リバース・エッジの漫原あらすじと感想をネタバレ!結末が怖すぎる?【岡崎京子】

『リバーズエッジ』は、1994年に刊行された漫画家・岡崎京子の代表作です。時代の変わり目である90年代半ばの空気を見事にとらえた傑作と評価され、2018年には、行定勲監督によって実写映画化もされたことから、再度話題になりました。本作の時代を超えて人を引き付けるポイントは、一体どこにあるのでしょうか?漫画『リバーズエッジ』の魅力に、あらすじや結末をネタバレしながら、迫っていきます。

リバース・エッジの漫原あらすじと感想をネタバレ!結末が怖すぎる?【岡崎京子】のイメージ

目次

  1. リバーズエッジの漫原あらすじと感想が気になる!
  2. リバーズエッジの漫画あらすじをネタバレ!
  3. リバーズエッジの漫画の結末が怖すぎる?
  4. リバーズエッジの漫画を読んだ感想や評価を紹介!
  5. リバーズエッジが実写映画化!キャストを紹介!
  6. リバーズエッジの映画の魅力とは?
  7. リバーズエッジの漫原あらすじと感想ネタバレまとめ!

リバーズエッジの漫原あらすじと感想が気になる!

岡崎京子の傑作漫画『リバーズエッジ』は、1993年から94年にかけて、主に10代の女性を対象にしたファッション雑誌『CUTiE』(宝島社)で連載されました。バブル経済を謳歌した日本社会が、95年の阪神大震災や地下鉄サリン事件を契機に下降線を辿っていく、そんな時代の暗いムードを半ば予言したかのようなところを、本作は持っています。

漫画『リバーズエッジ』は、2018年に、行定勲監督によって実写映画化されました。90年代の漫画を20年以上経ってから映画化する意味とは、一体何なのでしょうか?特定の時代を反映する風俗・文化は変わっても、時代を超えて通じるものがあるのかもしれません。それを探っていくため、映画の原作にもなった漫画『リバーズエッジ』のあらすじや結末をネタバレ解説していきます。

リバーズエッジの漫画あらすじをネタバレ!

岡崎京子の傑作漫画『リバーズエッジ』は、自由なはずなのに何故か生きづらさを感じてしまう若者たちの日常と非日常を描くことで、読者に、「平坦な戦場で僕らが生き延びること」というメッセージを送り届けようとしています。ここでは、そのメッセージの意味を読み解いていくため、結末に至る直前までのあらすじをネタバレしていくことにします。

漫画『リバーズエッジ』あらすじネタバレ①:山田を助けるハルナ

淀んだ河のそばにある高校に通っている若草ハルナは、付き合っている男子である観音崎が、友人たちと一緒になって、同じ学校の男子・山田一郎をいじめているのを見つけ、止めに入ります。おとなしい性格の山田は、そのスリムな体形ときれいな顔立ちから、女子にはひそかに人気があり、一方で、男子からは、攻撃誘発性の的になっていて、よくボコボコにされていました。

その日の夜、ハルナは、山田が学校のロッカーに閉じ込められていることを知り、助けに行きます。二人で一緒に川沿いを歩いて帰る途中、ハルナは、山田から、自分は良い奴などではないこと、自分を虫けら扱いする男子もそれをクスクス笑って見ている女子も嫌っていること、同性愛者であること、そして、それを隠すために同じ学校の女子・田島カンナと付き合っていることなど、様々な告白を受けます。

漫画『リバーズエッジ』あらすじネタバレ②:あたしはまだ人を愛することを知らない

翌日、山田は学校を休んでいました。ハルナは、観音崎に怒りをぶつけます。観音崎は、ハルナが夜にわざわざ山田を助けに行ったことを知って、二人の関係に面白くない気持ちを抱きます。一方、寝不足のハルナは、サボっていた保健室で、同じ学校の女子でモデルをやっている吉川こずえを見かけます。そこでハルナは、「山田とこずえが二人で河原の藪の中に消えていった」という噂が校内に広まっていたのを思い出します。

保健室で眠りかけていたハルナですが、そこに観音崎が現れ、屋上へ強引に連れ出されます。観音崎は、最近のハルナのつれなさを責め立てます。ハルナは、彼とセックスしたこともあるものの、今ではすっかり冷めていたのです。「お前は俺の女だ」「あたし、あんたのそういう子供っぽいとこ大嫌い」と喧嘩別れしたハルナは、校庭の隅で野良猫にミルクをあげながら、「あたしはまだ人を愛することを知らない」と思います。

