かがみの孤城が伝えたいことは?原作者の辻村深月が作品に込めたメッセージを考察

2018年には本屋大賞を受賞し、読者感想でも度々話題となっている作品といえば、原作者・辻村深月による『かがみの孤城』です。そんな人気小説・『かがみの孤城』が読者たちへ伝えたいこととは、一体どのようなメッセージだったのでしょうか?そこで今回は、読者感想でも度々話題を集めている『かがみの孤城』を通じて、原作者・辻村深月が伝えたいことやメッセージについて、考察してみました。

かがみの孤城が伝えたいことは?原作者の辻村深月が作品に込めたメッセージを考察のイメージ

目次

  1. かがみの孤城とは?
  2. かがみの孤城が伝えたいことを考察
  3. かがみの孤城の原作者の辻村深月が作品に込めたメッセージ
  4. かがみの孤城の謎を考察
  5. かがみの孤城に関する感想や評価
  6. かがみの孤城が伝えたいことまとめ

かがみの孤城とは?

2023年10月時点で累計発行部数は200万部を突破しているヒット小説として、今読者感想でも話題となっているのが、原作者・辻村深月による『かがみの孤城』です。そんな『かがみの孤城』とは、一体どのような作品なのでしょうか?まずは、原作者・辻村深月による『かがみの孤城』の概要やあらすじについてチェックしてみましょう。

かがみの孤城の概要

『かがみの孤城(かがみのこじょう)』は、辻村深月による小説として、『asta*』2013年11月号から2014年10月号にかけて連載され、大幅な加筆修正を施した上で、2017年5月にポプラ社より刊行されました。当初は「かがみの城」というタイトルにする予定だったものの、担当編集者が提案した「敵に囲まれて身動きが取れなくなっている城」を意味する「孤城」を名付けたそうです。

そんな『かがみの孤城』は、2023年10月時点で累計発行部数は200万部を突破しているヒット作品となっており、2018年には本屋大賞も受賞しています。また、2020年には、『かがみの孤城』を原作とした舞台の公演が成井豊の脚本・演出で行われ、2022年12月23日には劇場版アニメが公開されています。

かがみの孤城のあらすじ

2005年、中学1年生の女の子・安西こころは、同級生から受けたいじめが原因で不登校が続き、子供育成支援教室(フリースクール)にも通えずに家に引き籠もる生活を続けていました。5月のある日、自室の鏡が光り、吸い込まれたこころは、その向こうに、子供たちを「赤ずきん」と呼ぶ「オオカミさま」という狼面をつけた謎の少女が仕切る絶海の孤城で、自分と似た問題を抱える中学生リオン・フウカ・スバル・マサムネ・ウレシノ・アキと出会いました。

オオカミさまは、この孤城の中に隠された『願いの鍵』を見つけられた1人だけが願いの部屋へ入ることができ、どんな願いでも叶えられると説明しました。しかし、午前9時〜午後5時までは鏡を通って現実世界から来て良いものの、午後5時以降に孤城に1人でも残っていればその日城内にいた者は連帯責任で狼に喰われるというルールもあるようで、鍵を探す以外には特に何も起こらない城内でこころはのんびりと友人関係を築いていました。

映画『かがみの孤城』公式サイト

かがみの孤城が伝えたいことを考察

劇場版アニメ化もされ、読者感想でも度々話題となっている原作者・辻村深月による『かがみの孤城』。そんな『かがみの孤城』という作品を手がけた原作者・辻村深月は、一体どのようなメッセージを読者たちに伝えたいと思っているのでしょうか?お次は、読者感想でも度々話題となっている作品・『かがみの孤城』を通じて原作者・辻村深月が伝えたいメッセージについて考察してみましょう。

不登校に悩む子供たちへ伝えたいこと

伝えたいこと①選択肢は多い

原作者・辻村深月による『かがみの孤城』が不登校に悩む子供たちへ伝えたいこと・メッセージの考察1つめは、『選択肢は多い』です。不登校となってしまう原因は、いろいろな理由があります。いじめられて不登校になってしまった子、いじめはないものの何となく居心地が悪くて不登校になってしまった子、心がついて行かずに不登校になってしまった子など、様々です。

