無職転生の世界地図を解説！五つの大陸とそれぞれの国の特徴を紹介

無職転生は小説投稿サイト『小説家になろう』にて2012年から理不尽な孫の手先生が連載していた異世界ファンタジーです。無職転生は小説家になろうの中でも黎明期から連載され人気を集めた作品になっています。なろう系と呼ばれるジャンルである「異世界転生」を築き上げた作品として『なろう系の代名詞』『なろう系のパイオニア』『なろう系の金字塔』などとも呼ばれる程の作品になっています。

無職転生は2014年からはKADOKAWAのMFブックスレーベルにて商業誌連載が開始され、2022年11月までの間に全26巻まで刊行されていました。無職転生はメディアミックス展開も積極的に行われている作品で、2014年からは漫画化も行われている他、スピンオフ作品やアニメ化なども行われるなどしています。

現代日本に暮らす主人公は学校でのいじめをきっかけに20年近く引きこもりをしていたニートでした。両親が死亡したのに際し、兄弟から見放される形で家を追い出されると、トラックに轢かれそうになった高校生を助けようとして事故死してしまいます。しかし彼が目を覚ますと前世の記憶を持ったまま異世界に転生、『ルーデウス・グレイラット』として赤ん坊から新たな人生を歩む事になるのでした。

無職転生の作中でも中心地になる事が多いのが中央大陸です。無職転生の世界の中でも西側半分を占める1番の広さを持った大陸で、住民は基本的には人族で構成されています。そのため、国が違っても言語は統一された『人間語』が使用されています。多種多様な国家が存在していますが、アスラ王国以外は無職転生の物語のおおよそ500年前のラプラス戦役後に勃興した新興国になっています。

中央大陸は、赤竜山脈によりさらに3つに分断されており、北部、西部、南部に分かれています。一応横断は出来ますが、赤竜山脈はラプラス戦役の頃に放たれた赤竜が跋扈している為に、基本的には通行出来ず、横断するには決まった場所を抜ける必要があります。また余談ですが、大昔には後の一覧で解説する魔大陸の1つの大陸であり、『巨大陸』と呼ばれていた事も明らかになっています。

無職転生においてルーデウス・グレイラットが生まれ育った地域が、中央大陸西部です。この地域は人類国家の中でも最大の勢力を誇るアスラ王国が統一しています。主人公のルーデウスはこのアスラ王国の中のフィットア領の中にあるブエナ村で生まれました。フィットア領以外にもエウロス家が治めるウィシル領、ゼピュロス家が治めるドナーテイ領、ノトス家が治めるミルボッツ領が存在しています。

アスラ王国は無職転生で描かれている国の中でも歴史の長い国であることもあって貴族の腐敗が進んでいます。また無職転生作中では第一王子のグラーヴェルと第二王女のアリエルが政争を繰り広げられているシーンも描かれています。余談ですが、この記事で一覧形式で解説する無職転生の世界地図の地域の中で、風土や単一国家による長い統治などの影響もあって、もっとも豊かだと表現される地域になっています。

中央大陸の北部は西部に存在する魔法三大国、東端にビヘイリル王国が存在しています。魔法三大国とビヘイリル王国の間は、雪と森の地帯が相当な広さで広がっており、土が悪い事もありそこは不毛の地になっています。そのため、それぞれの国の国土の広さは決して大きくないです。西部に存在する魔法三大国はラノア王国、ネリス公国、バシェラント公国の総称で、魔法の研究に力を入れた国々でもあります。

無職転生作中ではルーデウスが通う事になるラノア魔法大学がある場所としても知られています。また無職転生作中の中盤以降に関してはルーデウスがラノア王国にある魔法都市シャーリアに居を構えており、無職転生の物語の中心地になっている場所にもなっています。

また無職転生作中では魔法三大国は単一の組織ではないものの、彼らがスポンサーを務める魔術ギルドと合わせるとその国力はミリス神聖国を凌ぎ、アスラ王国にも迫る物があるとされています。その他、無職転生作中で描かれた場所としては中央大陸北部の最西端、剣の聖地が存在している事も明らかになっています。

