【宮沢賢治】銀河鉄道の夜をネタバレ解説!原作小説のあらすじと登場人物は?

わずか37歳という若さでこの世を去った、夭折の文学者・宮沢賢治。今回この記事で解説していくのは、彼の代表作で幻想的な雰囲気に満ちた小説「銀河鉄道の夜」です。これから、「銀河鉄道の夜」のあらすじをネタバレで解説し、さらには主人公ジョバンニの抱える”悲しい気持ち”の正体や原作小説に込められた賢治の思想にも迫ってまいります。また小説にまつわるトピックスも多数紹介していきますので、この機会にぜひご覧ください!

【宮沢賢治】銀河鉄道の夜をネタバレ解説!原作小説のあらすじと登場人物は?のイメージ

目次

  1. 銀河鉄道の夜をネタバレ解説!
  2. 銀河鉄道の夜を解説
  3. 銀河鉄道の夜の書評と場所のモデル
  4. 銀河鉄道の夜の登場人物を解説
  5. 銀河鉄道の夜を解説・宮沢賢治とは?
  6. 銀河鉄道の夜に関する感想や評価
  7. 銀河鉄道の夜をネタバレ解説まとめ

銀河鉄道の夜をネタバレ解説!

原作小説のあらすじ

日本の国民的な作家・宮沢賢治の代表作で彼の死後に刊行された童話「銀河鉄道の夜」。孤独な少年・ジョバンニが、友人のカムパネルラと共に銀河を鉄道で旅する物語です。

原作小説のイメージ

これまで数度にわたり映画化やアニメーション化がなされていますが、まずその原作となった小説「銀河鉄道の夜」のあらすじをネタバレで解説していきます。

ネタバレあらすじ①天の川の授業

クラスメイトからいじめを受けている孤独な少年ジョバンニ。彼が通う学校のクラスでは、宇宙の銀河系についての授業が行われていました。

天の川のイメージ

天の川について先生に質問されたジョバンニは、仕事で疲れていて気もそぞろでした。答えがわかっているの応えようとしません。次に指名されたジョバンニの友人カムパネルラも、答えを知っているのにジョバンニを気遣ってか応えようとはしませんでした。

ネタバレあらすじ②活版所へ向かう

活版印刷のイメージ

放課後、カムパネルラをはじめクラスの生徒たちは今夜の星祭りの準備に余念がありません。しかしジョバンニは、それには参加せず仕事をするため活版所へ向かいました。

ネタバレあらすじ③母親との会話

活版所での仕事を終えると、ジョバンニはパンと角砂糖を買い家路を急ぎます。家に帰ったジョバンニは病気の母親に買ってきた角砂糖を入れた甘い牛乳を作ってあげようとしました。

ところが、その日に限って牛乳が配達されていませんでした。暫くの間お母さんとジョバンニは、海に漁に出たまま帰ってこない父親について話しをしました。その後、ジョバンニは牛乳を取りに再び出かけて行きました。

ネタバレあらすじ④黒い丘

牛乳屋に着いたジョバンニは店に人に用件を伝えますが、生憎わかる人がいなかったため要領を得ず、後でまた来るように言われます。仕方なくジョバンニは星祭りの行われているところに向かいますが、そこで同級生のザネリたちに会い嫌なことを言われてしまいます。

ジョバンニはザネリたちの中に友だちのカムパネルラがいるのを見て悲しい気持ちになってしまいました。星祭りへ出掛けるザネリたちと別れると、ジョバンニはひとり黒い丘の方へ向かって歩いて行きました。

ネタバレあらすじ⑤天気輪の柱の下

ジョバンニは、1人で黒い丘に登ると「天気輪の柱」の下で空の星を眺めました。するとその時、遠くの方から汽車の音が聞こえてきて、遠景に列車が見えてきました。

ネタバレあらすじ⑥銀河鉄道の登場

どこからともなく「銀河ステーション、銀河ステーション」という声が聞こえ、辺りは眩い光に包まれます。気が付くとジョバンニは列車に乗っていました。そして同じ列車の前の方にはカムパネルラの姿もありました。

