大奥の漫画あらすじや感想をネタバレ!作中の事件は史実通りなのか比較考察

男女逆転の江戸時代を舞台に、女将軍と大奥に侍る男たちとの恋愛模様や、将軍としての苦悩や葛藤を描いた漫画・大奥は、男女問わず愛読されている漫画作品です。女の園と言われる大奥のパラレル時代劇版のネタバレを含めたあらすじ、史実との相違や漫画の感想まで紹介しています。これまでの大奥を題材にした作品とは一味違う、男女逆転の世界を描いたよしながふみさんの漫画「大奥」について知ってみませんか。

大奥の漫画あらすじや感想をネタバレ!作中の事件は史実通りなのか比較考察のイメージ

目次

  1. 大奥の漫画あらすじネタバレや作中の事件に迫る!
  2. 大奥の漫画版について
  3. 大奥の漫画作者であるよしながふみについて
  4. 大奥の漫画あらすじのネタバレ
  5. 大奥の漫画内の事件は史実に基づいているのか比較考察
  6. 大奥の漫画版の感想は?
  7. 大奥の漫画のあらすじネタバレまとめ

大奥の漫画あらすじネタバレや作中の事件に迫る!

江戸時代に実在した江戸城大奥は、時の将軍以外は入ることが許されない「女の園」として、テレビドラマや舞台の題材に起用されました。しかし、漫画家・よしながふみさんの「大奥」は、政治をつかさどる表の世界は女、大奥は男の世界というように、男女逆転の江戸時代を江戸城多くを中心に描いた作品です。

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大奥の漫画版について

よしながふみさん原作の大奥は、これまで漫画化された「大奥」を題材にした作品とは異なる、新感覚の時代劇作品として人気を博しています。漫画で描かれる男女逆転の世界観は、ジェンダーに対する理解を深める内容も盛り込まれており、国内外問わず多くの賞を受賞した作品です。

また、漫画「大奥」は、ターゲット層の女性だけでなく、男性読者も多数存在しており、漫画の独特の世界観に「面白い」と感想を寄せる読者が多く、人気漫画作品の一つに挙げられます。以下では、漫画・大奥のネタバレを含めたあらすじや感想などを紹介します。

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大奥の漫画作者であるよしながふみについて

バラ

男女逆転という独特の世界観と、ジェンダーに対する理解を盛り込んだストーリーは、国内だけでなく、国外でも高く評価されています。このような素晴らしい漫画を生み出した漫画家・よしながふみさんのプロフィールを知りませんか。

よしながふみプロフィール

よしながふみさんは、東京都出身で、二次創作の同人活動を始め、青年誌・少女誌などで幅広く活動を行う漫画家です。2004年から「MERODY」にて連載中の大奥を始め、練り込まれた筋書や綿密なストーリー構成を得意としています。現在、漫画「大奥」は、10月29日に発売された16巻・家茂編まで刊行されています。

大奥の漫画あらすじのネタバレ

よしながふみさんの漫画「大奥」は、暴れん坊将軍でお馴染みの8代将軍・女吉宗の時代から物語が始まります。女でありながら男の名を名乗り、女が家督を継いだり、政治や労働を担う社会情勢に疑問を覚えた吉宗の元に一冊の本が現れ、男女逆転の真相が明かされます。まずは、物語冒頭にあたる吉宗の時代からあらすじとネタバレを紹介します。

漫画・大奥あらすじ:序章

時は、8代将軍・徳川吉宗の時代、日本では、徳川将軍家を始め女子が家督を継ぎ、労働の担い手となっている、他国には見られない一風変わった風潮が根付いていました。女将軍・吉宗は、女でありながら、男の名を名乗り家督を継ぐことに疑問を持ちながら、幕政改革に着手していました。

水野と吉宗との出会い

その頃、幼馴染・お信との身分違いの恋に悩む、貧乏旗本の息子・水野祐之進は、経済的な理由を口実にお信への恋をあきらめるため、叔父の伝手で大奥入りします。しかし、大奥はいつの時代も権力争いや嫉妬・妬みによるいじめが横行する閉鎖された世界、現実を知った水野は大奥に失望するも持ち前の柔軟さで出世を果たし、やがて将軍に就任した吉宗のお目見えの席に侍ることを許されます。