中央大陸の南部は南方と北方で大きく様相が異なっています。北方には小国が乱立した広大な広さを持つ紛争地帯が広がっています。南方には世界3位の国力を持つ王竜王国とその属国達が広がっています。王竜王国は北神流の本拠地が存在しており、実力主義が敷かれている国家です。またそんな王竜王国と北方の紛争地域の間に、壁になるようにシーローン王国が存在していたりします。

その他、無職転生作中で描かれた場所としては、王竜王国の最東端の港町でありミリス大陸との入り口になる『イーストポート』が存在しています。その他、王竜王国の属国である『サナキア王国』『キッカ王国』などが無職転生作中で描かれています。

無職転生の世界地図の中では北東にあり、魔族が住んでいるのが魔大陸です。作物が育たない不毛な大陸ですが、無職転生に登場する大陸の中でも魔力量が多く、強い魔物が多数生息しています。明確な国などは登場していませんが、それぞれの力関係に合わせ、それ相応の広さの地方を治める魔王が存在している事も明らかになっています。

無職転生作中で描かれた街としては、北東にあるリカリスの町、北西にあるクラスマの町、ミグルド族が住む村、最南端にある港町であるウェンポートなどが登場しています。

世界地図で見ると南東に位置するのがミリス大陸です。ミリス大陸は北部に大森林が広がりそれぞれの種族が縄張りを持っています。対して南部に、宗教国家であり人類至上主義を掲げるミリス神聖国が存在しています。そのため、ミリス大陸は人口比が人族と亜人族が半々くらいになっています。また中央大陸に次いで肥沃な土地が多い大陸でもあります。

ちなみにミリス神聖国は国の歴史も国力もアスラ王国に次ぐ世界2位になっており、この記事の一覧の中でもアスラ王国と共にラプラス戦役で国体が崩れなかった現存する2つの国のうちの1つになっています。

中央大陸の南西に存在するのがベガリット大陸です。大陸の多くが砂漠である一方、突発的に森や山なども存在しています。魔大陸と同じく不毛な土地である為、統一した国はなく、独自の文化やコミュニティが形成されている状態の大陸です。また迷宮が数多く残っている事から人口の中には冒険者もかなり多くなっています。無職転生作中では、迷宮都市ラパンが描かれています。

相応な広さを持った大陸ですが、ほとんどが砂漠である為、生活圏は狭くなっており、無職転生の中でも人口は多くはない大陸になっています。

中央大陸と魔大陸を繋ぐ形で存在しているのが天大陸です。最東端と最西端でそれぞれ中央大陸と魔大陸に接続していますが、標高3000ｍもある上に、断崖絶壁になっているので行き来する事は出来ないとされており、結果的に無職転生作中でも別大陸扱いされる事になっています。

そのような地形の為、広さは5つある大陸の中で1番小さい上に、他の大陸との交流はほぼなく、翼を持った種族が細々と生活している事が明らかになっています。

無職転生の世界地図はここまでに解説した5つの大陸が主だった大陸ですが、それ以外にも群島や島がいくつか存在している事も明らかになっています。ただこれらの島は独自の発展を遂げており、人族ではない種族がそれぞれに生活しています。島の存在自体は複数存在しますが、無職転生作中で名前が明らかになっている島としては、中央大陸北部の東に存在する鬼ヶ島の名前が明らかになっています。

厳密に言えば大陸ではありませんが、ペリガット大陸を除く、4つの大陸が面しているのがリングス海です。世界地図においてはその広さはどの大陸よりも大きく描かれているといえる程の大海です。4200年前の第二次人魔大戦において、衝突した龍神ラプラスと闘神バーディガーディの戦いの影響で生まれた大穴が海にになったものになっています。

海族が生活しているとされていますが、無職転生作中では詳細は不明になっています。また上記で解説した鬼ヶ島などはこのリングス海に浮かぶ島の1つです。

比較的詳細な世界地図が公開されている無職転生ですが、反面、世界の広さについては曖昧な表現が多くボカされている部分が多くなっています。ここからは無職転生の世界地図の広さの考察についてまとめて解説していきます。

無職転生作中では、リカリスからウェンポートまでの間、トカゲ運搬車を利用して数ヶ月かけて移動しています。トカゲ運搬車がどれ程の速度で移動しているのかは不明ですが、このリカリスからウェンポートへの移動はほぼ魔大陸を縦断している距離です。仮にトカゲ運搬車が馬と同等の速度、1日で50kmで移動できるとしても1ヶ月で1500kmとなります。

