【かがみの孤城】伊田先生は頼りないこころの担任？その後や真田との関係は？

この記事では、辻村深⽉のベストセラー『かがみの孤城』に登場するキャラクターで、主人公・こころのクラス担任・伊田先生を特集します。これから、伊田先生が頼りない・腹立つとされる理由を中心に考察していきますが、まずはその前に『かがみの孤城』の作品情報をお届けしましょう。最初に作品概要、そして簡単なあらすじ解説へと続きます。

『かがみの孤城』は、直⽊賞作家・辻村深月の執筆による小説で、2013年の11月から2014年の10月まで雑誌「asta*」で掲載されました。その後、内容を大きく見直し、2017年の5月にポプラ社から文庫本が発売されました。2018年には本屋大賞を獲得するなど話題作となり、2023年の10月の時点で発行部数は200万部を超えています。

また、この作品は、オーディオブック版も発売されており、さらに、2019年の7月から2022年の3月にかけて月刊漫画雑誌「ウルトラジャンプ」でコミック版が連載されました（イラスト担当は武富智）。2020年には、本作『かがみの孤城』を基にした舞台が成井豊の脚本と演出で上演されました。そして、2022年には映画化され同年12月23日に劇場公開されました。

2005年、中学1年の少女・安西こころは、クラスメートからのいじめにより学校に行けなくなり、子ども向けの支援教室にも参加できず、自宅で孤独に過ごしていました。ある日、彼女の部屋の鏡が輝き、こころはその中に吸い込まれました。その先には、オオカミの面をつけた不思議な少女が統治する孤立した城があり、そこで彼女は自分と同じような問題を持つ中学生リオン、フウカ、スバルたちと出会いました。

ここからは、この記事のメインテーマである『かがみの孤城』の伊田先生について解説していきます。伊田先生は、『かがみの孤城』の主人公である、こころのクラス担任の教師を務めています。

一見すると生徒たちのことを思っているように見えますが、実際にはあまり深く考えていません。こころが受けていたいじめについても理解を示すことなく、当事者間の対話を優先していました。詳細は後ほど説明しますが、真田を支持するような態度をとったことで、こころや彼女の母親からの信頼を失ってしまいました。

ここからは、『かがみの孤城』の伊田先生の頼りないところや腹立つ理由を考察していきます。まず、伊田先生は、こころの家を訪れこころや母親と話をしています。伊田先生はこころの心境を十分に考慮せず、「真田に会って話をしないか」と、こころと彼女の母親に提案しました。しかし、こころの母親は「こころからもきちんと事情を聞くべきなのでは？」と、伊田先生に疑問を呈しました。

そして、伊田先生のはっきりとしない態度に対し、「次回は学年主任や校長先生と一緒に来ていただけますか」と伝えました。このやり取りから、伊田先生が、生徒の置かれた状況を理解し適切な対応をする能力が不足していることが明らかになりました。

城の仲間たちと一緒に学校へ行くという約束をした日、こころの下駄箱には真田美織からの手紙が入っていました。手紙には、伊田先生の助言で無理やり書かされた旨がしたためられていました。こころにとってその内容は言葉にならないほど屈辱的なものでした。伊田先生には思いやりのかけらもないようでした。

ある三月の日、伊田先生は、新学年を迎えるにあたり、学校に残されていたこころの上履きと座布団を持ってきました。真田美織からの手紙についてまだ怒りを感じているこころに、「こころ、大丈夫？みんな、四月からも学校で君を待っているよ」と言いました。こころが怒っていることは、喜多嶋先生から聞いて知っているはずなのに、肝心のこころへの謝罪がなかったのです。

さらに伊田先生の無神経な言葉は続きます。「気が向いたら、真田からの手紙に対し返事を書いてみてはどうか」という提案は、こころに怒りすら感じさせました。「真田なりに一生懸命に書いたようだ」など、真田美織についての話が次々と出てきました。伊田先生は、自分の行動が正しいと信じて疑わないようで、その無神経さは読者を呆れさせてしまいました。

こころのクラスメイトの真田は、クラスのリーダー的存在でしたが、裏ではこころに陰湿ないじめを行っていました。その結果、こころは不登校となってしまいました。このいじめの一件で、真田は教師たちから「配慮が必要な子」というレッテルを貼られるようになりました。しかし、こころの担任の伊田先生は、真田を擁護するような発言や行動をとり、その結果、こころとこころの母親からの信頼を失ってしまいました。

