監獄学園の最終回が最悪すぎる？打ち切りでの終了という噂も検証

『監獄学園(プリズンスクール)』は平本アキラによって講談社の青年誌「週刊ヤングマガジン」に2011年から2017年までの約6年間連載されました。4月6日に大幅に加筆して最終巻の28巻が発売されます。帯文は『うる星やつら』や『らんま2/1』『犬夜叉』などその他の作品で知られている人気漫画家、高橋留美子先生です。

学園コメディの金字塔『監獄学園(プリズンスクール)』が無事連載終了いたしました。2011年から2017年までの約6年間の長い連載の末、最悪ともいえる結末を迎えて無事大団円(?)を迎えました。今回は連載終了に伴い、最終回の紹介と、実は打ち切りではないか、という噂について、検証していきます。

『監獄学園(プリズンスクール)』はもともと女子高だったが共学になった私立八光学園に入学しながらも女子風呂を覗いたことで裏生徒会に懲罰房(通称・プリズン)に投獄されてしまった男子五人組の学園生活を描いたスラップスティック・ハイスクール・コメディになっています。

要するにキヨシ・ガクト・シンゴ・ジョー・アンドレの五人は入学した途端、犯罪者になってしまうのです。当然、覗きは軽犯罪法違反になりますので、退学処分を受けても仕方がありません。しかも元々女子高校で共学化した途端、男子学生の所業なので、学校側としても対処が難しいところになります。

しかし、『監獄学園』はコメディですので、犯罪者を学校内で裁く風紀委員「裏生徒会」が存在します。そして、あろうことか、この五人を監獄に押し込めようとしてしまうのです。正直なところ、五人を退学処分にしたほうが良いのではないか、と考えるのですが「学校と監獄」というありえないシュチュエーションを作り出すためにあえて、犯罪者を内側に閉じ込めることと引き籠らせる行為に持ち込んだのです。

覗きをするほど、性的に活発になっている五人の男子高校生たちは当然、妄想たくましくします。その中でも関係妄想と性的妄想が一緒くたになった彼らは、同級生の女子たちと戯れるため、一種の「監獄プレイ」やその他の妄想プレイにふけることになります。このプレイの部分にはジャン・ジュネやマルキ・ド・サドの作品にも似た猥雑さが溢れています。

読者の妄想が次々と形になっていく監獄学園の中で、まともな関係性や精神状態を保てる人間がいるでしょうか。その妄想はコスチュームプレイからサディズム、マゾヒズム等、今まで多くの好事家によって研究されてきた行為でした。マルキ・ド・サドの『ソドム120日』を想起するのは、サド侯爵に絵画や漫画の才能があれば、もしかしたら監獄学園のようなコミックを描いたのではないか、と想像できるからです。

そこで、約6年間に及ぶ『監獄学園』のラストを紹介します。最終巻ではキヨシと緑川花と栗原千代の関係の最後の顛末を描いています。その他にもさらに最終回では妄想が関係性において具現化するというコスチュームプレイの恐ろしさも垣間見える演出がされています。

<ネタバレ>緑川花は自分がキヨシに対して好意を持っていたことに気付いてしまいます。しかし一方のキヨシは気付いていません。この気付かなさによって話は続くのかと思いきや、実は緑川花は自分がキヨシのパンツを履いていることを暴露するのです。普通、自分の一瞬の性癖を面前で暴露するということはありません。これは「監獄」という特殊空間だからこそあり得る一種のプレイと云うことになります。

<ネタバレ>その「プレイ」をする上で、緑川花はキヨシのパンツがしっくりくることがキヨシに対する好意であることを「誤解」するのです。狭い関係性だからこそ自主的な暴露によって興奮が生まれるので、客観的に読んでいる読者にすると爆笑してしまうようです。しかし三角関係の修羅場の状態を第三者が観察すれば、実際にはどこかしらけるようなニュアンスを持ってしまうのではないでしょうか。