ネタバレあらすじ⑦白鳥の停車場

銀河鉄道を走る列車は「白鳥の停車場」に到着します。停車時間が20分あったので、ジョバンニとカムパネルラは列車を降りて「プリオシン海岸」へ向かいます。

プリオシン海岸では、ウシの祖先の化石を発掘しているすると大学士と出会います。しばらく会話を交わしていましたが、列車の出発時刻が近づいたので2人はそこを後にしました。

ネタバレあらすじ⑧サギを捕まえてくる

鳥を捕まえる商売をしている男が列車に乗ってきます。ジョバンニとカムパネルラは「鳥捕り」の男にガン雁をもらい食べますが、ジョバンニにはお菓子としか思えませんでした。

川で魚を狙うサギ

鳥捕りは突然列車から姿を消すと、河原でサギを捕まえると素知らぬ顔をしていつの間にか列車に戻ってきていました。

ネタバレあらすじ⑨緑色の切符

ジョバンニとカムパネルラの旅は続きます。アルビレオ観測所に近づくと車掌が検札にやって来ました。そこでジョバンニは、自分の切符が天上界のどこまでも行ける特別通行券であることを知ります。

既に鳥捕りはいなくなっており、6歳くらいの男の子とその子の姉と思われる12歳くらいの女の子、そして2人の家庭教師の若者が隣に座りました。彼らは乗っていた船が氷山にぶつかって沈没してしまい、気づいたらこの列車に乗っていたということでした。カムパネルラとその女の子が楽しそうに歓談しているのを見て、なぜかジョバンニは悲しい気持ちになりました。

途中、車窓に赤く光る火が映りました。カムパネルラが「サソリの火だな。」と呟きます。すると女の子が、お父さんから聞いたサソリ火の由来を教えてくれます。

「サウザンクロス(南十字)」に到着すると、 女の子たち3人は列車を降りるため席を立ちました。ジョバンニが引き止めましたが、「お母さんのいる天上へ行くの」と言って彼らは去って行きました。

再び2人きりになったジョバンニとカムパネルラ。ジョバンニはカムパネルラに「どこまでもどこまでも一緒に行こう」と話しかけます。ところが、列車が「石炭袋の穴」に近づいたとき、車窓にはカムパネルラの母親が現れました。カムパネルラは「あすこにいるのぼくのお母さんだよ」と言い残すと消えて行ってしまいました。1人になったジョバンニは、カムパネルラに裏切られたと思い泣き叫びました。

目を開くとジョバンニは、元いた丘の草むらに戻っていました。まだ晩御飯を食べていないお母さんのことを思い出し、牛乳を受け取ると家路に向かいます。暫く歩いていくと川の橋の袂に人だかりができていました。同級生のマルソを捕まえて聞くと、川に落ちたザネリを助けたカムパネルラが流されてしまったということでした。ジョバンニは列車でのことを思い出し、カムパネルラに裏切られたわけではなかったと悟ります。

カムパネルラの父親である博士は、息子のことをもう諦めていました。ジョバンニに向かい「今日君の父親から便りがあってもうすぐ帰ってくるはずだ」と告げました。この言葉を聞くと、お母さんにこのことを早く知らせなければとジョバンニは一目散に家のある街の方へ駆け出しました。

映画のあらすじ

宮沢賢治原作の小説「銀河鉄道の夜」は、2度映画化されています。ここでは1985年制作の劇場用アニメ映画「銀河鉄道の夜」のあらすじをネタバレで紹介します。ちなみにこの作品は、毎日映画コンクール・大藤信郎賞を受賞しています。

ネタバレあらすじ①銀河系の授業

「銀河鉄道の夜」の主人公ジョバンニは、銀河系の授業中先生から天の川についての質問を受けます。ジョバンニは、天の川が無数の星の集合体であることを知っていましたが、なぜか答えませんでした。次に指された友人のカムパネルラもまた知っているのに答えませんでした。

放課後ジョバンニは、漁に出て不在の父に代わり家計を支えるため活版印刷所で働いていました。クラスメイトのザネリは、ジョバンニの父は密漁で捕まったのだと吹聴しジョバンニを仲間はずれにします。しかし、そんな中でカムパネルラだけはジョバンニをかばいます。

