火垂るの墓の声優キャスト！節子役白石綾乃と清太役辰巳努の年齢・現在は？

第二次世界大戦終戦前後の怒涛の時代を、懸命に生き抜こうとする兄妹の命の話を描いたアニメーション映画『火垂るの墓』。夏になると再放送され、映画を見るたびに涙を流す人が多いと話題の作品です。この記事では『火垂るの墓』のあらすじ、主人公の兄妹、清太と節子をを務めた声優キャスト達をご紹介します。また、声優キャストの『火垂るの墓』収録当時のエピソードや現在もまとめてみました。

アニメーション映画『火垂るの墓』は1988年4月公開のスタジオジブリ制作、脚本と監督を高畑勲が務めました。監督を務めた高畑勲氏はスタジオジブリの設立に深く関わっており、スタジオジブリに設立後はスタジオジブリに所属し、宮崎駿監督と共に多くの名作アニメーションを世の中に送り出してきました。しかし巨匠高畑勲監督は2018年春に享年82歳で肺がんのため死去されました。

『火垂るの墓』の映画キャッチコピーは「4歳と14歳で、生きようと思った」と「忘れものを、届けにきました」です。映画公開当時は60分程の短編映画として『となりのトトロ』と共に同時上映予定だったため、「忘れものを、届けにきました」はとなりのトトロとの共通のキャッチコピーになっています。しかし実際は両映画とも長編アニメーションになったため、両映画とも単独上映になりました。

映画のキャッチコピーからでも分かるように、第二次世界大戦終戦前後の厳しい時代を必死に兄妹で生き抜こうとする命の物語です。原作は1967年発行された野坂昭如作の短編小説『火垂るの墓』で、野坂自身が経験した戦争を題材しています。この作品は直木賞を受賞しました。その後、同タイトルでアニメーション映画、実写映画、漫画やドラマも作られています。

昭和20年9月21日、14歳の少年清太は三ノ宮駅構内で衰弱死を遂げました。物語は清太と節子が生きた時代を走馬灯のよう駆け巡ります。第二次世界大戦の終戦末期のころ、清太と節子は心臓病を患っている母と兵庫県武庫群に暮らし、父は海軍大尉でほとんど家に居ませんでした。昭和20年6月5日、神戸に空襲が襲い、母を先に避難させた清太は、節子をおぶって避難所に逃げました。

避難所で再会できた母は、全身やけどの重傷を負っていました。しばらくして母は亡くなり、家もなくなった清太と節子は叔母の家に身を寄せる事にしました。最初は歓迎してくれた叔母でしたが、徐々に2人を邪魔者扱いするようになります。叔母との諍いが絶えなくなってきたので清太は、節子を連れ家を出て防空壕の中で暮らし始めます。

2人は自由を手に入れ、貧しいながらも楽しいな生活を送っていました。しかし戦争が進むにつれ配給は減り、食料は底をつき、食料が周辺のタニシやカエルという生活になっていきました。食料に困った末、清太は野菜を盗んだり、火事場泥棒をして必死に飢えをしのいでいましたが、徐々に幼い節子は栄養失調で衰弱していきました。

昭和20年夏に日、節子が川原で倒れてしまいました。すぐに医者に見せましたが「滋養をつけるしかない」と言われます。母が残してくれた貯金で食料調達に走る中、日本が戦争に降伏し父の艦隊も壊滅したことを知るのでした。貯金を下ろしたお金でスイカを買い、スイカとお粥を食べさせようとしましたが、節子にはもう口にする力も残ってなく、スイカを持ったままそのまま息絶えてしまいました。

丘の上で節子の遺体を1人で荼毘した清太は、節子の骨片をドロップ缶にいれ防空壕を去るのでした。昭和20年9月21日、清太も栄養失調になり三ノ宮駅構内で錆びたドロップ缶を片手に衰弱死を遂げるのでした。その後、駅員が清太の手から落ちたドロップ缶を草むらに放り投げると、缶から落ちた骨片の周りには蛍が飛び交うのでした。

