少年のアビスは鬱漫画だけど面白い？ダークなあらすじ・登場人物や感想を紹介

少年のアビスは、集英社の週刊ヤングジャンプにて2020年13号から連載中の漫画作品です。単行本はヤングジャンプ・コミックスより10巻まで刊行され、発行部数は累計100万部を突破しています。

また、メディア展開としては、2022年に毎日放送にて荒木飛羽主演で実写ドラマ化され、9月2日から10月21日まで深夜のドラマ特区枠で放送されました。

次に少年のアビスの作者である峰浪りょう（みねなみ・りょう）を紹介します。峰浪りょうは日本の女性漫画家で、本作・少年のアビスは、彼女にとって「溺れる花火」、「ヒメゴト〜十九歳の制服〜」、そして「初恋ゾンビ」に続く4作目の連載漫画作品となります。

2006年に小学館主催の漫画新人賞である第58回新人コミック大賞の青年部門にて佳作を受賞した峰浪。小学館のWebコミックレーベル「モバMAN」にて漫画連載がスタートします。それが2009年の第1作「溺れる花火」と2010年の第2作「ヒメゴト〜十九歳の制服〜」です。

その後は掲載雑誌が小学館の週刊少年サンデーに変わります。2012年の読切漫画「ハナヨメわらし」を皮切りに、2015年には連載漫画第3弾の「初恋ゾンビ」、そして2020年の本作「少年のアビス」の連載へと至ります。

暗くダークなストーリー展開から鬱漫画と呼ばれることもある少年のアビス。しかし、単行本はミリオンセラーとなっており、読者の心をしっかりつかんでいるのも事実のようです。ここからは、そんな鬱漫画・少年のアビスの面白い魅力について考察していきます。

鬱漫画とかダーク漫画と言われる漫画・少年のアビスですが、この作品に登場するキャラたちは、みんな闇を抱えて生きています。主人公の高校生・黒瀬令児は、貧しい家庭に育ち、母・夕子と共に引きこもりの兄と認知症の祖母の世話をしています。そのため進学の道は閉ざされ、田舎での就職を余儀なくされたことで将来に絶望しています。

地元のコンビニで元アイドルの青江ナギと出会うのですが、その出会いも事態を好転させることはありません。なぜなら彼女もまた心に闇を抱えており、令児に一緒に心中しようと持ち掛けます。担任の女性教師・柴沢由里に見つかり心中は未遂に終わるのですが、この担任教師もまた心を病んでいるようです。

心中を企てた令児から助けてほしいと懇願された柴沢由里。令児の言葉が彼女の使命感に火をつけます。令児を守らなければという意識が暴走し、彼を母親や友人などから強引に引き離したり、教師と生徒という関係を逸脱してしまいます。このように少年のアビスには、一筋縄ではいかない闇を抱えた登場人物が次々に現れます。予想できないミステリアスな展開に読者は目が離せなくなるのではないでしょうか？

登場してくる人間が皆いわくありげで闇を抱えている鬱漫画の「少年のアビス」。令児を巻き込んで心中しようとした元アイドルの亭主として現れるのが小説家の似非森耕作です。実は、令児の母・夕子の中学の同級生で、夕子は息子に危険だから近づかないよう忠告します。

ところが、物語が進むにつれ、本当に危ないのは似非森ではなく、この母親だということが明らかになってきます。本来は主人公の味方であるべき母親がヤバいというのは、読者にとって衝撃的な事実でしょう。しかし同時に続きが気になってしまうという、少年のアビスの面白い魅力ともなっているのではないでしょうか？

高校生の主人公は、東京の大学進学を望んでいました。それは閉塞感のある地元を離れたかったからと考えられます。しかし、引きこもりの兄や認知症の祖母の介護、そして貧しい家庭の経済状況によりその希望は打ち砕かれます。

何らかの闇を抱えて生きている登場人物たちに加えて、この鬱々とした希望のない環境もまた漫画「少年のアビス」独特の面白い魅力となっているのではないでしょうか？

ここで、鬱漫画として読者の支持を集める少年のアビスのダークなあらすじを簡単に紹介しておきます。

高校生の黒瀬令児は、看護助手の母と引きこもりの兄、そして認知症の祖母4人で暮らしています。大学進学を希望する令児でしたが、家の事情から地元での就職を余儀なくされます。ある日のこと、コンビニで元アイドルの青江ナギと出会います。親しくなった2人はその後街を散策するのですが、突然ナギがある提案を持ち掛けます。何とそれは一緒に心中しようというものでした。以上、少年のアビスのあらすじでした。

