2019年10月27日公開
2019年10月27日更新
【鋼の錬金術師】スロウスは怠惰のホムンクルス!トンネルを掘っていた理由とは?
月刊少年ガンガンで9年余りにわたり連載された、荒川弘によるダーク・ファンタジー漫画「鋼の錬金術師」。作中に登場する、錬金術師により創り出されたホムンクルスの7人兄弟たち。本記事で取り上げるのは、その中で「怠惰」と名付けられた大男のスロウスです。これから、スロウスがほたすらトンネルを掘っていた理由や彼の強さの秘密、さらにはアニメで声を担当する声優の紹介まで、気になる情報をまとめてお届けします!
スロウスは怠惰のホムンクルス
鋼の錬金術師の作品情報
本記事で特集する、怠惰のホムンクルス・スロウスの話題に入る前に、彼が登場する漫画「鋼の錬金術師」の作品情報を紹介します。
鋼の錬金術師の概要
荒川弘によるダーク・ファンタジー漫画「鋼の錬金術師」。スクウェア・エニックス社の月刊少年ガンガンに2001年8月から2010年7月まで9年間にわたり連載されました。公式でも使われている略称は「ハガレン」。また、英語版題名Fullmetal Alchemisの頭文字から「FA」と表記されることもあります。
19世紀ヨーロッパの雰囲気を持ち、錬金術が世を席巻している架空の国・アメストリスを舞台に、病死した母を蘇らせようと人体錬成という禁じ手を使ってしまった兄弟の冒険を描くダーク・ファンタジー漫画となっています。緻密なストーリー展開とリアルで迫力ある画像・映像が人気を集め、メディアミックスも盛んに行われています。
コミックスの世界累計売上部数は、2017年11月現在7000万部を突破。スクウェア・エニックス社では過去最高を記録しており、国内コミックスの中でもトップ20に入っています。とりわけ最終回となった月刊少年ガンガン2010年7月号は、発行部数を2割程度増刷していたにもかかわらず完売しその後読者からの要望が多かったため、9月号に再度最終回を掲載するという異例の対応が取られています。
鋼の錬金術師のあらすじ
次に本作「鋼の錬金術師」のあらすじを紹介します。前述のように、物語の舞台は錬金術が当たり前のように存在する、19世紀ヨーロッパの雰囲気漂う架空の国・アメストリス。リゼンブールという田舎町で、有名な錬金術師である父・ヴァン・ホーエンハイムと母トリシャ・エルリックの間に生まれたエドワードとアンフォルス兄弟。その後、最愛の母は病で帰らぬ人となってしまいます。
母の死を受け入れられない兄弟は、母を蘇生させようと錬金術では固く禁じられている「人体錬成」を実行します。ところがその試みは失敗に終わり、兄のエドワードは左足を、そして弟のアルフォンスは身体全体を失ってしまいました。弟まで失ってしまったことにショックを受けたエドワードは、自らの右腕を差し出し弟アルフォンスの魂を父のコレクションである鎧(よろい)に弟の魂を定着させることに成功します。
しかし、結果として右腕まで失ってしまったことを悔やむエドワードは、体を取り戻すことを決意。国家錬金術師の資格を取得したエドワードは、右腕と左足に機械鎧を取付け、弟アルフォンスと共に元の肉体を取り戻すため絶大な力を持つとされる賢者の石を求めて旅に出ます。
未知の世界に足を踏み出した兄弟を、人柱にしようとする人造人間・ホムンクルスなど様々な試練が待っていました。そんな中でホムンクルス撃退のため協力することになる傷の男スカーや、不老不死のカギを握ると考え賢者の石を求めるリンヤオなどの強者が加わり、エルリック兄弟の旅は波乱の展開を余儀なくされます。
スロウスはホムンクルス
ここからは、本記事の主役であるスロウスについて解説していきます。錬金術によって生み出された人造人間であるホムンクルス。その中で「怠惰」と名付けられたのがスロウスです。これから取り上げるスロウスですが、漫画・鋼の錬金術師の前半では登場の機会はありません。なぜなら物語の前半では、錬成陣を作るため地下でトンネルの掘削をしていたからです。
怠惰と命名されたスロウスですが、他の兄弟たちが地上で華々しく活躍しているときに、地下に潜ってその怪力を生かしてひたすら穴掘り作業に精を出している姿は、怠惰とは逆の印象を読者に与えたことでしょう。そんなスロウスが読者の目に触れるのは、ストーリーの後半、ブリッグズが舞台となってからになります。
ホムンクルス7人兄弟の5番目として創造されたスロウス。体のどこかに刻されているウロボロスの紋章は右側の肩にあります。筋骨隆々の逞しい体に伸び放題の髪の毛。他の兄弟たちにもある幾何学模様に顔の半分を埋め尽くされ、人間離れした化け物の雰囲気を醸していました。4mにもおよぶ身長を持つスロウスは、エンヴィ(嫉妬)に次ぐ巨体を誇っていました。
スロウスの怠惰な性格
スロウスの性格ですが、名前が示す通り大変ぐうたらで物臭な性格をしています。「めんどくせぇ」が口ぐせのスロウスは、考えること自体が面倒だと放言しています。巨体であることも手伝ってか動きも緩慢で、判断を下すのにも時間がかかります。
しかし一方では、前述のように国家錬成陣を組織するため地下を掘り進め、遂には長大なトンネルをひとりで完成させてしまいました。とても怠惰な性格のスロウスの意外な一面が現れたシーンでした。
スロウスがトンネルを掘っていた理由
理由①お父様の目的
それでは、面倒くさいことの大嫌いなスロウスが、アメリストの地下に潜ってひたすら円のトンネルを彫り続けた理由はどこにあったのでしょうか?お決まりの「面倒くせえ」を連発しながらも、遂に長大なトンネルを完成させてしまったスロウス。そのトンネルがある恐るべき計画の重要なプロセスの一つだったと明らかになるのは、後になってからのことでした。