吉宗の策略と水野

お目見えの席で水野を見た吉宗は彼を「ご内証の方」に選びます。ご内証の方は、未婚の将軍の初夜の相手を指し、選ばれた方は死罪の運命が待っていました。水野は自身の運命を受け入れ吉宗と一夜を共にします。その後、水野は吉宗の機転により処刑を免れ、町人・進吉としてお信の元に現れます。そして、進吉は、お信の実家「薬種問屋」の婿養子に入り、二人は結ばれます。

吉宗と没日録の詳細と男女逆転の世界のネタバレ

なぜ、女が家督を継ぎ、政治を司るの世の中になったのか、そのような疑問を持ち続ける吉宗の元に、御右筆による大奥の歴史を記した「没日録」が現れ、彼女はその書を読み始めます。没日録には、奇妙な病が流行り始めた3代将軍・家光の時代から記録されていました。

漫画・大奥あらすじ:奇妙な病のネタバレ

江戸幕府・徳川家光の世に、関東の田舎村で1人の少年が熊に襲われて、「赤面疱瘡」を発症します。この赤面疱瘡は、後に若い男子のみ感染し、感染すると致死率80%と言われるが、確かな対処法や治療法が見つからず、やがて全国に広まったことで男子の数が女子の1/4まで激減する事態に陥ります。そして、この奇妙な病により、江戸時代の社会構造が大きく変化します。

漫画・大奥あらすじ:男女逆転の世界ネタバレ・男性

赤面疱瘡により男子の激減を受けた日本では、男子は希少な種馬として大切に育てられ、他家へ婿入りし、子を子を産ませるか、身売りするしか生きるすべがありませんでした。よって、かつて身売りされた女性が多く存在した遊郭には、売られた男性がはべるようになります。

漫画・大奥あらすじ:男女逆転の世界ネタバレ・女性

奇妙な病により、若い男子の激減を受けて、労働の担い手が男性から女性へ移り変わります。よって、徳川将軍家を始め、武家や庄屋などの家督は、女性へと受け継がれる風潮が生じ、政治も女性により動かされる事態になりました。また、女性が複数の男性を娶る一妻多夫とも言える現象が起こります。

漫画・大奥あらすじ:男女逆転の世界ネタバレ・江戸城大奥

男子の激減は、やがて徳川将軍家にも及び、3代目家光以降は、女子が将軍職を引き継ぐように定められました。そして、最盛期には2,000人もの女性を侍っていた大奥では、希少となった男子の中から選び抜かれた美男子3,000人がひしめき合う「男の園」へと変貌を遂げ、女将軍の威光を世に知らしめました。

漫画・大奥あらすじ:徳川将軍家の秘密のネタバレ

江戸を中心に奇妙な病が流行り始めた頃、京に住まう公家出身の美貌の僧・有功は、春日局の命により無理やり還俗させられ、江戸城大奥へ入れられます。その頃の大奥は、時の将軍・家光が例の病で亡くなり、後継者に家光の落胤・千恵に定められたこと、徳川家存続と千恵に世継ぎを設けさせるために、春日局主導の元、男性中心の大奥へ作り替えられていました。

漫画・大奥あらすじ:3代将軍・女家光と男女逆転の世界誕生のネタバレ

交流を重ねるごとに、将軍の身代わりにされ辛い人生を歩んできた千恵の過去を知った有功は、彼女を女性として肯定し二人は相思相愛の仲に発展します。運命の出会いを経た千恵は、持ち前の聡明さを発揮し政を行ない始めます。そして、春日局亡き後は、全国の大名に家光の死と、自ら女将軍・家光として統治していくことを宣言し、諸大名家を始め、家督は女子が継ぐものへ変化しました。

女将軍・家光の世継ぎとその後の有功

自ら女将軍と名乗り、政治を行なってきた千恵には、珠栄を始めとする側室たちとの間に3人の女子を設け、27歳の若さで世を去ります。強い絆で結ばれた有功は、千恵との間に子供を設けることができなかったものの、女将軍・家光の死後は出家せず、千恵の遺言に従い大奥総取締として大奥へ留まり続けました。

