2020年02月14日公開
2020年02月14日更新
【はだしのゲン】朴さんと中岡家の関係は?感動の米エピソードや再登場・その後も紹介
「はだしのゲン」に登場する朴さんは中岡家の隣に住む朝鮮人であり、劇中では中岡家と同様に町内で差別や迫害を受けながらも、中岡家と良好な関係を築き続けた心優しい人物です。。本文では「はだしのゲン」の朴さんのプロフィールや、いい人と称される優しい性格、朴さんと中岡家との関係や感動の米エピソード、劇中での活躍やお金持ちとなって再登場したその後の動向などを紹介します。
目次
はだしのゲンの朴さんとは?
「はだしのゲン」に登場する朴(ぼく)さんは、中岡家の隣にすむ朝鮮人で、劇中では、中岡家と同様に差別や迫害を受けていた人物の1人です。劇中では、ゲンたち中岡家と良好な関係を築き、時には援助を施すなど、優しくいい人柄の持ち主です。以下では、「はだしのゲン」朴さんのプロフィールや、いい人と称される性格、中岡家との関係や感動の米エピソード、お金持ちとなって再登場したその後の活躍を紹介します。
はだしのゲンの作品情報
原作者・中沢啓治先生の代表作「はだしのゲン」は、原爆投下を受けて荒廃した広島を舞台に、戦争末期~終戦後の激動の時代をたくましく生き抜く主人公・中岡元(通称ゲン)の活躍や成長を描いた漫画作品です。本作品は、1973年に「週刊少年ジャンプ」で連載が始まり、その後、掲載雑誌の移籍を経て、1987年に「はだしのゲン」第一部が完結しました。
「はだしのゲン」は、上京したゲンのその後を描いた第二部・東京編が発表される予定でしたが、作者の持病を理由に執筆が断念されました。作者の実体験を基に執筆された漫画「はだしのゲン」は、戦争や原爆がもたらした悲劇がありのままに描かれています。そして、「はだしのゲン」は、アニメーション映画やテレビドラマ化され、日本だけでなく世界中の人々に、戦争の撲滅と世界の平和を訴え続けています。
はだしのゲンの概要
漫画「はだしのゲン」では、舞台となった広島原爆だけでなく、戦時中の日本で横行していた戦争を肯定する運動や、中岡家のお隣さん・朴さんなど朝鮮人に対する差別や迫害についても触れています。また、漫画「はだしのゲン」では、原爆投下直後の広島の惨劇をはじめ、過激な描写も多いことで知られ、近年では、子供の平和学習の教材に相応しくないとの指摘から、一部の自治体では閲覧制限が設けられています。
はだしのゲンのあらすじ
1945年8月6日。広島市に住む国民小学校・中岡元(ゲン)は、登校途中に原爆投下に巻き込まれます。しかし、壁の陰になっていたため、奇跡的に一命を取り留めるも、変わり果てた街の姿に、ゲンは驚きます。そして、現状を理解できないまま自宅へ戻ると、身重の母・君江が、家屋の下敷きになった父・大吉、姉・英子、弟・進次の救出を行なっていました。
しかし、火の手が近くに迫る中、大吉はゲンと君江に逃げるように促し、2人は安全な場所へ避難しました。その後、家族を失ったショックから産気づいた君江は、女の子を出産します。そして、広島の街の現実を受け入れたゲンは、君江と末妹・友子を共に、たくましく生き抜いていきます。
朴さんのプロフィール
「はだしのゲン」に登場する朴(ぼく)さんは、中岡家の隣に住む、ロイド眼鏡が特徴の朝鮮人です。劇中では、戦争反対を掲げる中岡家と同様に、朝鮮人という理由から、近隣住民から酷い差別・迫害を受けていました。原爆投下時には、奇跡的に命を取り留めるも、重傷を負った父親の救護時に、朝鮮人という理由から日本軍から父親の受け入れを拒否され、一時は、日本人に対する激しい憎悪を見せました。
しかし、原爆投下以前から、親しくしていたゲンの優しさに触れた朴さんは、憎悪に染まることなく以前のようないい人に戻ります。再登場時には、ヤミ市で成功したことでお金持ちになりましたが、ゲンたち中岡家へ惜しみない援助を差し伸べるなど、陰ながらゲンたちを支え続けました。また、終戦後に故郷で起こった朝鮮戦争を嘆く発言をしています。
朴さんの性格はいい人?