<ネタバレ>緑川花は、彼らの見ている前でさらに自分の履いていたキヨシのパンツを脱いでしまいます。そしてそのパンツをキヨシに投げつけ、キヨシも自分(緑川花)と同じように自分のパンツ(縞パン)を履いているはずだ、と看破します。もしかしたら読者の中にはキヨシは緑川花のパンツ(縞パン）を履いていると予想した方もいるのではないでしょうか。

<ネタバレ>そして、興奮した緑川花はキヨシのパンツを確認しようとして、ノーパン(ノー・パンツ、つまりパンツを履いていない状態を指す…)のまま、アクロバットな動きをして、キヨシが自分のパンツ(縞パン)を履いているかどうか、確認しようとします。三角関係の修羅場によって具現化されたかもしれない妄想を自分の力で確認しようとするのです。

<ネタバレ>実際に確認してみると、キヨシはパンツ(縞パン)を履いていました。これだけでも恐ろしいのに、さらに股間から液体が噴出する演出まで施されています。このシーンは最悪過ぎて、トラウマを植え付けられても仕方がありません。が一方ではナンセンス過ぎて、意味が非常に捉えずらい内容にもなっています。一部始終をみていた栗原千代は絶叫します。

この行為を不幸と呼ぶか、幸福と呼ぶかは人それぞれでしょうが(どちらにせよ「最悪」であり「終了」であることには違いありません。)、キヨシの中には「ある悔恨」が残りました。どうすれば良かったのか、もしかしたらその他の道も選べたのではないか。しかし、結果的にはキヨシは入学した途端女子風呂を覗いてしまった犯罪者になります。彼が選ぶべき道はもしかしたら自主退学という道だったのではと言う声も上がっています。

<ネタバレ>栗原千代はその後裏生徒会の会長職につきます。今後彼女は男たちに対して、厳しく罰則を与えていく道を選んだようです。監獄学園のラストは一見厳しくも見えますが、現在の性犯罪が生まれた元凶は男性に対して性がおおらかすぎるのも問題の一助になっているのではないか、という社会的テーマも垣間見えます。女性のほうが権力を持ち得るフェミニズムに対する男性らしい小さなアンチテーゼをも考えられるようです。

今回は『監獄学園』が打ち切りによる終了だったという噂がネット上に流れているので、検証してみたいと思います。まず『監獄学園』は単行本の売り上げが累計1200万部ということで、「週刊ヤングマガジン」の看板連載作品だったそうです。そのため編集部が打ち切りにしたくても出来なかったという噂です。しかしこれだけ売れた漫画家なら編集部も打ち切りを求めることはなさそうです。

その他、エロスの描写が過激な為、初めは面白いといっていた読者がアンチ(作品を批判する読者)へと変化していったことが終了の原因という説もあります。しかしもしエロス描写が問題だとしても、漫画家である平本アキラさんのエロスはより過激になって頻繁になってきていることからすると、打ち切り云々というよりも、一読者には想像も出来ない何かがあるのでしょうか。もしかしたら編集部の意向があったのでしょうか。

さらにネタバレになりますが、その他に最終回の最後に栗原千代が裏生徒会長になったことからダークサイドに堕ちて終了したことに対して、余りにも物語展開が急すぎて最悪であるという声があります。

しかし、逆に考えると漫画の終わり方さえ、パロディ化することで、カオス化して最悪になった物語を最後まで監獄の内側に閉じ込めておこうという強い意志が感じられます。あくまで妄想でありフィクションの形式をとった高校生たちの、悪ふざけと悪あがきでしかないという終了の仕方です。平本アキラさんの高い画力があるからこそ、描けたある意味誠実な終わらせ方です。

いかがでしょうか？今回は『監獄学園(プリズンスクール)』の最悪な最終回からその終わらせ方や内容のネタバレ、打ち切りの噂の検証その他色々と詰め込んで紹介させて頂きました。この漫画はその他にもアニメ化やドラマ化もされている作品ですので、良ければメディアミックスされた他の作品もお楽しみください。