漫画・大奥あらすじ:4代将軍・家綱の治世

家光の死を受けて、将軍職は千恵の長女・千代姫へ世襲されました。しかし、4代将軍・家綱こと千代姫は、まだ11歳と幼いため政治に関心がなく、幕臣からの進言を全て「左様せい」で片づけてしまう有様でした。しかし、家光の時代から仕える有功や優秀な幕臣の支えにより、政権は安定を維持し続けていました。

明暦の大火

江戸で、「明暦の大火」と呼ばれる火事が発生します。この火事は、江戸城・天守閣にまで火の手が及んだ未曾有の大災害となり、家綱こと千代姫は有功に連れられ安全な場所へ避難し、突然、有功への思いを告白します。しかし、有功は、大火からの大奥復興に尽力した後、出家・大奥を去ります。そして、家綱も世継ぎを設けないまま亡くなり、将軍職は、彼女の妹へ引き継がれました。

漫画・大奥あらすじ:5代将軍・綱吉の治世

時代は、桂昌院こと珠栄を父とする綱吉の治世へ移り変わり、側用人・柳沢吉保とともに新しい政治改革を行なっていました。ある日、綱吉は正室・信平が京から呼びつけた側室候補・右衛門佐を気に入るも、年齢を理由に側室を辞退し、代わりに大奥総取締の地位へ就きます。その矢先、綱吉の唯一の世継ぎである松姫の急死を受けて、大奥では側室たちによる権力争いが激化します。

綱吉は、妖艶で愛くるしい容姿を武器に奔放な性生活を送っていたが、子宝は急死した松姫しか恵まれず、再度子づくりが求められます。しかし、閉経を迎えるまでに妊娠の兆しはなく、若い男を大奥へ囲い続け、「赤穂浪士事件」や「生類憐みの令」も手伝って、江戸市中での評判は下落する一方でした。そして、世継ぎも産めない自身にいらだつ綱吉に対して、右衛門佐はアドバイスを送ります。

綱吉と右衛門佐との絆

「女と男の関係は子をなすことだけでなはい」という右衛門佐の言葉で目を覚ました綱吉は、次期将軍を父・桂昌院が嫌う綱重の子・家宣に指名し、直後に右衛門佐が急死、その後桂昌院の死を経て自身も病に倒れます。そして、枕元に訪れた側用人・吉保は、綱吉に対する思いを告白し、彼女を窒息死させます。表向きには、麻疹による病死と発表され、家宣の就任に伴い江戸城を去ります。

漫画・大奥あらすじ:6代将軍・家宣の治世

綱吉存命の時代に、江戸の町でやさぐれた生活を送る勝田左京は、ある日、賭けによるトラブルでケガを負います。その時、そばを通りかかった家宣の側用人・間部詮房により拾われ、家宣の側室に入れられています。しかし、家宣の人格に感銘した左京は、家宣との間に世継ぎとなる千代姫を設けます。先代・綱吉の悪政を正そうと奮闘し、庶民からの評判も高かった家宣は、就任後、わずか3年で亡くなります。

江島生島事件の序章のネタバレ

主・家宣の死を受けて乱信する間部の元に側室・左京が現れ、半ば強引に一夜限りの関係を持ってします。左京は、間部に拾われて以来、彼女に恋心を寄せ続けており、このような事態を招いたのでした。やがて一夜の情事は、大奥史上最悪と言われる「江島生島事件」を引き起こしてしまいます。

漫画・大奥あらすじ:7代将軍・家継の治世

家宣の死後、正室・國煕は天英院、側室の1人で唯一世継ぎを設けた左京は月光院と、それぞれ落飾・改名します。7代将軍に就任した家宣と月光院の娘・家継は、わずか4歳でありながら生まれつき病弱で、成人も危ぶまれていました。そして、万が一に備えて、天英院側では紀州吉宗派を、月光院側では尾州継友派を次期将軍候補に掲げ対立していました。

江島生島事件

天英院と月光院の権力争いが激化する中、月光院側の人間で大奥総取締を務める江島が捕らえ、月光院と間部の不義密通を証言させようとする陰謀が、天英院側で行われました。後に江島生島事件と呼ばれる一連の騒動は、月光院側が天英院側へ下ることで、江島の流刑・間部の待遇維持が認められ事件は終焉します。