「はだしのゲン」で描かれた朴さんは、朝鮮人という理由から、近隣住民から差別や迫害を受けていました。しかし、どんなにつらい境遇に置かれても、決してくじけることのないちから強さや、分け隔てなく接してくれたゲンたち中岡家に対するやさしさは、劇中でも度々描かれており、「はだしのゲン」では、数少ないいい人物に挙げられます。
朴さんは強制連行された朝鮮人?
「はだしのゲン」で描かれた朴さんに対する迫害や差別描写は、日本人の朝鮮人に対する偏見を映し出しています。また、朴さんの正体について、当時の時代背景から、旧日本軍によって強制連行された朝鮮人と考察されます。「はだしのゲン」に描かれた朝鮮人を対象にした徴用は、法律が施行された1994年9月~終戦まで行なわれ、一部では「強制連行」との見解も挙げられています。
強制連行は、戦争の激化や召集命令により、日本で不足した労働力を補うために、植民地化した朝鮮半島の人々を徴用工として、日本に送り込んだ出来事を指します。しかし、朝鮮人の強制労働について、学界では様々な見解が飛び交っており、日本・韓国政府間でも、双方の主張の食い違いにより、議論が交わされています。
はだしのゲンの朴さんと中岡家の関係
漫画「はだしのゲン」では、周囲から非国民と差別を受ける中岡家の苦境が強調して描かれる一方で、朴さんのいい人柄は、読者の心を和ませます。以下では、「はだしのゲン」の朴さんと中岡家の関係を紹介します。
中岡家とは?
中岡家とは、「はだしのゲン」の主人公・中岡元の実家であり、父・母・兄2人・姉1人・弟1人で構成されています。劇中序盤にて、ゲンの長兄は海軍へ、次兄は集団疎開へ赴いたため、原爆投下時の中岡家は、お腹の子供を含めた6人家族でした。「はだしのゲン」では、父・大吉が戦争を反対していたことから、戦時中は町内で非国民と呼ばれ差別や迫害を受けています。
「はだしのゲン」初期に描かれた中岡家に対する差別には、戦時中の日本に浸透していた戦争を肯定する考えが反映されています。そして、劇中では、父・大吉が特高警察に連行・拷問を受けるシーンも描かれ、非国民こと戦争反対主義者に対する厳しい現状を感じさせます。
朴さんと中岡家の関係
周囲からの迫害にもめげず、戦争反対を訴え続けてきた中岡家では、当時、迫害や差別の対象とされていた朝鮮人に対しても、分け隔てなく優しく接する教えが浸透していました。父・大吉は、日本が平和な国を築き上げるには、朝鮮や中国の人々とも仲良くすることが大切であると説き、中岡家の隣に住む・朴さん一家に対しても、好意的に接していました。
同時に、中岡家の優しさや、大吉の考えに共感した朴さんも、ゲンたち中岡家に対して好意的に想っており、大吉に対して尊敬の念を抱いています。そして、「はだしのゲン」では、中岡家に何か起これば、つかさず救いの手を差し伸べるなど、朴さんの心優しくいい人柄は、ゲンたちの心の支えになりました。
「はだしのゲン」に登場する朴さんは、戦時中、中沢先生の近所に住んでいた朝鮮人をモデルに描かれ、中沢先生も親しい付き合いをしていたことが明かされています。しかし、モデルとなったその一家は、自宅が強制疎開に当たったことから、どこかへ引っ越していき、その後、会うことが出来なかったと言われています。