伊田先生がこころのクラスの主任を外された事実を考慮すると、彼が学校で「生徒対応が不適切だった」と評価されていると推測するのは難しくないでしょう。この状況の背後には、安西家が保護者だけでなく、フリースクールという別の組織と協力して行動したことが大きな要素であり、これは「かがみの孤城」という作品の主要なテーマの一つと言えます。

学校にとって、「いじめ」は避けたい問題ですので、伊田先生のような消極的な態度は避けられない結果とも言えます。これに対し、保護者だけが学校という大きな組織に対抗するのは困難なことでしょう。しかし、フリースクールのような「専門家」が客観的に介入することで、状況は変わる可能性があります。

安西家が喜多嶋先生を含むフリースクールと連携したことで、学校はフリースクールとの間で情報交換をすることになりました。つまり、個人と組織ではなく、組織と組織のやりとりとなるのです。その結果、学校はより客観的な対応を求められ、伊田先生の配置換えという形で対応することになりました。

フリースクールのような子供たちを支える場所では、各学校の体制や傾向をある程度理解しているでしょうから、今回の「雪科第五中学校の伊田先生のミス」が指摘され、学校側も安易な対応を取りにくくなるでしょう。

ここで、劇場版アニメ『かがみの孤城』の伊田先生役の声優を紹介します。伊田先生の声を担当したのは、お笑いコンビ・オリエンタルラジオのツッコミ担当として知られる藤森慎吾（ふじもり・しんご）です。藤森は、1983年3月17日長野県諏訪市生まれのお笑いタレントで、歌手や俳優、司会者と幅広く活躍しています。

彼の芸能活動は、明治大学在学中の2003年に始まりました。中田敦彦と「オリエンタルラジオ」を結成し、翌2004年に吉本総合芸能学院（NSC）東京校に入学しました。そして、リズムネタ「武勇伝」でM-1グランプリ準決勝に進出し、お茶の間の注目を集めました。さらに、2011年には「チャラ男」キャラで再ブレイクし、その後はお笑い界にとどまらず多方面で活動を続けています。

次に、劇場版アニメ『かがみの孤城』で伊田先生の声を演じたタレントの藤森慎吾の主な出演作品を一覧で紹介します。

• PS純金（MC）
• 王様のブランチ

• 津軽百年食堂（主演・大森陽一）

• えいがでとーじょー! たまごっち ドキドキ! うちゅーのまいごっち!?（しんごっち）
• 映画 プリキュアオールスターズ 春のカーニバル♪（ウタエン）
• 映画 えんとつ町のプペル（スコップ）

ここまで『かがみの孤城』の伊田先生特集をお届けしてきましたが、最後に伊田先生に関する感想や評価をTwitterより紹介します。

最初に紹介するのは、伊田先生に同情的な方のツイートです。授業だけでなくホームルームも部活も一人で背負っており、その上女の子の陰湿ないじめの対応もやらなければならないのは酷だということでした。

続いて紹介するのは、教育現場で教えている「先生」によるツイート投稿です。自分が伊田先生ではなく多嶋先生のように振舞えているかどうか、読むたびに自問自答していてとても辛いと述べていました。

最後に紹介するのも、おそらく教員に就いている方のツイート投稿です。意識せずに伊田先生のようなことをしている可能性は低くないと言います。『かがみの孤城』のような作品に触れるのは怖いと言いつつ、自らを律しているようでした。

この記事では、『かがみの孤城』の主人公・こころの担任の伊田先生を特集し、こころの母親との会話やその後や真田にかかせた手紙の内容などについて解説してきました。

伊田先生は、こころの気持ちを配慮せずに、いじめの首謀者・真田と話し合うよう提案しました。さらに、真田にこころ宛ての手紙を書かせますが、手紙はこころにとって侮辱的な内容でした。そして、こころへの謝罪もなく、真田からの手紙への返信するよう忠告しました。伊田先生の無神経な行動は、関係者を驚かせました。伊田先生には、生徒の気持ちを汲み取ったり適切な指導を行う能力が欠如していると言えるでしょう。