漫画・大奥あらすじ:8代将軍吉宗の治世

8代将軍へ就任した吉宗に、幕府の財政難という避けられない問題が浮上しました。幕府の財政難の主な原因は、大奥に暮らす男性たちにありました。大奥では、贅を尽くした豪華な衣装と、高級食材をふんだんに使用した食事、そして、3,000人が侍るという浪費の大国となっていました。質素倹約を重んじる吉宗は、大奥の浪費に目を付け、ある改革を始めます。

吉宗の政治手腕

美男子がひしめき合う大奥に目を付けた吉宗は、大奥の重鎮に容姿端麗な男子を選ぶことを言いつけます。一方、大奥側では、吉宗の側室候補が選ばれると噂され、我こそはと競い合っていました。そして、選び抜かれた美男子たちは皆、豪華な衣装を身にまとい側室に選ばれることを待ち望んでいました。しかし、吉宗からは、誰も想定していなかった言葉が発せられます。

それは、選ばれた美男子たちの大量リストラでした。吉宗曰く「美男子であれば大奥を解雇されても婿の貰い手がいくらでも存在する」ともなれば、誰も反論することができませんでした。このように、美男子を中心に解雇が行われる一方で、吉宗の側室には、外見にこだわらず、政治に口出ししない男が選ばれています。

赤面疱瘡のへの対策と吉宗の子供達のネタバレ

3代将軍・家光の時代に突如発症した謎の病「赤面疱瘡」撲滅のための対策は、8代将軍・吉宗の時代に移ってからようやく始まり、小石川養生所の設立・赤面疱瘡撲滅の研究を行なわせます。一方、吉宗には、3人の娘が生まれており、後長女・家重には生まれつき言語・身体障害があり、次女・宗武は、容姿端麗で聡明だったため、次女を次期将軍に押す声が多く挙げられていました。

漫画・大奥あらすじ:9代将軍・家重の治世

家重は、体こそ不自由であるが妹にも劣らない聡明な頭脳の持ち主であり、吉宗もこの事実を知っていた上で、家重を次期将軍に指名します。しかし、障害を理由に周囲から偏見と嘲笑にさらされていた家重は、次第に酒に溺れるようになり、家重の治世は無能とも酷評されてしまいます。しかし、大御所として健在していた母・吉宗に見いだされた1人の側用人が表舞台に登場します。

田沼意次の登場

田沼意次こと龍は、元は吉宗に仕える小姓であったが、後に家重の小姓に命じられ彼女の真意を理解する数少ない人物です。才色兼備の美女でありながらそれらを鼻にかけず、吉宗の死後は彼女の意志を継ぎ、長崎で蘭方医学を学んだ青沼や諸国を渡り歩く平賀源内からも情報を得て、赤面疱瘡対策に挑みます。後に青沼らの研究により、赤面疱瘡の予防策が浮上します。

漫画・大奥あらすじ:10代将軍・家治の治世

家重は、将軍職を娘・家治に譲りると、西の丸へ移り隠居生活を始めます。そして、家治から老中に取り立てられた田沼は、幕政と赤面疱瘡の解明を託されます。目を見張るような手腕で大奥からは絶大な人気を誇る一方、蘭学奨励や唯金主義を推し進めたことを理由に、幕臣や江戸の町民を始め田沼を快く思わない者が出てきます。

赤面疱瘡の解明と田沼勢の失脚

表では、田沼主導の政治が行われている一方、大奥では、青沼と彼から教えを乞う黒木らの尽力により、赤面疱瘡の予防法が発見され、予防接種が行われました。しかし、松平定信の甥が副作用で死亡してしまったことを皮切りに、天災や田沼の娘・意知の暗殺と家治の世継ぎ・家基の死等、度重なる不幸に見舞われます。

そして、家治の死と同時に田沼意次は政治の世界から失脚、大奥にて蘭学を教えていた青沼は死罪、彼から蘭学を学んでいた黒木らは、大奥追放となります。田沼ら失脚の背景には、吉宗の孫で一橋家の当主・治済のよる陰謀と言われており、次期将軍には、治済の息子・家斉が選ばれ、3代・家光以来の男将軍が誕生しました。

漫画・大奥あらすじ:11代将軍・家斉

男将軍として就任した家斉でしたが、実母・治済が実権を握るため政治に関与できず、小作りを強要されるようになります。一方で家斉は、極秘で赤面疱瘡の研究を再開させるべく黒木らと接触していました。やがて研究は実を結び、副作用のない赤面疱瘡予防に成功します。しかし、この評判は江戸城に住まう母・治済に入り、極秘研究の露見し、家治は母親に毒殺されてしまいます。