漫画『リバーズエッジ』あらすじネタバレ③:エスカレートする山田いじめ

二週間後、学校を休んでいた山田が登校してきます。ハルナは、観音崎とずっと口を利いていませんでしたが、「今度山田をいじめたら殺す」と紙に書いたメモを、丸めて彼に投げつけます。それがおもしろくない観音崎は、山田へのいじめをエスカレートさせ、2Fの元科学室で彼をボコボコにした後、彼のズボンとパンツを乱暴に脱がせて帰ってしまいます。

ハルナは、度を越した観音崎の山田いじめについていけないものを感じていた彼の友人たちから、事態を知らされます。着替えを持って助けに向かいますが、そこで、山田から、「お礼に今夜、秘密の宝物を教えてあげる」と言われます。約束の場所は、河原の藪の中でした。そして、教室から出て、一緒に歩いていると、その様子を、カンナに見られます。

漫画『リバーズエッジ』あらすじネタバレ④:これが僕の宝物だよ

ハルナの学校での友人・小山ルミは、よく援助交際をしていて、男関係が派手でした。姉がいますが、部屋に閉じこもって漫画ばかり描いている彼女との仲は、うまくいっていません。その姉越しに、ルミは、電話で、観音崎から呼び出されます。そして、親の留守中の彼の家で、薬をやりながら、セックスにふけります。一方、ハルナは、山田と約束の場所である河原へ向かいます。そこで見たのは、すでに白骨化した人の死体でした。

「あった、これが僕の宝物だよ」と言う山田は、それを、去年の秋、いじめられて河原に泣きに来た時に偶々見つけました。「自分が生きているのか死んでいるのかわからないけど、この死体を見ると勇気が出るんだ」と話します。そして、こずえもこのことを知っていて、二人でたまに一緒に見に来ること、だからこれは彼女の宝物でもあることを聞かせます。ハルナは、本物の死体を見るのは初めてでしたが、実感がわきませんでした。

漫画『リバーズエッジ』あらすじネタバレ⑤:山田のもう一つの秘密の宝物

白骨死体を見た翌日でしたが、ハルナは、いつも通りの朝を迎え、いつも通りに登校します。すると、観音崎に強引に屋上に連れていかれ、山田との関係を問い詰められます。「何もない」と答えるハルナですが、観音崎から、「俺も山田に二度と構わないから、おまえも山田と口を利くな」と約束させられ、無理矢理キスをさせられます。ハルナは、「もう観音崎君のことを全然好きじゃない」と思いました。

ひとり屋上に残ったハルナですが、そこに、こずえがやってきて、話しかけてきます。そして、校庭でサッカーをしている男子を指さし、「あの人が山田君のもう一つの秘密の宝物よ」と、山田の好きな人を教えます。一方、山田は、カンナと一緒にいて、品川の水族館にデートに出かける約束をしていました。カンナは、山田の女関係について友人たちから色々噂を聞いていましたが、それを懸命に信じないようにしていました。

漫画『リバーズエッジ』あらすじネタバレ⑥:埋蔵金騒動

翌日、学校で奇妙な噂が流れ始めます。白骨死体のある河原のボロ小屋に住んでいたことのある老人が、死んでそこに大金を埋めたという話でした。「山田君の宝物が見つかってしまう」と思ったハルナですが、観音崎との約束のため、山田に校内で直接話して伝えることはできません。そこで、こずえのクラスへ向かいますが、彼女も見当たりません。クラスメートからは、彼女はよくいなくなるというという話を聞かされます。

こずえは、校内の人気のない場所で大量に食べ物を食べていました。彼女は「思いっきり食べては思いっきり吐く」という摂食障害の持ち主でした。ところが、そこに観音崎とルミが現われ、彼女に気付かずセックスを始めます。彼女はそれを見て「バッカみたい」と思います。放課後、「埋蔵金発掘隊」が、河原へ大挙して押し寄せます。そこを偶々カンナと通りかかった山田は、止めさせようと駆け寄って、もみ合いになります。

