2020年06月21日公開
2020年06月21日更新
【ハンターハンター】東ゴルトー共和国のモデルは北朝鮮?総帥・国の名前の由来は?
ハンターハンター・キメラアント編に登場した東ゴルトー共和国は、その政治体制や困窮した国民生活、徹底した密告システムから、現実世界の北朝鮮をモデルにして描かれたと考察され、大きな話題を呼びました。本文では、ハンターハンター・東ゴルトー共和国の総帥や国の名前の由来をはじめ、北朝鮮が元ネタと言われる東ゴルトー共和国の概要、メルエム襲撃前と後の状況を考察を交えながら紹介します。
目次
ハンターハンターとは?
出典: https://ciatr.jp
2020年5月現在まで長期休載を余儀なくされている漫画「ハンターハンター」は、現実世界をモデルとする国や地域が登場しており、キメラアント編後半の舞台・東ゴルトー共和国も、その国内情勢から北朝鮮がモデルではないかと言われています。以下では、ハンターハンター・東ゴルトー共和国の元ネタや、マサドルディーゴ総帥・国の名前の由来などを考察を交えながら紹介します。
ハンターハンターの概要
富樫義博先生の代表作「ハンターハンター」は、1998年から週刊少年ジャンプで長期連載されている人気作品の1つで、単行本は2018年10月時点で計36巻が刊行されています。稀少な事物を追い求めるハンターという職業・念能力によるバトルなどの独創的な世界観や、仲間との冒険や友情など少年漫画の王道要素を取り入れた展開が男女問わず多くのファンに支持されています。
ハンターハンターのあらすじ
くじら島に暮らす少年ゴン=フリークスは、まだ見ぬ父に会うべく、父親の職業であるハンターを目指す旅に出ます。ハンター試験会場に向かうゴンは、仲間となるクラピカ・レオリオそしてキルアとの出会い経て、ハンター試験に合格を果たします。その後、キルアと行動を共にするゴンは、世界中を旅しながら修行に明け暮れ、己の実力を高めていきました。
そして、物語は未知なる世界に挑む暗黒大陸編に突入し、同胞の眼を奪還することを目論むクラピカは、暗黒大陸を目指すBW号に乗りこみ、残された緋の眼の回収に挑みます。同時にBW号では、カキン帝国の継承者争いが行われ、上位王子たちを中心とする王位争奪戦が船内で繰り広げられていました。
東ゴルトー共和国のモデルは北朝鮮?
ハンターハンターでは、独裁国家として登場した東ゴルトー共和国は、その国内情勢から北朝鮮をモデルではないかと、多くの話題を呼びました。以下では、東ゴルトー共和国の概要などを紹介します。
東ゴルトー共和国とは?
ハンターハンター・キメラ=アント編の後半の舞台となった東ゴルトー共和国とは、蟻の王・メルエムが新天地を求めて、NGL自治区の旅から辿り着いた場所です。地図では、ヨルビアン大陸・バルサ諸島の南端に位置する島・ミテネ連邦の最東にあります。島で唯一、ミテネ連邦に加盟していない独立国であり、表向きは共和制となっているものの、実態はマサドルディーゴを頂点とする独裁国家です。
東ゴルトー共和国の人口はおよそ500万人といわれ、一部の高級官僚を除いた民衆たちは、非常に低い生活水準を余儀なくされています。また、指組と呼ばれる独特の密告システムの普及により、民衆たちの国家による反逆や国外逃亡に対する厳しい管理体制・処罰が横行し、恐怖を国民に植え付けることで国を支配しています。
表では、マサドルディーゴ総帥による独裁政治体制となっていますが、実際は、彼の部下であるビゼフ長官を始めとする官僚たちで国の政治が仕切られていました。メルエムの登場により、東ゴルトー共和国は、蟻の王による恐怖政治が敷かれたものの、討伐隊の登場や、ビゼフ・メルエムが国を去ったことで廃国となります。現在は、島の西側に位置するミテネ連邦へ合併されました。