スロウスが掘っていたトンネルは、アメストリス国全体に及ぶ巨大な賢者の石の錬成陣となります。この錬成陣がひいてはアメストリスを闇で支配するラスボスである、お父様の目的に合致するのです。それは、アメストリス全国民の魂を賢者の石とする恐ろしい計画でした。
理由②大量の魂を犠牲にするため
当時のアメストリスは人口約5000万人と言われています。日本の人口の40%、イギリスや韓国の人口とほぼ同じ数になります。それだけ大量の人を虐殺し魂を集めるために、ひとりで密かに進められていたのがスロウスのトンネル掘削作業でした。
しかし、その世にも恐ろしい大虐殺計画は、エドワードらエルリック兄弟の父ホーエンハイムによる錬成陣「カウンター」の発動で頓挫します。お父様の意思で集められた魂は、無事アメストリス国民に戻すことができました。
スロウスの強さと最期
強さ①怪力と強靭な肉体
ここからは、スロウスの強さの秘密を探っていきます。まずスロウスには、人間離れした怪力と戦車の砲弾をも跳ね返すほどの強靭な肉体を持っていました。しかしそれはスロウスの恐るべき強さの一面でしかなく、怪力と肉体だけで彼の強さの全貌を明らかにしたことにはなりません。スロウスの強さを絶対的な域にまで高めていた秘密は、実はその速さにありました。
スロウスの速さを人の動体視力で捉えることは不可能だと言われています。それくらい速いのです。鋼の錬金術師のコミックス23巻では、アームストロング姉弟との戦いが描かれていました。この戦闘でスロウスが繰り出した体当たりの速さたるやまるで銃から発射された弾丸のようで、避けるのが精いっぱいだった姉弟は一気に追い詰められていきました。
スロウスの強さを決定づけている「速さ」ですが、両刃の剣的な側面もありました。4mを超える巨体を超高速で移動させる攻撃は、時としてスロウス自身を危険にさらすことも。一旦動き出すと何かにぶつかるまで止まることができないらしいのです。スロウスの腕に巻かれた鎖は、そんな彼を見かねてスピード抑制のためにお父様からプレゼントされたものだそうです。
強さ②ブリッグズ陣営との戦い
強靭な肉体で地下トンネルを完成させたスロウス。休む間もなくお父様から命じられたのは、ブリッグスのオリヴィエ・ミラ・アームストロング少将の暗殺でした。これに端を発して、スロウス側とアメストリス北部のブリッグズ陣営との戦闘に発展します。
ブリッグズ陣営は、最初通常の銃火器でスロウスを攻撃しますが彼の肉体に跳ね返され歯が立ちません。お終いには戦車3台を投入して何とかスロウスの反撃を封じることに成功します。スロウスの強さはホムンクルスの中でも1,2を争い、再生能力を有するグラトニー(暴食)をも凌ぐと言われています。
スロウスの彼らしい最期
最強のホムンクルスとも言われたスロウスですが、そんな彼にも最期が訪れます。しかも、怠惰の名に相応しいスロウスならではの最期となりました。
中央司令部内で反乱を起こしたオリヴィエ・ミラ・アームストロング少将を始末するよう命令を受けたスロウス。オリヴィエを攻撃したところ、弟のアレックス・ルイ・アームストロング少佐や兵士らが彼女に加勢。これにはスロウスも苦戦しますが、速さを前面に出した戦法で彼らを圧倒。ところが、エルリック兄弟の親代わりで師匠のイズミ夫妻が加わると形勢は一気に逆転、スロウスは窮地に追い込まれます。
最期は、アームストロング姉弟の弟アレックスの仕掛けた棘に腹を刺されて万事休す。賢者の石による再生も果たせず消滅してしまいます。消滅する間際にスロウスの口からいつもの決まり文句が発せられました。「死ぬのもめんどくせぇ、ああ…生きるのもめんどくせぇ…。」。怠惰というスロウスの性格は、ファンの脳裏に深く刻み込まれることとなりました。
スロウスのアニメ声優
スロウスの声優①鷹森淑乃
アニメ「鋼の錬金術師」でスロウスの表の姿として登場する大総統秘書官のジュリエット・ダグラス大尉。彼女の声を担当したのは、1963年11月23日千葉県市川市に生まれた鷹森淑乃(たかもりよしの)。アーツビジョン所属の声優です。
1984年アニメ「超力ロボ ガラット」で声優デビューをした鷹森淑乃。翌1985年には「炎のアルペンローゼ」で主人公ジュディを演じます。その後、1988年「超音戦士ボーグマン」でアニス・ファーム、1990年「ふしぎの海のナディア」で主人公のナディアとメインキャラを演じることに。また2009年に放送されたアニメ第2期の「鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST」ではエルリック兄弟の母トリシャの声を担当しました。
スロウスの声優②立木文彦
2009年から2010年にかけて放送されたアニメ第2期「鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST」でスロウスの声を演じたのは、声優の立木文彦(たちき ふみひこ)です。
1961年4月29日長崎県は現在の五島市に生まれた立木文彦。番組ナレーターとしても、日本テレビの世界の果てまでイッテQ!をはじめ数々のテレビ番組でおなじみです。声優としては、1982年戦闘メカ ザブングルでゴッチ役を演じてデビュー。
その後、2006年から2018年までの長きにわたり、アニメ「銀魂」でメインキャラ・長谷川泰三を演じています。なお、2018年公開の実写版・銀魂2に合わせて配信された「銀魂2 -世にも奇妙な銀魂ちゃん-」では俳優として長谷川泰三を演じ話題となりました。
スロウスに関する感想や評価
真面目に働きすぎ!