漫画『リバーズエッジ』あらすじネタバレ⑦:ザマアミロ

夕方、ハルナのところに、山田から電話がかかってきます。夜に死体を誰にも見つからないように埋めるので手伝ってほしいという話でした。「こんなことを頼めるのは若草さんしかいない」と言われて渋々出かけることにしたハルナですが、そこには、こずえも一緒にいたため、少し損した気分を覚えます。一方、怪我している山田を心配して彼の自宅に電話をしたカンナは、彼の留守を知らされ、ハルナとの関係を疑います。

死体を埋める作業中、こずえは、ハルナに、死体を初めて見た時どう思ったかを聞きます。「よくわかんない」と言うハルナに、こずえは、「あたしはね、ザマアミロと思った。世の中みんなキレイぶってステキぶって楽しぶってるけど、ざけんじゃねえよって」と答えます。ハルナは、それを黙って聞いていました。作業が終わって帰るハルナの後ろ姿を見ながら、こずえは、「あたし彼女のこと好きよ」と、山田に言います。

漫画『リバーズエッジ』あらすじネタバレ⑧:あたしを置いていかないで、山田君!

ハルナは、久々に観音崎とデートをします。観音崎は、ハルナに、家の複雑な事情をいろいろと話して聞かせます。ハルナは、彼の大変な時に自分は何もしてあげなかったことに気づき、「観音崎君、ごめんね」と謝ります。一方、山田も、カンナと前々から約束していた水族館デートをしていました。山田は、魚たちと自分を重ねて、「どうしてこんなところに閉じ込められているのか?」と自問します。

カンナは、デート中、山田が自分の話をちゃんと聞いていないのに気付きます。「今までは一緒にいられるだけで幸せだったからわからなかったけど、もしかしたらずっとこうだったのかな?あたしばっか喋ってて、もしかしてずっとつまらなそうだったのかな?」と思い、ひとりそっと涙ぐみます。そして、別れ際の駅で、山田の背中を見送りながら、「さみしいよう、あたしを置いていかないで、山田君!」と、心の中で叫びます。

漫画『リバーズエッジ』あらすじネタバレ⑨:猫の死体

河原の埋蔵金騒ぎもすぐに忘れられ、何も起こらない、いつも通りの平穏な学校生活が、すでに戻ってきていました。そんな中、ハルナは、校舎裏で猫に餌をやる山田を見かけて、話しかけます。山田の好きな人の話になり、「あの人がいて、僕がいて、あの人を見つめることができる、それだけでいいんだ」と、彼の恋心を聞かされます。そんな二人の様子を、校舎の窓越しに、カンナが見ていました。

一方、こずえは、学校の男子たちからサインをねだられますが、断ります。男子たちは、その腹いせに、校舎裏の猫をコンビニ袋に詰めて蹴っ飛ばし、誤って殺してしまいます。こずえは、後になって、その猫の死体を偶々発見し、「面白いものを見つけた」と、ハルナに見せます。ハルナは、それを見て吐き、嗚咽します。こずえは、「そんなつもりじゃなかった。ごめんね。若草さん」と、彼女の頬に流れる涙を、舌で舐めとります。

漫画『リバーズエッジ』あらすじネタバレ⑩:やって来ないUFO

山田は、校舎裏の猫を探しますが見当たりません。猫はハルナとこずえが学校の花壇に埋めてしまい、その死は山田には秘密にすることにしたのです。そんな中、山田は、自分の好きな男子が一人の女子と楽しそうに歩いているのを見かけます。そして、隣でいつものように楽しそうに話をしていたカンナに、「うるさいなあ。少し黙ってよ」とキレてしまいます。山田はカンナに背を向けて立ち去り、カンナは泣き出してしまいます。

一方、ルミは、生理が来ないことに悩んでいました。観音崎には知らせたものの、実のところ誰の子かわからず、日記をつけながら考えます。また、ハルナは、バイト中に山田と会い、一緒に帰ることになりました。そして、いつもの川沿いの橋の上で、山田から、自分には女子と付き合うのは無理であることを聞かされた後、「一緒にUFO呼んでみようよ」と誘いを受けます。二人は一時間ほど念じてみましたが、UFOは現れませんでした。

リバーズエッジの漫画の結末が怖すぎる?