一方、東ゴルトー共和国のマサドルディーゴ総帥の正体は、影武者であることが明かされます。本物のマサドルディーゴは、30年近く前に国外へ亡命し、田舎生活を送っており、東ゴルトー共和国で起きた一連の事件を報道番組を通じて知るも、意に介さない姿勢を貫いています。
東ゴルトー共和国のモデルが北朝鮮だと話題に
ハンターハンターの世界観は、現実世界を元ネタにして描かれたものが多く、東ゴルトー共和国も、北朝鮮がモデルではないかと言われています。その根拠は、1人の権力者による独裁政治や、恐怖で民衆を支配する体制、一部の特権階級の腐敗や交渉の切り札として、核開発を匂わせる描写が挙げられます。
また、東ゴルトー共和国の独裁者であるマサドルディーゴ総帥の外見も、金正日総書記を彷彿させるキャラクターデザインとなっており、元ネタが北朝鮮であることを強調しているようでしょう。
東ゴルトー共和国の総帥・国の名前の由来
北朝鮮がモデルと言われる東ゴルトー共和国は、独裁者・マサドルディーゴ総帥や国の名前の由来だけでなく、北朝鮮を元ネタだと思われる描写も指摘され、日本と北朝鮮の拉致問題をモチーフにしたストーリーではないかと考察されています。
東ゴルトー共和国の名前の由来
東ゴルトー共和国の名前の由来の前に、独裁者・マサドルディーゴ総帥の名前の由来を考察します。まずは、「マサドルディーゴ」を変換すると、「ゴールドマサディ」に並べ替えられます。そして、それらを単語ごとに分解し変換すると、「ゴールド=金」「マサ=正」「ディ=日」が浮上し、北朝鮮のトップだった金正日総書記が元ネタと考えられます。
そして、東ゴルトー共和国の「ゴルトー」は、金=ゴールドからつけられ、北ではあまりにも直接的な表現になってしまうため「東」が付けられたと考えられます。そして、東ゴルトー共和国は、東の金の共和国と変換され、それらは現実世界の北の金の共和国、つまり金一族が支配する北朝鮮を意味しているでしょう。
北朝鮮の拉致問題との関連
北朝鮮が元ネタと考察される東ゴルトー共和国が登場するキメラ=アント編は、いまだ解決の兆しが見えない北朝鮮による拉致問題をモチーフにしたと思われる描写が指摘されます。なぜ、ハンターハンターで北朝鮮の拉致問題が取り上げられたのか、その理由は、富樫先生の出身地と北朝鮮による拉致被害が行われた場所にありました。
ハンターハンターの原作者・富樫義博先生は、山形県出身であり、当時13歳だった横田めぐみさんが北朝鮮に拉致された新潟県とは隣同士でした。そして、自身の作品に北朝鮮を元ネタにした東ゴルトー共和国を登場させた背景には、北朝鮮の拉致問題の解決を願う、富樫先生のスピリチュアルメッセージが込められていると言われています。
コアラのキメラアントとの関連
ハンターハンター・キメラアント編が、北朝鮮の拉致問題が元ネタと言われる理由として、コアラのキメラアントの存在も欠かせません。単行本・19巻で初登場を果たしたコアラは、不可解なセリフから作中で最も謎多きキャラクターとして認識されています。コアラのモデルについて、一部では富樫先生ではないかと考察され、初登場時に「救えねぇ」と意味深な言葉を発しています。
コアラの「救えねぇ」のセリフには、誰かを救うことが出来なかったと解釈され、東ゴルトー共和国の元ネタから、北朝鮮に拉致された日本人を救出できなかったことを意味しているでしょう。そして、コアラと拉致問題の関係を匂わせるセリフは、単行本・32巻にて、コアラが赤髪の女の子に対して懺悔するシーンでも登場し、ある女の子に対して「逃げてくれって祈りながら撃った」と話しています。
