ヴァイオレット・エヴァーガーデン外伝のあらすじをネタバレ！小説の見所も紹介

原作小説では、一度終わりを迎えたヴァイオレット・エヴァーガーデンの物語。依頼人や仲間たちとの交流を通して「人が人を思いやる心、愛する心」を知ったヴァイオレットは物語の最後で誰よりも大切な人であるギルベルトと再会を果たし、自分の想いを伝えることができました。

この小説の続きとも言える『ヴァイオレット・エヴァーガーデン外伝』には全6編のエピソードが収録されています。今回は、小説本編にどんなキャラクターが登場したのかを振り返りながら、外伝のあらすじをいくつかネタバレ紹介いたします。

ヴァイオレット・エヴァーガーデンは、暁佳奈さんによる「"自動手記人形"ヴァイオレット・エヴァーガーデン」という少女を中心として群像劇を描いたライトノベル作品です。京都アニメーションによってアニメ化もされています。

アニメ化された際のキャッチコピーは、"彼女はまだ知らない、「愛してる」の意味を"。この言葉が示す通り、感情を知らない"人形"のようなヴァイオレット・エヴァーガーデンが、様々なキャラクターとの触れ合いによって「愛」という感情がどういうものであるのかを知っていく物語です。

ヴァイオレット・エヴァーガーデンの小説は、KAエスマ文庫から刊行されています。かつて大陸戦争で"武器"と称され、戦うことしか知らずに生きてきたヴァイオレット・エヴァーガーデン。戦場で両腕を失った彼女は義手を付け、C.H郵便社で自動手記人形(オート・メモリーズ・ドール)として働くことになります。

ヴァイオレット・エヴァーガーデンは自動手記人形として代筆業務を行いながら様々な事情を抱える人々と出会います。初めのうちは受け取った言葉どおりの手紙しか書けなかった彼女ですが、徐々に人間の繊細な心の動きを学んでいき、自分の中にもまたそのような「感情」があることに気づいていくのです。

出張代筆で訪れた街並みや鮮やかな自然の風景を写実的に美しく描いたアニメーションも、ファンから高い評価を受けています。

おおまかなあらすじは原作小説と同じですが、アニメオリジナルキャラクターも交えて再編し、新たなヴァイオレット・エヴァーガーデンの世界が作られました。

元陸軍兵の少女。感情を持たない武器として成長したため、陸軍時代の上官であるギルベルトから向けられた「愛している」という言葉の意味を理解することができませんでした。退役後にC.H郵便社に入社し、文字が書けない人や大事な手紙を送りたい人の手紙代筆を行う自動手記人形として働きながら「愛」という言葉の意味を探していくことになります。

手紙代筆の仕事を通し出会ってきた人々や、同じ郵便社で働く仲間たちとのふれあいで「愛とは何か」という答えに少しだけ近づけたヴァイオレット・エヴァーガーデン。そんな彼女が何よりも大切な存在であるギルベルトに再会したときのやりとりは、二人の想いが通じ合った瞬間でもありました。

由緒正しい名家の子息で、当初は兄であるディーフリートから半ば押し付けられる形でヴァイオレット・エヴァーガーデンを引き取ることに。言葉を喋ることもできないヴァイオレットを見守り共に過ごすうち、いつしか彼女のことを愛するようになっていきました。作中では長らく生存が伏せられていましたが、無事ヴァイオレットと再会することができました。

ギルベルトの知己でありライデンシャフトリヒ国陸軍少佐でしたが、退役後は軍を離れてC.H郵便社を立ち上げました。ヴァイオレット・エヴァーガーデンを住み込みで働くよう誘い入れ、仲間として大切にしています。人好きする性格で商売相手や部下たちからも慕われ、商才のある人物でもあります。

ヴァイオレット・エヴァーガーデンと共にC.H郵便社を創設したメンバー(アニメ版は設定に変更あり)。二人とも社長であるホッジンズを慕っていますが、お互いはよくぶつかり合って喧嘩をしています。しかし、有事の際は頼りになる二人です。

