。ワンピース、忍たま、コナンのいずれも長寿作品でベテラン声優が多数出演しているので、調べてみると意外な共演歴が見つかるかもしれません。

1996年から放送が始まったＴＶアニメ・名探偵コナン。山口さんは主人公・江戸川コナンの本来の姿である工藤新一を演じています。コナンが工藤新一の姿に戻るため、様々な事件を解決しつつ黒の組織を追うというストーリーのため、主役にも関わらず工藤新一の出番は控え目です。しかし、1997年から毎年公開されている劇場版には全て工藤新一が登場しており、山口さんはコナンには欠かせない声優であると言えるでしょう。

工藤新一のライバルである怪盗キッドの声も山口さんが担当しています。外見は工藤新一にそっくりですが、本名は黒羽快斗という手品を得意とする高校生です。工藤新一が江戸川コナンの姿になってからも、時折秘宝をめぐって対決しています。2019年の劇場版「月下がりの謀略（トリック）」には怪盗キッドが登場することが明らかになり、今から期待の声が高まっています。

1990年から1994年までなかよしで連載され、美少女戦士セーラームーンと並ぶ看板作品だったミラクル☆ガールズ。超能力少女の双子である松永ともみとみかげを主人公とした物語で、1993年に放送されたTVアニメでは山口さんがみかげの同級生でともみの思い人・野田侑也役を演じています。スポーツが得意な熱血少年で、ともみのピンチにかけつけるヒーローです。

90年代の山口さんはご近所物語の山口ツトム役や愛天使伝説ウェディングピーチの雨野たくろうなど、少女向けアニメのヒロインを相手役をたびたび演じています。それぞれタイプは違いますが、リアルタイムで見ていた方の中には山口さんのキャラクターが初恋、という方もいるのではないでしょうか。

2000年から2004年まで放送されたTVアニメ犬夜叉では、山口さんは主役の犬夜叉役を演じました。山口さんは犬夜叉役と敵の奈落役のオーディションを受けていましたが、原作者の高橋留美子先生から「犬夜叉役は山口さんしかいない」と推薦されていたそうです。また、50年前に犬夜叉と恋仲だった女性・桔梗はらんま1/2で天道あかねを演じていた日髙のり子さんが担当しており、再度の高橋先生作品での共演となりました。

山口さんはらんま1/2の早乙女乱馬に続き、連続して高橋先生の作品で主演を務めました。山口さんは同じく高橋先生原作のうる星やつらのOVA（2010年）にも出演しています。さらに犬夜叉に次ぐ高橋先生の作品である境界のRINNEがTVアニメ化された際も山口さんは主人公・六道りんねの父親の六道鯖人（ろくどうサバト）を演じており、「高橋先生の作品の中で成長させていただいた」と語っています。

50年以上の歴史を持つ教育番組おかあさんといっしょ。その中で2000年から2009年まで放送された人形劇ぐ～チョコランタンにも山口さんは出演していました。山口さんが担当したのは、力持ちでお調子者のジャコビ（画像左の茶色のキャラクター）。山口さんはぐ～チョコランタンに続く人形劇モノランモノランでも風神の孫プゥート役の声も担当しました。

神無ノ鳥は2002年に発売されたＢＬゲームで、山口さんは綿貫琉宇（わたぬきるう）を演じています。余命わずかな女の子のような少年という、ウソップや犬夜叉のイメージからはかけ離れたキャラクターです。ＢＬ作品は声優の豪華さが売りの一つであり、鈴村健一さん、遊佐浩二さん、緑川光さんといった人気声優が出演しています。他に紹介した作品に比べて知名度は高くありませんが、山口さんの人気や役柄の幅広さに驚かされます。

Weiß kreuz（ヴァイスクロイツ）は子安武人さん原案によるドラマCDやTVアニメなどで展開したメディアミックス作品で、子安さん、関智一さん、三木眞一郎さん、優希比呂さんによる声優ユニットの名前でもあります。山口さんは第2期Weiß kreuz glühen（ヴァイスクロイツ　グリーエン）から登場する和泉瀬奈（セナ）役で出演しました。明るく無邪気な一方、家族を惨殺されたという暗い過去をもつ二面性のあるキャラクターです。

メインキャストの4名からも分かるように、ヴァイスクロイツには男女問わず当時の人気声優が集結していました。現在ではアイドル作品を中心にキャラクター＝声優という見方を売りにした作品が1つの勢力となっており、声優ユニットも多数結成されていますが、ヴァイスはその走りと言われています。こういった作品に出演しているところからも、山口さんが当時から大人気だったことが分かります。