漫画『リバーズエッジ』の結末前までのあらすじをネタバレしてきました。UFOも現れず、終わりの見えないいつも通りの日常の裏側には、それでも少しずつ確実に、「惨劇の夜」に向けての火種が積み重なってきています。これから起こる出来事は、はたして、生きづらい日常をひっくり返すに足るほどの非日常を呼び起こすことができるのでしょうか?それでは、結末のネタバレです。

漫画『リバーズエッジ』結末ネタバレ①:あなたなんか死んでしまえばいい

朝、いつもの様に登校したハルナは、しばらく学校を休んでいたルミと久しぶりに会って、話を交わします。そんな時、ハルナの下駄箱から、手紙が落ちます。「ラブレターだったりして~」と冷やかされながら開封してみると、そこには、便箋5枚に渡って、びっしりと几帳面に、たった一つの言葉、「あなたなんか死んでしまえばいい」が、書き連ねられていました。

カンナは、教室で、山田のためにセーターを編んでいました。友人たちと楽しそうにおのろけ話をしますが、その目つきは、どこを見ているのかわからない異常なものでした。また、ルミは、ハルナが観音崎といつも通りに話している様子を冷たい眼差しで見つめ、山田も、屋上から自分の好きな男子を眺めながら、「あんな女、死んでしまえばいいのにな、早く、すぐ」と思うなど、「得体の知れないもの」が蔓延していきます。

漫画『リバーズエッジ』結末ネタバレ②:ぜんぜん誰もあんたのことなんか好きじゃない

ハルナは、毎度のようにサボって寝ていた保健室で、同じく毎度のように寝に来たこずえと会い、同じベッドで一緒に横になります。こずえはすぐに寝息を立てて眠ってしまいますが、ハルナは軽い性的な興奮を感じて眠れません。しかし、「あたし達はきっと永遠に性的な交わりをしないだろう」と、天上を眺めながら思います。

そして夜、観音崎は、ルミから河原に呼び出されます。手術代の請求をめぐって口論になると、彼は、ルミから、「ハルナは全然あんたのこと好きじゃない」と言われます。そして、立て続けに家族のことやその他様々なコンプレックスを煽られた末に、「ぜんぜん誰もあんたのことなんか好きじゃない」と止めを刺されると、観音崎は、聞きたくないとばかりに、「やめろ!」とルミの首に手を掛けて、絞め落としてしまいます。

漫画『リバーズエッジ』結末ネタバレ③:僕、あんた嫌いだもの

途方に暮れる観音崎のところに、山田が現れます。事態を察した山田は、彼に、「死体を埋めるならスコップを持ってきた方がいい」などと、冷静にアドバイスします。一方、ハルナは、こずえの家で一緒に食事をしていました。彼女がすさまじい量の食事をした後トイレで吐く様子に、「あたしだったらあんな風には吐けないなぁ」と思いますが、そんなことを考えているハルナに、こずえは、「好きよ、若草さんのこと」と告白します。

山田と観音崎がスコップを取りに行っている間、ルミは意識を取り戻し、家へ帰ります。途中、カンナとすれ違いますが、お互いに相手が見えていない様子で気づきません。一方、山田は、観音崎に、ハルナとこずえを手伝いに呼ぶことを提案します。観音崎は、山田とハルナの関係を疑いますが、山田は、女子に性的な興味がないこと、男子としての観音崎にも興味がないことを告げ、「僕、あんた嫌いだもの」と吐き捨てます。

漫画『リバーズエッジ』結末ネタバレ④:消えた「死体」

河原から帰宅したルミは、自分の部屋で日記を盗み読みしている姉を発見します。「ドロボー!欲求不満のブス!」と責め立てるルミに、姉は「あんただって裏で何やってんだか?」と、彼女の子供や援助交際などを持ち出し、お互いに日頃から溜まっていた不満をぶつけ合います。ルミは、「ブタ!ブス!早く男作れ!」と罵詈雑言を浴びせ続け、その結果、姉からカッターでめった刺しにされてしまいます。

ルミと途中すれ違ったカンナは、ハルナの自宅に向かっていました。彼女は、道すがら「あいつさえ死んでしまえばいい。そうすれば山田君はあたしのところに帰ってくる」と考えていました。一方、ハルナは、こずえのところに山田から連絡が来たため、二人で河原へと向かいます。しかし、そこに「死体」はありません。パニックになった観音崎はハルナを見て泣きながら抱きつき、山田とこずえは消えてしまった「死体」を探します。

漫画『リバーズエッジ』結末ネタバレ⑤:おまえら、どういう関係なんだ?

