もののけ姫の名言・名セリフ一覧!黙れ小僧などサンやアシタカやモロの名シーン集

1997年7月12日に公開された、スタジオジブリ制作の長編アニメーション映画『もののけ姫』。宮崎駿監督が構想に16年、制作に3年の月日をかけた超大作で、興行収入193億円を記録し、当時の日本映画の興行記録を更新させました。『もののけ姫』のキャッチコピーは『生きろ。』。この強烈な言葉通り、作品に登場するセリフの一つ一つに宮崎監督はこだわり、監督の深い想いが込められたことで多くの名言が生まれました。今回、宮崎監督が生み出したセリフの中から観客の心を揺さぶった名言をいくつかご紹介したいと思います。

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目次

  1. もののけ姫の名言や名セリフ!「黙れ小僧!」サンやアシタカやモロの名シーンも!
  2. もののけ姫とは?
  3. もののけ姫のあらすじを紹介!
  4. もののけ姫の名言や名セリフ一覧・アシタカ編!
  5. もののけ姫の名言や名セリフ一覧・サン編!
  6. もののけ姫の名言や名セリフ一覧・モロ編!
  7. もののけ姫の名言や名セリフ一覧・エボシや他のキャラクターも!
  8. もののけ姫の名言・名セリフまとめ!

もののけ姫の名言や名セリフ!「黙れ小僧!」サンやアシタカやモロの名シーンも!

長い時間をかけ、宮崎監督がこだわりにこだわり抜いて作り上げたアニメーション映画『もののけ姫』。この作品の中には、当時監督が周囲から「映画にするには不向きである」と言われていた難しい課題が数多く盛り込まれており、様々な意味で観客の予想を裏切り注目を集めた名作となりました。

多くの方が知る『黙れ小僧!』というセリフが誕生するなど、登場するキャラクターのセリフにも、宮崎監督からの強いメッセージが込められ、観客の心を揺さぶる数々のセリフや名言も生み出されました。『黙れ小僧!』を始めとする他の名言やセリフはどんなものか。そんな名言や名セリフに込めらた想いは何なのか。今回、その一つ一つの名言やセリフを集め、込められた想いについても紐解いていきたいと思います。

もののけ姫とは?

日本のアニメーション映画を代表する宮崎駿監督が、長い年月をかけて制作した長編アニメーション映画『もののけ姫』。興行収入193億円、観客動員数1420万人を記録し、当時の歴代興行収入第1位となった作品です。公開されてから約1年半後の1999年1月22日、金曜ロードショーで地上波初放送となった際には、関東地区で35.1%、西日本地区で40.8%の高視聴率を叩き出しました。

また、『もののけ姫』は第1回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門で大賞、第52回毎日映画コンクール日本映画大賞ではアニメーション映画賞を、更に第21回日本アカデミー賞では最優秀作品賞を受賞するなど、他にも様々な賞を受賞した、日本を代表する名作品の一つとなりました。

宮崎駿監督の『もののけ姫』に対するこだわりは非常に強く、『もののけ姫』より以前にスタジオジブリにて制作された長編アニメーション映画は、約5万から7万枚程の作画枚数で制作されていましたが、この『もののけ姫』で使用された作画枚数は、何と14万枚以上。桁外れの労力と物量を投入した結果、過去の倍以上の枚数をかけて制作された作品です。

『もののけ姫』には、宮崎監督がやりたくて溜めてきた素材が合計で5つ盛り込まれているそうで、1.子供達の心の空洞、2.至る所に起こる差別、3.人間と自然との関わり、4.人間の憎悪の増幅作用・殺戮へ突き進む戦闘本能、5.神秘主義と合理主義の対立、といった、娯楽作品としては不向きである現代の厳しい課題・問題が込められた異例の作品になっていると言われています。