印刷所での仕事を終えたジョバンニは、病床の母に飲ませる牛乳を買いに出掛けます。その途中、星祭りの行われる広場へ行ってみると、そこにはカムパネルラやザネリが来ていました。

ネタバレあらすじ②銀河鉄道に乗る

ジョバンニが話しかけようとした時、ザネリたちはジョバンニをからかい出しました。ジョバンニは逃げ出すように広場を後にして、天気輪の柱がある丘へ向かいます。すると突然眼前に鉄道が現れました。するとジョバンニはいつの間にかその列車に乗っているのに気づきました。

列車には、どういうわけかびしょ濡れ姿のカムパネルラもいました。ジョバンニは、久しぶりにカムパネルラと2人で過ごすことを嬉しく思っていました。列車は銀河の中を突き進んでいきます。悠久の時が流れるプリシオン海岸や北十字星を通り、列車は白鳥の停車場に着きました。一旦下車した2人はクルミの化石を拾います。その近くでは大学士が牛の祖先の化石を発掘していました。

ネタバレあらすじ③鳥捕りの登場

列車は発車の時間を迎えました。そこに銀河の鳥を捕まえる「鳥捕り」が乗り込んできす。ジョバンニたちは鳥捕りから雁をもらって食べましたが、なぜかお菓子の味がしました。突然列車から姿を消した鳥捕りは、外でサギを捕まえて再び列車に現れました。

車掌が検札にやって来ます。切符を差し出したジョバンニは、自分の切符が銀河のどこでも行ける特別乗車券であることを知ります。

ネタバレあらすじ④青年と姉弟の乗車

サギの停留所で鳥捕りと入れ替えにタイタニック号に乗っていた12歳くらいの姉・かおる子と6歳くらいの弟・タダシ、そして青年が乗り込んできました。彼らは豪華客船で旅をしていたのですが、船が氷山に衝突したと思ったらここに来ていたと言うことでした。

姉弟たちとの出会いを通して、ジョバンニとカムパネルラは”本当の幸せ”とは何かについて思いを馳せます。ジョバンニはカムパネルラに向かって言いました。「どこまでも一緒に旅をしよう」と。

ネタバレあらすじ⑤カムパネルラが消える

ところが、サウザンクロス(南十字星)で姉弟や青年が降りた後、突然カムパネルラの姿が見えなくなりました。驚いて周囲を探すジョバンニの目に、後方の車両に向かうカムパネルラの姿が映りました。ジョバンニは必死になってカムパネルラの後を追います。

最後尾の車両に着いたカムパネルラは、一言「さようなら」と言うと列車から降りて行ってしまいました。ジョバンニは泣きながらカムパネルラの名前を呼び続けます。そしてジョバンニが目を開くと、そこは天気輪の柱のある丘だったのです。

ネタバレあらすじ⑥カムパネルラとの別れ

ジョバンニは牛乳を手にして母親の待つ自宅に急ぎます。途中の道で人だかりが出来ているのに遭遇したジョバンニは、そこに居た同級生のマルソに理由を尋ねました。マルソが言うにはカムパネルラが川へ落ちて流されてしまったとのことでした。

ジョバンニはすぐに川へ向かいます。しかし、カムパネルラは見つかりませんでした。美しい夜空を見上げてジョバンニは、「一人でもきっと本当の幸を見つけてみせる」とカムパネルラに誓いを立てると、家路に着きました。

銀河鉄道の夜を解説

解説①ジョバンニの悲しい気持ち

小説「銀河鉄道の夜」でジョバンニは、しばしば悲しい気持ち、つらい気持ちに襲われています。先の小説のあらすじ解説でも”悲しい気持ち”という言葉が何度か出てきました。同級生のザネリに父親のことでからかわれる場面や1途中で列車に乗ってきたかおる子とカムパネルラが楽しそう歓談している場面です。また、カムパネルラがいなくなった時には泣き出してしまったくらいです。

ジョバンニが悲しくなった時に感じていたのは「疎外感」でした。ジョバンニは1人取り残されたと感じると”悲しい気持ち”に襲われるようです。

物語のラストで父親が帰ってくることを母に伝えに行くという場面があります。その時のジョバンニの気持ちは「もういろいろなことで胸がいっぱい」と表現されています。この表現には、疎外感を感じることのない家族が帰ってきた喜びが込められているのでしょう。ジョバンニの悲しい気持ちを最終的に解放したのは、イジメの原因ともなった父親の帰還だったのです。

