兄の嫁と暮らしています。はどんな漫画？百合作品ともいわれるあらすじや評価は？

「兄の嫁と暮らしています。」とは、2015年12月よりヤングガンガンにて連載が開始された漫画です。作者は「姫のためなら死ねる」、アニメ化もされた「犬神さんと猫山さん」などで知られる百合漫画で評価を受けている女性漫画家くずしろさん。今回の「兄の嫁と暮らしています。」も、可愛い女の子が出てくると高評価を受けている漫画となっています。

「兄の嫁と暮らしています。」は、主人公の女子高生「岸辺志乃（きしべしの）」と、半年前に亡くなった志乃の兄の嫁「希（のぞみ）」の2人の日常生活がメインの漫画です。『他人だけど家族』をキーワードに、不器用な義姉妹が少しずつ距離を縮めていく、センシティブストーリー（＝繊細な気持ちを描く漫画）です。では、ここから「兄の嫁と暮らしています。」の登場人物、あらすじや評価についてご紹介します。

「兄の嫁と暮らしています。」作者のくずしろさんは、20歳の時に「B.B.C.」という作品で小学館新人コミック大賞少年部門の佳作を受賞した、女性漫画家です。現在、4コマ漫画を発表する時は「くずしろ」、少年漫画やストーリー漫画など、主に小学館で作品を発表する時は「葛城一（かつらぎはじめ）」の名義を使用しているようです。くずしろさんのTwitterでは、最新情報やイラストなどを見ることもできます。

「兄の嫁と暮らしています。」は現在、ヤングガンガンとガンガンONLINEにて連載されています。ガンガンONLINEの方が2話ほど遅い掲載となっていて、最新話はヤングガンガンで読めるようです。単行本は現在ヤングガンガンコミックスより5巻まで出ており、ガンガンONLINEでは連載を3話までと、連載前に掲載された読み切り版を無料で読むことができます。

主人公の「岸辺志乃（きしべしの）」。17歳の高校2年生です。3月生まれ。小さい頃から両親を亡くし、祖父母もおらず親戚達ともほぼ絶縁状態で、兄と2人で暮らしていました。今では義理の姉の希が唯一の家族です。中学生時代はバレーボール部に所属していましたが、高校では帰宅部に。

ボブヘアーで今時の女子高生の雰囲気で、性格は一見クールでサバサバしたタイプのようですが、寂しがり屋でなかなか眠れていないという一面も。希に対して、「自分のことは気にしないで1人に戻ったら良い」と言わなければいけないのに優しさに甘えてしまっている…と、申し訳なく思っています。

志乃の兄の嫁「希（のぞみ）」。旧姓は小西（こにし）。24歳の小学校教師で四年生担任（英語で中高の教員免許も持っている）です。10月生まれ。志乃の兄と高校生の頃から付き合っていて、大学卒業後すぐに結婚しました。

優しく料理上手で、包容力のある理想の女性…といった設定で、1人っ子で両親には反発もして生きてきたというように、志乃とは全く違う環境で育っています。「志乃ちゃんを1人にしてはおけない」と一緒に暮らしますが、志乃に対して志乃の兄であり旦那である大志の面影を見ています。

志乃の兄であり希の旦那でもある「大志（たいし）」。高卒で就職し、希の大学卒業を待って結婚。高校生の時はアルバイトで家計を支えていました。妹を一人前にするまではと結婚式はあげず、新婚旅行も行かず、希とは籍だけ入れていました（落ち着いたら結婚式をするつもりだった）。 半年前に風邪をこじらせ、勤務中に亡くなってしまいます。

志乃が2巻で拾ってくる猫「大佐（たいさ）」。名前の由来は、後に出てくるゴキブリ退治のストーリーで、志乃と希が退治に苦戦したゴキブリをあっさりと捕まえ、岸辺家で1番階級が上だ…となる話から。かなり人懐っこい猫です。

志乃と大志の幼馴染「樋浦翔太郎（ひうらしょうたろう）」。志乃のクラスメイトで、イケメンだけどゲームオタク。今のところ作中では、あくまで志乃とは友達のようです。しかし、夏祭りのストーリーでは志乃の浴衣姿に照れる一面も。

翔太郎の姉で、志乃と大志の幼馴染「樋浦律子（ひうらりつこ）」。大志とは親友で、悪友で、話せないことは何もなかったくらいの存在です。希の友人でもあり、二人をくっつけるのに苦労したと語っています。自由奔放な性格でアメリカに住んでいましたが、仕事を辞めて実家に帰ってきました。