はだしのゲンの朴さんの感動の米エピソード
戦争や広島原爆の悲惨さが強調されがちな「はだしのゲン」ですが、初期に描かれた朴さんのお米のエピソードは、多くの読者に感動と人に優しくすることの大切さを教えました。以下では、「はだしのゲン」朴さんの感動の米エピソードと、当時の米の存在を紹介します。
朴さんの感動の米エピソード
「はだしのゲン」初期にて、戦争反対を掲げるゲンの父・大吉は、とうとう非国民として、特高警察に連行される羽目となりました。憲兵に拘束された大吉は、壮絶な拷問を受けるも、ようやく釈放が許され、自宅へ戻ることが出来ました。その時、大吉が帰ってきたことを知った朴さんは、お祝いと称して白米を中岡家に贈り、受け取った中岡家は、朴さんの優しさに感謝します。
当時の米の存在
戦時中の食料は、軍から配られる配給であり、食料は家族数に応じた量が与えられました。しかし、戦争の激化に伴い、配給に割り当てられる食料の確保が厳しくなり、お米の配給も少なくなりました。一般家庭では、お米にあわや麦、雑穀や野菜を混ぜてかさを増やして食していましたが、そのお米は玄米でした。そして、戦争末期には、深刻な食料不足から、カボチャなどの代用食が食べられていました。
一方、高級将校のように、一部の特権階級の食事には白米が出ることがあり、その豪華な見た目から「銀シャリ」と呼ばれていました。そして、戦争末期には、お金持ちの間でも、白米を手に入れる状況が困難となりました。
はだしのゲンの朴さんの再登場・その後
終戦後、ヤミ市の成功を受けてお金持ちとなった朴さんは、「はだしのゲン」再登場時に描かれた変貌ぶりに、ゲンだけでなく、読者も驚かせました。しかし、お金持ちとなって再登場した後も、戦時中と変わらず、ゲンたちに援助の手を差し伸べるなど、変わらずいい人であり続けた姿が描かれました。以下では、「はだしのゲン」の朴さんの再登場と、お金持ちになったその後を紹介します。
朴さんが君江を助けるシーン
「はだしのゲン」でピカドンと呼ばれる原爆投下後、朴さんは奇跡的に生存することが出来、ゲンと再会を果たします。そして、家屋の下敷きとなった夫・娘・息子の死を目の当たりし、パニック状態に陥ったゲンの母・君江を、ゲンと朴さんが安全な場所へ避難させます。その後、君江は女の子を出産し、ゲンと別れた朴さんは、父親の行方を捜しに向かいしました。
後に、朴さんの父親は、瀕死の重傷を負った姿で発見され、朴さんは、日本軍が設置した救護所へ駆け込みました。しかし、広島が悲惨な状況に陥りながらも、朝鮮人に対する差別が横行していた現状は、朴さんの心に大きな傷を与えました。そして、手当てを受けることが出来なかった朴さんの父親は、苦しみながら息を引き取り、いい人だった朴さんの心には、日本人に対する憎悪が芽生え始めます。
その後、朴さんの元を訪れたゲンにも、日本人に対する怒りをぶつけてしまう朴さんでしたが、変わらず優しく接してくれたゲンの姿や、父親の棺桶作りを通じて、朴さんの心にも変化が現れます。そして、父親の荼毘を終えた頃には、以前のいい人だった朴さんの姿に戻ると同時に、辛い境遇の中を力強く生きていくことを決意します。
再登場時・その後の朴さんは金持ちに?
