【ダンまち】ヘルンはなぜフレイヤの付き人になった？変神魔法やベルとの関係を考察　

この記事では、『ダンまち』のヒロインの1人であるフレイヤの付き人を務める女性、ヘルンを特集します。これからヘルンの強さのレベル・変神魔法や過去、ベルとの関係などについてネタバレ解説していきますが、まずはその前に『ダンまち』の作品情報をお届けしましょう。最初に『ダンまち』の作品概要、そして簡単なあらすじ解説へと進みます。

『ダンまち（ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか）』は、日本の作家・大森藤ノのデビュー作となったライトノベル作品です。当初オンライン小説投稿サイト「Arcadia」にて公開されていましたが、「第4回GA文庫大賞」の最優秀賞受賞をきっかけに書籍版が刊行されることになりました。

その後、2014年には、本作のヒロイン、アイズ・ヴァレンシュタインを主役にした外伝『ソード・オラトリア』の連載が開始されます。さらに2017年にはリュー・リオンにスポットを当てた外伝作品『ファミリアクロニクル episodeリュー』が登場するなど、『ダンまち』にはさまざまな関連作品が誕生しています。

また、『ダンまち』は、漫画をはじめ、テレビアニメや劇場版アニメ、そしてゲームなどさまざまなメディアで展開され、ファン層を拡大しています。その結果、シリーズの書籍発行部数は、2023年7月現在、全世界で1500万部を超えるまでになりました。

ヘスティア・ファミリアの唯一のメンバーである若輩者の冒険者・ベルは、ダンジョンの奥深くで孤独な戦いを続けていました。ある日、中層クラスの強敵、ミノタウロスとの戦闘で命の危険に追い込まれます。しかし、その時、ある人物が彼に救いの手を差し伸べたのです。その人物とは、ロキ・ファミリア所属の冒険者アイズでした。ベルは深い感銘を受け、アイズのお眼鏡にかなう真の冒険者になることを心に誓いました。

ここからはこの記事のメインテーマである『ダンまち』のヘルンの話題に移ります。ヘルンは「フレイヤ・ファミリア」というオラリオ最強の派閥に属し、女神フレイヤの忠実な付き人として活動している女性団員です。フレイヤの側に立つことが許可された数少ない人物で、年齢不詳など、その正体には謎の部分も多くあります。

ヘルンは、前髪が右目を隠すほど長い銀髪ヘアを持つ美少女です。普段は冷淡で無関心な態度を崩しませんが、過去にはオッタルの訓練でボロボロになったアイズの手助けをするなど、優しさを見せることもありました。

また、ヘルンには狂信的なところがあり、一度執着した相手にはどっぷりとのめり込んでしまいます。過去にはフレイヤをして「この子は何者にもなれない」と言わしめており、上級冒険者であるにもかかわらず二つ名を持っていません。周囲からは「女神の付き人」や「名のなき女神の遣い（ネームレス）」などと揶揄されていました。

『ダンまち』のヘルンの性格については、フレイヤ・ファミリアのメンバーにはよくいるタイプと言えます。つまり、主神フレイヤ以外の者には冷酷なのです。特にベルに対してその傾向は顕著であり、「品のない顔」とか「不愉快」といった辛辣な言葉を口にすることもよくあります。

『ダンまち』のヘルンという名前は、北欧神話のフレイヤに由来しています。伝承によれば、フレイヤの夫である神オーズは長い旅に出かけたまま帰ってこなくなりました。フレイヤは、夫を探すため世界中を旅して回ります。その旅の途中、フレイヤは様々な異名で呼ばれており、その中の一つがこの記事の主役「ヘルン」でした。ちなみに、後述するシルもフレイヤが過去に名乗っていた異名の1つとされています。

ここからは、『ダンまち』のヘルンの正体や過去について解説していきます。ヘルンは、少女時代を極貧の街で送っており、その時はシルという名前でした。ここで、『ダンまち』の主要キャラである女神のフレイヤが登場するのですが、改めて彼女について解説しておきましょう。フレイヤは本作のヒロインの1人で、作者からは「ラスボス」と呼ばれ、その謎めいた存在から多くの人々に畏れられています。

