【地獄楽】房中術は天仙の最も重要な修行？亜左弔兵衛が試みた理由も解説

「地獄楽」とは、現在最も注目を集めている漫画です。連載終了から2年以上経過した作品ですが、テレビアニメ版が放映されたことで、新たなファン層を開拓しました。地獄楽には房中術が登場しますが、実在するものとは違いがあり、天仙の修行に用いられているのです。この記事では、地獄楽の房中術にスポットを当てます。不老不死になれるという説のある房中術の詳細や、亜左弔兵衛が房中術を試した理由などを中心に紹介します。

地獄楽の原作者である賀来ゆうじは、漫画家デビューする前に秋田書店の週刊少年チャンピオン編集部で編集者をしていた異色の経歴の持ち主です。賀来ゆうじにとって地獄楽は、「FANTASMA」に続く二作目の連載作品でした。同作品は、少年ジャンプ+に2018年から2021年まで連載され、単行本は全13巻が刊行中です。口コミで面白さが広まった地獄楽は、単行本の累計発行部数が380万部を突破するメガヒット作品となりました。

地獄楽は、原作のメガヒットを受けて、連載終了後にテレビアニメ化がアナウンスされました。その後、テレビアニメ版についてはなかなか情報が更新されず、ヤキモキしたファンが多かったとのことです。2023年になると、地獄楽のアニメ版の情報が一気に公開される運びとなり、同年の4月より放映開始されました。地獄楽のテレビアニメ版は、原作漫画を知らない層にも広くアピールし、ヒットと呼ぶことのできる状況になっています。

画眉丸とは、江戸時代後期に生きている最強の忍であり、地獄楽の主人公でもあります。しかし、彼は石隠れの里長の策略で囚われの身となり、死罪の執行を控えていました。そのような彼に、山田浅ェ門佐切は、不老不死の仙薬探しの旅を持ちかけます。不老不死の仙薬を持ち帰ることができれば、恩赦で無罪放免となるのです。達観して死を迎えようとしていた画眉丸は、心の奥底にあった最愛の妻の結との再会を目指すべく動きました。

テレビアニメ版も大ヒットを記録して話題沸騰中の時代劇バトル漫画の地獄楽は、グロテスクな描写や、性的に過激なシーンが見受けられます。その中で、同作品の性的な面を如実に表すとされているのが、房中術でした。房中術は実在する養生術ですが、地獄楽における房中術は、天仙や不老不死と深く関わっている重要な事柄なのです。この章では、房中術について修行で不老不死になれるのかなどを、ネタバレを交えて考察紹介します。

地獄楽は、江戸時代後期の日本を舞台にした時代劇漫画ですが、ストーリー内に房中術や氣（タオ）など、中国文化を取り入れた事柄が登場することで知られています。氣とは、生命と同義であり、この世の全てのものに内在している力だとされました。氣には、「木・火・土・金・水」の五つの属性があり、万物はどれか一つの属性の氣を有しているのです。そして、氣と密接な関わりがあると推察されているのが、房中術でした。

• 導引（ドウイン）
• 胎息（タイソク）
• 守一（シュイツ）
• 周天（シュウテン）
• 房中術（ボウチュウジュツ）

地獄楽における房中術とは、天仙が行っている修行の一つであることが、明らかにされています。天仙の修行の目的は、不老不死になることでした。不老不死には、氣を高めるために各々の天仙が得意とする修行を行っているのです。天仙が行っている修行については上記の通りですが、房中術は修行の中でも最も重要なものに位置付けられており、天仙の菊花（ジュファ）と桃花（タオファ）の双子の兄妹は、ともに房中術をしていました。

地獄楽に登場する亜左弔兵衛とは、画眉丸一行のメンバーであり、死罪人の一人です。弔兵衛の氣は、「金」であり、かつては伊予の地で大盗賊団の頭領として君臨していました。元々は武家の出身ですが、藩の改易や母の死、そして主君の仇討ちに参加した父親の刑死などの不幸に見舞われて盗賊になったのです。弟の桐馬とは、互いに思い遣る仲であり、桐馬は兄のために山田浅ェ門に入り、画眉丸一行に同行しました。

亜左弔兵衛は、ストーリーの進展の過程で、人間で唯一房中術を試みたキャラクターです。弔兵衛は、花化が進んでもなお、蓮（リエン）と戦うなど自我を保ち続けました。そのような状態の彼に興味を持った蓮は、彼との戦いを中断して、自分の研究室へと連れ込んだのです。蓮は不老不死の研究をしており、弔兵衛の氣を調べるために房中術を行いました。弔兵衛も、自分の氣を高めてより強くなるために、蓮とまぐわったのです。

亜左弔兵衛は、蓮との房中術を試した結果、自身の計画の通り氣を高めることに成功しました。その後には、天仙の弟子の道士たちが行っている、蓬莱に入る時の成仙の儀も試みており、「金」の氣を使えるまでに成長します。

地獄楽に出てきた房中術は、天仙が不老不死になるための修行の一環であることは、先述しました。人間の亜左弔兵衛が、氣を高めてより強くなるべく房中術を試みて成功していますが、当の天仙の中には、房中術を良く思っていない者もいたのです。8人いる天仙のうち、房中術を嫌っていたのはいったい誰でしょうか？この章では、地獄楽における房中術に良いイメージを持っていなかった天仙について、ネタバレを交えて取り上げます。

地獄楽に登場する天仙とは、徐福の氣と植物を合成させて作られたいわゆる人造人間のことです。天仙の7人は、雌雄同体であり皆同じ顔と同じ声をしているのが、大きな特徴でした。雌雄同体であるが故に、一人で陰陽を用いて氣を増強できます。その影響で1000年以上も生き続けることができ、若々しい容姿を保っていました。しかしながら、それは本当の不老不死ではなかったことから、天仙たちはより修行に励んでいくのです。