作品の面白い魅力、そして簡単なあらすじを踏まえて、ここからは登場人物・キャラたちを紹介していきます。漫画「少年のアビス」の面白い魅力の1つである彼らは、はたしてどのような闇を抱えているのでしょうか？

最初は、主人公の黒瀬令児からです。向津高等学校に通う本作・少年のアビスの主人公・令児。家族の状況、そして生まれ育った地元にも絶望しており、町を出て自由になりたいとの強い願望を抱いています。

ある日の事、引きこもりの兄に代わって、コンビニへ買い物に行くとそこでファンだった元アイドルの青江ナギと出会います。すぐに親しくなった2人は、勢いで肉体関係を持ちます。

自らも絶望していたナギは令児に心中を持ち掛け、2人は一緒に情死ヶ淵へ飛び込もうとします。そこへたまたま通りかかった担任教師・柴沢由里に助けられるのですが、後に令児は何と教師である柴沢とも肉体関係を持ってしまうのです。

少年のアビスの登場人物・キャラの2人目は、20歳の元アイドルグループ「アクリル」のメンバー・青江ナギです。病気を理由に芸能活動を休止したナギは、田舎のコンビニでバイトしていた時に令児と出会います。彼女の心の闇は、「生きている理由も死にたい理由もない」というもの。後に令児を心中へと誘います。

主人公・令児の幼馴染で紫葉女学院高等学校に通う高校生の秋山朔子。実家が「秋山茶舗」というお茶屋を営んでいることから「チャコ」と呼ばれています。家族や地元に絶望しているのは令児と同じですが、経済的に余裕のある彼女は東京の大学進学を目指します。

主人公・黒瀬令児の高校の29歳の教師・柴沢由里。生徒から「柴ちゃん先生」と呼ばれています。同じカリキュラムを繰り返す教師生活に嫌気がさしていたところ、心中をしようとしていた令児に助けを求められるという非日常的な出来事に遭遇。助けなければという使命感が暴走し、生徒である令児との禁断の関係に目覚めてしまいます。

令児と朔子の幼なじみの峰岸玄。父親は地元の建設会社の社長をしています。ある時、朔子を虐めから守ろうとした令児が攻撃を受け窮地に陥ったところに遭遇。令児を助けたことで貸しを作り、以後彼をパシリとして使うようになります。父親の会社を継ぐことが決まっており、地元を毛嫌いする令児が面白くありません。そこで、令児には執拗に絡んでいきます。

令児の母親である黒瀬夕子。看護助手をして家計を支えています。認知症の母親と引きこもりの長男の世話もあり、心身ともに疲れがたまっています。次第に家の事を令児に押し付けるようになり、令児との関係もギクシャクしていきます。

ここまで漫画「少年のアビス」のあらすじや登場人物の解説を中心にお届けしてきましたが、最後に少年のアビスに関する感想や評価をTwitterより紹介します。

最初に紹介する感想・評価は、少年のアビスを読んだところ、田舎と人間が怖くなったという方のツイートからです。おどろおどろしい怖さを表現しきった作者に畏敬の念すら抱いたようです。

続いて紹介する感想・評価は、少年のアビスを人に勧められて読んでいるという方のツイートからです。読んだ感想は、登場人物がみんな壊れているというもの。ハイになりすぎて暗い気持ちにクールダウンしたい時にはちょうどよいのかも知れません。
 

最後に紹介する感想・評価は、少年のアビスが結構好きだという方のツイートからです。しかし、人にはあまり勧めたくないと言います。「好きだけど人にはお勧めしない」という感想に鬱漫画・少年のアビスの衝撃度がよく表れているのかも知れません。

ここまで「少年のアビスは鬱漫画だけど面白い？」と題して、少年のアビスのダークなあらすじや登場人物紹介、そして少年のアビスの魅力についての情報をお届けしてきました。いかがでしたでしょうか？

ダークで重いテーマを扱い鬱漫画とも言われる少年のアビス。しかし、ツイッターの感想欄にあったように登場人物のキャラや物語の展開が面白いと話題になった作品でもあります。この記事で興味を持った方は、一度本作のコミックスを手に取り読んでみてもよいかも知れません。