2018年05月19日公開
2018年05月19日更新
死役所・シ村の正体とは?過去の冤罪など謎の多い素性をネタバレまとめ
人間が死後すぐに辿り着く場所として存在する死役所で、総合案内係として働いているのが本作の主人公でもあるシ村です。その故人の死因によって様々な課が用意されている死役所では大勢の職員が働いていますが、その職員全員に共通する特徴として生前に死刑執行されているというものがあります。シ村もまた例外ではないのですが、物語が進むごとに彼だけが死役所職員の中でも特殊な存在であることが判明します。そこで今回の記事では、未だに謎の多いシ村の正体や過去の冤罪といった現時点での素性をまとめてみました。
目次
シ村が働く死役所が担う役割とは?
「死役所」の主人公であるシ村は物語のタイトルにもなっている死役所の職員として日夜働いています。死役所とはそもそも故人の行き先を本人の意思に従って決定する場所なのですが、画像のように死役所を訪れる故人の姿が死んだ直後のままだったり、職員が葬儀さながらの喪服である以外は役所のありきたりな風景です。
死後でさえ事務手続きをしてからでなければ成仏できない点もまた、日本の杓子定規な固定観念を揶揄するこの作品らしい描写だと言われています。そんなこれまでにはない死後の世界を描く死役所の舞台ともなっているこの場所は、はたしてどのような役割を担っているのでしょうか。
成仏への手続きを効率化するために様々な課が存在する
その故人の死因によって担当の課が異なる特徴がある死役所ですが、この辺りは一般的な市役所同様に様々な名称の課が存在しています。その全てを紹介することはできませんが、代表的なものでは他殺課や自殺課、交通事故死課などがあります。下にあるシ村の画像からも分かる通り、死役所で働く職員は全員首から簡易的な名札を吊り下げています。
それぞれの担当者を設けて死因の違う課が別々に存在することで、一日のうちに数多く訪れる故人らの事務手続きを効率良く行うことに役立っています。ただし死ぬ直前の記憶があいまいで自身が死んだことを理解していない故人も多いため、そうした故人の記憶を呼び戻し適切な課をあっせんする人員として、シ村が総合案内係として働いています。
シ村だけでなく職員全員の苗字に「シ」の文字が入る
死役所の主人公であるシ村の名前だけでなく、死役所で働く職員全員の名前には「シ」というカタカタが入っています。しかし死んだ人間ばかりが集う死役所だからこそ「死」の音が苗字に含まれるという意味ではなく、彼らの持つ「シ」の文字はより重い意味を持っています。その一文字が表すのは彼らの拭い去れない過去であり、他人の命を奪った後に自らもまた他人の手によって命を奪われた証なのです。
死役所の人間は生前に死刑執行されている
女子大生であるミチルが死役所を訪れ成仏するまでの間に判明する事実ですが、口を滑らせたハヤシの話では死役所の職員は一人の例外なく生前に死刑になっているというのです。死刑を求刑されるということはすなわち、死役所の職員全員が過去に殺人を犯していることが分かります。
ただ死役所職員の全員が全員、凶悪殺人犯で死刑が求刑されたのではありません。故人の記録同様に死役所職員の過去が記録されたファイルを盗み見たミチルに関するいくつかの描写からも分かりますが、職員のそれぞれに殺人へと至る過去があり、その誰もが自ら殺したくて人を殺めたという訳でもありませんでした。
特にミチルがシ村の記録について覗き見したシーンでは、彼女はいけすかない彼自身の過去を知り涙さえこぼしていました。その時点ではシ村の過去やその冤罪の全容が語られることはありませんでしたが、巻数が進むにつれてシ村の正体や彼の過去に関する手がかりが徐々に明らかになっていきます。
シ村を含めた死役所職員も任期満了で成仏できる
死役所職員はかつて死刑を求刑された殺人犯ばかりではありますが、死役所の上層部の判断により成仏を許可される場合があります。ただどのような条件を満たせば成仏できるかといった具体的なことは明かされておらず、「死役所」の主要人物の中では唯一イシ間だけが作中で成仏しています。涙もろいイシ間が任期満了して成仏する際にはとても晴れやかな顔である一方で、対するシ村は哀愁漂う表情で死役所を去る彼を見送っていました。
シ村も含めた死役所職員は死に関与できない
イシ間が成仏した後にハシ本という新人職員が死役所に配属されるのですが、このハシ本が口煩い先輩職員に苛立ちカッターナイフを振り回すというワンシーンがあります。イシ間に抑えられた隙にハシ本は喉元をカッターナイフで切り裂かれてしまいますが、その傷口から血が噴き出ることはなければ彼自身が痛みを覚えることもありませんでした。
そして上の画像のように無様な縫い傷を喉元に残すこととなったハシ本は、新人研修を担当するシ村に対して「死にたい」と言いますが、シ村は彼に「われわれはすでに死んでいます」と端的に事実を述べます。それを受けてハシ本は「成仏したい」と言葉を改めますが、対するシ村は以下のように言い放ちました。
殺人犯として他人の命を一方的に奪い去った過去があるからこそ、死役所の職員は二度と身勝手な振る舞いが許されないという現状がうかがえる一言でもあります。死役所では人の生死を淡々と描いている場面が多々ありますが、ハシ本にシ村が説明する上の画像でもその作風は顕著に表れています。
死役所で働くシ村とはどんな人物なのか
