打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?を考察!難解なストーリー・結末を解説

『ぱっとひかってーさいーた―♪』という主題歌が印象的なアニメーション映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』。2017年の夏に公開されましたが、ご覧になったでしょうか? 結末には様々な考察がされています。総監督は『魔法少女まどか☆マギカ』を手がけた新房昭之さん、原作は『スワロウテイル』などで知られる映画監督、岩井俊二さんの1993年のドラマ『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』です。この記事では物語のあらすじや考察をご紹介しつつ、難解とされる結末も解説していきます。

打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?を考察!難解なストーリー・結末を解説のイメージ

目次

  1. 打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?を徹底考察!結末も解説
  2. 打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?とは?
  3. 打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?のあらすじを解説
  4. 打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?の結末についてネタバレ考察
  5. 打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?原作ドラマ版のラストは?
  6. 打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?あらすじ考察まとめ

打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?を徹底考察!結末も解説

映画公開後は『結末が難解』と話題に⁉

『打ち上げ花火、下から見るか?上から見るか?』とか『打ち上げ花火、上から見るか?横から見るか?』などと、題名を言い間違える人は続出したものの(※上から花火を見るのは大変です)、2017年のアニメ映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』は公開前から話題性が抜群でした。配給会社は2016年の夏に『君の名は。』を送り出した東宝で、プロデューサーも『君の名は。』と同じ川村元気さんです。

そして原作は岩井俊二さんのドラマです。1993年にオムニバスドラマの一遍として放映された『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』は、大好評を得て1995年に映画化されました。映画公開前から話題性は十分で、だからこそか、映画公開後は『結末がわからない』と不満の声もあがりました。さまざまな考察も飛び交います。

原作ドラマとの違い。忠実なリメイク作品ではない?

さてアニメ映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』のあらすじを解説しますと、これはいわゆるタイムリープもの――過去に戻って、なずなとの関係をやり直す物語です。

しかし1993年に発表された岩井俊二さんの『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』について解説しますと、これはただ2通りのエンディングを見せたもので、何度も過去には戻りません。

2017年のアニメ映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』は1993年の原作を忠実にリメイクしたものではなく、原作を最大限にリスペクトしつつも、オリジナル要素を加えた作品です。そのオリジナル要素の部分に、たくさんの考察がされています。

物語のあらすじを、結末までざっくり紹介

主人公の典道(声・菅田将暉)は、海で拾った不思議な球体を使い、夏休みの一日を繰り返します。そして密かに憧れる同級生、なずな(声・広瀬すず)が転校していく結末を、阻止しようとします。

典道となずなはどんどん非現実な風景に迷い込み、やがて不思議な球体は砕け散ります。二人は現実の世界に戻されます。ラストシーンは夏休み明けの新学期初日。学校の教室で出席を取っていますが、なずなと典道の姿はありませんでした。

考察が飛び交う結末。脚本家は?

最後のシーンで『典道となずなが教室にいなかった』事で、この結末には色々な考察がされています。しかし脚本を務めた大根仁さんは、岩井俊二さんの『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』の大ファンでして、あるドラマではおおもとの岩井俊二さんに褒められるほどの、見事なオマージュをやってのけたぐらいです。大ファンが愛する作品の登場人物を、そうそう不幸にする訳がありません。

映画の結末について一つの考察を述べますと、現実世界に戻ったなずなは予定通りに転校していて、典道は学校をさぼって、思い出にふけっているのではないでしょうか?ただ『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』は劇中で本当にさまざまな『もしも』の未来を見せてくれるので、一つの考察に絞るのは、ややもったいないです。確実にしたいのは、スタッフ側はバッドエンドを用意した訳ではないという点です。

映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』

打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?とは?

必ず8月に公開される、夏休みの物語。

『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』は夏休みが舞台の物語で、必ず8月に公開されています。まず1993年の8月、TVドラマシリーズ『If もしも』の一編として放映されました。

2年後の1995年の8月、映画館で公開されました。そして2017年、『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』はアニメ映画として再び世に出て、やはり8月に全国上映されました。

原作は映画監督・岩井俊二が制作したテレビドラマ

映画の原作は『スワロウテイル』『リリイ・シュシュのすべて』『リップヴァンウィンクルの花嫁』などを手がけた映画監督の岩井俊二さんが制作したドラマです。1993年にこの『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』を発表したことを期に、岩井さんは映画界に進出したともいわれています。放映した同年に日本映画監督協会新人賞を受賞して、1995年には映画作品として公開されるはこびとなりました。

『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』は『If もしも』というオムニバスドラマの一遍でした。この『If もしも』では話の途中で必ず分岐点があり、そこから枝分かれした2通りのストーリーを見せてくれます。

なお初期の原題は『少年たちは花火を横から見たかった』だったそうですが、『If もしも』のスタッフの強い意向により『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』に変更されたそうです。