まず『もののけ姫』を制作する上で宮崎監督がこだわったのが、「観客の予想を破壊する」という事でした。物語の構図としては「森と人間界の対立」であり、ここまでは観客の予想図と一致します。普通の作品であれば、ここで主人公が前面に出る「宿命の戦い」といった構図になりますが、『もののけ姫』ではその一般的な構図を裏切り、「宿命も何も無い、ただただ暴力的な戦い」が繰り広げられます。

ここで宮崎監督が伝えたいメッセージが、「事態に気づいた時には様々な問題が折り重なって起こった後。その事態が発生した順番の逆から出会っていくのが現代である」というものでした。確かに、この作品では主人公であるアシタカが、一人、事態の流れから取り残され、一体何が起こっているのかを理解するために必死で駆けずり回るシーンが多く、そのシーンによって現代の流れを表していると言われています。

そしてもう一つ、もののけ姫のキャッチコピーである『生きろ。』という強烈な言葉。宮崎駿監督はこの作品を通して現代社会を『生きる』事について若者にメッセージを送っていると言っています。もののけ姫の主人公であるアシタカは、自発的ではなく、呪いを受けた事で村のしきたりによって村から追い出され、已む無く旅に出ます。

ヒーローとはなり得ない彼の設定に「我々が直面している最大の課題」が集約されており、不条理な運命の中で生きるアシタカの姿こそが、現代の若者が生きる現実である、と宮崎監督は述べています。

「現代の若者は、いわれのない不条理な、肉体的・精神的な意味も込めてババを引いてしまった人間である、と意識の奥で感じている。自分は悪くないのに、何故か傷つけられていると感じ、その心の空洞に対し『明るく元気に生きていこう』『貧しさから抜け出して豊かになろう』と言っても通じない、こうした絶望や閉塞感を抱えている」それを、序盤のアシタカにかけられた呪いで表現してるのだそうです。

しかしそんな絶望感や閉塞感で満たされた現代でも、この世に生まれたからには『生きる』しか無い。だからこそ、「不条理な運命の中で生きる」ことを模索し、提示していく必要があるのだと宮崎駿監督は言います。余談ですが、1998年、インドにて行われた第26回国際児童図書評議会にて、皇后美智子様が講演をされた際、「私達は複雑さに耐えて生きていかなければならない」という一節があったそうです。

宮崎監督を始め、現代の状況を理解している人達は、現代が如何に生きづらい環境であるか、しかしその環境の中で何とか生きる為にもがく必要がある、という事を理解しており、彼らは既に20年以上も前から現代の複雑な環境に気づくよう、人々に対して警告を鳴らしていました。そんな社会の現状・現代の厳しい課題を、宮崎駿監督はこの『もののけ姫』で表現しようとしたのです。

もののけ姫全体を通して、宮崎駿監督は様々な場面で「生きる」為に生じる多くの『対立』を描いています。対立とは『己にとっては正義であり、他者から見れば悪である』。しかし、互いの主張を押し付け合い、傷つけ合う事だけが対立では無い。互いが双方の幸福の為に自らの都合をゼロにし、根本的に考え直し、互いに足りない情報を埋め合わせながら各々が共存する為に模索する事も、生きる為の対立である。

この不条理、且つ、複雑な現代を生き抜く為には、互いが『生きる』為の対立が必要である。と、様々な評論家が解釈しています。様々な評論家曰く、現代において生きる為の対立の必要性について、宮崎駿監督はこの『もののけ姫』という作品で伝えているのだそうです。

そして『もののけ姫』を制作するにあたって、宮崎駿監督が盛り込んだ課題の一つに「至る所に起こる差別」があります。その差別について、この作品では『ハンセン病患者に対する差別』を取り上げ、「不条理な運命の中で生きる」ことを表現しました。

宮崎駿監督は、もののけ姫が完成した後の講演で「ハッキリと業病と言われた病を患いながら、ちゃんと生きようとした人達の事を描かなければいけないと思った」と語っています。どんなに不条理で受け入れがたい現実でも、そこで生きなければならない、生きて行くしかない、そんなメッセージをこの差別の場面で伝えたかったのだそうです。

だからこそ、キャッチコピーの『生きろ。』という言葉は、観客に強烈な印象を残しました。このキャッチコピーを考案したのは、コピーライターとして有名な『糸井重里』さんでした。この三文字の言葉に決まるまでに、スタジオジブリのプロデューサーである鈴木敏夫さんとの間で激しいやり取りがあったようです。あまりに難しい課題が盛り込まれた作品だっただけに、決まるまでには相応な苦労があったようです。

もののけ姫のあらすじを紹介!