ここまで鋼の錬金術師のスロウス特集をお届けしてきましたが、最後に彼に関する感想や評価を紹介します。
日曜と祝日の合間やのに即位礼正殿は厳密には祝日にならんのか祝日法で適用されなくて今日が国民の休日にならないから脳内で鋼錬のスロウスとリゼロのペテ公が戦ってる。
— きょんきち@テイルズ好きのハンター (@kyonkiti_max) October 20, 2019
どっちも怠惰なのにどっちも真面目に働きすぎやろ
スロウスにに関する感想や評価、最初に紹介するのは架空の対戦を想像している、きょんきちさんのツイートから。脳内では、本作スロウスと「Re:ゼロから始める異世界生活」に登場する魔女教大罪司教で「怠惰」を担当するペテルギウス・ロマネコンティが対戦していると言います。
どちらも7つの大罪における怠惰を体現したキャラなのですが、真面目に働きすぎだと言います。現実世界で「即位礼正殿」が祝日にならない事への不満の表れでした。
ハッピーエンド?
#俺達ゃ脳筋野郎
— レッドキング (@2A3jij8EciPfq1D) October 30, 2018
スロウス
「お父様」により5番目に造られた人造人間。
怠惰の名の通り非常に面倒くさり。実は本気を出すと高速で動け「最速のホムンクルス」を自称。
最後は賢者の石の限界により消滅するが生きるのも面倒な彼には、これはハッピーエンドだったのかも知れません。(^^; pic.twitter.com/VDl7wkXL6l
スロウスに関する感想や評価、続いて紹介するのは消滅するスロウスの最後がハッピーエンドでは?というレッドキングさんのツイートです。生来面倒くさがりで生きるのも面倒だったスロウスにとって願ったりかなったりの最期だったというのですが、実際のところはどうだったのでしょうか?
赤飯炊いてどんちゃん騒ぎ!
ホムンクルス達、何百年も暗躍を頑張ってきたんだから最後の血の紋刻みは皆で盛大にぶちかましてもよかったと思うの。スロウスのトンネル完成時もすごい仕事を成し遂げたんだから花火打ち上げて祝うくらいしてもよかったと思うのよ。赤飯炊いて地下でどんちゃん騒ぎしてもいいんですよ!!!!
— あすだち🍭 (@a_sudachi) March 29, 2018
スロウスに関する感想や評価、お終いはホムンクルス達をもっとポジティブに取り上げて欲しいとおっしゃるあすだちさんのツイートからです。何百年も頑張って暗躍してきたホムンクルスなのだから、スロウスのトンネル完成時も花火打ち上げ赤飯焚いて盛大に祝って欲しかったということでした。
スロウスについてまとめ
ここまで、鋼の錬金術師に登場する怠惰のホムンクルス、スロウスについて、トンネルを掘っていた理由や強さの秘密などの情報をお届けしてきました。
人造人間であるホムンクルスのひとりで、怠惰と名付けられたスロウス。その名の通り「めんどくせぇ」が口ぐせで、最期は「死ぬのもめんどくせぇ…」と言いながら消滅していきました。そんなスロウスでしたが、お父様の命を受けて、ひとり黙々とトンネル掘削作業を続け、長大なトンネルを完成させるという意外な一面も見せました。
また、怪力と強靭な肉体の持ち主で、戦車の砲弾をも跳ね返してしまうほど。さらには人の動体視力で捉えられないくらいの超高速で移動し敵を翻弄する強さは、ホムンクルス随一と言われています。この記事でスロウスに興味を持たれた方は、コミックス第23巻に収められたアームストロング姉弟との対戦をご覧になってはいかがでしょうか?本記事で紹介したスロウスの強さや性格を実感することができるかも知れません。