『If もしも』の各エピソードのタイトルを「〜するか、〜するか」という形で統一する為と思われます。これらのエピソードは1999年発のドキュメンタリーDVD『少年たちは花火を横から見たかった』内でも触れられており、また2017年6月には、『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』の初期プロットを基にした岩井俊二さんの小説『少年たちは花火を横から見たかった』が、発売されました。

アニメ制作はシャフト。『化物語』シリーズのスタッフ多し

制作陣について解説します。制作はアニメ制作会社のシャフトです。総監督・監督・作画監督を務めたのは、シャフトの代表作『化物語』シリーズと同じスタッフです。総監督は、『魔法少女まどか☆マギカ』『化物語』シリーズを手がけた新房昭之さん。監督はTVアニメ『輪るピングドラム』や『化物語』シリーズで作画監督をされた武内宣之さん。キャラクターデザインは『化物語』シリーズを手がけた渡辺明夫さんです。

主題歌は“DAOKO×米津玄師”。本作のためのコラボレーション

予告編と映画の結末を飾る主題歌『打上花火』を歌うのは“DAOKO×米津玄師”(ダヲコ×よねづげんし)。本作の為の特別なコラボレーションです。『打上花火』のフルバージョンのミュージックビデオは丸々アニメ映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』で、つい魅入ってしまいます。また、DAOKOさんが歌う挿入歌『Forever Friends』のミュージックビデオは、原作者である岩井俊二さんが撮影されました。

挿入歌『Forever Friends』について少し解説します。まず1993年のドラマでは挿入歌として、1995年の劇場版では主題歌として使用されました。そしてアニメ映画でも挿入歌として起用されました。

岩井俊二さんはDAOKOさんのミュージックビデオの撮影の為に、1993年のドラマ版のロケ地に行かれています。『Forever Friends』のミュージックビデオは千葉県の飯岡町を背景に、DAOKOさんの歌う姿が続きます。

主演声優は、広瀬すずさんと菅田将暉さん

ヒロインの及川なずなの声優は『ちはやふる』で主演を務めた広瀬すずさん、主人公の島田典道(しまだのりみち)の声優は『仮面ライダーW』でドラマデビュー後、俳優としても歌手としても活躍される菅田将暉(すだ まさき)さんです。そして典道の親友、祐介の声を担当されるのは声優として第一線で活躍する、宮野真守(みやのまもり)さんです。

脚本は大根仁さん。岩井俊二さんとは微笑ましいエピソードが!

脚本を書いたのは映画『バクマン』や『モテキ』で監督された大根仁さん。この大根仁さんが『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』の脚本をされるにあたって、実は岩井俊二さんとのちょっとしたエピソードがありました。解説しますと、大根仁さんは監督を務めた2010年の深夜ドラマ『モテキ』第2話で『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』をパロディにされたのです。

モテキ第2話のあらすじはヒロインが『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』のロケ地を巡るというものなのですが、カメラワークやセリフ回しなどが見事にコピーされています。ロケ地は大根仁さんが自力で探し当てたそうです。この情熱は放送日当日に、おおもとの岩井俊二さんまで伝わりました。これをきっかけに大根仁さんは岩井俊二さんと対談をして、アニメ映画版では脚本に起用されました。

打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?のあらすじを解説

主人公の典道と、彼の憧れの少女なずな

では物語序盤のあらすじ解説をします。舞台は実写ドラマと同じ1990年代。主人公の典道は中学校へ通う途中で、海辺にいるクラスメイトの少女なずなを見つけます。なずなに見とれていると彼女が振り返り、目が合います。ここで典道が目をそらすことから、典道がなずなを想っていることが考察できます。なずなは一人、海辺で不思議な球体を見つけて拾います。この球体は重要なキーパーソンであると、先に解説しておきます。

なずな、典道、祐介。プール対決での勝者は?

周囲の人間は、典道がなずなに好意を寄せているのを知っている様子です。そして典道の親友である祐介(声・宮野真守)も、なずなが気になるようです。放課後、典道と祐介はプール掃除に行き、そこでなずなに出くわします。なずなは部活がないのに、プールサイドで寝そべっています。このシーンの原作との違いを解説しますと、ドラマ版ではなずなの首に蟻が這いますが、アニメ映画では頬にトンボが止まりました。

この時すでになずなは、母親の再婚により転校することが決まっています。胸の内は穏やかではないと考察できます。なずなは、典道と祐介と共にプールで、水泳50m競争を始めます。「私が勝ったらなんでも言うこと聞いてね」と微笑んだなずなは、見事1位になります。

なお原作版とのあらすじを解説しますと、水泳勝負するのは典道と祐介だけでした。原作版のなずな(奥菜恵)は勝った方と『かけおち』しようと決めていました。

打ち上げ花火、どこから見るか?誰と見るか?