解説②銀河鉄道とは死者を乗せる汽車

次に「銀河鉄道の夜」の「銀河鉄道」とはどのようなものなのか考察してみます。まず主人公の少年ジョバンニは、気がつくと汽車に乗っていたと書かれています。切符を買って普通に駅から乗り込むわけではありません。

死者を弔うイメージ

乗客にしても普通の人たちではありません。例えば、後から乗ってくる姉弟と青年ですが、海難事故で助からなかったと語られています。そして、最期にジョバンニが目を覚ますとカムパネルラも川に流されて亡くなっていたことが判明します。こうした事実から、列車には亡くなった人が乗っていたと考えられます。

また、姉弟と青年は列車を降りて「神様がいらっしゃるという天上」に向かいます。事故で死亡した母親もそこにいると言っています。さらに姿を消したカムパネルラが「あそこにお母さんがいる」と言っていたことも考え合わせると、そこが死後の世界であることは疑いないでしょう。

解説③小説のテーマ

天の川のイメージ

「銀河鉄道の夜」のテーマは、次の項で詳しく解説しますが作中に何度も出てくる言葉「本当の幸い」だと言われています。賢治はこの言葉で「自分のことは後回しにして他者のために尽くす」という自己犠牲、利他主義の精神を表していました。

解説④本当の幸い

それでは、「本当の幸い」の具体例を挙げてみます。まず、ジョバンニの友人カムパネルラの発言からです。

「ぼくはおっかさんが、ほんとうに幸になるなら、どんなことでもする。けれども、いったいどんなことが、おっかさんのいちばんの幸なんだろう。」(中略)
「ぼくわからない。けれども、誰だって、ほんとうにいいことをしたら、いちばん幸なんだねえ。だから、おっかさんは、ぼくをゆるして下さると思う。」

カムパネルラは同級生のザネリを助けて溺死してしまいました。息子の死は母親を不幸にしますが、他人の命を助けるという本当にいいことをして「一番の幸せ」を得たことで、母もそれを良しとしてくれるでしょうという意味に解釈できます。

次は、列車に乗り込んできた姉弟の姉・かおる子がサソリの火について語る場面です。サソリがイタチに狙われて、必死に逃げ回った挙句に井戸に落ちてしまいます。溺死する直前サソリは「こんな死に方をするならイタチに食べてもらった方が他者のためになって良かったのに」と後悔します。自分が犠牲になったとしても他人の幸せが大事だということが表現されているのです。

主人公・ジョバンニは、銀河鉄道の旅を通じて「サソリの火」のように自己を犠牲にして他人のために貢献することが本当の幸いにつながるとの結論を得たのです。

銀河鉄道の夜の書評と場所のモデル

原作小説の書評

何事においても人の評価には十人十色、様々な見解があるものです。小説「銀河鉄道の夜」も例外ではありません。しかし、文芸評論家・澁澤龍彦のように「銀河鉄道の夜」の中に脈々と流れる思想を「賢治の被害妄想コンプレックス」と切り捨てる人であっても「一つのメルヘンとして限りなく愛している」と認めるように、「銀河鉄道の夜」作品全体に漂う幻想的な雰囲気と独特な世界観に引き込まれてしまう人は多いようです。

一方で、「天気輪の柱」など意味不明のものが多く、登場人物の行動も理解し難いとネガティヴな評価もあります。読後に靄に包まれたようなスッキリしない気分になる人も多いようです。

「本当の幸いを追求する」というテーマは深みがあるものの、それを文章から読み取るのに苦労する作品というの評価もあります。「銀河鉄道の夜」は独特の世界観を持った作品なので、人により合う合わないが出るのではないでしょうか。

読書感想文の例

ここで小説「銀河鉄道の夜」の読書感想文の例を紹介します。感想文を書くには作者の言いたかったテーマについて自身の意見を述べるのが定石でしょう。「銀河鉄道の夜」では上述の「本当の幸い」がそれに当たります。