死役所が死に携わる事務的な場所であることは確かですが、そこで働く職員全員が機械的に仕事をこなしている訳ではありません。職員それぞれもまた個々の人間性を残したまま働いていることは作中でも細かく描かれていますが、その中でも特に心情の機微があまり読み取れないのがシ村という人物です。
仕事中は常に貼り付けたような笑顔を絶やさないシ村は、「死役所」のキーパーソンであるために彼自身の感情や過去といった部分が他の主要人物よりも多く描かれていません。ただ最新巻までの情報をまとめると、彼自身の正体や過去の冤罪を探る手がかりになるものがいくつかあります。その詳細は後ほど後述しますが、ここではまずシ村とはそもそもどんな人物なのかを紹介します。
死役所では常に笑顔を絶やさない
シ村といえば画像のように口元をブイの字に歪めた胡散臭い笑顔が印象的ですが、仕事中に故人と向き合う際には一部の例外を除き笑顔を絶やしません。まれに素の表情を見せることもありますが、それは特定の人物の言動に苛立った瞬間くらいなものです。仕事中はあくまでも笑顔で接客しているシ村ですが、彼が時折見せる表情の冷徹さを思えば感情の起伏が激しい性格であることを隠すためとも予想できます。
シ村の発言が正直すぎることでトラブルに発展することも
そんな仕事人の鑑ともいうべきアルカイックスマイルに反して、シ村自身の発言は自身の身分を弁えたものではないことがしばしばあります。彼自身は事実を事実として喋っているつもりのようですが、言われた側からすると神経を逆撫でされた気持ちになる発言も割と多く存在します。
上の画像に続くコマでシ村の発言に故人の一人が激昂する訳ですが、彼の余計な一言のせいで成仏の手続きが滞ってしまうことは割と日常茶飯事なのです。その正直さが結果として過去の冤罪を招いたかどうかは未だ明かされていませんが、巻数が進んでもシ村の発言が控えめになる様子は一切ありません。
死役所でのシ村は故人の過去について詮索しない
シ村は基本的に仕事を円滑に進めることを優先しているため、事務手続きの際に関わる故人の過去に関する一切を詮索しません。ただ例外的に自身の過去に関する人物を知っている寺井については珍しく詮索しているのですが、それについては後ほど詳しく紹介します。
死役所での仕事をテキパキとこなす
故人の過去を詮索しないこととも共通していますが、シ村の仕事ぶりはお役所仕事というイメージとはかけ離れて非常にテキパキしています。生前も役所勤めだった過去が判明しているシ村は事務手続きを進めることに慣れているようで、どのような故人が訪れても的確に次の手続きを指示している様子が随所に描かれています。
画像にあるイシ間の発言からもシ村の仕事ぶりが常に平等であることが分かります。ただそんなシ村でも時には素顔を垣間見せることがあります。
シ村は時に冷徹な言動をすることがある
たとえ仕事中は常に笑顔を絶やさないシ村であっても、我慢の限界に達した時には素の表情を垣間見せることがあります。下の画像では彼の質問にいつまでも答えようとしない寺井に苛立ったシ村が、敬語や笑顔をなくし厳しい表情で問い詰めています。
しかしその一方でミチルにキスされた途端に素の表情に戻ることもあったりと、シ村がどのタイミングで素の表情を晒け出すかは未だに分からない部分があります。ただそんなシ村が巻数が進むにつれて表情豊かになっていることこそ、物語の核心に徐々に近づいている証拠とも言われています。
シ村の正体を探るための作中の手がかりとは
シ村の死役所での人となりを紹介したところで、ここからはシ村の正体を探るために役立つ作中での手掛かりについて紹介していきます。シ村だけが死役所内でも異質な存在であることは前述していますが、過去の冤罪も含め彼の正体は未だに謎が多く残っています。ここでは最新巻までの彼の過去に関する手がかりを改めて見直すため紹介します。
過去に死刑を求刑されたが冤罪だった
死役所職員が自身の更生のために職員として働いている一方で、シ村は訳アリの故人として死役所勤めをしています。そもそもシ村は冤罪で死刑を求刑されており、過去に人を殺してはいません。冤罪であれば死役所を訪れる故人同様に即成仏も可能でしたが、シ村はあえてそれを拒否して死役所職員として働いています。彼自身に成仏したくない理由があることがうかがえますが、何がシ村をそこまで駆り立てているのでしょうか。
シ村には生死不明の妻子がいた
シ村には生前に妻子がいたことが分かっていますが、妻の幸子については現在も生きていることが判明している一方で娘の美幸については生死が不明の状態です。最新巻までの情報ではシ村の妻である幸子は加護の会に入信していたことが分かっており、加護の会の信奉者であった寺井が市役所を訪れた際には態度を豹変させて問い詰める様子のシ村が描かれています。
「お客様は仏ですから」が口癖のシ村とは思えない厳しい表情からも、妻の幸子との間に浅からぬ因縁があることがうかがえます。また死役所を訪れたミチルになぜ成仏しないのか理由を尋ねられた際には「真実を確かめ、妻を私の手で...」と意味深な発言をしていました。これらの情報からも、シ村が妻の幸子にどうにかして再会するために成仏することを拒絶して死役所で働いているとも推測できます。
妻と再会したシ村は何を語るのか注目!
シ村が現在も生きている幸子を待つためにあえて死役所で働いているとしたら、この先何十年と死役所での「お勤め」をしなければいけないのか想像さえできません。しかし彼の冤罪の真実が語られシ村の正体が死刑囚ではなかったことが確認できるのもまた、妻の幸子と言葉を交わす時だけなのでしょう。シ村が心穏やかに成仏できる日が来るのか、今後ともその展開に目が離せません。