水泳勝負後からのあらすじをご紹介します。プールで勝利したなずなは、祐介を花火大会に誘います。場面変わって同時刻、教室では打ち上げ花火は横から見るとどう見えるのか、ということを生徒達が言いあっています。丸く見えるのか、それとも平たく見えるのか。祐介は丸く見えると言い、典道は平たいんじゃないかと言います。そして典道も祐介も、灯台まで上って花火がどう見えるか確かめに行こうと、友達と約束します。

なずなと花火を見に行く約束した祐介ですが、なずなとの約束をすっぽかして友達同士で灯台へ花火を見に行ってしまいます。この時の祐介の行動を解説します。おそらく祐介は典道に気をつかい、なずなのもとへ行かなかったのだと思います。典道はプールで怪我をした為、祐介の両親が営む病院へ向かいます。そこで祐介を待つなずなに出会います。祐介が来ないことを、典道はなずなに伝えます。

なずなとの別れ。典道は第1タイムリープへ

典道となずなが出会ってからのあらすじをご紹介します。二人でなずなの家へ歩き出します。その途中でなずなは、本当は典道を花火に誘おうと思っていたと告白します。典道がなずなの様子に戸惑っているところでなずなの母(声・松たか子)が現れて、母親の再婚による引っ越しの為、二人は引き離されます。なずなは悲痛な声で典道を呼び、助けを求めます。なずなが海で拾った球体が地面に転がります。

典道はただその場に立ち尽くしていました。そこへ祐介が現れて、なずなと母のやりとりをあざ笑います。典道は祐介に殴りかかり「もしもあの時、俺があの勝負に勝っていたら!」と、拾った不思議な球体を壁に投げつけます。そしてこの行動から、典道は第1タイムリープを果たします。この時の典道は怒りからつい球体を投げたのであって、タイムリープの為に投げた訳ではないと解説しておきます。

再びプール勝負へ。『反時計回り』も見逃せない!

『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』で1回目のタイムリープを果たした後のあらすじを、ご紹介します。場面はプール勝負へと巻き戻ります。この勝負で今度は典道が1位になります。ここからのあらすじは花火大会までほぼ同じですが、セリフが少しずつ変わっています。

そして典道達の街には風力発電用の風車が廻っているのですが、時計回りだったのにここで『反時計回り』に変わっています。これは典道達が虚構の世界に入ったことを象徴しています。他は灯台の光も反時計回りになっていたり、先生が円形の巨乳から、平たい貧乳に変わっていたりします。映像で解説される世界の違いは『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』の見どころで、考察するにあたって見逃せないポイントです。

再び引き離される、典道となずな。典道は第2タイムリープへ

典道が水泳勝負に勝ってからのあらすじをご紹介します。典道は友達との約束を破り、なずなと出かけます。典道となずなは、電車で遠いところまで行こうとしますが、ここでなずなの母とその再婚相手に見つかり、またもやかけおちは失敗に終わります。ここでも典道はただ立ち尽くしています。典道はこの時点では球体でタイムリープできるとは知りません。

典道はなずなと別れた後、不思議な球体を手にして祐介達と合流します。そして灯台から花火を見ます。しかし横から見た花火は『ありえない』形のものでした。典道はここで初めて、今いる世界がおかしいことに気がつきます。そして不思議な球体を握りしめて「もしもあの時、なずなと電車に乗れていれば」と強く後悔するのです。典道は2回目のタイムリープを果たし、なずなと電車に乗ることに成功します。

花火はおかしくてもいい、と言うなずな

2回目のタイムリープを果たしてからのあらすじをご紹介します。典道は「今だけは一緒にいたい」となずなに告白します。そして電車が辿り着いた灯台で、花火を見ます。その花火も「ありえない」形のものでした。

典道は戸惑いますがなずなは「花火はどうだっていい」と言い切ります。「典道君といられるなら、そんなのどっちでもいい」と。ここで典道達は、なずなの母達に追いつかれます。

物語は結末へ。クライマックスで砕け散る球体

典道は「もしも、なずなと一緒にいられたら」と願います。そして無事に「なずなと一緒にいられる世界」へと旅立ちます。この時なぜか不思議な球体は手元にありません。ここからクライマックスのあらすじをご紹介します。典道はなずなから、球体を海辺で拾ったと教わります。なずなは実の父親を海の事故で亡くしており、父親が打ち上げられた海辺で球体を見つけました。

典道となずなは不思議な風景を電車でめぐり、やがてなずなが球体を拾った海岸へ到着します。同時刻では花火師が、球体を花火玉とかん違いして打ち上げます。典道となずなは『丸い』花火を見ます。典道の足にはプールでの怪我が蘇ります。典道となずなは海の中でキスをします。そしてなずなは「次に会えるの、どんな世界かな?楽しみだね」と笑います。典道はもしもまたなずなに会えたら、自分の気持ちを伝えようと決心します。