志乃と大志の幼馴染「桜井みなと（さくらいみなと）」。 志乃のクラスメイトで、バレーボール部のエースです。運動だけではなく成績も良く観察眼が鋭く、作中では志乃を気にかけて遊びに誘ったり、アドバイスするなど良い女友達のキャラクターです。

みなとのバレーボール部のマネージャー「小泉（こいずみ）」。下の名前は出てきていません。中学時代はリベロをやっていたのですが、高校では両親が離婚して年の離れた妹の面倒を見ないといけないため、マネージャーをやっています。もともと志乃に憧れていましたが、志乃がバレーを辞めてしまったことが不満で、また志乃の今の環境を知らないため何かと突っかかっていきます。妹は小学4年生で、希の担任するクラスの生徒です。

大志と希の高校時代の先生で、志乃にとっては地理の教科教諭の「目時（めどき）先生」。かなり強面ですが優しく、希と志乃のことを気に掛けています。家では志乃の前でしっかり者の姉である希も、目時先生の前では生意気な生徒になります。

志乃と希、2人だけの世界というわけではなく、他にもたくさん出てくるサブキャラクター達。サブキャラクター達との交流の中でも、2人の性格や考え方、意外な一面が多く見られます。

それではここから、「兄の嫁と暮らしています。」の5巻までのあらすじをご紹介します。読み切りでは、わりと明るめの話題が多かった「兄の嫁と暮らしています。」ですが、高評価を受け連載が開始されました。連載では、どのような内容が盛り込まれたのでしょうか？

「兄の嫁と暮らしています。」第1巻のあらすじです。表紙は志乃と希が仲良く相合傘をしており、その1歩先を兄・大志と思われる男性が描かれています。1巻は、志乃の兄・大志が亡くなってしまった半年後から始まります。唯一の肉親だった兄を亡くし、天涯孤独となった志乃を友人や教員が心配します。しかし、家に帰ると天涯孤独となったはずの志乃に「おかえり」との声が。声の主は兄・大志の嫁の希です。

1話から、2人で協力し、不器用ながらも小さな幸せを見つけながら過ごしていく様子が描かれています。全体的に暗い話なのかと思いきや、希が無意識に大志との惚気話をしたり、志乃の明るい学校生活が描かれていたりと、楽しく読める部分もあります。志乃が希に迷惑をかけまいと気を遣ったり、希が志乃の良き姉でいようとする姿などが繊細に描かれ、ただの日常系百合漫画ではないということがわかります。

「兄の嫁と暮らしています。」第2巻のあらすじです。表紙は、志乃と希が2人で食事している様子が描かれています。普通の姉妹のように優しい雰囲気です。2巻では、志乃の学校生活、希の交友関係を通じて、志乃と希の間のぎこちなさ、まだ他人行儀な雰囲気が浮き彫りになってきます。

志乃は、希はそのうち家を出ていくのだろうと考え、お願いしたいことがあっても言えません。また、希は志乃になんでも話してほしいと思いながら、独りよがりにならないようにと自分の話もしないのです。まだまだ距離が縮まらない2人ですが、夏祭りをきっかけに志乃の気持ちにも変化が…。

「兄の嫁と暮らしています。」第3巻のあらすじです。表紙は、志乃と希がドライブデートをしている様子が描かれています。3巻では、2巻での夏祭りの話の後から始まります。突然希の父が登場し、志乃は希と希の母親が不仲なことを知ります。希は自分のことをあまり話さなかったため、志乃は何かできないかと考えます。

漫画内ではお盆が近付き、浮かない表情になる2人。希は志乃をデートに誘います。デートの途中、希は大志のことを考え、暗い顔になり、まだ前に進み切れていないことがわかります。志乃は、これまで希と2人で過ごして少し考え方も変わったようで、希の幸せとは何かを考えています。お盆期間、お墓参りで2人の距離が少し縮まり、温かい雰囲気に。

「兄の嫁と暮らしています。」第4巻のあらすじです。表紙は、志乃と希が料理している様子が描かれています。希が料理上手のため、家での家事は主に希が料理当番、志乃が掃除や洗濯というように役割が決まっています。4巻では、志乃の学校生活がメインに描かれています。志乃の学校祭に行き、志乃の友人達に見せる表情を見て、少し志乃を遠くに感じた希。