複雑な理由が絡む不登校ですが、そんな不登校になってしまった子供たちに知っておいて欲しいことが、『選択肢は多い』のだということです。学生時代は学校の世界が全てですし、友達関係や人間関係などの悩みも大きなものに感じるはずです。しかし、視野を広げてみると、学校の世界が全てというわけではありません。

長い人生の中で、学生生活を送る期間なんてほんの一瞬です。そんな一瞬の出来事ですから、うまくいかなかったり、学校に行くことが辛かったりした時は、無理して学校に行かなくても良いのです。極端な話をすれば、学校に行けなくたって命が尽きてしまうわけではありません。現に、『かがみの孤城』でも、登場人物たちは様々な選択をしています。

例えば、主人公のこころは不登校の原因となったいじめ主犯者とクラスを変えてもらうことで不登校を克服しましたし、アキは留年しました。マサムネは私立中学校へ転向し、ウレシノは留学しました。このように、想像以上に選択肢は多くあります。だからこそ、辛い時は無理して登校しなくても、いろいろな選択肢を考えてみてほしいということを原作者は子供たちに伝えたいようでした。

伝えたいこと②周りにいる誰かを頼ってほしい

原作者・辻村深月による『かがみの孤城』が不登校に悩む子供たちへ伝えたいこと・メッセージの考察2つめは、『周りにいる誰かを頼ってほしい』です。辛い時、周囲に頼りたいけれども弱い自分を見せることが恥ずかしいと感じていたり、勇気を出して助けを求めたけれども「誰も助けてなんかくれない」と絶望してしまっている方もいるかもしれません。しかし、諦めないで周りにいる誰かを頼ってほしいと考えています。

あなたの周りにも助けてくれる人や、一緒に悩んでくれる人が必ずいるはずです。「大人だから」「子供だから」と考えないで。年齢も性別も関係ありません。あなたの苦しみをわかってくれて、助けようとしてくれる人はどこかにいるはずだから、周りにいる誰かを頼ってほしいと願う原作者の思いが作品にもしっかりと描かれています。

伝えたいこと③希望を持つこと

原作者・辻村深月による『かがみの孤城』が不登校に悩む子供たちへ伝えたいこと・メッセージの考察3つめは、『希望を持つこと』です。不登校に悩んでいる時はきっと絶望していて、自分のことをダメな人間だと思い込んでしまっていたり、希望を持つことが難しいかもしれません。しかし、自分自身に「大丈夫」だと希望を持たせることで、前向きになれるようになったり、良い方向に向かうこともあるはずです。

不登校に悩む子の親へ伝えたいこと

伝えたいこと①選択肢は多い

原作者・辻村深月による『かがみの孤城』が不登校に悩む子供の親へ伝えたいこと・メッセージの考察1つめは、『選択肢は多い』です。原作者・辻村深月は不登校の子どもたちへも、選択肢の多さを知ってほしいと願っているようでしたが、それは子どもだけではなく、親へも同じ思いだったようです。不登校に悩む子どもを近くで見ていて、親は「どうすればいいのか」「どうやったら学校へ行ってくれるのか」と考えてしまいます。

しかし、そんな時に思い出してほしいのが、『学校が全てではない』ということです。また、親だって悩むことがあるのは当然ですし、完璧なわけではありません。だからこそ、フリースクールなど周りの大人を頼って、選択肢の多さを子どもと共に考えていけば良いと考えています。

伝えたいこと②子供の話を聞いてほしい

原作者・辻村深月による『かがみの孤城』が不登校に悩む子の親へ伝えたいこと・メッセージの考察2つめは、『子供の話を聞いてほしい』です。年齢を重ねるにつれて、子供は親に話せない内容が増えてきたり、親だって子供のことをわかっているつもりでも、理解してあげられていなかったというパターンは非常に多いものです。このような事態に陥るのは、親子のコミュニケーション不足が原因だと考えられます。

