【風の谷のナウシカ】腐海が生まれた理由と本当の目的とは?蟲の役目や瘴気も解説

荒廃した未来の地球を描いた物語は数多くありますが、その中で「風の谷のナウシカ」はファンタジーとリアルさをバランスよくアレンジした作品として群を抜いています。「ナウシカ」のリアルな世界観を表現する上で、重要となる腐海・蟲・王蟲の正体を「ナウシカの」漫画版アニメ版を通じて探っていきます。それらと並行して、腐海の植物が吐き出している瘴気が、人間に及ぼす危険性も解説します。

【風の谷のナウシカ】腐海が生まれた理由と本当の目的とは?蟲の役目や瘴気も解説のイメージ

目次

  1. ナウシカの腐海とは?
  2. ナウシカの腐海が生まれた理由と本当の目的
  3. ナウシカの腐海の蟲の役目や瘴気
  4. ナウシカの腐海に関する感想や評価
  5. ナウシカの腐海まとめ

ナウシカの腐海とは?

風の谷のナウシカの作品情報

1984年に公開された「風の谷のナウシカ」の興行収入は、宮崎駿作品の中ではかなり低かったものの、テーマ性のある作風は高く評価されました。作家性の強い宮崎駿作品は、アニメが子供向けという時代を経て、今ではネームバリューだけでヒットが約束されたドル箱となっているのです。

風の谷のナウシカの概要

20世紀の名作アニメ「風の谷のナウシカ」は、アニメ版を監督した宮崎駿氏の同名漫画(全7巻)を基にしており、漫画版2巻途中までのエピソードをアレンジし映像化にしています。中断期間を挟み1982年~1994年まで長期連載となった漫画「風の谷のナウシカ」は、当時の社会情勢の影響も受けており、万人受けするパッピーエンドのアニメ版とは違いシビアな終わり方となっています。

風の谷のナウシカのあらすじ

「火の七日間」と呼ばれる最終戦争は、人間が築き上げた文明を崩壊させます。荒廃した地球と崩壊した文明は回復する兆しもなく、千年の月日が無常に流れていきます。生き残った人間は、脅威になる自然を避けて、慎ましく平和な生活を営んでいました。そのような中で、人間が忌み嫌う腐海に関心を寄せる風の谷の族長の娘ナウシカは、病に伏せている父に代わり、前触れもなく進行してきた大国トルメキアと対峙することになります。

腐海とは?

人間と自然の共生という永遠のテーマを主題にしている「風の谷のナウシカ」で、人間に害を与える腐海は「ナウシカ」を語る上で重要なキーワードと言えるでしょう。長い年月を経て形成された腐海の植物の正体は、最終戦争で人間が残した負の遺産となる汚染物質を吸い込み、人間にとって有害な瘴気を吐き出していました。

人間の敵と言える腐海は、汚染物質を吸い込み人間に害を与える毒を吐き出すサイクルを続けながら、旧時代の人間によって地球に蓄積された汚染物質を徐々に減らしていたのでした。最終戦争から千年が過ぎた「ナウシカ」の世界には、腐海を駆除するほどの技術力がないことから、もはや腐海は人間にとって厄介なものとなっています。

風の谷のナウシカ - スタジオジブリ|STUDIO GHIBLI

ナウシカの腐海が生まれた理由と本当の目的

考察①「火の七日間」の終結直後に腐海が自然発生?

アニメ版「風の谷のナウシカ」においての腐海の発生要因は、最終戦争となった「火の七日間」の終結直後に自然発生したこととなっています。アニメ版「ナウシカ」のプロローグで語られている「火の七日間」は、「ナウシカ」の時代を遡ること千年前に起こりました。私たちの場合は、残された資料から千年前を知ることができますが、最終戦争が起こった後の「ナウシカ」で、腐海に関する資料が残っているとは考えづらいと言えます。

「ナウシカ」の時代設定は中世ヨーロッパを模していることから、「火の七日間」からのの千年間は文明が回復せず、腐海が生まれた原因や正体を探る手立てがなかったのでしょう。過酷な地球環境で生きていくのに精一杯な人間にとって、はるか昔に起こった千年前の出来事は伝説や神話のように感じていたはずです。その点を踏まえて考えると、どのようして腐海が生まれたのかは誰もわからないと言えるでしょう。

考察②「腐海」は旧時代の人類が生み出した浄化システム?

