2020年01月19日公開
2020年01月19日更新
はだしのゲンの名言をまとめて紹介!心に残る名セリフをキャラ別に厳選
中沢啓治先生の実体験を基に描かれた漫画「はだしのゲン」は、1945年8月6日に原爆投下を受けた広島市を舞台に、主人公・中岡元が、荒廃した広島の地でたくましく生き抜く姿を描いた戦争漫画です。広島の悲劇をありのままに描いた「はだしのゲン」は、数多くの名言が生み出されました。本文では、漫画「はだしのゲン」の主人公・ゲンや彼の父・母たちの名セリフ・名言一覧を厳選して紹介します。
目次
はだしのゲンとは?
出典: https://qtc.jp
中沢啓治先生の代表作「はだしのゲン」とは、原子爆弾が投下された広島を舞台に、激動の時代を生き抜く少年・中岡元の半生を描いた戦争漫画です。以下では、戦争や原爆がもたらした恐怖をありのままに描いた漫画「はだしのゲン」から、主人公・中岡元や彼の父・母、ゲンに関わる人物たちの名言一覧を紹介します。
はだしのゲンの概要
国内外で高い評価を受ける漫画「はだしのゲン」は、原作者・中沢啓治の実体験を基に描かれた作品で、1973年~1987年にかけて「週刊少年ジャンプ」で連載されました。原爆投下後の広島の惨劇や、人々の変わり果てた姿など、過激すぎる表現方法や内容から、2020年現在も様々な意見が飛び交う一方で、アニメ化やドラマ化等の数多く制作されており、幅広い世代から多くの反響を呼んでいます。
はだしのゲンのあらすじ
戦況が悪化の一途を辿る1945年の広島県広島市に暮らす中岡元(通称:ゲン)は、反戦思想を掲げる父の影響により、周辺住民からは「非国民」と罵られ、嫌がらせを受ける日々を過ごしていました。しかし、ゲンたち中岡家は、戦争支持者からの迫害にも屈せず、麦のようにたくましく生きながら戦争が終わることを願っていました。そして、1945年8月6日、アメリカ軍による原子爆弾の投下が実施されました。
原子爆弾から放たれた熱放射は、広島の街を一瞬にして地獄へと変貌させ、多くの市民の命を奪いました。一方、学校に向かっていたゲンは、ブロック塀が防護壁となり難を逃れ、彼の母親もベランダから吹き飛ばされたことや、建物の陰に居たため一命を取り留めました。しかし、ゲンの父・姉・弟が家屋の下敷きとなり、命を失い、同時に身重だったゲンの母は、原爆投下の翌日に女の子を産み落とします。
そして、数少ない生存者となったゲンは、母と乳飲み子の妹、亡くなった弟・進次に瓜二つの少年・近藤隆太と共に、放射能の影響に苦しみながらも、荒廃した広島の街で必死に生き抜いていきます。
はだしのゲンは実話?
漫画「はだしのゲン」は、原作者・中沢先生が当時の国民学校1年生の時に、広島で巻き込まれた原爆の被爆体験が基となっており、劇中にてゲンが一命を取り留めたシーンや、ゲンの母親が火葬後に骨が残らなかったエピソードは、中沢先生の実体験であることが明かされています。そして、母親の死に関するエピソードは、中沢先生が漫画「はだしのゲン」を生み出すきっかけになりました。
はだしのゲンの中岡元の名言・名セリフ一覧
戦争や原爆がもたらす恐怖や、戦争反対の思想を漫画を通じて世界中に訴え続ける「はだしのゲン」の主人公・中岡元の名言・名セリフ一覧を紹介します。
中岡元の名言①「ち、ちくしょう…」
人が泥棒行為に走るようになった原因は、その人の意志の弱さではなく、そのような人間を生み出した戦争やピカ(原爆の光線)にあると訴えるゲンの名言です。
ち、ちくしょう ドロボウをしなくてはいけないようにしたのは戦争じゃ ピカじゃ あいつら悪くないんじゃ 悪くないんじゃ~っ
中岡元の名言②「巡査さんもヤミ米を…」
深刻な食糧不足を解消するには、例え警察官であろうとヤミ市を利用しなければ、食糧を手に入れることが難しい状況でした。しかし、同じコメを食べていながら、なぜゲンたち市民が捕まって、警察官は逮捕されないのか、世の中の矛盾を指摘したゲンの名言です。