「本当の幸いは一体何だろう」というジョバンニのつぶやきは、自己の幸福と他者の幸福が対立した場合に下さなければならない判断の難しさを感じさせる。
    

銀河鉄道の夜の川のモデル

「銀河鉄道の夜」の終盤で、ジョバンニが川に落ちて流されたカムパネルラを探す場面があります。実はこの場面には実在する場所がモデルになっていました。

その場所とは宮沢賢治の故郷・花巻市にある朝日橋付近と言われています。当時の朝日橋は、北上川とその西側の瀬川渡るために架けられた橋でした。2つの川は朝日橋の下流で合流し、合流点の前は中州のようになっていて橋から降りることができました。これは、「河原のいちばん下流方の洲のやうになって出たところに人の集まりがくっきりとまっ黒に立っていました」という表現に合致します。

ちなみに、この場所では毎年8月に「イーハトーブフォーラム」というイベントが開催され、夜には美しい花火が打ち上げられるということです。

銀河鉄道の夜の登場人物を解説

登場人物①ジョバンニ

クラスメイトにからかわれ、常に孤独を感じている主人公の少年です。父親は漁に出たまま帰らず、一部にはラッコの密漁で逮捕されたとの噂もあります。それがジョバンニが中傷を受ける原因ともなりました。また母親が病弱なため、一家の生計は幼いジョバンニの双肩に掛かっていました。

登場人物②カムパネルラ

カムパネルラは、ジョバンニの幼馴染の友人です。他のクラスメイトのようにジョバンニをからかうことはなく、彼の気持ちを慮(おもんぱか)る行動を取ります。

登場人物③ザネリ

ジョバンニと同じクラスのいじめっ子です。「お父さんから、ラッコの上着が来るよ」とジョバンニの嫌がることを言っては彼をからかいます。

登場人物④鳥捕り

銀河鉄道の列車に乗り込んでくる乗客の1人です。雁などの鳥を捕まえて食用として売る商売をしています。

登場人物⑤大学士

ジョバンニとカムパネルラが途中下車した海辺で出会う学者です。牛の祖先の化石を発掘していました。初めて会うジョバンニたちにも丁寧に説明をしてくれます。

登場人物⑥青年

銀河鉄道の列車に途中で登場する姉弟の家庭教師です。姉弟と共にた客船で航海していましたが、船が氷山に衝突して沈んでしまいます。気づくと銀河鉄道の列車に乗っていたと言います。

登場人物⑦灯台守

銀河鉄道の列車の乗客の1人です。灯台の明かりを規則に従って毎日点けたり消したりする仕事をしています。

登場人物⑧かおる子

銀河鉄道の列車に途中で登場する姉弟のお姉さんです。乗っていた客船が氷山に衝突して沈んでしまい、気づいた時には銀河鉄道に乗っていたと言います。

登場人物⑨タダシ

銀河鉄道の列車に途中で登場する姉弟の弟の方です。姉や家庭教師の青年と共に乗っていた客船が氷山に衝突して沈んでしまいました。

銀河鉄道の夜を解説・宮沢賢治とは?

宮沢賢治のプロフィール

  • 出身地:岩手県稗貫郡里川口村 (現・岩手県花巻市)
  • 生誕:1896年8月27日
  • 死没:1933年9月21日(享年37歳)
  • 職業:詩人・童話作家

宮沢賢治の経歴

1896年現在の岩手県花巻市に生まれた宮沢賢治は、19歳で盛岡高等農林学校農学科(現・岩手大学農学部)にトップの成績で入学。学校では土壌学を学ぶ傍ら同人誌「アザリア」を発行、詩や小説を発表します。卒業後は地元の地質調査に従事します。また法華経に関心を寄せ、動物の命を奪うことに抵抗を感じてベジタリアンとなります。

その後家業を継ぎましたが父との軋轢から家を出て上京、出版社で校正の仕事に就きます。そのころ、奉仕活動や法華経の普及活動に勤しむ日々を送ります。

1921年、妹のトシが病に倒れたとの知らせを受け故郷岩手に戻ります。そして稗貫(ひえぬき)農学校(現・県立花巻農学校)で教職に就きます。教師として生計を立てながら「注文の多い料理店」をはじめとする童話を発表していきました。

