【ルパン三世】銭形警部には娘がいる？作品によって設定が違う？家族構成を調査

後に国民的アニメと称される「ルパン三世」は、1971年〜1972年まで放映されていた第1シリーズは打ち切りという不名誉な形でしたが、再放送で徐々にファンを増やし再評価されることとなります。

モンキー・パンチ原作の漫画「ルパン三世」は、フランス人のモーリス・ルブラン原作の小説「アルセーヌ・ルパンシリーズ」の主人公である怪盗アルセーヌ・ルパンをルパン一世と設定し、彼の孫とされるルパン三世の活躍を描いた大人向けのアクション作品となっています。

1967年〜1969年まで青年漫画雑誌「漫画アクション」で全94話掲載され、単行本は全14巻となっています。第1シリーズ（1971年〜1972年）から始めったアニメ版「ルパン三世」は、断続的に現在まで第5シリーズに亘るテレビアニメ版やスペシャル版、スピンオフ版、映画版などが数多く制作されているようです。

原作とアニメ版の共通する「ルパン三世」の基本形式は、世界を股に掛けお宝や大金を狙うルパン三世、次元、五ェ門、不二子たちのクールな活躍と、ルパン逮捕がライフワークとなっている銭形警部という形式になっています。原作でのハードボイルド調はアニメ版ではソフトになっており、ユーモラスな度合いが高くなっているようです。さらに放映当時の世相を上手く取り入れ、ユーモアとウイットに富んだ小粋な展開となっています。

ルパンたちから「とっつぁん」と呼ばれている銭形警部は、国際刑事警察機構インターポール（ICPO）所属ではなく警視庁所属の警察官です。ルパン逮捕のためなら地球の果てまで追いかける銭形警部は、第2シリーズからICPOに出向している「ルパン三世専任捜査官」という形になっています。銭形警部は神出鬼没なルパンとライバル関係でありながらも、アニメ「トムとジェリー」のようなコミカルな関係となっているようです。

銭形警部はルパンを追いかけているだけのイメージがあるようですが、映画「カリオストロの城」ではルパンと共闘して事件の真相に立ち向かう敏腕警部として活躍しています。銭形警部のご先祖様設定となる銭形平次は、野村胡堂原作の小説「銭形平次捕物控」の主人公で後に実写化された国民的時代劇ヒーローです。銭形警部は銭を武器としている銭形平次に習って、手錠投げや先祖から伝わる十手でルパンを追いかけているようです。

「世界を股に掛ける大泥棒ルパン」「凄腕ガンマンの次元」「斬鉄剣でつまらぬものを斬り続ける五ェ門」「女の武器で欲しいものを手にいれる不二子」と、「ルパン三世」の主要キャラクターは家族がいる平凡で幸せな人生とは無縁のようです。「ルパン逮捕が生きがいの銭形警部」も彼らと同類でしたが、小学生ぐらいの娘「としこ」の存在が判明したようです。

1978年に公開された記念すべき「ルパン三世」劇場映画第1作「ルパンVS複製人間」は、賛否両論があるものの実用化されつつあるクローン技術とルパンたちの活躍を見事に融合させた革新的なエンターテインメント作品となっています。

原作では銭形警部に家族や妻子がいる設定は無かったのですが、映画「ルパンVS複製人間」で銭形警部と警視総監との会食シーンで妻子の話題から娘「としこ」について軽く触れているようです。銭形警部の家族、妻や娘「としこ」は、二人の会話上で登場しただけのようです。銭形警部に家族や妻子があり、娘が「としこ」という設定はこの映画のみのオリジナルのようです。

80年代 OVA（オリジナル・ビデオ・アニメーション）が制作され始め、1987年に「ルパン三世」の劇場映画第四作として公開された「風魔一族の陰謀」は元々OVAとして制作されており、ビデオは映画公開後に販売されています。今回の作品のみは、ルパン・次元・五ェ門・不二子・銭形警部のメイン声優陣が総入れ替えとなっていることから、ファンの間では賛否両論だったようです。

映画「風魔一族の陰謀」序盤での銭形警部はルパンが死んだと思い込んでおり、警察を退職後に出家し、妻と息子と娘と共にルパンの菩提を弔う静寂の日々を送っていたようですが、ルパン生存を知り早々に最前線に復帰しています。妻子は出家先の山寺に預けたようです。

姿は登場しているものの台詞がない銭形警部の妻と小学生ぐらいの娘と自分似の息子は、物語には直接関係なくオリジナル設定のようでしたが、娘の名前は映画「ルパンVS複製人間」の娘と同じく「としこ」ようですが、「ルパンVS複製人間」と「ルパン三世 風魔一族の陰謀」の2作品が関連があるのかは不明です。

第2シリーズ第85話「ICPOマル秘司令」で銭形警部は上司ジャスミンと組み、おとり捜査でルパンたちを捕らえようとします。結婚適齢期のジャスミンにロックオンされた銭形警部は、ルパンたちを逮捕したら結婚しようとジャスミンと約束します。銭形警部とジャスミンは別人に扮してルパンたちに近づき、アカデミー賞ものの熱演でルパンたちを見事に騙し逮捕します。

喜びも束の間、早々にルパンたちが脱走してしまったことで二人の結婚は無くなってしまいます。ジャスミンはこのエピソードのみのキャラクターだったようで、二人の恋の行方がどうなったのかは不明となっています。

「銭形警部はルパン逮捕が生きがいの独身」という設定以外は、「ルパン三世 ルパンVS複製人間」「ルパン三世 風魔一族の陰謀」のように妻子持ちの家庭人というオリジナル設定をさりげなく取り入れていたようです。ルパン逮捕が生きがいの銭形警部も第3シリーズでは、結婚願望匂わせ発言をしたようです。

国民的アニメのキャラクターは歳をとらないようなので、「ルパン三世」の主要キャラクターも生年月日不詳のようです。唯一、銭形警部だけは1938年（昭和13年）12月25日と生年月日が設定されていますが、年齢不詳となっています。仮に銭形警部の年齢を原作が連載されていた時期を基準とすると、30歳前後ぐらいとなるでしょう。

銭形警部の出身地は、「クレヨンしんちゃん」「跳んで埼玉」でお馴染みの埼玉県です。警察官としての出発点は出身地である埼玉県警西大滝町派出所からで、銭形警部はエリート街道とは無縁の叩き上げの警察官のようです。

銭形警部は不器用だけど芯は真面目そうなので、ルパンに会うことがなかったら30代ぐらいで結婚して子供がいたかもしれません。意外と子煩悩で、激務の合間をぬって運動会やイベントとか嬉々としてやっている雰囲気がありそうです。

非日常がウリの「ルパン三世」で、銭形警部に妻子がおり「としこ」という名前の娘がいるのに驚かれたファンは多いことでしょう。映画「ルパンVS複製人間」の設定上でのとしこちゃんは、母子家庭ということになるのでしょう。

映画「ルパンVS複製人間」での銭形警部は、自分にはもったいないぐらいの美人と結婚し、娘「としこ」は妻ゆずりの美少女という設定でないと納得しないファンもいることでしょう。

「ルパン三世」は主人公が年齢を重ねている物語ではないので、個性的な主要キャラクターの人物像を必要以上に改変しなければいつの時代でも活躍可能と言えるでしょう。だからこそ映画版においては、銭形警部に妻と娘「としこ」という家族設定が誕生したのかもしれません。これからも続くであろう「ルパン三世」で、ファンが知らない新たな銭形警部の姿が登場するかもしれません。