しかし、毒殺されたのはなぜか母・治済の方であり、長年にわたり家斉の目を欺きながら治済暗殺を企てていた正室・茂姫と側室・お志賀の犯行であることが発覚します。治済の毒見役を務めるお志賀は、長年にわたる毒の過剰摂取によりその場で死亡し、一命を取り留めた治済は、寝たきりの状態に陥ってしまいます。

毒殺のネタバレと家斉の政治手腕

政治の実権を握る母・治済は、家斉に小作りを強要させては、退屈しのぎに産まれた子供を次々と暗殺していました。殺された子供の中には、正室・茂姫と側室・お志賀の子供も含まれており、2人は治済に復讐する機会を狙っていました。

幕府の実権が家斉に委ねられると、半ば強引に開発された赤面疱瘡の予防接種を行わせた結果、男子の人口は急速に回復の兆しを見せ化政文化も頂点に達するなど、徳川幕府始まって以来、もっとも活気に満ちた時代が到来しました。家斉は将軍職を息子・家慶に譲り、大御所として政治の実権を握ります。その後、毒殺未遂事件以来、疎遠だった正室・茂姫と和解を果たし、世を去ります。

漫画・大奥あらすじ:12代将軍・家慶の治世と阿部正弘の登場

12代将軍に就任した家慶の時代には、父・家斉が施した予防接種が実を結び、男子人口の回復と同時に家督も武家を中心に男子相続が見られるようになります。そのような風潮の中、古くから徳川家につかえる安部家では阿部正弘が女性当主として家督を相続、後に若くして老中に抜擢されます。そして、1853年に黒船来航の知らせを聞いた家慶は、パニックに陥り急死、娘・家定が家督を継ぎます。

漫画・大奥あらすじ:13代将軍・家定の過去のネタバレ

女将軍として就任した家定には、暗い過去がありました。幼い頃から実父・家慶から性的虐待を受け、その事実を察知した正弘は、落飾した茂姫こと広大院に協力を仰ぎつつ、西の丸奥へ家定を囲み、瀧山を西の丸奥の総取締に据えてました。しかし、家慶の家定に対する執着は凄まじく、後に家定の正室2人は、連続して暗殺される事件が起こり、家定は周囲に心を閉ざしていました。

日本では、攘夷論が高まりつつも、1853年が来航してからは、12代将軍・家慶の急死を始め江戸中が混乱の渦に巻きます。そのような状況の中、老中・阿部正弘は武士から百姓まで身分を問わず意見を募り、やがて鎖国体制に休止符を打ちます。その政策は、海軍伝習所と日米通商条約の締結でした。

家定の3人目の正室・胤篤の輿入り

薩摩藩分家・今泉家の次男として誕生した島津忠敬は、その聡明さを藩主・島津斉彬に見込まれて養子に選ばれます。鹿児島城に入城後は、時の将軍・家定の3番目の正妻になるべく教育を施され、後に名を「胤篤」に改名・徳川将軍家へ輿入れします。胤篤を見た家定は、輿入れの裏で薩摩と一橋家の策略が絡んでいると見抜き、彼を警戒します。しかし、胤篤は家定の前で臆することなくその事実を認め、彼女の警戒心を解きます。

家定と胤篤の結婚生活は長続きませんでした。胤篤は家定の健康に気を配り懐妊まで至るも、まもなく家定は薨去します。その後、家定の遺言で胤篤は落飾せず名を「天璋院」と改めます。そして、14代将軍・家茂に選ばれた紀州徳川家の姫・福子の養父として、大奥にとどまります。

漫画・大奥あらすじ:14代将軍・家茂の治世と和宮の正体ネタバレ

開国派により将軍候補へ擁立させられた家茂の正室として、孝明天皇の弟宮・和宮が降嫁することが決まりました。そして、豪華絢爛な花嫁行列にかしづかれ輿の中から出て来たのは、女を思わせる和宮でした。実は、本来降嫁するはずだった同母弟は、生まれつき足が不自由で、江戸へ行くことを拒み、出立前に自害しました。そこで、身代わりとして姉で女である親子が和宮として輿入れしました。