無職転生作中で1ヶ月ではなくわざわざ数ヶ月と書いているので、実際には1ヶ月以上かかっているのは明らかです。加えて魔大陸は高低差が大きい土地でもある為、直線距離で移動出来なかった可能性などを考慮しても、リカリスからウェンポートまでは4000km以上はあると想定されています。これにより魔大陸の広さや距離感がある程度見えてくると考察されています。

無職転生で1番広さの尺度になり得ると言われているのが「ラノア王国から剣の聖地まで名馬で1ヶ月」という描写です。一般的な馬が1日で50～60kmとされており、仮に名馬が60km走れる馬を指すのだとすれば、1ヶ月で1800km移動できる事になります。地図の尺度的にラノア王国から剣の聖地までの距離感と、上記で解説したリカリスからウェンポートまでは倍近く違うので、妥当な距離感であると考えられます。

無職転生には広さや距離の尺度を測れる描写はほとんどなく、明確に明らかなのは上記で解説した2つの描写だけです。この2つが仮に上記で解説した通りの尺度である場合、少なくとも無職転生作中の「人の世界」に関しては地球の半分以下の大きさである事になります。

ただし無職転生の世界は人の世界は六面世界の1つであり、地球と同じように球状ではない可能性もあります。世界地図は公開されていますが、世界地図の端から端に渡っている描写がない事などもあり、そもそも世界地図の構図が実際の地球のソレとは異なっている可能性もあります。

無職転生の物語、特にアニメで描かれているフィットア領までの帰還の物語に関しては、ルーデウスは『時計回りに世界を回っている』状態にあります。ルーデウスが生まれたのは中央大陸西部のアスラ王国・フィットア領にあるブエナ村でした。その後、エリスの家に家庭教師に行き、そこでフィットア領転移事件に巻き込まれる事になります。

フィットア領転移事件においてルーデウスとエリスが転移した先は魔大陸のリカリスでした。そこから魔大陸を南に向けて縦断し、ミリス大陸に渡り、中央大陸に戻る事になるのです。

エリスの両親であるフィリップとヒルダは無職転生作中で発生したフィットア領転移事件において、この記事で解説した、中央大陸南部の北方に広がる紛争地帯に転移してしまっています。既に解説したように中央大陸南部の北方はラプラス戦役が起こって以来、500年に渡って小国が乱立しており、敵味方がはっきりしない地域です。

そこに突如現れた事、身分を証明できる物を所持していなかった事もあり、スパイだと疑われる事になり投獄される事になってしまいました。フィリップとヒルダはそれでもなんとか身の潔白を証明しようと訴えますが、結局は拷問の末に死亡してしまっています。この情報を持ち帰ったのは、フィットア領転移事件において同じく紛争地帯に飛ばされたギレーヌでした。

ギレーヌはフィットア領転移事件の際に、フィリップとヒルダと同じく中央大陸南部北方の紛争地帯に飛ばされています。ただし、3人が同じ場所に飛ばされたわけではなく、ギレーヌは1人、別の地域に飛ばされています。ギレーヌが飛ばされたのはエジンの森という場所でした。意味不明な出来事に襲われ、エジンの森で魔物の群れと戦う内に正気を失ってしまいますが、マルキエン傭兵団のビゴに救われ正気を取り戻す事になります。

その後、ギレーヌはアスラ王国を目指す事にしますが、助けられたお礼も兼ねてマルキエン傭兵団が敵対していたディクト王国の国王とブローズ帝国の皇帝を討ち取っています。そこからさらにアスラ王国を目指す事になりますがその道中で、上記で解説したフィリップとヒルダの死体を発見する事になるのです。ギレーヌは2人を埋葬すると、2人を殺害した犯人を見つけ出して敵討ちを果たしています。

その後は、飛ばされた場所が近かった事もあり、ルーデウス達よりも先にフィットア領に帰還する事を果たしており、ルーデウスとエリスを出迎える形で再登場しました。この事からギレーヌはフィットア領転移事件では死亡していません。