巡査さんもヤミ米を食うとるのになんでわしらをつかまえるんじゃ ヤミ米を食わんと わしらも巡査さんも死ぬるんじゃ おかしな法律じゃのう
中岡元の名言③「戦争を終わらせた…」
日本が戦争をやめたのは、アメリカに武力で負けたのではなく、原爆が投下された広島・長崎の惨劇によるものだと訴える、中岡元の名言です。戦後70年以上がたった現在も、日本は、核兵器の恐ろしさを知る唯一の被爆国であり、広島・長崎で起きた悲劇を二度と繰り返してはいけない、原作者・中沢先生の核開発や核戦争に対する反対の意志が込められているでしょう。
戦争を終わらせたのは広島、長崎、約30万人以上の死者と生き残った被爆者約37万人の姿じゃ・・・ 日本人は広島、長崎の犠牲に感謝せんといけんわい 生き残れて安心して眠れる戦争のない世の中にしたんじゃけえ いや、世界中の国々も広島、長崎に感謝せんといけんわい 核兵器の恐ろしさを知ったんじゃけえ 地球が滅びる核戦争をふせいでおるんじゃけえ
中岡元の名言④「年の初めに…」
めでたいお正月に浮かれて、ふざけているように思える中岡元の名言ですが、ゲンをはじめとする被爆者の苦しさや、先の見えない未来に悲観する人々の様子も見え隠れしています。
年の初めに モチくうて~~~ 終わりなき世に下痢をして~~~ 松竹ひっくり返して大騒ぎ 祝う今日こそ 悲しけれ~~~
はだしのゲンの父の名言・名セリフ一覧
漫画「はだしのゲン」のゲンの父は、戦争反対の思想を掲げていたことから、中岡家が「非国民」というレッテルを貼られ、戦争主義者の近隣住民から迫害されるきっかけをもたらしました。しかし、ゲンの父が訴える戦争反対の思想は、現在も多くの支持を集めています。以下では、「はだしのゲン」のゲンの父・中岡大吉の名言・名セリフ一覧を紹介します。
ゲンの父の名言①「踏まれても踏まれても…」
周辺住民から執拗な嫌がらせを受けても、戦争反対を最期まで訴え続けた、ゲンの父の揺るぎない意志が込められた名言です。生前は、妻も飽きれるほどの頑固オヤジであったものの、息子・ゲンの生き方に強い影響を与えるなど、麦のように力強い生き様は多くの人びとの尊敬を集めています。
踏まれても踏まれても真っ直ぐ伸びる麦のように強くなれ
ゲンの父の名言②「資源のない小さな…」
資源に乏しく、国土も狭い日本を客観的に捉えた、ゲンの父の名言です。やみくもに戦争を反対していただけでなく、日本という国が世界と対等に渡り合うための方法を説いた、ゲンの父の先見の明を感じさせます。また、ゲンの父のそのような思想は、近所に住む朝鮮人・朴さんに対する姿勢にも表れているでしょう。
資源のない小さな国の日本は、平和を守って、世界中と仲良くして、貿易で生きるしか道はないんだ
ゲンの父の名言③「卑怯者、臆病者と言われても…」
戦時中の日本では、軍人になり、お国のために戦い、死んでいくことは名誉なこととされており、戦争に反対する人間は、自分の命を惜しむ卑怯者・臆病者と差別的な目で見られていました。しかし、ゲン父は、戦争で命を奪い合うことよりも、例え敵国だろうと人の命を守ることが大切だと訴え、命の尊さを説いた名言でしょう。
卑怯者、臆病者と言われてもええ、非国民とののしられてもええ 自分の命、人の命を大切に守ることが いちばん勇気のいることなんじゃ
はだしのゲンの母の名言・名セリフ一覧
漫画「はだしのゲン」のゲン母は、原爆投下時に運よく一命を取り留めるも、目の前で夫・子供たちの壮絶な最期を目撃し、残されたゲンたち共に必死に生き抜くも、最期は原爆症によるガンで亡くなります。以下では、「はだしのゲン」のゲンの母・中岡君江の名言・名セリフ一覧を紹介します。
ゲンの母の名言①「戦争に負けると…」
戦争と原爆により、夫・娘・息子を失ったゲンの母の戦争に対する恨みや、原爆に巻き込まれて亡くなった人々への弔いの意を感じさせるゲンの母の名言です。ゲンの母こと中岡君江も、終戦後、原爆症で命を落としており、戦争を止めることが出来なかった日本国民の無力さや、戦争をあおる世論に対する報復が表現されているでしょう。