題材が難しいだけに奥深い内容となっている『もののけ姫』は、名セリフや名言と共に名シーンが数多く存在し、様々な場面で視聴者を魅了します。ではここで、簡単に『もののけ姫』のあらすじについてご紹介したいと思います。

アシタカの旅立ち

中世の日本、エミシ(蝦夷)の森に住む主人公アシタカは、突如村を襲ってきたタタリ神と呼ばれる化け物に矢を放ち、窮地に追いやります。タタリ神は最後の力を振り絞り、命を奪われる代わりにアシタカの右腕に死の呪いをかけます。そのタタリ神の正体は、何者かに鉄のつぶてを打ち込まれ、人を恨む心によってタタリ神となってしまった巨大なイノシシの神でした。

アシタカは、北の地の果てに隠れ住むエミシ(蝦夷)一族の数少ない若者で、将来一族の長となる少年でした。しかし、タタリ神から呪いを掛けられたことにより、村の掟に従い村を出て行くことになります。彼が受けた呪いは『爆発的な力を与える代わりに、少しずつ命を奪っていく』というもの。アシタカはその呪いを解く為に、イノシシが来た西の地へと旅立ちます。

道中、アシタカは地侍が行う乱取りと遭遇します。女性が背後から地侍に刀を振り下ろされている場面を目撃し、それを阻止しようとアシタカは矢を放ちます。すると、右腕に受けた呪いが暴走。凄まじい力を引き起こし、矢一本で地侍の両腕を切断してしまいます。唐突に起きたその現象に戸惑いながらも、アシタカは西へと足を進めます。

その後、謎の男ジコ坊と出会います。ジコ坊から『神が住むという深い森』の話を聞いたアシタカは、その森がある地へと向かって行きます。その途中、アシタカは山奥で倒れている男達と遭遇し、彼らを助けます。

サンとの出会いとタタラ場

彼らを助けようとしたその時、何かの気配を察知したアシタカが目撃したのは、同じく戦いで傷ついた犬神のモロと、モロを手当てしている人間の少女、サンでした。隠れていたはずのアシタカでしたが、アシタカの気配にモロが気づき、サンにも気づかれます。アシタカはモロ達に神であるのかを問いますが、答えは得られず、サンに「去れ」と一括され、接触を拒まれます。

サン達が立ち去った後、アシタカが怪我をした男達を背負って山道を歩いていると、道案内をするかの如く現れたのが、森の精霊、コダマでした。コダマに導かれるように歩いていくと、ある村にたどり着きます。その村は、巨大な『タタラ場』でした。

『タタラ場』とは、木炭や砂鉄から鉄を取り出す作業を行う場所で、現代で言う製鉄工場のような場所です。アシタカがたどり着いたタタラ場は、エボシ御前という女性が治めており、彼女はそこで村人達に鉄や石火矢を作らせていました。本来タタラ場は女人禁制ですが、このタタラ場では、売られた娘達をエボシが買い、鉄を取り出すための炉へ風を送る『踏鞴(ふみふいご)』という装置を踏み続ける仕事を、彼女達に与えていました。

ある日の夜、このタタラ場に、以前この地にくる途中でアシタカが遭遇した、二匹の巨大な山犬とサンが襲撃しに来ます。サンは村人から『もののけ姫』と呼ばれており、サンは自然を荒らされた恨みから、今までにも幾度と無くタタラ場とエボシを襲撃してきました。サンは、かつて山を汚した人間が生贄として差し出した赤子で、犬神(山犬)に育てられた人間でした。