コミュニケーション不足になると、子供は「どうせ興味ないんだろうな」と、親に対して不信感を抱いたり、期待しなくなってしまいます。どんな些細な事やつまらない事でも良いので、子供の話を聞いてほしいです。そうして少しでも『家庭に居場所がある』という安心感を子供たちに与えてあげると、辛い時に子供も親にSOSを出しやすいと考えられます。

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かがみの孤城の原作者の辻村深月が作品に込めたメッセージ

読者感想で話題になっている『かがみの孤城』という作品を手がけた原作者は、辻村深月です。そんな原作者・辻村深月が『かがみの孤城』という作品に込めたメッセージとは一体どのようなものだったのでしょうか?お次は、原作者・辻村深月が『かがみの孤城』にこめたメッセージをチェックしてみましょう。

かがみの孤城の原作者は辻村深月

『かがみの孤城』の原作者は、辻村深月です。そんな辻村深月は、公務員の両親のもと、山梨県の石和町にて1980年2月29日に生まれました。『かがみの孤城』の原作者・辻村深月は幼い頃から読書が好きだったようで、「シャーロック・ホームズシリーズ」や「少年探偵団シリーズ」などのミステリーから、『ズッコケ三人組』や『クレヨン王国』などのジュブナイルなどを読んでいたそうです。

そんな辻村深月は大学卒業後、甲府にある県庁村会事務所で団体職員として働きながら執筆を続け、2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞し、作家デビューを果たしました。そして2012年には『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞を受賞し、2019年には『第12回ベストマザー賞2019』の文芸部門を受賞しました。

かがみの孤城に作者が込めたメッセージ

『かがみの孤城』という作品に対し、原作者・辻村深月はどのようなメッセージを込め、読者たちに伝えたいことがあったのか、気になるところです。原作者・辻村深月はかつてインタビューにて、不登校になってしまった子供に対して、「学校に行きなさい」というのではなく、寄り添ってあげてほしいというメッセージを込めていることを明かしました。

また、大人も最初から大人だったのではないからこそ、かつての自分のことなのだと伝えたいと考えているようでした。また、「嫌い」と他人に対して発言することは罪悪感を抱く方も多いでしょうが、そんな自分も認めて受け入れて良いのだと、大きな包容力を、作品を通じて教えてくれていました。

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かがみの孤城の謎を考察

原作者・辻村深月が手がける人気作品・『かがみの孤城』には、こころ以外の登場人物に記憶が残っているのかどうかといった謎が残されています。そんな『かがみの孤城』に残された謎の意味とは一体どのようなものだと、読者たちは考察しているのでしょうか?お次は、『かがみの孤城』の謎について考察してみましょう。

考察①アキの記憶は残っている?

読者の感想で話題を集めている『かがみの孤城』の謎を考察1つめは、『アキの記憶は残っている?』です。「アキ」との愛称で親しまれている、井上晶子は中学3年生の女の子で、気が強く、思ったことは遠慮なく口にするタイプの性格です。バレーボール部で後輩に反省会などで半ば強制的に行動させていたため、後から陰口を言われるようになったことが原因で不登校になりました。

そんなアキの記憶は残っているかどうかですが、アキは結婚する前から「喜多嶋」という苗字にシンパシーを感じていたり、大人になって初めてこころを見た時際には「とうとう、この時が来た」と感じていることから、記憶は残っていると考察できます。

考察②リオンの記憶は残っている?