ハルナの自宅に向かっていたカンナは、途中、電話ボックスから、山田の自宅に電話をかけます。彼の留守を確認すると、次にハルナの家にも電話をかけます。母親が出て彼女が出かけている事を告げられると、受話器を大きな音を立てて切り、「山田君がいない。またあの女と会っているんだ」と考えます。それまでにもハルナの家には何度も無言電話があったのですが、それは全てカンナの仕業でした。

河原では、死体が見つからず、山田とこずえは、「つまんないから帰ろう」と言い出します。それを見ていた観音崎は、「おまえら、どういう関係なんだ?」と、ますます混乱を強めます。ハルナは、「あたし達?どういう関係なんだろう?」と自問しますが、そこで、事態を一向に把握できない観音崎が、「てめーさえいなけりゃ!」と山田につかみかかろうとします。

漫画『リバーズエッジ』結末ネタバレ⑥:今までついてきた中で一番ひどい、すぐばれる嘘

山田につかみかかろうとする観音崎を止めるため、ハルナは、「あたしが一番好きなのは観音崎君だから。もう絶対離れないから」と嘘をつきます。自分でも「今までついてきた中で一番ひどい、すぐばれる嘘」とハルナは思いますが、観音崎は、「ハルナー!」とその場で彼女を押し倒し、欲望の赴くままにセックスを始めます。

そんな二人を見て、「アホはほっとこ」と、こずえは言います。山田はハルナが少し心配でしたが、こずえは「あの人は大丈夫。何でも関係ないんだもん。だからあたし達にも平気だったんだもん」と言い、二人は河原を立ち去ることにします。がっかりしながらの帰り道でしたが、しかし、二人は途中、警察や消防車・救急車などが集まる騒がしい現場に遭遇します。どうやら何か事件が起こったらしく、二人は期待に目を見開きます。

漫画『リバーズエッジ』結末ネタバレ⑦:黒焦げになった田島カンナの手足

事件現場にはシートで隠された焼死体がありましたが、そこからはみ出していたのは、黒焦げになった田島カンナの手足でした。カンナは、ハルナの自宅に放火したのですが、その弾みで自分の体にも火をつけてしまったのです。

一方、河原に残されたハルナは、観音崎と何度も何度もセックスをし、彼の不安や怒りを受け止めるだけ受け止めます。その後、泥のようにへとへとになって帰宅しますが、ドアを開けると、中には焦げた臭いが充満し、彼女の母親が泣いていました。

漫画『リバーズエッジ』結末ネタバレ⑧:あたしたちは何かを隠すために延々と放課後お喋りをしていたのだ

カッターで切り付けられたルミですが、命に別状はありませんでした。姉も、錯乱して自分で自分の手首を切ってしまったものの、無事でした。しかし、たくさんの血が流れ、それとともに、ルミが身ごもっていた赤ん坊も流れてしまいました。

ハルナは、クラスメートとともに、病院へ見舞いに訪れますが、ルミは精神を病んでいて、面会させてもらえませんでした。ハルナは思います、「赤ん坊がいたことも、姉がいたことも知らなかった。仲良しだったのに何もルミのことを知らなかった。あたしたちは何かを隠すために、何かを言わないで済ますために、延々と放課後、お喋りをしていたのだ」と。

そうこうしているうちに、学年はあっという間に終わりを迎え、山田の好きな男子は卒業し、こずえは学校を辞めていきます。家が火事になったハルナも、転校することになりました。観音崎が引っ越しの手伝いに来ます。二人の間には、あの日以来何もありませんでした。手伝いを終えて帰る観音崎と別れのあいさつを交わし、ハルナは、「きっともう二度と観音崎君と逢うことはないんだろうな」と思います。

漫画『リバーズエッジ』結末ネタバレ⑨:生きている時の田島さんより死んでしまった田島さんの方が好きだ

観音崎と別れると、そこに山田が現れます。二人は少し歩くことにしました。何も喋らず、何度も歩いた川沿いの橋の上にやって来ます。そこで、山田は口を開いて、「最近、田島さんの幽霊を見るんだ。気のせいかもしれないけど、いたるところに気配を感じる」と話し始めます。

山田は続けます、「でも僕は、生きている時の田島さんより死んでしまった田島さんの方が好きだ。ひどいよね。生きてる間にもっと好きになってあげられたらよかったのにね」と。それに対して、ハルナは、「山田君は黒焦げになってないと人を好きになれない?」と尋ねます。