自然を破壊した人間やエボシに対して憎しみを抱くサンと、鉄を作る為に森を破壊し続けるエボシの一騎打ちが開始。そこへ、サンが抱くような憎しみがタタリ神を生み出す事を知ったアシタカは、争いを止める為に2人の間に割って入ります。互いの鳩尾を打ち気絶させ、サンを抱えてその場を去ろうとした際に、アシタカは村人が誤って発砲した弾に腹部を撃ち抜かれます。重傷を負いながらもアシタカはサンを抱えてその場を去ります。

ヤックルに乗ってサンを運んでいる途中で、アシタカは意識が混濁してしまいます。それと同時にサンが目覚め、自分の邪魔をしたアシタカを殺そうと、彼の喉元に刃を突き立てます。しかしそんなサンに向かって『生きろ。そなたは美しい』とアシタカは言い、その言葉にサンは動揺し、刃を収めます。

思い留まったサンは、アシタカを生と死を司る神『シシ神』の元へと連れて行きます。シシ神はアシタカの傷を癒し、生かした結果から、サンはアシタカを生かす決断をします。その後、サンはアシタカを介抱するうちに少しずつ心を開き、森の神々と人との間で心が揺れ動く経験をしていきます。

シシ神の森

ここで、少し話を戻して『シシ神の森』について解説します。アシタカがタタラ場に到着したその晩、牛飼い達を助けたお礼に村の男衆が宴を用意してくれます。そこでアシタカは、自分の村を襲ったイノシシがタタリ神になった原因を突き止めます。イノシシがタタリ神になる原因を作った鉄のつぶては、このタタラ場を治めているエボシが放った物でした。

「俺たちの稼業は山を削るし木を切るからな。山の主が怒ってな…」1人の村人がアシタカにそう告げる場面があります。鉄を作る為には大量の砂鉄と木炭を必要とする為、彼らは鉄を作る為に自然を破壊している自覚はありました。原料を得る為に切り崩している森こそが、シシ神が宿る森『シシ神の森』でした。そこにはシシ神に力を賜り大きな力を得た動物達も住んでおり、アシタカに呪いを掛けたイノシシも、この森の主だったのです。

『シシ神』とは、生と死を司る神であり、昼の姿は頭頂部から無数の角が生えた人面の鹿のような姿で、シシ神が歩くたびに足元で草花が急速に成長しては枯れる、という現象が起きます。夜の姿は、独特な模様と巨大な半透明の体を持ち、体内で青い光を放ちながら森を徘徊し、森を育てています。世にいう『デイダラボッチ』です。

そして、生と死を司る神の『シシ神』の首には、不老不死の力がある、と信じられており、そのシシ神の首を狙って『シシ神殺し』をエボシにそそのかす人物がいました。それが、もののけ姫の序盤でアシタカと知り合ったジコ坊でした。彼はエボシが森を切り開く為にもののけ達が邪魔になっている事を利用し、シシ神殺しに加担させます。

人間と神との闘い

そんな中、アシタカに呪いをかけたイノシシの死をきっかけに、シシ神の森を守ろうと、他の猪神を引き連れて九州から海を渡って来た巨大な猪神、『乙事主(おっことぬし)』が指揮を取り、人間に大攻勢をかけます。アシタカは『森と人間が共存する道は無いのか』と思い悩み、何とかしてその戦いを止めようと模索しますが、時すでに遅し。人間と神との闘いがついに始まるのです。

そして、サンを含む犬神達もまた、シシ神の森を守る為に乙事主と共に人間と一戦を交えるのです。しかしそれと同時に、エボシが不在となったタタラ場に鉄を狙う侍の集団が襲い掛かります。アシタカはエボシの元へ行き、シシ神殺しを辞めて村へ戻るように促しますが、エボシは構わずシシ神殺しを続行します。