また、フレイヤは「フレイヤ・ファミリア」の主神であり、外伝作品『ファミリアクロニクルepisodeフレイヤ』では主人公として登場します。銀色の髪と瞳を持ち、神々の中でも際立つ美しさがあります。モンスターや神ですら彼女の虜になってしまうほどです。その気になれば、下界のあらゆるものを支配下に置けるほどの魔力を持っていると言えるでしょう。

そんなフレイヤは、過去に気まぐれからシル（ヘルン）を拾うことになります。その時、彼女に「何か願いがある？」と尋ねました。シルは言葉を選び「あなたのようになりたい、美しく、温かいあなたになりたい」と答えました。

フレイヤは「それでは、名前をあげる、代わりにあなたの名前を頂戴」と言い、結局シルは自身の名前と顔を捨て、かつてのフレイヤの異名である「ヘルン」という名を与えられました。そして、その新たな名前を受け取ったことにより、シルはフレイヤに変身する変神魔法を発現することとなったのです。

『ダンまち』の女神フレイヤは神威を鎮める力を持ち、その力によって人間の少女「シル」に変身することができるようになりました。物語の中では、フレイヤはシル（ヘルン）を自身の影武者に仕立て上げています。こうしてシル（ヘルン）はフレイヤの付き人になったのです。

その後、フレイヤは、「豊穣の女主人」亭のウェイトレスとして民衆の中に紛れ込んでいきました。フレイヤとシルの関係についてファンたちの間で様々な説が広まっていますが、このヘルンの存在が関係性を複雑にしていたのです。

次に、『ダンまち』のヘルンの強さやレベルについて詳しく解説しましょう。ヘルンは上級冒険者としてはLV2という比較的低いレベルにありますが、フレイヤの側近に選ばれました。ヘルンはフレイヤの忠実な付き人であり、戦闘は本来の役割ではありませんが、最低限フレイヤの護衛を担うレベルの実力を備えています。

ヘルンの基本アビリティは、力ではH122、耐久力はI94、器用さはG227、敏捷性はH180、そして魔力はS998となっています。また発展アビリティはDランクの神器です。そして、変神魔法「ヴァナ・セイズ」という魔法を駆使し、「神の力」以外のあらゆる姿に変身することができます。

さらに、「偽神憲章（デア・カルタ）」や「美惑灰光（ヴァナディース・スュール）」といったスキルも持っており、ステータス的には「魔力」に特化しています。

ヘルンの魔力のレベルは特別高いわけではありません。戦闘の機会が少なかったため、他のステータスが成長していないのです。LV2でありながら発展アビリティが「D」に達していることを考えると、LV2レベルに昇進してから相当な時間が経過していると推測されます。ヘルンは通常短剣を使用しており、白兵戦の能力はLV2レベルの後衛冒険者と同程度と言えるでしょう。

『ダンまち』のヘルンの強さを語る時、忘れてはならないのは変神魔法「ヴァナ・セイズ」です。変神魔法は、「神の力」を除き完璧なまでにフレイヤに成り切れる唯一無二の魔法であり、この魔法によってヘルンは作中何度もフレイヤの影武者を務めています。ヘルンはフレイヤの「魅了」の権能まで模倣しており、この変神魔法が単に姿だけ成り代わるレベルの魔法ではないことを示しています。

発展アビリティ「神器」やスキル「偽神憲章（デア・カルタ）」、「美惑灰光（ヴァナディース・スュール）」も、名称から察して変神魔法に関連するものと考えられます。これらの魔法のレベルは非常に強力ですが、一方で、フレイヤの感覚や感情をそのまま受け取ってしまうという副作用もあります。そのため、ヘルンはフレイヤの狂信者となり、過去のある時期からベルに対する感情に苦しむことになりました。

ここからは、『ダンまち』のヘルンとベルの関係やフレイヤとの勝負についてネタバレで解説していきます。ヘルンは、過去から「女神を堕落させた」としてベルをひどく嫌っており、彼に対して殺意すら抱いています。時折、その衝動が押し寄せ、ベルに危害を加えようとすることさえありました。