漫画『リバーズエッジ』結末ネタバレ⑩:平坦な戦場で僕らが生き延びること

山田は、「そんなことないよ。僕は生きている若草さんのことが好きだよ。本当だよ。若草さんがいなくなって、本当に寂しい」と答えます。それを聞いてハルナは、何故か涙をぽたぽたと落とし、山田に気付かれないよう、うつむいて声を殺して泣きます。そして、ハルナは思います、「校舎裏の猫が死んだときは、とても悲しくて大声を出して泣いたけど、気持ちが良かった。でも今は、ただ胸が苦しい」と。

そんなハルナに、山田は、「UFO呼んでみようよ、もう一回やってみようよ」と声を掛けます。そして、次第に東の空はぼんやりと明るくなり、いつもと変わらない朝がやって来ます。UFOは、もちろん現れませんでした。こうして、終わりなき日常という空虚な自由の中で、予め埋まることのない喪失感を抱えた子供たちは、何のドラマも生きることなく、深みのないのっぺりとした平坦な戦場を生き延びていきます。

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リバーズエッジの漫画を読んだ感想や評価を紹介!

生きづらさから非日常に救いを求めても、そこには身の破滅しかありません。すぐにいつも通りの朝に飲み込まれるという結末を迎えるだけです。しかし、そんな何も起こらない空虚な日常こそを「平坦な戦場」として生き延びること、そんな内容を持った90年代の傑作漫画『リバーズエッジ』は、現在どのように受け止められているのでしょうか?感想をいくつか紹介します。

感想①:ほのかな希望を感じられる

刊行当時リアルタイムで読んだ世代からは、この空虚感は相変わらず続いているので、今なお立派に通用する作品だという声が多いようです。

全然色褪せていない。それどころかますますエッジを効かせて現実とシンクロしてるような気がする。暗いけど胸がスカッとするのは、一瞬のひと時だけど、ほのかな希望を感じられるからか。

また、その暗い作風にもかかわらず、空虚な日常に埋没するのではなく、それを意識的に見つめ続けて生きていこうとする姿勢に、かすかな希望の光を感じ取っているところが見受けられます。

感想②:一歩間違えれば危うい所に常に私達は立っている

一見平和な日常にも、すぐ隣には、破滅へと誘う闇が、ぽっかり口を開けて待っているのかもしれません。そんな感覚は、今の読者にも通じるものがあるようです。

一歩間違えれば、道を踏み外して社会から溢れ落ちる危うい所に常に私達は立っていることを切に感じました。皆表には出さないだけで危うい陰の部分があり、どうにかそれと折り合いをつけて生きていくことが成熟していくという事なのかなと感じました。

また、その危険を回避しながら、ここまで生き延びてきたことを、感慨深く思う刊行当時の読者もいました、「ハルナや山田たちもきっとそうだろう」と。

感想③:おしゃれにまとまってる感じが厭だ

ある意味「おしゃれサブカル」とでも呼べそうな岡崎京子独特の世界観は、やはり好みが分かれるようです。

おしゃれにまとまってる感じが厭だ。とにかく嫌悪感を覚える絵と話だった。作者が下北沢生まれってところまでもう気に入らない。それくらいうけつけなかった。

時代を代表するファッションやカルチャーを散りばめ、そこに詩的なニュアンスや文学テイストを付け加えた作風が肌に合わないと感じる人がいても、それは致し方ないのかもしれません。

感想④:現代でも違和感のない同性愛者に関する問題提起

ハルナが同性愛者である山田に無邪気に性の話を振ってしまい、逆に同じ話題を振られて黙り込んでしまう場面は、とりわけ印象に残る人が多いようです。

20年程前の作品だが、「異性愛者にはセックスの質問をしないのに同性愛者には遠慮無くするのはおかしい」という、現代社会においても違和感のない問題提起が印象的。(20年経っても、同性愛者に対する無遠慮が改善されていないのは情けないけど)

現在では、LGBT問題などが、かなり一般的な広がりをみせているだけに、そのシーンは、古びるどころか、ますます強い印象を与えるものになっているのかもしれません。

リバーズエッジが実写映画化!キャストを紹介!