主人公清太と演じたのは、関西地域の出身の辰巳努さんです。辰巳努さんは1972年生まれで、2018年現在46歳の元俳優です。1980年代に辰巳努さんは子役として、映画やドラマに出演していました。1984年公開の『瀬戸内少年野球団』の吉沢孝行役や『愛しき日々よ』の瀬川敏夫の少年期役を演じ、高い評価を得ていました。

『火垂るの墓』を演じた当時は16歳1ヶ月でした。それまで辰巳努さんは声優経験はありませんでしたが、高畑監督が声優には関西の俳優を熱望していた事と、辰巳努さんの年齢が清太と近い事や出身地が関西であったことが決定に大きくかかわっています。

節子役を演じたのは白石綾乃さんという方です。白石綾乃さんは1982年5月生まれの元子役です。『火垂るの墓』で節子を演じた時は、白石綾乃さんはまだ5歳11ヶ月でした。高畑監督が節子には同年代の関西出身の子を起用することを強く要望し起用されました。高畑監督は声優キャストは節子と同年代のほうが、視聴者が感情移入しやすいだろうと考えていました。

当時白石綾乃さんは無名の子役で声優経験も全くありませんでした。その時代は声優経験のない子供が起用されることは前代未聞で、とても話題になりました。日本ではアニメーションの声の収録はアフレコと呼ばれる、映像を見ながら、キャラクターの口パクに合わせて声優がセリフを言い収録するのが普通ですが、『火垂るの墓』の節子はプレスコという方法で収録されました。
 

プレスコ収録とは先に声優の音声を収録してから、その収録の声に合わせてアニメーションの作成していく方法です。当時の白石綾乃さんは5歳だったため、映像に合わせて声を収録するアフレコは難易度が高いとのことで、節子の声収録だけプレスコで収録されました。更に台本も読めなかったため、セリフ指導もマネージャーから口頭での指導を受けたそうです。

共演した辰巳努さんは白石綾乃さんの節子のことを「あの子のおかげでやりやすかった。あの節子の声だから最後の節子の死にそうになるところで、思わず素直にセリフが出てしまったのかもしれない」と火垂るの墓のパンフレットで述べていました。白石綾乃さん演じた節子は、表現や関西弁がとてもリアルで、声優という仕事に慣れていないことで更にリアルな節子になりました。

清太と節子の母の声優を演じられたのは大阪出身の女優志乃原良子さんです。志乃原良子さんは大阪出身で、地元の関西を中心にドラマや映画などで活動している女優です。志乃原良子さんも『火垂るの墓』で母役で声優をするまでは、声優経験はありませんでしたが、大阪出身の女優ということで起用されました。

『火垂るの墓』の収録当時は、節子役の白石綾乃さんの母親は出産予定で入院しており、父親はサラリーマンで昼間は会社に出勤していたため、収録スタジオにはほとんど来れなかったそうです。そのため、志乃原良子さんが白石綾乃さんの食事やトイレのお手伝いをしていたというエピソードがあります。

志乃原良子さんは主に時代劇への出演が多く、現在は2018年現在で69歳になられているので、あまりテレビで活動はしていないようですが、『水戸黄門』『暴れん坊将軍』『大岡越前』『必殺シリーズ』など有名な時代劇にも多く出演していました。

火垂るの墓で清太と節子が居候していた親戚の叔母さんを演じたのは、大阪出身の女優山口朱美さんです。やはり山口朱美さんも関西を中心に活動している女優さんで、時代劇に出演することが多いです。2018年現在は71歳になられていますが、時代劇では悪女役をよく演じていました。

山口朱美さんは、『銭形平治』『必殺シリーズ』『水戸黄門』『暴れん坊将軍』等の有名時代劇に数多く出演しています。また声優としても活動していたようで、『火垂るの墓』に出演する以前に1981年作テレビアニメ『じゃりン子チエ』の主人公チエの母親：竹本芳江役をを演じています。『火垂るの墓』の高畑勲監督が、『じゃりン子チエ』の映画版の監督を務めたため、そこで初仕事をしています。