コアラの懺悔シーンは、生前のコアラは殺し屋だったことが判明すると同時に、コアラが逃げてと祈った少女は、北朝鮮の拉致被害にあった日本人女性を指していると考察できます。コアラが懺悔した女の子は、メルエムの双子の妹で、カイトを始め複数の人物の生まれ変わりであり、女の髪の色が赤色であることも、日本の女の子であることを強調しているでしょう。
ディーゴ総帥の初登場時の踊り子
マサドルディーゴ総帥の初登場時は、踊り子たちによるショーを楽しそうに鑑賞しながら食事を取るシーンでした。そこで、踊り子たちに着目すると、露出の多い衣装が目立ち、北朝鮮の「喜び組」と呼ばれる女性集団を彷彿させます。劇中で表情が描かれた踊り子の容姿から、マサドルディーゴ総帥の踊り子たちも、東ゴルトー屈指の美女として召集されたことでしょう。
指組の密告システムの元ネタ
東ゴルトー共和国には、「指組」と呼ばれる強力な密告システムがあり、国民の情報を統制することで、国家に反逆する者をあぶりだしています。指組は、同じ家族でもバラバラに組分けされ、他の組が亡命や革命の計画を立てていないか、敵国のスパイが混じっていないかを、お互いに監視しあいます。もし、他の組に怪しい動きがあれば、上層部に密告することが義務づけられ、しかるべく処罰が下されます。
処罰の対象は、犯罪者だけでなく、その人物が所属する組全員に及ぶ連帯責任制が課されます。また、組同士での亡命は、対象となる組だけでなく、振り分けられた家族も処罰の対象とみなされ、終身投獄または死刑を言い渡されます。一方、密告者には、その組に密告ポイントが付けられ、一定のポイントを貯めることで民衆の階級が上がるものの、虚偽の報告も組全体が処罰の対象と見なされます。
東ゴルトー共和国のメルエム到来前と後の状況
蟻の王・メルエム到来前は、腐敗した政治体制に陥っていた東ゴルトー共和国でしたが、メルエムによる総帥の討死を機に、国の運命が大きく変わりました。以下では、東ゴルトーのメルエム到来前と後の状況を紹介します。
東ゴルトー共和国のメルエム到来前
メルエム到来前の東ゴルトー共和国は、島で唯一、ミテネ連邦に非加盟の独立国であり、閉鎖的な外交姿勢は、元ネタと言われる北朝鮮そのものでしょう。そして、東ゴルトーでは、マサドルディーゴ総帥をトップに、指組と呼ばれる徹底した情報統制で民衆を支配し、非常に低い生活水準を国民に強いらせる一方で、一部の高級官僚たちは甘い蜜を吸うという腐敗した政治体制が敷かれていました。
国の顔でもあるマサドルディーゴは、総帥とは名ばかりの裸の王様であり、政治は全て部下に放り投げて、自身は酒と女に明け暮れる毎日を送っていました。東ゴルトー共和国の舵取りは、実質的にビゼフ長官が握り、陰の支配者として君臨しているものの、官僚の中にはビゼフ長官に反発する者もおり、身柄の引き渡しと引き換えに国内情報を外部に漏らす者も少なからず存在しています。
東ゴルトー共和国のメルエム到来後
ミテネ連邦・NGLでは、蟻の王ことメルエムが誕生し、レアモノと称される念能力者の捕食のために、メルエムは直属護衛軍を引き連れて、東ゴルトー共和国に進出します。そして、宮殿に辿り着いたメルエムは、マサドルディーゴ総帥を殺害して国を乗っ取ります。総帥は、ネフェルピトーの念能力によって操られ、スクリーンを通じてマサドルディーゴ総帥の生存をアピールします。
その後、メルエムの策によって宮殿に集められた国民・500万人は、メルエムの食料化になると同時に、「選別」計画にかけられ、念能力者による軍隊を作り上げるべく、暴力による恐怖が支配する国へと変貌しました。しかし、メルエムの計画は、モラウ率いる討伐隊による襲撃や、ネテロの最終兵器・貧者の薔薇の発動により、失敗に終わりました。