天仙の一人である桂花（グイファ）は、物静かで常に落ち着いており、争いごとを好まない性格をしています。また、人見知りでもあるようで、常に本で顔を隠していました。桂花は、人間に対しても敵意を見せることがなく、佐切を逃がすなどしています。また、桂花は房中術のことを、「くだらない」と一蹴しました。桂花が、房中術を快く思っていない理由については、明らかにされていません。謎のまま、ストーリーは完結しました。

地獄楽に登場する天仙の中で、唯一他の天仙と顔や声が違っているのが、メイです。メイは、徐福によって作られた天仙であり、早い段階で生まれたことが判明しています。普段は、ピンク色の髪が特徴の幼女の姿をしていますが、氣を消費すると本来の大人の姿に近づいて、やがて身体が樹になってしまうという特徴がありました。メイもまた、人間に対して敵意のない天仙であり、画眉丸一行と和解後は島や氣の情報を彼らに教えています。

メイは、桂花以上に房中術を嫌っています。実はメイは雌雄同体ではなく、陰の性別しか有していないことで、失敗作の烙印を押されていました。また、木人を犠牲にして不老不死の研究を続ける蓮を諫めたことから疎んじられ、能力の大半を失う制裁を受けています。そればかりではなく、道士たちの房中術の相手までさせられました。これに嫌気がさしたメイは、蓬莱から逃げ出して、彷徨っているところを木人に拾われたのです。

賀来ゆうじ原作のメガヒット時代劇バトル漫画地獄楽に、中国由来の事柄が多数登場することについては、これまでの項で触れてきました。また、房中術が実在する養生術であることも有名です。それでは、実際の房中術とは、どのようなもので如何なる効果があるのでしょうか？この章では、房中術の本来の意味について、健康法説や素女経など三項目に分けて、考察紹介していきます。

房中術の意味について、簡単に表すと「男女が性行為を行うことでお互いの身体と精神を重ねて気を高める養生術」だといわれています。古くは不老長寿の秘儀と位置付けられていたこともあり、地獄楽における不老不死の修行の元ネタと考えられました。いわゆる現代でいうところの健康法のことです。また、房中術は日本にも影響を与えたとのことで、性行為の体位を図解した四十八手のモデルだとする研究も見られました。

房中術では、男性が陽で女性が陰という存在であり、陰陽を象徴する太極図と房中術の間にも深い関係があるとされています。陰と陽が絡み合って調和することで、健康や長寿の実現が期待されました。但し、男性側は射精してはいけないという決まりがあり、射精でエネルギーを消費すると長寿から遠のいてしまうという考えです。その一方で、女性は絶頂に達しても問題ないといわれています。また、房中術に子作りの概念はありません。

房中術は、古くから中国で発展した養生術、あるいは健康法でしたが、宋の時代になると忌避の対象になってしまいます。その理由は、宋時代に発展した儒教の影響がありました。儒教は、道徳を重んじる学問であり、性行為についてもそのような考えが適用されたのです。その結果、房中術は陰を潜め、多数の房中術関連の書物が散逸するという憂き目に遭いました。房中術の歴史上、最も難しい時代だといわれています。

儒教における性行為は、房中術の根幹だった不老長寿や健康維持という考えではありません。儒教では、家族の存続が最も重要視されており、性行為は、子供を産むことを第一に考えられるようになりました。女性に関姉弟は、母親になれるような成熟した女性が尊重されたのです。また、性行為に関する書物も、子供を産み増やす方向へとシフトチェンジされており、積極的に子供を産めるように、女性の快楽が重要視されました。

但し、房中術が全盛だった時代においても、究極のまぐわいの形は、身体を使わないものだったといわれています。心だけで触れ合うことによって、お互いのエネルギーを高め合うという考えであり、それが理想とされたとのことです。

房中術が記された書物は、多数あるといわれています。その中で、最も有名なものは、「素女経」です。素女経は、漢王朝の時代に書かれたとされており、古代インドの「カーマ・スートラ」やイスラムの書物「匂える園」を含めた「世界三大性典」の一冊に数えられました。

素女経には、房中術に関する記述があり、黄帝と素女という女性仙人が性行為にまつわる会話をしていました。但し、素女経の出典は、はっきりしておらず、近年の研究では「歴史を長くするため中国から伝わってきたという体にして、実は日本で書かれた書物」という説も有力視されています。

この章では、地獄楽に登場する房中術に関するTwitterでのつぶやきを、いくつか取り上げていきます。地獄楽における房中術は、インターネット上でどのような感想や評価を受けているのでしょうか？

こちらは、漫画や小説の大ファンだと思われる方のツイートです。地獄楽を読んでいた時に、房中術が出てきたことに関心を持ったとのつぶやきをしており、原作者の賀来ゆうじはもしかしたら夢枕獏作品のファンなのかもしれないと推察していました。

こちらは、地獄楽の大ファンだと思われる方のツイートです。テレビアニメ版を観たようで、天仙が氣を高めるための修行方法である房中術のことを、ペラペラと喋り出したシーンに思わず笑顔になったとつぶやいていました。

こちらは、地獄楽をテレビアニメで観ている方のツイートです。房中術のエピソードを観て、まるでエロゲのようなパワーアップ法だと思ったとつぶやいていました。その後、実在した方法だと知って驚いたとのことです。

この記事では、地獄楽に登場する房中について特集してきました。地獄楽は、セクシャルな内容を有した漫画ですが、房中術はその最たるものだと評されています。房中術に注目しながら、同作品を見てください。