ヴァイオレット・エヴァーガーデン外伝では、上巻・下巻に収録しきれなかったいくつかのストーリーが収録されています。ヴァイオレットとギルベルトのその後の物語だけでなく、C.H郵便社の仲間たちに関してのエピソードが描かれるなど、ヴァイオレット以外の登場人物にもより親しみを持てる内容となっています。

外伝の第一話は、かつての敵国同士の政略結婚を成功させるため、ヴァイオレット・エヴァーガーデンがドロッセル王国へと出張するお話です。大戦終結の象徴としての幸福な結婚であることを民衆にアピールするための「公開恋文」の代筆を行うヴァイオレットでしたが、花嫁であるシャルロッテ姫には秘密がありました。

ヴァイオレットの書く手紙は公開恋文としては申し分ないものでしたが、シャルロッテは花婿であるダミアン王子の本心が一向に見えてこないことに不安を覚えます。シャルロッテはダミアンに本気で恋心を抱いていたのです。シャルロッテの失意を汲み取ったヴァイオレットは、ダミアンのドールに相談を持ち掛け、二人に直筆の手紙をやり取りするよう勧めました。

シャルロッテはダミアンの真心のこもったアプローチを受け止め、無事恋は実りました。そして長年に渡り母親のようにシャルロッテを支えてきた女官・アルベルタは、シャルロッテが立派な王族として旅立っていけるよう、あえて厳しく突き放します。男女の愛と、母娘の愛。二つの異なる愛をヴァイオレット・エヴァーガーデンは傍らで見届けるのでした。

C.H郵便社の配達員として働くベネディクト・ブルー。金髪碧眼の容姿は、ヴァイオレット・エヴァーガーデンと並ぶとまるで兄妹のようにも見えます。実際に、ヴァイオレットを妹のように大切に思っているようです。そんなヴァイオレットから「戦闘能力が高い」との評価を受けるベネディクトですが、外伝でその理由が明らかになります。

実は、ベネディクトは家畜同然の扱いを受けながら薬漬けにされ、傭兵をしていたという少年時代を過ごしていたのです。戦闘狂とまで呼ばれたベネディクトは、PTSDを患い記憶も失ってしまいますが、ホッジンズとの出会いで新しい人生を始めることができたのでした。

ヴァイオレット・エヴァーガーデンと同じくC.H郵便社で自動手記人形として働くカトレア・ボードレール。繊細な文章で依頼主たちを魅了する優秀な従業員で、社長のクラウディアを慕っていますが、外伝ではベネディクトに恋心を抱いていることが分かりました。ベネディクトもカトレアの想いを受け止め、二人の仲は良い方向へ発展していきます。

親友であるギルベルト・ブーゲンビリアとクラウディア・ホッジンズの初めての出会いは、クラウディア16歳、ギルベルト14歳のとき。ライデンシャフトリヒ陸軍士官学校時代までさかのぼります。外伝には彼らが共に過ごした時間が詳しく描かれています。

名前へのコンプレックス、独り立ちへの憧れ、そして家族や自分が住む街への愛情。大陸を覆う戦火から大切なものたちを守りたいという気持ちと複雑な心情が後押しして、クラウディアは仕官することを決意しました。そしてその先に待ち受けていた命のやり取りが行われる過酷な戦場を経験していく中で、ギルベルトと親交を深めていったのです。

外伝終盤では、戦斧ウィッチクラフトを手にしたヴァイオレット・エヴァーガーデンが、頼れる同僚であるベネディクト、カトレアと共に無法者のライバル社と大立ち回りを繰り広げる展開があります。そんなヴァイオレットの元に姿を現すのはもちろん、最愛の人ギルベルト。二人の不器用ながらも深い愛情が6つの物語の最後を飾ります。

ヴァイオレット・エヴァーガーデン外伝のあらすじをいくつかネタバレ紹介しましたが、いかがでしたか？この作品は細やかな心理描写やキャラクターどうしのやりとりなど、どこをとっても心が震える内容となっています。

主人公のヴァイオレットだけではなくC.H郵便社の仲間たちにもスポットが当てられ、どのキャラクターのエピソードも泣いたり笑ったり、魅力たっぷりに描かれています。本編を読んだ方も、アニメでヴァイオレット・エヴァーガーデンの世界に入った方も、ぜひこの小説を手に取って詳細をお楽しみください。