その後、自身の死期を悟ったメルエムは、人間たちに降伏すると宮殿を去り、コムギの元で最期を迎えました。一方、ビゼフ長官は、連合国からの捕縛を逃れるべく、ヒナ・ウェルフィンと共に流星街へ旅立っています。ディーゴ総帥・ビゼフ長官・メルエムを失った東ゴルトー共和国は、国家としての基盤を失い、国際保安維持機構から廃国とみなされ、ミテネ連邦の支配下に置かれることになりました。
また、東ゴルトー共和国で勃発したキメラ=アントによる生物災害は、終戦後に遺体が発見された、マサドルディーゴ総帥による無理心中的な大量虐殺として偽装され、真実は闇に葬り去られました。その頃、ある田舎では、30年に渡って晴耕雨読の生活を送る男性がクローズアップされ、その正体は30年前に国外に亡命したマサドルディーゴ本人でした。
東ゴルトー共和国に関する感想や評価
実在の国をモデルに描かれ、多くの話題を呼んだ東ゴルトー共和国に関する感想や評価を紹介します。
感想1:ディーゴ総帥の容姿が金正恩委員長にそっくり
ハンターハンターにディーゴ総帥(の影武者)が出てくるんだけどよ、金正恩に似すぎやしないか? pic.twitter.com/zTjIL1yjse
— ルト (@ATMpaQ) April 16, 2017
ハンターハンターの世界でも異色の独裁国家として描かれた東ゴルトー共和国は、その政治体制から北朝鮮がモデルであると多くの考察が飛び交っています。また、キメラアント編では、いまだ解決の兆しが見えない拉致問題を元ネタする描写も指摘されています。一方、劇中では影武者と判明したマサドルディーゴ総帥について、一部では金正恩委員長に似ているとの言われ、北朝鮮モデル説に拍車をかけています。
感想2:キメラアント編に感動
ハンターハンターキメラアント編まで読んだけど俺が今まで読んできた漫画の中で1番かもしれん
— miya (@gorosyogun_pana) April 21, 2020
ハンターハンターの中で最も過激な描写が多いと言われるキメラアント編ですが、その感動的なラストに多くの読者が涙を見せました。ファンの間では、メルエムの最期を見守るコムギの姿を名シーンが支持される一方で、本物のマサドルディーゴ総帥の登場や晴耕雨読生活を送る姿にも、多くの注目が集まりました。マサドルディーゴ総帥の思わぬネタバレも、キメラアント編の印象的なシーンとして支持されています。
感想3:メルエムとコムギの最後に涙
ハンター×ハンター キメラの最後のメルエムとコムギの絡み、何回観ても涙が溢れる。わかってるのに涙が止まらない。#ハンターハンター#キメラアント
— kiki40123 (@kiki_nanako) June 28, 2019
東ゴルトー共和国が登場するキメラアント編のラストは、薔薇の毒に冒されたメルエムの最期とコムギの姿で締めくくられました。軍議を通じて心を通じ合わせた2人の関係は、蟻・人間という種族の壁を越えた優しいものでした。強靭な蟻たちとの死闘やゴンの壮絶な結末など、残虐なシーンが多いキメラアント編でしたが、読み終えるたびに涙を誘う感動的な最後で締めくくられました。
東ゴルトー共和国のモデルまとめ
ハンターハンター・東ゴルトー共和国のモデルや元ネタ、総帥・名前の由来や、劇中に隠された北朝鮮の拉致問題との関係などを考察を交えながら紹介しました。劇中では無能な影武者が国のトップに君臨していましたが、本物のマサドルディーゴが政治に関わり続けていたら、東ゴルトー共和国の運命も変わっていたことでしょう。