その頃、人間との混戦で重傷を負った乙事主がシシ神の元へ向かっている途中で、ジコ坊達の戦略により錯乱状態に陥った乙事主がタタリ神へと変貌を遂げてしまいます。暴走する乙事主は、サンを巻き込みながら、これまでの戦いで死んだ猪神達の復活を願い、シシ神の元へと突き進みます。シシ神と対面する直前、巻き込まれたサンを助ける為に、犬神のモロが乙事主を叱責し、対立します。

そしてついに、シシ神が皆の前に姿を表します。シシ神はタタリ神になりかけた乙事主に命を与えず、逆に命を奪い取り、乙事主は絶命します。絶命を見届け、シシ神が夜の姿に変わろうとした、その時、機会を伺っていたエボシがシシ神の首を討ち取るのです。刹那、シシ神の体から不気味な液体が大量に噴出し、それに触れた生き物は命を奪われ、その液体は津波のように山を覆い、エボシが築いたタタラ場まで押し寄せます。

意識を取り戻したサンは、目の前の光景に絶句します。シシ神が死んだ事、森が死んでいく様を見て、サンは現実に絶望してしまいます。しかし、アシタカは『まだ望みはある』とサンに伝え、絶望的に見える目の前の現実を改善させようと模索します。そして、アシタカとサンはデイダラボッチになって暴走しているシシ神が、自身の首を探している事を理解します。

それに気づいたアシタカとサンは、シシ神の首を持って逃げるジコ坊達を追いかけます。必死で逃げていたジコ坊を何とか押しとどめ、シシ神の首をアシタカとサンの手でシシ神に返します。そして、首を取り戻したシシ神は朝日を浴びると同時に倒れ、シシ神の体が地面に触れた直後に強い風が吹き抜けます。その風によって、枯れ果てた大地や山々に緑が戻り、アシタカの呪いやタタラ場にいたハンセン病患者達の病も消えたのです。

再生した大地を前に、人間達もそれぞれに再起を模索します。森との対立を生み出したエボシは、自身の所業を反省し、生き残ったタタラ場の村人達と共に、良い村にしようと心を入れ替えます。アシタカとサンも同様に、それぞれの想いを尊重しつつ、共存する方法を見つけます。アシタカを想っても人間を許せないサンは、これまで通り山で。アシタカはそんなサンの元へ通いながらタタラ場で、それぞれ生きていく事を決めます。

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もののけ姫の名言や名セリフ一覧・アシタカ編!

内容が深く、メッセージ性の高い作品である『もののけ姫』。だからこそ、作品中に出て来たセリフに数多くの名言が生まれました。ここで、それぞれのキャラクターごとに名言やセリフを集めてみましたので、ご紹介します。まずは、アシタカの名言集、セリフ集です。

「生きろ。そなたは美しい」

サンが2匹の山犬と共にタタラ場を襲撃した際に、重傷を負いながらもサンを助け出したアシタカが、意識が朦朧としながらも、サンに向けてハッキリと伝えた言葉です。サンの手によって殺されそうになっている状況でこんなセリフが言えるなんて、なんてキザな奴なんだ、と話題になったセリフでした。

アシタカがこのセリフを言う前に、サンがアシタカに向かって「何故私の邪魔をした!」「死など怖いものか!」といきり立つ場面があります。それに対する「生きろ。そなたは美しい」と言うアシタカのセリフです。冒頭でキャッチコピーと同じ「生きろ」と言う言葉を使っている事からも、宮崎駿監督がこだわる『生と死の対立』が表現されているのでは、と言われています。

「わからぬ。だがともに生きることはできる」

山の岩場にあるサンと犬神達の寝ぐらにて、モロの名言「黙れ小僧!」と言うセリフに対する、アシタカの答えです。「わからぬ。だがともに生きることはできる」と言うセリフの中にも、宮崎駿監督がこだわった『生きる』というキーワードが盛り込まれています。