そして、男装した和宮こと親子とともに、江戸へ下った母・勧行院と侍女で乳母の土御門も男装して大奥入りします。その頃、家茂こと福子を将軍候補に擁立した開国派の大老・井伊直弼の暴走が過激を増していきます。後に、攘夷派の粛清を行なった「安政の大獄」を引き起こし、後に対立する攘夷派の水戸藩に暗殺される「桜田門外の変」では、これまでの非情な政治手腕から市中から同情の声が挙がりませんでした。

大奥の漫画内の事件は史実に基づいているのか比較考察

よしながふみさんの漫画・大奥は、史実とフィクションを巧みに交えたSF作品と言われていますが、果たして漫画・大奥内に描かれた事件は史実に基づいて描かれていたのか、以下で比較考察しました。

鎖国になった理由

漫画「大奥」では、赤面疱瘡による男子の激減による事実の隠蔽と諸外国から攻められることを防ぐためと設定されています。史実では、「天草・島原の乱」に代表されるキリスト教の弾圧、つまり、キリスト教の国による日本の植民地化を防ぐために、鎖国に至ったと言われています。

漫画大奥の有功のモデルとネタバレ

漫画大奥・家光の時代にて、僧侶から還俗し大奥入りした有功と似たような経歴を持つ家光の側室が実在しました。側室の名は、お万の方(後の永光院)と呼ばれ、家光に見初められたことをきかっけに春日局によって大奥に入れられました。家光との間に子を設けることはなかったが、深く寵愛を受けていた記録が残されており、春日局の死後は、後任として大奥を支配しました。

明暦の大火

漫画・大奥にも描かれた「明暦の大火」は、西暦1957年3月2~4日までに起こった災害を指し、天守閣を含む江戸城や大名屋敷を始めとする江戸の大半の街を焼き尽くした日本史上最大の火災で、別名「振袖火事」とも呼ばれます。火の手が江戸城にまで及んだ時家綱は西の丸へ避難したとされ、大奥では、明暦の大火以降の女性の髪型は、垂髪から日本髪へ変わったとされます。

生類憐みの令

日本史の通説や漫画・大奥で語られる「生類憐みの令」は、子宝に恵まれなかった綱吉が、桂昌院が帰依する僧正の勧めで始まったと言われています。しかし、近年の研究では、綱吉の願掛けとして行われた政策ではなく、命の大切さや思いやりの心を説いた儒教の考えを世に広めようと行われた政策であるとする説が浮上しています。

江島生島事件

大奥史上最悪のスキャンダルとして漫画や映画の題材になった「江島生島事件」は、よしながふみさんの漫画では、月光院と間部の密通を暴くために天英院側が仕掛けたわなとされています。しかし、史実では、天英院側が月光院側を失脚させるために、江島の門限遅刻を言いがかりに江島と歌舞伎役者との遊興をでっち上げたとも言われますが、真相はいまだに解明されていない謎多き事件です。

吉宗による大奥のリストラ

漫画で吉宗による財政の立て直しによる大奥の大量リストラは、史実にも記録された実話を基に描かれた場面です。史実では、吉宗の命により大奥に侍る50人の美女が選ばれ、吉宗曰く「美女であれば嫁の貰手があるから」との理由からリストラが実行され、経費削減を行ないました。吉宗は、女は顔より中身を重視する人柄だったため、美女の解雇が実現できたとも記録されています。

家重の障害と家督争い

漫画で、吉宗の長女・家重が身体障害である描写が描かれていますが、史実の家重も体が不自由で言語障害があったと記録されており、彼を廃嫡して弟たちを将軍にとの声が幕臣の間でささやかれていました。しかし、一説には、知能は政務を取れるほど正常であったとの記録も存在し、漫画「大奥」の家重の容態は、実在の家重を忠実に描いたともいえます。

家慶の死因は、黒船来航によるショック死ではなかった

漫画では、黒船来航を聞きつけた家慶がパニックに陥り急死する場面が描かれていますが、史実では、家慶自身が病弱体質であり、病気を発症して亡くなります。彼は、14男13女の子を設けるも、病弱だった四男・家定を除く、全ての子供が成人を待たず早世しています。