病と闘っていた妹・トシを看取り、その喪失感から有名な詩『永訣の朝』や『松の針』『無声慟哭』を書き上げます。その後も妹を失った悲しみは続き、半年間にわたり断筆、誌や童話の創作から離れます。

30歳の時、教職を辞して羅須地人協会を設立。これまで培った知識を生かして、地域の農民へ土壌改良や追肥など農業指導を行いました。しかし、過労が重なり倒れてしまいます。体調が回復に向かうと今度は肥料会社の砕石工場で技師として働き始めます。ここでも製品改良から営業まで粉骨砕身働いた結果、賢治はまたしても病に倒れてしまいます。

この頃手帳に記されたのが、有名な詩「雨ニモマケズ」です。体調の悪化から死を覚悟した宮沢賢治は、それまでに書き溜めてきた詩や小説の仕上げに着手します。しかしその完成を見ることなく、1933年9月21日、37歳の若さで世を去りました。

宮沢賢治の作品

注文の多い料理店

宮沢賢治の生前に出版された人気童話の一つです。注文が多いと言っても「繁盛している店」ではなく店内にたくさんの指示(注文)が書かれているという意味です。

最後には訪れたお客が料理されてしまうという恐ろしい物語で、命あるもの全てを大切にする宮沢賢治の思想がわかる作品になっています。

雨ニモマケズ

「雨ニモマケズ」は、宮沢賢治の死後に発見された手帳に書かれたメモで、公開するようなものではなかったと言われています。今では彼の代表作の1つとして有名です。

実はこの詩には、モデルとなった人物がいたというのです。それは、キリスト教思想家・内村鑑三の最も近しい弟子・斎藤宗次郎という方です。出身地が同じ岩手県という事で宮沢賢治とも交流があったそうです。斎藤宗次郎に憧れていた宮沢賢治が自分の弱さに向き合い書き記した言葉が「雨ニモマケズ」だったとのことです。

銀河鉄道の夜に関する感想や評価

絵や映像で観てみたい!

小説「銀河鉄道の夜」を特集してきたこの記事の最後に、読者の感想や評価を紹介します。最初の感想・評価は、小説だけでなく絵や映像で観てみたいと思わされたと言う方です。「銀河鉄道の夜」の幻想的でメルヘンティックな雰囲気に魅了されたのでしょう。

大人になって読んだら悲しくなった…

次の感想・評価は、幼い頃に読んだときはキラキラした物語だっのに、知識が身についた今改めて読み返すと悲しくなってしまったという方です。知識や人生経験を積んだことで、ジョバンニの悲しい気持ちが理解できるようになったのでしょう。メルヘンの奥にある賢治の思想が見えてきたのではないでしょうか。

満天の星空を眺めると…

最期の感想・評価は、宮本賢治の故郷、花巻を訪れた方です。この満天の星空を眺めながら賢治が「銀河鉄道の夜」を執筆していたと思うと感慨深かったと言います。

東京では皆が下を向いて歩いているのに、ここでは一様に上を向き降り注ぐ星空を眺めている情景に、宮沢賢治への思いを馳せていたようです。

銀河鉄道の夜をネタバレ解説まとめ

ここまで「銀河鉄道の夜をネタバレ解説!原作小説のあらすじと登場人物は?」と題して、夭折の天才・宮沢賢治の代表作「銀河鉄道の夜」についてお届けしてきました。

  • 銀河鉄道の夜のテーマとなっているのは賢治の考える「本当の幸い」
  • 主人公ジョバンニの悲しい気持ちは「疎外感」から生じている
  • 「銀河鉄道の夜」の舞台のモデルは花巻市にある「朝日橋付近」
  • 宮沢賢治は生計を立てるため教師や砕石工場で営業などの仕事をしていた

以上のことなどが明らかとなりました。作品情報にも挙げたように、宮沢賢治には今もなお人々の心を打つ作品が数多く残されています。これを機に他の作品についても書評や読書感想文などに目を通して深掘りしてみてはいかがでしょうか。興味深い事実が浮かび上がってくるかも知れません。

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