救えるかどうかは分からない。しかし、何があっても共に生きていくことは約束できる。そんな意味が含まれるこのアシタカのセリフは、『生きる』とはどういうことなのかを考えさせられる名言の一つになっていると言われています。

「会いに行くよ。ヤックルに乗って」

最後の最も有名な名シーンのセリフです。シシ神に首を戻し、大地に命が蘇った後に、アシタカとサンはそれぞれの生き方を口にします。後でも出て来ますが、サンは「アシタカは好きだ。でも、人間を許す事は出来ない」とアシタカに伝え、アシタカはサンの気持ちを了承します。サンは森で、アシタカはタタラ場で生きていく事を決意し、離れていても共に生きていく事を誓います。

その決意の表明としてアシタカがサンに送った言葉が「会いに行くよ。ヤックルに乗って」でした。この場面は現代で言うプロポーズであり、アシタカとサンは俗に言う『通い婚』であると言われています。もののけ姫のストーリーではここで話は終わりですが、その後の2人の関係について宮崎駿監督曰く「(あの後)2人はしょっちゅう会っている」のだそうです。

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もののけ姫の名言や名セリフ一覧・サン編!

では次に、作品中のヒロインであるサンが言ったセリフ集・名言集についてご紹介します。歴代のヒロインの中でも可愛いと評判のサン。根は純粋な女の子である為か、アシタカのセリフや名言と比べると、サンが放つセリフはかなり素直でストレートな表現になっていると話題です。

「シシ神様がおまえを生かした。だから助ける」

タタラ場から脱出した後、自身の戦いの邪魔をしたアシタカに対して殺意を抱いていたサンでしたが、アシタカの名言「生きろ。そなたは美しい」と言う言葉で思いとどまり、サンはアシタカの生死についてシシ神にその選択を任せます。結果、シシ神はアシタカを助け、生かしました。

選択を委ねたからには、シシ神が出した結論に二言は無い。そう言うかの様に、シシ神が出した答えに素直に従うことを決めたサンのセリフです。このセリフは、自然に身を委ねて生きるサンの価値観が十分に伝わるセリフである、と評価されています。

「かあさん、ここでお別れです」

ついに始まった、『森と人間、神と人間の戦い』の際に、サンがモロとの別れを決意したセリフです。猪神である乙事主の目の代わりとしてサンがこの争いに参戦する為に、長年自分を育ててくれた母、モロとの別れを惜しみながらも、サンの強い決意を含んだこのセリフは、視聴者の心に切なさを刻み込むものとなりました。

この「母さん、ここでお別れです。私、乙事主様の目になりにいきます。あの煙に困っているはずだから」と言うサンのセリフの後、「それでいいよ。お前にはあの若者と生きる道もあるのだが…」と言うモロのセリフが続きます。種族を超えた母と娘の強い絆がひしひしと伝わる名シーンであり、『黙れ小僧!』と一括した姿からは想像出来ない程、モロのサンに対する慈愛が表現されている印象的なシーンであると言われています。

「アシタカは好きだ。でも人間を許すことはできない」

もののけ姫最後の名シーンでのセリフです。この名言に関しても、宮崎駿監督が重要視した『対立』が含まれています。サンの中でアシタカは好意的な存在と成り得ましたが、だからと言って全ての人間に対して好意的に見れる様になるか、と言えば、それは難しい話です。サンは生贄として人間に捨てられ、サンが育った大切な森を人間は破壊してきました。

自分達の事を散々痛めつけてきた人間の中で、アシタカという存在だけが例外であった。サンにとってただそれだけの事であり、アシタカが良い奴=人間はいい奴、にはならないのです。サンの『人間を許す事は出来ない』というセリフを聞いて、多くの方がサンの気持ちに対して肯定の意見を述べています。

サンの名言の後、「それでもいい。サンは森で、私はタタラ場で暮らそう」とアシタカが言葉を続けます。このアシタカのセリフは、宮崎駿監督がこだわる『生きる為の対立』をしてアシタカが導き出した、双方が幸福になる為の一つの答えなのだと言われています。

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もののけ姫の名言や名セリフ一覧・モロ編!