戦争に負けるとわかっていたなら なぜもう少し早く戦争をやめてくれなかったのかね・・・せ・・・せめて一週間前に戦争が終わっていたら広島も長崎も新型爆弾を落とされずに何十万の人たち死なずにすんだのに・・・
ゲンの母の名言②「お前が大きくなったら…」
家族の壮絶な最期をはじめ、文字通りの生き地獄を経験したゲンの母・君江は、戦争がもたらした悲劇や恐怖を誰よりも感じていたことでしょう。そして、原爆投下の翌日に生まれた末娘・友子の誕生は、君江やゲンに希望を与え、戦争のない世の中を求める君江の願いが込められた名言が生まれました。
お前が大きくなったら二度とこんな姿にするんじゃないよ・・・ いいね、いいね・・・
ゲンの母の名言③「戦地から帰ってきた人たち…」
夫と同様に、戦争には反対の意志を掲げてた母・君江でしたが、国を守るために必死に戦い抜いてきた帰還兵に対する、ねぎらいや敬意が込められた名言でしょう。
戦地から帰ってきた人たちは魂が抜けたように無気力になってブラブラしている・・・無理もないね・・・ 命をかけて必死で国のため戦ってきたんだもの
はだしのゲンのその他の名言・名セリフ一覧
主人公・中岡元の半生を軸に描いた漫画「はだしのゲン」は、父・大吉を始めとする中岡家の人間だけでなく、ゲンを取り巻く多くのキャラクターからも、奥の深い発言が見られます。以下では、「はだしのゲン」のその他の名言・名セリフ一覧を紹介します。
近藤隆太の名言「人のものは…」
ゲンの弟分・近藤隆太は、ゲンの弟・進次に瓜二つの少年で、原爆投下後に両親を失った戦争孤児です。初登場時は、ゲン母子が持っていた米を盗むなど悪事を働いていたが、生きるためには手段を選ぶことが出来ない、隆太の過酷な生活を感じられるでしょう。
人のものはワシのもの、ワシのものはワシのもの
近藤隆太の名言「ばばあがクソつぼに…」
乳飲み子を抱えたゲン母子は、君江の友人の元へ身を寄せることとなり、その先で友人の姑から執拗な嫌がらせを受け始めます。その後、意地悪な姑は、肥溜めに落ちるという天罰が下され、その光景を目撃した隆太が目撃します。隆太の名言には、家族のように慕うゲン母子を大切に想う心や、姑がこれまでに働いた嫌がらせの大きさが表現されているでしょう。
中尾光子の名言「おばさんも…」
中尾光子は、医師を志すゲンの初恋の相手です。劇中では、原爆症による白血病で亡くなるも、彼女の死は、犬猿の仲だったゲンと父・重蔵が和解するきっかけをもたらしました。中尾光子の名言は、戦争の責任は、男性だけでなく、戦争に反対しなかった女性にも責任があることを指摘し、もし、女性たちが一丸となって戦争に反対していれば、悲劇は起こることはなかったとや、日本人の女性の無力さを表現しているでしょう。
おばさんも国防婦人会や愛国婦人会に入って自分の大事な主人や息子に国のため天皇のために立派に死んでこいと言うたんでしょう 女にも戦争を起こした責任はあるんだ 日本中の女が体を張って反対したら男の思うようにできず戦争は防げたはずよ
朴さんの名言「軍医さん、わしらは…」
中岡家の近所に住む朴さんは、朝鮮人という理由で周辺住民から迫害を受けていました。しかし、中岡家では周囲の反応を無視して、朴さんと分け隔てなく接していたことから、原爆投下後もゲンたちを陰ながら支え続けました。以下に紹介する朴さんの名言からは、戦時中の日本で横行していた朝鮮人に対する差別が、色濃く表現されているでしょう。
軍医さん、わしらは朝鮮からむりやり日本へ連れてこられて、日本のために一緒に戦場で戦った・・・ 日本のために一生懸命働いているんだ なぜ手当てをしてくれないんです
吉田政二の名言「ゲン、情けないのう…」
吉田政二は、原爆により全身にやけどを負い、それ故に家族や近所から忌み嫌われていた、画家志望の大学生です。劇中では、政二の兄の依頼で訪れたゲン・隆太との出会いを経て、再び画家として筆を取るも、病状を悪化させて死亡し、ゲンと隆太の手で荼毘に付されました。吉田政二の名言からは、人間の心の闇を表現しているでしょう。