この気持ちは依存なのか？と、希は志乃との生活が生き甲斐ともなっていると気付きます。そんな時、志乃が連絡も入れずに帰りが遅くなった日がありました。希はそれを叱り、志乃は家族、姉妹という存在を改めて認識します。4巻の最後、希は、志乃の兄がもういないこと、描いた理想が叶わないことを考え、暗い雰囲気で話が終わります…。

「兄の嫁と暮らしています。」第5巻のあらすじです。表紙は、志乃と希が布団を並べて話す様子が描かれています。5巻では、希の誕生日が近付き、志乃はアルバイトをして希にプレゼントを買おうと考えます。普段通りの生活が進んでいる…と思いきや、希が体調不良で倒れてしまいます。

回復した志乃ですが、希が修学旅行で家を開けたり、バイト先でアクシデントがあったりで、プレゼントを渡すタイミングを逃してしまいます。そんな中、希の母が事故で入院。希はなんともないような様子ですが、しばらく志乃も一緒に希の実家にいることに。お客さんのように扱われる志乃と、普段とは違う安心した様子の希。志乃は、2人は別々に暮らした方が希にとって幸せなのではと感じます。

5巻までのあらすじを紹介しましたが、お互いを大切に思っているという描写はあっても、直接的な「百合」の表現はありませんでした。「兄の嫁と暮らしています。」は結局のところ百合漫画なのでしょうか？

「兄の嫁と暮らしています。」では、今のところはっきりとした百合の表現はされていません。しかし、志乃は希に対して「どこにも行かないでほしい、一緒にいてほしい」という気持ちを抱いています。しかし、希はいつか家を出て行ってしまうと考え、希に迷惑をかけないようにと気持ちを伝えられず、すれ違いが起きることも。この気持ちが「家族愛」なのか「百合」なのか、志乃自身もあまりわかっていないのです。

対して希は、志乃と本物の姉妹になりたい、なんでも話してほしいと考えています。作中では、志乃よりも希の方が、大志が亡くなったことを受け止めきれず、前に進みきれていないという描写がされています。

志乃は「希には他にも良い人が見つかるはずで、自分を気にせず1人で暮らしてほしいと言わなければいけない。でも1人になりたくない。一緒にいてほしい」と考え、希は「建前として志乃ちゃんを1人にさせられないと一緒に暮らしているが、志乃ちゃんの奥に大志くんの面影を見ている。自分はずるい人間だ」と考えています。

最新話では当初より2人の距離が近付き、志乃と希にもそれぞれ気持ちの変化が出てきています。今のところはっきりと「百合」とは言えませんが、お互いがとても大切な存在になっていっています。

登場人物にも恋愛対象が女の子のキャラクターは出ておらず、全体としてもはっきりとした百合漫画ではない、ということがわかりましたが、「兄の嫁と暮らしています。」はどのような評価を受けているのでしょうか？

「兄の嫁と暮らしています。」で出てくるキーワード「他人だけど家族」というところで、かなり読んでて複雑な気持ちになる方が多いようです。「センシティブ」＝「感覚が敏感な、感じやすいさま、鋭敏」「微妙で慎重を要するさま」というように、繊細な2人の関係が描かれていると評価されています。

「面白い」「2人が可愛い」「続きが気になる」と、キャラクター性がネット上ではかなりの高評価です。「百合」なのか「家族愛」なのか、近付きそうですれ違う2人の距離感、暗くなりすぎず、明るく前へ進もうとする日常生活を描写しながら、不思議な切なさと緊張感が魅力で、評価を受けているようです。

漫画「兄の嫁と暮らしています。」のあらすじ、評価をまとめました。いかがだったでしょうか？幼い頃から兄と2人暮らしで、唯一の肉親だった兄すらも亡くした志乃。高校生時代から付き合って、結婚しこれから幸せな生活が待っているというところで、旦那を亡くした希。2人は、それぞれ自分はずるい人間だと思いながらも、お互いに助けられながら小さな幸せを見つけて生きています。

前へ進もうと考え、希の幸せとは何かを探す志乃と、まだ大志が亡くなったことを受け止めきれず、志乃に依存する希。今後、2人の関係は「家族」や「姉妹」として展開されるのか、それとも「百合」の関係になっていくのか…。「兄の嫁と暮らしています。」はヤングガンガン・ガンガンONLINEにて連載中です。ぜひ、この不思議な関係性が生み出す暖かさと切なさを、読んで体験してみてください。