余談ですが、ギレーヌは老デウスが見てきた世界線を含めて無職転生作中で死亡した描写がないキャラクターになっています。無職転生の世界には200歳まで生きるミグルド族や、1000年～2000年は生きるスペルド族などもいる事から獣族（デドルディア族）出身のギレーヌもまた人間とは違う寿命を持っている可能性も高くなっています。戦いで敗れて死亡する事も考えにくい事からかなり高齢まで生きる事になるのではないかと考察されています。

エリスの祖父であるサウロスは、フィットア領転移事件の時点では生き残っていました。しかしその後、ルーデウス達がフィットア領に戻る3年の間には死亡しています。死亡した理由として政治的陰謀に巻き込まれた形です。フィットア領転移事件が発生した当初、サウロスはフィットア領を復興するべくボレアス家の私財を用いる姿勢を見せました。しかしこれに反発したのがサウロスの息子で跡継ぎのジェイムズです。

ジェイムズはアスラ王国の上級大臣ダリウスに頼みこみ、フィットア領転移事件の責任を取らせる形で、サウロスを処刑してしまったのでした。結果的に魔大陸から帰還したエリスは両親と祖父を同時に失った事を知る事になります。

ちなみにサウロスの遺体は秘密裏に埋葬されました。後に、無職転生作中においてルーデウスとエリスによって、紛争地帯の現地に埋葬されていたフィリップとヒルダもこの墓に移されています。

ここからは既に無職転生を読んだ人の世界地図に関する感想をネタバレありでまとめて紹介していきます。この記事でも解説したように無職転生はしっかりとした世界地図が作成された上で、物語が作られているのが良いという声が多くなっています。ちゃんと世界が繋がっている感じがするという声や、ストーリーの中で展開された出会いやすれ違いなどに現実味を感じるという声が多いです。

加えて無職転生はこの記事で一覧形式で紹介したように世界地図で描かれた場所にはなにかしらの形で訪れられており、ちゃんと文化や生活様式が描かれているのが良いとする声も多くなっています。

無職転生は世界地図は比較的早い段階で描かれているにも関わらず、距離感に関しては曖昧な描写しかなく、どれくらいの距離感なのかが気になるとする声も多くなっています。この記事でも解説してきたように意図的にボカしている描写が多いのであやふやにされているのが分かる一方で、だからこそ広さが気になるとする声も多いです。

無職転生が世界地図を公式に公開した事に関しては、特に序盤の物語において、世界を冒険してきた感が強くなって好印象であるとする感想も多いです。世界地図の存在がそのまま無職転生の物語のスケールの大きさを示しているとする感想も見られる程になっています。

ここまで紹介してきたように原作勢からは称賛の声が多い世界地図ですが、アニメ勢からは別の感想も聞こえています。というのもアニメでは世界地図を使った描写がなくなっているのです。元々、無職転生は小説なので削る部分があるのは仕方ないという声もありますが、せめて世界地図は出さなければルーデウス達が魔大陸からアスラ王国のフィットア領に帰るまでにどれだけの移動をしたのかが分からないとする声が見られるのです。

そのため、特に既に原作を読んでいたファンからはアニメに関して、情報量が足らないとする声も見られる結果になっているのです。対して世界地図だけを見ればルーデウス達はかなり遠回りして帰還していますが、何故最短ルートそうな反時計回りに帰るルートや、海を横断するようなルートを通らなかったのかなど、世界地図を見せる事で説明する事が意外と増えるのが要因ではないかと擁護する声も見られています。

無職転生の世界地図は、この記事で解説してきたように5つの大きな大陸と、島々で構成された形をしています。それぞれの大陸は独自の発展を遂げており、同じ大陸でも異なる文化を持っていたり様々な種族が生活していたり国家を作っていたりします。この世界地図を知っているかどうかで無職転生をより楽しめるかが決まるとする声も見られる程です。

世界地図が分かるとルーデウス達の冒険がどれだけ厳しいものだったか分かるとする声も見られる程で、世界地図を知らずに読んだ人は世界地図を知った上で改めて見てほしいとする声も見られる程になっています。この記事で一覧形式で紹介したように物語に関わる場所も多いので、この記事で解説した世界地図を片手にしながら無職転生を読んでみてる事をオススメします。