13代将軍・家定の実像

幕末を題材にした時代劇などで描かれる家定は、人前でわざとふざけた言動を取ってみたり、漫画では聡明な人物に描かれるなど、作品によって様々な解釈がなされています。史実での家定は、生まれつき病弱体質で人前に出ることを拒んでいたことが記録されており、一説には脳性まひではなかったのかとも言われています。

家定と3人の正室

13代将軍・家定は、短い生涯に3人の正室を向かえてました。3人目は、知名度の高い天璋院篤姫ですが、残り2人の正室は、病気を理由に若くして亡くなりました。よって、漫画では、2番目の正室が家慶によって毒殺される描写は、フィクションです。しかし、3人目の正室になった天璋院は、薩摩藩主・島津斉彬の養女になり徳川家へ迎えられた描写は、史実です。

和宮の替え玉説のネタバレ

漫画・大奥では、和宮は本来降嫁すべき人物の替え玉として輿入れした設定がなされています。史実でも、発掘調査などから影武者説や生まれつき左が欠損していた説が挙げられていますが、いずれの説も確証がなく、謎の多い皇女としても知られています。

大奥の漫画版の感想は?

漫画「大奥」は、歴史上の人物たちの性別が逆転して描かれたSF作品でありながら、詳細な史実とフィクションを巧みに交えた綿密なストーリー構成から、男女問わず人気の高い漫画作品です。漫画「大奥」には、多くの感想がネット上に寄せられており、その一部を以下で紹介します。

感想:壮大なストーリーに思わず感動

これまでの大奥を題材にした作品は、書籍・映像を問わず史実を基に忠実に表現されていたため、歴史に興味の無い方から「退屈」との感想も挙がっています。しかし、よしながふみさんの漫画は、史実を取り入れつつ、男女逆転の江戸時代と大奥で繰り広げられる女将軍の苦悩や真実の愛など、男女問わず「面白い」「結末が気になる」との感想が多く挙がった漫画作品です。

感想:本当の愛とは何か

漫画「大奥」での女将軍は、大奥に召し抱えられた男たちとの間に後継ぎとなる女子を生むことが義務付けられていました。そのような中でも、家光と有功、綱吉と左衛門佐のように、子宝に恵まれなくてもお互いを愛し続けた人生に感動したとの多くの感想が寄せられています。漫画「大奥」では、女性たちのたくましい生き様だけでなく、本当の愛を教えてくれる作品でしょう。

感想:人間持つ恐ろしさを知った

赤面疱瘡予防薬の開発から、男将軍・家斉を巡る将軍の生母と御台所の壮絶な戦いまで、漫画大奥では、最も血なまぐさい時代とも言える12巻にも、様々な感想が寄せられています。例えば、子をころされた母親たちの執念が恐ろしいとの感想から、母親を毒殺した御台所のもとへ通わなくなった家斉の気持ちに同情したなど、恐ろしい巻だったとの感想が多く寄せられています。

感想:登場人物たちのたくましい姿に感動

漫画大奥13巻から登場した13代将軍・家定、老中・阿部正弘の2人の女性と遊郭出身の瀧山の、逆境に負けない凛とした佇まいに読者から「カッコいい」との感想が寄せられています。このような姿は、男社会とも呼べる日本の社会情勢に対するメッセージとも解釈できるでしょう。

感想:和宮の知られざる苦悩と悲しみと家茂の優しさ

漫画で描かれた和宮は、表に絶対知られてはいけない複雑な事情を抱えた男装の皇女として登場します。漫画大奥の16巻表紙の和宮について読者からは「不気味な笑顔」との感想が寄せられています。史実では、兄にあたる孝明天皇の命令で仕方がなく降嫁された悲劇の皇女として伝われていますが、漫画での和宮は、史実以上の苦労や悲しみを背負い、それらを受け入れた家茂の懐の深さに多くの感想が寄せられています。

大奥の漫画のあらすじネタバレまとめ

史実とフィクションを巧みに絡めた壮大なストーリー構成に、男女問わず多くの感想が寄せられる人気漫画・大奥も、いよいよクライマックスを迎えます。3代将軍・家光の時代により発生した男女逆転の世界とそれに伴い男の園と変貌を遂げた大奥ですが、史実の大奥は江戸城無欠開城を持って歴史の幕を下ろします。よしながふみさんの漫画・大奥では、どのような結末が待っているのでしょう。

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