岡崎京子による1994年刊行の傑作漫画『リバーズエッジ』は、2018年に、行定勲監督によって実写映画化されたことで、再度注目を集めることになりました。ここでは、実写映画『リバーズエッジ』の主要キャストを紹介します。

二階堂ふみ/若草ハルナ

若草ハルナ役を演じる二階堂ふみは、役所広司初監督作品の『ガマの油』や園子温監督の『ヒミズ』などに出演し、高い評価を受けている女優です。『リバーズエッジ』の実写映画化は、もともと原作の熱烈なファンでもあった彼女の積極的な働きかけがあって実現したものです。

吉沢亮/山田一郎

山田一郎役を演じる吉沢亮は、初主演を務めた『ぶっせん』や沖田総悟役に抜擢された『銀魂』など、数多くのテレビドラマや映画などで活躍している俳優です。映画『オオカミ少女と黒王子』では、『リバーズエッジ』で若草ハルナ役を演じる二階堂ふみと共演しています。

森川葵/田島カンナ

田島カンナ役を演じる森川葵は、雑誌『Seventeen』の専属モデルとしてデビューし、以後、多くの映画やテレビドラマで活躍している女優です。2018年には、宮藤官九郎演出の舞台『ロミオとジュリエット』でジュリエット役を演じ、初舞台にして主演を務めることになりました。

上杉柊平/観音崎

観音崎役を演じる上杉柊平は、2015年、『ホテルコンシェルジュ』でテレビドラマデビューを果たした俳優です。以後、NHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』など、多くのテレビドラマ出演はもちろん、劇場映画にも活躍の幅を広げつつあり、今後が期待されています。

SUMIRE/吉川こずえ

吉川こずえ役を演じるSUMIREは、雑誌『装苑』の専属モデルとして活動を開始し、2018年には、映画『サラバ静寂』で、演技未経験にもかかわらずヒロイン役を務め、女優としてもデビューを果たします。父は俳優の浅野忠信、母はミュージシャンのCharaです。

土居志央梨/小山ルミ

小山ルミ役を演じる土居志央梨は、京都造形芸術大学映画学科俳優コースを卒業し、舞台・映画・テレビドラマなどで活躍している女優です。その、多くの人から注目される妖艶さ漂う演技は、『リバーズエッジ』でも遺憾なく発揮され、独自な存在感を放っています。

映画『リバーズ・エッジ』公式サイト

リバーズエッジの映画の魅力とは?

実写映画『リバーズエッジ』は、時代を代表する傑作という評価を受ける漫画版へのリスペクトから、原作のあらすじを忠実になぞっています。しかし、90年代を色濃く反映した作品を20年以上経ってから映画化するということで、そこには、映画としての仕掛けがいくつか付け加えられています。ここでは、その工夫をいくつか紹介します。

監督によるキャストへのインタビューシーン

実写映画『リバーズエッジ』では、劇中、監督によるキャストへのインタビューシーンが、度々差し挟まれます。今の役者が90年代の若者を演じるにあたって、何をどんな風に感じているのかを、あぶり出そうとしているのですが、一方で、役者が、役者としてではなく、役柄になりきって答えていたりもするので、物語に組み込めるのかできないのかが、容易に決定できない、一筋縄ではいかないシーンになっています。

映像は4:3のスタンダードサイズで撮影

また、実写映画『リバーズエッジ』では、映像が、4:3のスタンダードサイズで撮影されています。近年の主流であるビスタサイズより横幅を狭くすることで、原作当時の閉塞感を表現しようとしているのですが、同時に、昔のブラウン管テレビを思わせるところもあり、そのことで、いっそう90年代っぽい雰囲気を感じさせるところがあります。

小沢健二「アルペジオ(きっと魔法のトンネルの先)」

さらに、映画では、結末を迎えた後、岡崎京子とも親交がある歌手・小沢健二による楽曲「アルペジオ(きっと魔法のトンネルの先)」が流れます。その「映画版あとがき」とでも呼べるような歌は、若者たちが生き延びていく「平坦な戦場」とは、決して血生臭い、暗くて重たいものではなく、むしろ、もっと明るく軽やかなものであることを伝えようとしているような、切ないながらも爽やかなポップナンバーに仕上がっています。

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リバーズエッジの漫原あらすじと感想ネタバレまとめ!

以上、岡崎京子の傑作漫画『リバーズエッジ』のあらすじと結末をネタバレしてきました。刊行当時からかなりの歳月が流れ、多くの事件・出来事が起こりましたが、時代を覆う閉塞感は、変わったとも言えるし、変わってないとも言えます。そんな今、「平坦な戦場で僕らが生き延びること」とは、どんな意味を持つのでしょうか?実写映画化を機に、読み返してみるのもよさそうです。

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