読者の感想で話題を集めている『かがみの孤城』の謎を考察2つめは、『リオンの記憶は残っている?』です。「リオン」との愛称で親しまれている、水守理音は中学1年生の男の子で、穏やかで仲間思いな性格だが、怒らせると怖いタイプの性格です。そんなリオンは芸能人並みのイケメンである上、明るく気さくな性格でもあります。

そのため、一癖あるこころたちにも平等に話しかけられるため、周囲にはメンバーであることを不思議に思われています。そんなリオンの記憶は残っているかどうかですが、姉でオオカミさま(ミオ)の「善処する」という言葉から、記憶は残っていると考察されています。その証拠に、原作では『かがみの孤城』は、リオンのために作られたものだと明かされています。

考察③リオンの記憶が残っている理由

読者の感想で話題を集めている『かがみの孤城』の謎を考察3つめは、『リオンの記憶が残っている理由』です。なぜリオンには孤城での記憶が残っているのか、その理由が気になるところです。リオンの記憶が残っている理由は、姉でありオオカミさま(ミオ)にとっても、リオンにとっても大切な思い出であるためだからだと考えられています。

もともとリオンは雪科第五中学に通う予定でしたが、母親に厄介払いとしてハワイへ無理矢理留学させられてしまいました。そのため、孤城で雪科第五中学の生徒と過ごす時間を大切に思っています。また、リオンが6歳の時に姉のミオが亡くなってしまった為、ミオ自身もリオンと過ごす思い出が欲しかったという願いがあったのではないかと考えられています。

考察④ミオの名前の理由

読者の感想で話題を集めている『かがみの孤城』の謎を考察4つめは、『ミオの名前の理由』です。ミオ自身はリオンが6歳の時に亡くなっていますが、オオカミさまとして現れました。病気がなければ雪科第五中に通うはずだったようです。そんな「ミオ」という名前にもある理由が隠されているのではないかと読者たちは予想しているようです。「ミオ」という名前は『勿忘草』からきているのではないかと考察されています。

なぜ勿忘草が関係しているのかというと、『勿忘草』には『ミオソティス』という別名があり、花言葉は「私を忘れないで」という意味があります。そんな『勿忘草』からミオの名前を取ったのであれば、リオンの記憶が残されていたことにも納得できるのではないでしょうか。

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かがみの孤城に関する感想や評価

読者感想で話題になっている『かがみの孤城』は、2023年10月時点で累計発行部数は200万部を突破している人気小説です。そんな原作者・辻村深月が手がけた『かがみの孤城』に対し、世間の人々は一体どのような感想や評価を抱いているのでしょうか?お次は、『かがみの孤城』に対する世間の人々の感想や評価をチェックしてみましょう。

『かがみの孤城』は、いじめや不登校がテーマとなっている作品ですが、そんな中でもいじめの描写が妙にリアルだと世間から評価されています。中でも、加害者の癖に被害者ぶるいじめっ子が登場したり、猫かぶりが上手な加害者生徒の意見しか聞かない先生の登場がリアルだと評価されていました。

近年、いじめや不登校者は増加傾向にあります。そんな辛くて暗い世の中だからこそ、いじめや不登校の問題を少しでもなくす為に、全校生徒に見せる教材作品としても『かがみの孤城』は良い作品ではないかと評価している方も多いようでした。また、原作と映画では違った面白さが描かれているので、両作品に触れてみると感動も倍増するはずだと考える読者もいました。

『かがみの孤城』ではいじめや不登校について丁寧に描いていますが、他者との価値観の違いを受け入れる事の大切さなども描かれているので、不登校に悩む子供はもちろんのこと、親も一緒に楽しめる作品だと評価されています。また、『かがみの孤城』という作品に触れたことがきっかけで、子供の話にもっと耳を傾けようと改めて強く決意した方もいるようでした。

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かがみの孤城が伝えたいことまとめ

『かがみの孤城』が伝えたいことまとめについて今回はご紹介しました。『かがみの孤城』は、いじめや不登校をテーマに扱っている作品なのですが、学校が全てではないという事や、選択肢は多いということを子供にも、親にも伝えたいようでした。そんな『かがみの孤城』ではリアルすぎるいじめシーンに辛くなる方もいるようですが、作品に触れた方達の満足度の高い作品となっているので気になる方はぜひチェックしてみて下さい。

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