父親の葬儀を最後に姿を消した朴さんでしたが、ゲンの妹・友子が危篤状態に陥った頃にゲンと再会を果たします。再登場した朴さんの姿は、一見するとヤクザと見間違えてしまいそうですが、実際は、ヤミ市での商売に成功し、お金持ちになったことが判明します。そして、ゲンから友子の状況を聞かされた朴さんは、ゲンに薬代を手渡し、友子の回復を祈りました。
お金持ちとなった朴さんの好意を受けたゲンは、薬など必要なものを買い集め、帰路につきましたが、既に友子は息を引き取っていました。その後も、中岡家と朴さんの交流は続き、ゲンたちから依頼がくれば、その都度、惜しみない援助を与えました。一方で、お金持ちとなっても、朴さんの姿は、中岡家と隣同士だった頃と変わらない、いい人であり続けました。
はだしのゲンの朴さんに関する感想や評価
「はだしのゲン」のキャラクターの中で好印象が持たれた朴さんでしたが、再登場時の変貌ぶりは、ゲンだけでなく、漫画「はだしのゲン」の読者も驚かせました。以下では、はだしのゲンの朴さんに関する感想や評価を紹介します。
感想1:何度も読み返したくなる名作
また『#はだしのゲン』読みたくなった
— 🌹ちょんまげパパ(地毛で沖田総司スタイル)/当然れいわ新選組支持!推しはやすとみ歩 (@takotakodan_) September 4, 2019
-抜粋-
朝鮮の人や
中国の人
みんなと仲良くするんだ
それが
戦争を防ぐ
たった一つの道だ pic.twitter.com/vVJiwe4zfa
中沢先生の実体験をありのままに描いた漫画「はだしのゲン」は、過激すぎる描写から、一部の保護者から批判的な意見が寄せられる一方で、戦争だけでなく、様々な教訓が散りばめられた名作であると、肯定的な意見も見られます。大人になっても怖いイメージがつきものの「はだしのゲン」ですが、何度も読み返したい、不思議な魅力に富んでいます。
感想2:朗読劇はだしのゲンに感動
学校の図書室で原作を読み、
— KK(窪田泰明)@Driver (@Jealoussic_KK) August 4, 2019
学校行事でアニメ版を鑑賞した
世代のオッサンにも、
初めて見た時の衝撃が蘇る素晴らしい朗読劇でした。
特に
「兄ちゃん熱いよー!」
は弟を持つ自分に、今も昔も
胸を締め付ける感情と涙でグッと来るものがありました。
思い出させてくれて感謝です。#はだしのゲン
「はだしのゲン」と言えば、原作の漫画版やアニメーション映画が広く知られる一方で、近年では、朗読劇という新たな表現方法が注目されています。朗読劇「はだしのゲン」は、視覚による過激な描写が取り払われた分、ゲンたち登場人物たちへの感情移入しやすく、従来の作品を苦手とする方でも無理なく楽しめる作品として、人気を集めています。
感想3:戦争の怖さを教えてくれた
#はだしのゲン は必読書。夏の課題図書にしてほしいな。
— 小松由佳☆声 (@soyyuka) August 5, 2019
世界中の人たちに読んでほしい。
子供のとき、本当に怖かった。怖くてページを触れなかったくらい。
だから本当に戦争は嫌だと思ったんだもん。#原爆の日
終戦から75年を迎えた2020年。戦争経験者の高齢化に伴い、語り部の数が減少する一方で、漫画「はだしのゲン」は、作者が身を持って経験した広島の悲劇や戦争の悲惨さを知ることができる、身近な作品です。漫画「はだしのゲン」の読者からは、本当の意味で戦争の恐ろしさを知ることができ、同時に、戦争は絶対に引き起こしてはいけないという、考えを持つきっかけになったという感想が多く寄せられています。
はだしのゲンの朴さんと中岡家の関係まとめ
「はだしのゲン」の朴さんのプロフィールや、いい人と称される朴さんの性格、ゲンたち中岡家との関係、感動の米エピソード、再登場とお金持ちとなったその後を紹介しました。劇中では、中岡家と同様に、差別や迫害の対象と見なされた朴さんでしたが、朴さんのいい人柄や中岡家との良好な関係は、現実世界にも通じる大切な教訓を、読者に与え続けています。