「ナウシカ」の漫画とアニメ両方に共通して、「腐海」の正体は地球を浄化するシステムと明かされています。しかし、漫画版での「腐海」は正体には続きがありました。地球を浄化するシステムである「腐海」は、「火の七日間」前後の旧時代の人間が人工的に創造したシステムだったのです。優れた文明を築き上げた人間は、その技術力を人類の発展と平和維持に利用することなく、度重なる戦争に利用し続けていました。

その過ちに気付くことない人間は、後に「火の七日間」と呼ばれる大戦を引き起こしてしまいます。その強大な技術力を駆使した戦争で地球汚染は加速してしまい、栄華を誇った文明は回復不可能までに崩壊してしまいます。八方塞がりの状態で生き残った人間は、地球を浄化するために「腐海」を生み出したのでした。アニメ版では、壮大な「ナウシカ」の話を2時間弱に収めるため、漫画版の「腐海」の真の正体は省かれています。

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ナウシカの腐海の蟲の役目や瘴気

考察①腐海の王蟲の役目

ジャングルのように鬱蒼とした腐海は、人間にとっては危険極まりない所です。そこで生存しているのは、荒廃した地球環境に順応した「蟲(むし)」と呼ばれる独特な形状をした生物でした。その蟲の中で最たるものが、ダンゴムシを巨大化したような「腐海の王」王蟲(オーム)です。地球の浄化システムとして腐海を人工的に創造した旧時代の人間は、腐海を保護するために蟲を人工的に誕生させました。

腐海の植物が地球を浄化させることを理解していない人間は、生存本能に従って腐海の植物は有害であると判断していることから駆除対象になっています。腐海の植物を人間の駆除から守るため蟲は、人類の脅威になる危険な生物として、腐海に近づかせないための番人であり続けているのです。ナウシカが心を寄せる王蟲には、地球を浄化させる腐海を増やしていく使命が課せられていました。

考察②腐海の瘴気の正体

腐海の植物が地球を浄化する代わりに吐き出している瘴気(しょうき)の正体は、人間にとっては猛毒のガスであり、瘴気を吸い込むと数分で死に至ります。マスクなしで瘴気の中にいることは、即ち死に直結してしまうことを意味しています。アニメ版でわずかな時間ですがマスクなしでいるナウシカに、周囲が慌てふためくシーンがあります。

その後すぐにナウシカはマスクを着けるのですが、かなり苦し気な表情をしています。このシーンは、ナウシカの生きている環境が過酷であることを端的に表現していると言えます。マスクを着けていれば瘴気から守られるのですが、瘴気の中で長時間行動するのはリスクがあります。マスクを着つけていれば、絶対安全というわけではないのです。瘴気に蝕まれた身体を治す方法は無く、身体は徐々に固まっていき死を迎えることとなります。

考察③腐海に存在する植物

腐海に生息している植物の大半は、カビなどが巨大化した菌類です。生命力が強い菌類は、駆除しても水と空気があればどこでも繁殖することが可能です。私たちの世界では、台所やお風呂に繁殖したカビを専用の洗剤でこまめに掃除すれば問題ありません。

しかし、ナウシカの世界でのカビの繁殖は生死に関わることになるので、カビが繁殖した木々は燃やし繁殖を防がないといけないのです。カビが繁殖した部位だけを切り落とせばいい、というわけにはいかないのです。カビが繁殖した木々を燃やして防いだとしても、食料元となる木々までも燃やしていれば死活問題となるのです。

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ナウシカの腐海に関する感想や評価

腐海に生息している蟲や王蟲は気持ち悪さMAXですが、蟲らの動きや独特な色合いの甲羅に芸術品とは違った奇妙な美しさを感じてしまいます。現実世界でも私たちは、気持ち悪い虫をよくよく観察していく内に美しさを感じてしまうことがあります。フィクション上の生物である蟲や王蟲は、現実世界における生物と私たちの関係性を象徴しているのかもしれません。

人間は有史以来、自分たちの脅威になる生物や植物を駆除する傾向があります。その行為により食物連鎖のサイクルが崩れ、地球に多大な影響を与えていると知りつつも、人間は今の生活を維持することを最優先してしまう悲しい性を持つ生き物なのでしょう。

ナウシカもクシャナも、腐海の危険性は重々承知しているはずです。気丈なクシャナも腐海では恐怖を感じたことで武力行使をしてしまうのですが、ナウシカは恐怖を感じながらも誘拐犯を説得する交渉人のように冷静沈着です。自然から恩恵を受けている私たちは、自然の恐ろしさを忘れることなく謙虚に生きていくべきではないでしょうか。

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ナウシカの腐海まとめ

国民的アニメを通り越して、世界遺産アニメの域に突入した「風の谷のナウシカ」で、陰の主役とも言える腐海・蟲・王蟲の正体が、地球を浄化するために存在しているのは周知の事実となっています。

しかし、アニメ版「ナウシカ」の基となった漫画版での腐海・蟲・王蟲の真の正体は、最終戦争後の人間が地球を浄化するため人工的に創造したと明かされています。漫画版の設定を織り込んで「ナウシカ」をアニメ化にしていたら、以前とは違った意見や感想が寄せられることでしょう。

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