ゲン、情けないのう・・・ たった一枚の皮膚がはげただけで人間の心はこうまでかわるのかのう 血を分けた兄貴までがわしにちかよらんのじゃ
はだしのゲンに関する感想や評価
戦争の恐ろしさをありのままに描いた漫画「はだしのゲン」は、平和学習の教材としてアニメ版を視聴した大人も多く見られます。以下では、「はだしのゲン」に関する感想や評価を紹介します。
感想1:戦争や原爆の残酷さを知った漫画
#はだしのゲン
— ハル🐥 (@halu3515) August 5, 2019
私が広島原爆の残酷さを知ったのは
学校図書にあった
この漫画からだった
数年前、この漫画のあまりの悲惨さに
学校図書から撤去の動きがあった
今では世界各国23か国に
翻訳されている
後世に伝えたい#広島原爆の日 pic.twitter.com/oP0Ey83zIe
漫画「はだしのゲン」は、作者・中沢先生の実体験を基にして描かれているため、現代では過激すぎる作画が問題視されています。一方で、広島及び長崎に投下された原爆がもたらした残劇は、歴史の授業だけでは知る事が出来ません。あまりにも過激すぎる描写から、全国で様々な動きが見られる「はだしのゲン」ですが、広島・長崎の悲劇を繰り返さないため、後世にも伝え続けていきたい名作です。
感想2:広島の悲劇を忘れないために
#はだしのゲン を図書室でよく読んでました。明日8月6日は広島に #原爆 が投下された日ですね。はだしのゲンの描写があまりにもリアル過ぎるとして。各地の図書館で置かない事が決定された。今の広島は見事に復興してその痕跡はなかなか見れません。僕らから知ろうと努めないとこの愚かさは風化する pic.twitter.com/E47YRwxOfO
— みのり🍁🌾🍂 (@vmroCaNsyxWdHPq) August 5, 2019
2020年は、広島及び長崎への原爆投下、日本が終戦を迎えて75年目の節目の年です。しかし、時代を経ることに、戦時中の日本で起こった悲劇の痕跡や、その時代を知る証言者の高齢化など、戦争を身近に知る機会が失われつつあります。このように、戦争に対する意識が薄れつつある中、漫画という媒体で残された「はだしのゲン」は、アニメやドラマへと姿を変えながら、広島の悲劇を訴え続けています。
感想3:「はだしのゲン」の閲覧制限に疑問
はだしのゲンの撤去要請ってなに考えてんだ!
— クリーク (@sueparadaisu) December 4, 2019
俺なんて全巻持ってたけど原爆資料館に行った時にもう一度全巻改めて買ったよ
時代に合わないってなんだ?その時代を乗り越えて来たから今があるんだろ!
俺は絶対に反対!現実にあった事を子供に教えておくべきだよ#はだしのゲン #広島 #広島県 #原爆 pic.twitter.com/MTi5MzJW8l
海外でも高い評価を得る漫画「はだしのゲン」は、過激過ぎる描写が問題視され、2012年から「はだしのゲン」に閲覧制限を設ける動きが起き、一部の自治体で実施されました。子供にトラウマを与えるとの理由から作品の閲覧制限に肯定的な意見が見られた一方で、戦争の本当の恐怖を知る機会が失われたとして、反対する声も少なからず登場し、平和学習の在り方や「はだしのゲン」に対する評価について議論が交わされています。
はだしのゲンの名言・名セリフまとめ
漫画「はだしのゲン」の主人公・中岡元や登場キャラクター達の名言・名セリフ一覧を紹介しました。過激すぎる作画から、現在も一部の自治体で閲覧制限が設けられている「はだしのゲン」ですが、作者・中沢先生の実体験を基に描いた本作品は、広島の惨劇をありのままに伝えた貴重な作品です。そして、漫画「はだしのゲン」は、世界平和を願い続けた中沢先生の意思が、ゲンたちの言葉を通じて訴えられています。