そして『黙れ小僧!』で一躍有名になったモロ。モロはもののけ姫の中でも一際存在感のあるキャラクターであり、モロが発する言葉の一つ一つが、視聴者の心に響く何かを含んでいます。それでは、犬神であるモロのセリフ集・名言集についてご紹介します。

「黙れ小僧!」

モロと言えばやはりこのセリフ『黙れ小僧!』です。アシタカの「あの子を解き放て!あの子は人間だぞ!」というセリフに対し、モロは「黙れ小僧!」と一喝します。サンの過去、今までの人間による身勝手な行為、現在の「森」と「人間」の間に出来た複雑な溝、それらの事を理解しているモロだからこそ、アシタカの発言はあまりにも無知であり、人間らしい身勝手な発言に対し、『黙れ小僧!』の一言で威嚇しました。

もののけ姫のストーリーで、『黙れ小僧!』のセリフが出てくるまでにモロが感情的に言葉を発するシーンはありません。どちらかと言えば常にどっしりと構え、ゆったりと話し、冷静に周りを観察している姿しかありませんでした。その為、『黙れ小僧!』のシーンでモロが初めて感情的に言葉を発し、アシタカを一喝したのは、視聴者にかなり強い印象を残し、『黙れ小僧!』の場面は、もののけ姫を代表する名シーンとなりました。

モロの声優を務めたのが、俳優やシンガーソングライターなど、数々の肩書を持たれている『美輪明宏』さんです。『黙れ小僧!』という短いセリフですが、美輪明宏さんの熱演ぶりに加え、奥深い声に視聴者が迫力と衝撃を受けたのは言うまでもありません。

そしてこの『黙れ小僧!』というセリフは何かと使い勝手が良いという事で、日常会話や掲示板などで五月蝿い相手や無知な発言、理不尽な物言いに対してネタを交えつつ切り替えせる言葉として流行語にもなりました。過去には芸能界で大御所のダウンタウン松本人志さんがネタで『黙れ小僧!』を使用し、バラエティー界でも多彩に使用できる程の名言となっています。

「おまえにサンが救えるか?」

『黙れ小僧!』に続くモロの名言が、この『お前にサンが救えるか?』です。実際に本編で流れるセリフは「お前にサン『が』救えるか?」ではなく、「お前にサン『を』救えるか?」ですが、宣伝の影響で『が』に変換されたセリフが流行し、名言となりました。作品中では、唯一モロの心情を語る重要なセリフが、先程紹介した『黙れ小僧!』から始まり、この『お前にサンを救えるか?』で締めくくられています。

『黙れ小僧!』と『お前にサンを救えるか?』の間に、もののけ姫でも重要となるモロのセリフがあります。それが「お前にあの娘の不幸が癒せるのか?森を侵した人間が、我が牙を逃れる為に投げてよこした赤子がサンだ!人間にもなれず、山犬にもなりきれぬ、哀れで醜い、かわいい我が娘だ」というセリフです。

モロによるこのセリフは、親子愛に血や種族など無関係である事が容易に理解出来、どれ程モロがサンの事を愛しているかが分かります。このシーンは、人間を真底憎むサンが、今更人間として生きて行くには難しいが、このまま山犬として生きていく事も、サンの幸せとは思えない。もののけ姫として生きるサンの将来を心配する複雑な親心が十二分に伝わる名シーンだと言われています。

また、このシーンについて宮崎駿監督は「サンに相応しい男が現れたので、モロはアシタカを試しているのだ」と解説しています。だからこそ、『お前にサンが救えるか?』という言葉に、単なる威嚇だけではなく、娘を想う母の深い愛を感じ、モロの慈悲深さが伝わる名言になったと、多くの人から評価されています。

もののけ姫の名言や名セリフ一覧・エボシや他のキャラクターも!