2006年から2007年にかけて放送されたプリキュアシリーズの3作目・ふたりはプリキュアSplash Starでは、山口さんは花の精フラッピを演じました。キュアブルームに変身する日向咲のパートナーで、好奇心旺盛で元気な妖精です。キュアイーグレットに変身する美翔舞のパートナーの妖精チョッピのことが好きですが、なかなか気持ちを伝えられないという微笑ましいところもあります。

ふたりはプリキュアSplash Starでは、山口さんはナミ役の岡村明美さんと共演しています。岡村さんは美翔舞がキュアウィンディに変身する力を与える妖精フープを演じました。フラッピと比べると幼い印象で、人見知りで物陰に隠れてしまうこともあります。

2006年に放送され、週刊少年ジャンプ作品らしからぬダークな展開で話題を呼んだDEATHNOTE。山口さんは数々の難事件を解決してきた世界一の名探偵Lを演じました。猫背と目の下のクマ、独特の座り方、潔癖症、極度の甘党とつかみどころのない不思議なキャラクターで、ウソップや犬夜叉とは違った山口さんの演技を楽しめます。

工藤新一に続く山口さんの探偵役となったLですが、山口さんは1996年に公開された劇場版「金田一少年の事件簿　オペラ座館・新たなる殺人」で金田一一を演じています。名探偵コナンはサンデー、DEATHNOTEはジャンプ、金田一少年の事件簿はマガジン連載で、山口さんは3大少年誌の探偵役を制覇したことになります。ちなみに金田一一役は劇場版の1度のみですが、TVアニメ版には犯人役で出演したこともあります。

2014年から2015年にかけて放送されたスーパー戦隊の第38作・烈車戦隊トッキュウジャー。山口さんはレインボーラインの車掌の右手に装着されたサルのパペット・チケットくんの声を担当しています。車掌の腹話術かと思いきや、手から外されてもしゃべり続けているという不思議な存在で、可愛くユーモラスな一方で不気味さもかもし出しているキャラクターです。

山口さんはレインボーラインのアナウンスや変身アイテムのシステム音声も担当しており、トッキュウジャーのおもちゃでも声を聞くことができます。子供から大人までお馴染みの作品への出演も多いので、子供の頃好きだったキャラクターの声が山口さんだったということも少なくないのではないでしょうか。

夢王国と100人の眠れる王子様は、2015年に配信が開始された女性向けアプリゲームです。基本はパズルゲームですが、パズルをクリアしてゲームを進めていくと王子様が愛を囁いてくれるという乙女ゲームの要素もあります。山口さんはヘルトという王子様を演じていますが、若い女性をメインターゲットにした作品にもキャスティングされていることから山口さんが世代を超えて愛されている声優だということが分かります。

2016年に第1期、2017年に放送された、落語を題材にしたTVアニメ昭和元禄落語心中。山口さんは嫌味っぽい物言いをする演芸評論家のアマケンを演じています。アマケンは父のアマノ共々昭和最後の大名人と言われる落語家・有楽亭八雲に心酔していますが、そのアマノの声も山口さんが担当しています。山口さんはこの作品がきっかけで立川志ら乃氏に客分弟子として入門し、落語を学んでいます。

2018年4月から第6期の放送が始まったゲゲゲの鬼太郎。山口さんは鬼太郎の仲間の妖怪の1人（？）一反木綿役で出演しています。一反木綿はシリーズによって性格が異なっており、山口さんが演じる一反木綿は女の子が大好きで女の子と見ればすぐナンパしに行くという設定が付け加えられています。

6期の一反木綿には「合点承知」と「コットン（＝木綿）」をかけた「コットン承知」という口癖があり、山口さんのお気に入りのようです。また、ゲゲゲの鬼太郎の収録では色々とアドリブを入れたそうですが、かなりカットされてしまったことが山口さんのTwitterで語られています。

ゲゲゲの鬼太郎第6期には田中真弓さんも砂かけばばあ役で出演しています。ヒロインの犬山まなを早速ナンパした一反木綿を「色ボケふんどし」と呼ぶという思わず笑ってしまうようなシーンもあります。

ワンピースのウソップのイメージから陽気で活発なキャラクターが多い印象の山口勝平さんですが、病弱でおとなしい少年や動物、妖精、妖怪といった役もこなしており、幅広い役を演じていることがわかります。出演作も国民的人気作品はもちろん、女性向けゲームや特撮作品と様々なジャンルで活躍しています。今回紹介した作品は山口さんの出演作のほんの一部であり、これ以外の作品でもどこかで声を聞いたことがあるはずです。

山口さんの出演作は長寿作品も少なくありません。ワンピースやコナンは今後もしばらく放送が続くと思われますが、いつまでもお元気でウソップや工藤新一の声を聞けることが願われます。