そして結末。場面は夏休み明けの教室へと変わります。そこにはなずな、そして典道の姿はありません。映画はエンドロールへと移り、物語は終わります。

打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?の結末についてネタバレ考察

バッドエンド説も囁かれるが…

さて結末についてはいろいろな考察が飛び交っています。典道となずなが海に沈んでいたシーンがあることから、二人が海で死亡したという考察もあります。

また『もしも』の世界から帰ってきていないという考察も。しかしこれらの考察に関しては、ただの読み違いと言えそうです。不思議な球体が砕けた後のシーンで『丸い』花火や典道の怪我などが映されていたことから、典道となずなは現実世界に帰ってきたと考察できます。

現実に戻った、なずなと典道

夏休みは終わった教室。なずながいないのは、転校したからでしょう。次に典道ですが、行方不明だったら大騒ぎになりますし、仮に存在を消されたのなら出席で名前も呼ばれません。典道はおそらく、ただ学校をさぼっています。なずなと気持ちを確かめ合った典道は、少し大人になったのでしょう。なずなや自分にとっての思い出の場所である海に、行ってるのではないでしょうか。

あるいは転校したなずなを追っているとも考察できますし、ただ通院していて遅刻しているだけなんて考察も可能です。このあたりはあの砕け散った不思議な球体のかけらのごとく、たくさんの可能性、そして未来が考察ができます。

不思議な球体は、ドラマからの贈り物?

劇中の情報だけではどうしても解き明かせないのは『あの球体が何であったか』という点です。これについて考察しますと、たぶん原作へのリスペクトで、遊び心でしょう。使用時に典道は必ず「もしも」と叫んでいて、原作はオムニバスドラマ『If もしも』の一遍でした。そしてこの球体は二人に、たくさんの未来を見せます。逃避行した電車内では、なずながアイドルになる未来まで見せてくれます。

この球体はある意味、亡き父からなずなへの贈り物とも言えます。そして原作ドラマからの贈り物とも、言えるのではないでしょうか。1993年から24年経ち、2017年の『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』にて、典道となずなは数多くの未来を贈られたのではないかなと、思えるのです。

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打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?原作ドラマ版のラストは?

原作は45分のドラマで、タイムリープはしない

1993年のドラマは、アニメ映画と物語前半の大まかなあらすじは一緒ですが、物語後半や細部の設定が異なります。典道達はアニメ映画では中学生ですが、ドラマ版では小学6年生です。

最も重要な違いは、ドラマ版には不思議な球体はないことでしょう。水泳勝負で典道が祐介に負けるか、勝つか。そこによって違ってくる物語を見せられるだけで、原作ではタイムリープしていません。

そっと別れを告げるなずな

典道は祐介に負けると、怪我している為に打ち上げ花火を見ることはありません。祐介に勝つと典道は、なずなとかけおちしそうになります。しかし結局二人はかけおちをやめて、学校へ向かいます。典道は夜のプールでなずなと戯れます。なずなは「次に会えるのは2学期だね」と典道に言って、去っていきます。そして結末、夏休み明けに典道は、なずなが転校したことを知ります。

打ち上げ花火が示す意味

作中で打ち上げ花火を横から見るのは、祐介です。祐介は灯台で仲間たちとの友情を感じながら、花火を見ます。そして打ち上げ花火を下から見るのは、主人公の典道です。典道は夜のプールでなずなと別れた時に、もう会えないことを悟っているようでした。典道は下から見た打ち上げ花火に、美しくも儚く散った、自分の初恋を重ねたと考察します。どこから見ても花火は丸いですが、心情によって見え方は異なるでしょう。

そして物語前半では、自分の気持ちをよく理解できなかった典道ですが、物語後半では、なずなへの恋心を自覚しています。典道の切ない恋物語を、2通りのパターンで見せたのが原作・実写版の『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』です。

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打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?あらすじ考察まとめ

原作よりも、再会の希望がある結末

切ない恋物語は24年後、アニメーション映画として再び世に出ました。典道となずなは、よりお互いの気持ちを告白しあい、キスもします。「次に会えるのは2学期だね」というなずなの嘘のセリフは「次に会えるの、どんな世界かな?楽しみだね」へと変わりました。実写ドラマ版より1年だけ大人になり、一緒にいた時間も増えた二人は、いつかどこかで再会するのでしょう。そんな未来も想像できます。

アニメーション映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』は映像美にたくさんのヒントが隠された、1993年版とは少し違った恋物語です。人によって見え方が異なったり、視聴を繰り返すうちに別の見え方が発見できるのも、この作品らしい魅力です。

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