もののけ姫には、アシタカ・サン・モロのセリフ以外にも、印象に残る多くの名セリフや名言があります。ここからは、今まで紹介したセリフや名言以外で印象に残るセリフ集、名言集をご紹介します。

「賢らにわずかな不運を見せびらかすな」

タタラ場にてエボシとサンが対決した際にアシタカが仲裁に入り、アシタカがエボシからの刃を受けながら腕の呪いをタタラ場の人々に見せるシーンがあります。その際にエボシがアシタカに向けて発した言葉です。『賢(さか)しらにわずかな不運を見せびらかすな』現代人にとってなかなか理解するのが難しい言葉です。『賢しら』とは「偉そうに・でしゃばって・利口ぶって」と言った意味があります。

訳すと『そんなちっぽけな不幸くらいで何を偉そうに』と言った意味になります。実は、エボシには『過去に人身売買された事によって倭寇の頭目に買い取られ妻になるが、そこで頭角を現し、ついには頭目を殺して金品を持って故郷である日本へ戻ってきた』という壮絶な裏設定があります。エボシは帰国後、侍の支配とは無縁の理想郷を己で作ろうとし、天皇周辺の人物達と交流を持ち、タタラ場を作ったのだそうです。

そんな壮絶な過去を持ち、どん底から己の力で立ち上がってきた彼女だからこそ、アシタカが自分の呪いを人々に見せた姿が、『不運を見せびらかして同情を得ようとしている』様に見え、彼の姿が許せなかったのだろう、という意見が多く聞かれています。本当の悲しみと苦悩を知っているエボシだからこそのセリフです。

「天地の間にあるもの全てを欲するのは人の業というものだ」

ジコ坊が自分の部下と共にシシ神の首を持って逃げ、アシタカに進路を塞がれた時に放った言葉です。朝日が差せばデイダラボッチになったシシ神は消滅する。そうすれば、シシ神の首は手に残り、永遠の命が手に入る。その欲に溺れた状態で放つ言葉だけに、あまりに人間らしく、人間が抱く欲望について考えさせられるセリフだという意見が多く聞かれます。

「生きる事は誠に苦しく辛い。世を呪い、人を呪い、それでも生きたい。どうか愚かなわしに免じて」

作品中に出てくる、ハンセン病患者の1人がアシタカに言うセリフです。このセリフに、差別される側の想いが集約されています。理不尽な環境に置かれた事で当てつけの様に全てを呪ったとしても、『生きたい』と願う気持ちは決して消えません。このセリフによって、生きるとは一体何なのかを考えさせられる、といった意見が数多くきかれます。

「生きてりゃなんとかなる!」

タタラ場にシシ神の放った死をもたらす液体が侵攻し、タタラ場が燃えてしまった場面を見て、甲六が「もうお終ぇだ」と嘆く言葉に対して、妻であるおトキが放った言葉です。『生きてりゃなんとかなる』は、もののけ姫のキーワードでもある『生きる』事に対する前向きなメッセージが込められたセリフだと言われています。

もののけ姫の名言・名セリフまとめ!

もののけ姫に出てくる名言集や名セリフ集をご紹介しました。もののけ姫は、作品自体が非常に難しい題材がテーマとなっている作品なだけに、キャラクターが放つ一つ一つのセリフや言葉が非常に深く重みのある物になっており、様々な視聴者や評論家の方々から高評価を受ける作品の一つとなっています。

もののけ姫の作品について知識を入れ、名セリフ集や名言集に目を通してからもののけ姫を鑑賞すると、別の見方が出来、作品から感じとるものが違うかもしれません。また、今回ご紹介したセリフや名言以外にも素敵なセリフや名言が沢山ある為、自分の心に響いた言葉をぜひ集めて、いろいろな場面で活用するのも良いのではないでしょうか。

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