清太役を演じた辰巳努さんは『火垂るの墓』出演以降は、テレビドラマ『それいけ!ズッコケ三人組』や『部長刑事』などに子役として出演していました。更に親戚の叔母さん役を演じた山口朱美が、母親役の声優を務めた『じゃりン子チエ』の実写版パートにエキストラとして出演もしていました。

2012年に『火垂るの墓』と『となりのトトロ』のブルーレイ発売記念イベントが開かれました。主催者側は辰巳努さんに出演依頼をしようとしましたが、連絡先がわからず出演依頼を断念しました。『火垂るの墓』のそのイベントはウェブ上での生放送だったため、ウェブ上で辰巳努さんに向けて「見たらせひ会場まで」と呼びかけられましたが、辰巳努さんが来ることはありませんでした。

辰巳努さんが17歳の時出演した、1989年作のトレビドラマ「命を懸けた説得」以降表立った活動はしていません。19歳の時に大きなバイク事故にあい、その事故で片足が義足になってしまい芸能界に引退を余儀なくされました。その後は一般人として生活しており、20代のころに電機メーカーに就職されて、工場に勤務していました。その電機メーカーとはCMも放送されるほどの有名な会社のようです。

『火垂るの墓』後は芸能プロダクションに所属し、子役として活動していました。辰巳努さんも出演していた、関西ドラマの『部長刑事』に1エピソード出演しました。しかし当時所属していた芸能事務所が倒産したことが原因で、『部長刑事』以降は表立った芸能活動はされていません。それ以降は一切連絡がつかない状況とのことです。

白石綾乃さんは1982年生まれなので、中学生から高校生の頃はちょうど2000年頃でコギャルブームの時代でした。そのため高校生時代の白石綾乃さんはコギャルになっていて、その当時に再会した高畑勲監督もコギャルになっていた白石綾乃さんににガッカリしたそうです。更に『火垂るの墓』の原作者である野坂昭如さんは白石綾乃さんのコギャル姿にショックを受けたそうです。

白石綾乃さんは2018年現在で36歳になっているはずですが、『部長刑事』以降は芸能界から引退されているようなので、現在の詳しい情報等はわかりませんでした。しかし大阪を中心にDJとし活躍されているDJ Tomoyuki Tanakaさんのブログで白石綾乃さんの写真が載っていました。DJ Tomoyuki Tanakaさんが白石綾乃さんの事をブログにアップしたのは2009年10月のことです。

DJ Tomoyuki TanakaさんがDJをされた大阪のイベントにDJ TOmoyuki Tanakaさんの友達と一緒に来場されたそうです。2009年当時は、白石綾乃さんは27歳に成長されていて、5歳のころに演じた『火垂るの墓』の節子ともう同じ声ではなかったそうです。写真の白石綾乃さんもすっかり大人の女性に成長されています。

イベント会場では5歳の節子では絶対に言わない言葉を、節子のイントネーションで言うことを周りにお願いされたそうです。その言葉が本当に節子では言うことはない発言でした。そしてそのテキーラを美味しく飲んでいたそうです。

涙なしでは見られない『火垂るの墓』の、主人公の節子と清太を演じた声優キャストの当時と現在をまとめてみました。『火垂るの墓』を演じた当時は節子役白石綾乃さんは5歳で清太役辰巳努さんはまだ16歳の子供でした。声優経験のない子役が選ばれたことは、当時のアニメ業界では異例でしたが、逆にその初々しい感じが『火垂るの墓』での節子と清太を更によくしているのだと話題です。

現在は白石綾乃さんも辰巳努さんも芸能界を引退しているようで、現在の活動情報が全く出て来ませんでした。しかし『火垂るの墓』の節子や清太のように苦しく大変な生活ではなく、一般人として素敵な生活を送っていることでしょう。