しかしながら、同時に、フレイヤを通じてベルの姿を垣間見ることで、ヘルンはベルに対して憎しみだけでなく、深い愛情も抱くようになったのです。これらの相反する感情の狭間で、ヘルンは葛藤に苦しみます。最終的に、ヘルンの存在がミアたちに派閥大戦への参加を決意させ、結果的にベルの救出に繋がりました。

ベルの宣教師であるローリエが熱心にベルの長所を讃えると、それに対抗してヘルンもベルについて熱弁を振るいました。すると、突如ベルが現れます。ローリエが買い物に誘おうと彼に手を差し伸べた瞬間、自身を制御できなくなったヘルンがベルに襲いかかりました。

ローリエは、ヘルンの攻撃からベルを守ると、彼を逃がすことに成功します。その後ヘルンとローリエは、互いにベルの優れた点を上げ続け、言い争いに発展しました。作中では描かれませんでしたが、ヤンデレ系のオタクであるヘルンと、「妖精ザビエル」こと宣教師の対決は、一体どうなったのでしょうか？

ヘルンは、自分もベルに心を奪われてしまったことを告げ、フレイヤにある提案を持ちかけました。提案の内容は、豊穣の宴の中で一日を割いてもらい、どちらがベルの心を掴めるか勝負したいというものでした。フレイヤはこの提案を受け入れ、ヘルンに次の3つの条件を提示しました。

1. 嘘が暴かれた場合、敗北を認めること。
2. 嘘が暴かれた瞬間から、ベルに何の害も加えてはならないこと。
3. 二度とベルの前に姿を現さないこと。

この3つ目の条件が、嘘が露見した瞬間なのか、勝負に敗北した場合なのか、文章からは明確には読み取れませんでした。しかし、2つはこの条件をもとに壮絶な対決に臨むこととなったのでした。

ここまで『ダンまち』のヘルン特集をお届けしてきましたが、最後にヘルンに関する感想や評価をTwitterより紹介します。

最初に紹介するのは、『ダンまち』19巻を読んだ方のツイートからです。ベルを毛嫌いするヘルンですが、「人畜無害を装った淫獣（ケダモノ）！！」と罵るのはさすがに酷いと感じたようです。　

続いて紹介するのは、『ダンまち』の16巻を読んだ方のツイートからです。この記事でも解説しましたが、ヘルンとフレイヤ、そしてシルの関係を端的に表現しています。物語全体としては、怖い内容だったとのことでした。

この記事の「ヘルンとベルの関係」欄でも述べましたが、「女神フレイヤを堕落させた」としてベルを殺害したいほど嫌悪しています。ベルに対する評価のセリフも酷いのですが、この方は、文章の圧をボイスドラマで実際に聞いてみたいと語っていました。

この記事では、『ダンまち』に登場するヘルンにスポットを当て、彼女の過去や強さのレベル、そして主人公ベルやフレイヤ、シルとの関係などについて考察してきました。

ヘルンは、幼少期に貧しい街で育ったという過去を持っており、その時はシルという名前でした。その後、女神フレイヤに拾われ、真名の交換を行うことになりフレイヤの異名「ヘルン」をもらいました。また、ヘルンの強さは、LV2ということで比較的低いレベルではありますが、フレイヤの護衛を担うレベルの実力を持っています。短剣を武器として携行し、発展アビリティ「神器」やスキルを駆使して戦います。

ヘルンならではの強みは、変神魔法「ヴァナ・セイズ」を使えるところにあります。変神魔法は、「神の力」を除けばフレイヤに成り切れる唯一無二の魔法であり、この魔法によってヘルンはフレイヤの影武者として活躍します。しかし、変神魔法にはデメリットもあり、フレイヤの感覚や感情をそのまま受け取ってしまうのです。そのため、ヘルンは毛嫌いするベルに愛情を抱くという自己矛盾に苦しむこととなりました。