関根くんの恋の魅力とは？漫画のあらすじや感想をネタバレまとめ

漫画「関根くんの恋」は河内遙の作品です。現在は休刊となっている隔月漫画雑誌「マンガ・エロティクス・エフ」にて2009年から2014年まで連載されました。単行本は全5巻が発行されています。

漫画「関根くんの恋」は第3回ananマンガ大賞を受賞し、全五巻の単行本でシリーズ累計30万部以上の販売部数という人気漫画となりました。今回は漫画「関根くんの恋」の魅力や、漫画のあらすじ、ネタバレを込みで徹底調査したいと思います。

漫画「関根くんの恋」の内容は、そのままズバリ主人公「関根くん」の恋愛を描いた漫画です。しかし、読んでいると「あれ？関根くんの恋って恋愛漫画だったっけ？」と、テーマをつい忘れてしまうという読者の感想も見られるほど、内容が深いのです。

高身長のイケメンエリート、関根圭一郎は、イケメンなのに他人にも自分の気持ちにも鈍く、なんでも苦労なくこなす器用貧乏故に、恋愛にも人生にもすべてが受け身です。

なんでもできてしまうが故にモテて、苦労を知らず、他の人たちとピントがずれた人生を送ってきた関根くんが、初めて恋を自覚し、「関根くんの恋」が始まります。ハイスペックイケメンが、恋をこじらせて悶えまくります。

そんな「関根くんの恋」の、器用なイケメンエリートが恋に関してだけどうにも不器用で失敗を繰り返していく姿が、漫画読者の共感を呼び、感想サイトでは「関根くんの恋、おもしろい」「見ていてキュンキュンする」などの感想で溢れていました。

「関根くんの恋」の漫画原作者は河内遙(かわちはるか)です。2001年「ひねもすワルツ」で新人賞の佳作を受賞し、「関根くんの恋」の他「ケーキを買いに」「夏雪ランデブー」「涙雨とセレナーデ」などコミックスを出しています。河内遙は人気漫画家谷川史子のアシスタント経験もある漫画家です。

河内遙といえばこれと言われるのが、2009年からFEEL YOUNGで連載された漫画「夏雪ランデブー」です。漫画「夏雪ランデブー」は、花屋でアルバイトする青年と、その片思い相手で店長の未亡人の女性、幽霊となって出てくる病死した夫の不思議な三角関係を描いた作品の漫画です。

河内遙の代表作・漫画「夏雪ランデブー」は、2012年の夏アニメとして人気を博し、このアニメで河内遙作品にはまったというファンも多いようです。河内遙は現在Kissで漫画「涙雨とセレナーデ」を連載中です。

河内遙の現在連載中の漫画「涙雨とセレナーデ」は、明治時代にタイムスリップしてしまった女子高生が、その時代の御曹司と自分そっくりな少女に出会うという、複雑な恋模様を描いた作品となっております。

Twitterの感想や各感想サイトでは、この「涙雨とセレナーデ」を読んで河内遙を知り、「関根くんの恋」を読み始めたというファンの投稿も多く見られました。

それではここからは漫画「関根くんの恋」の登場人物について、主人公から順にあらすじとネタバレこみでご紹介いたします。主人公の関根圭一郎は30歳の会社員です。イケメンで高身長、そしてエリートと、女にもてる要素しか持っていない関根くんは、中身もハイスペックで、あらゆる物事をスマートにこなし、苦労というものを知らずに生きてきました。

高校時代もスポーツは1年生からスタメン入り、実力が違いすぎて、本来であれば同じ男子の先輩からやっかみがあるはずなのに、それすら起こらないほどの格の違いです。元々がハイスペックすぎて苦労知らずの関根くんは、淡々とこなせてしまうので生徒会の役員も「断るのが面倒だから」という理由で引き受けて、難なくこなしてしまいます。

関根くんは、女の子にも何の努力もなしに無自覚にモテまくりというあらすじ設定で、何事にも常に受け身です。ネタバレになってしまいますが、一時の思い出を求めて関係を複数で持とうとする女子高生たちに迫られても、「この後病院にいくから20分だけなら」とトイレの個室で体を許してしまったなんて衝撃的なシーンもありました。自分に無関心というか、相手の好意にも常に受け身な関根くんなのです。

そんな関根くんですが、高校時代の先輩で、同じ生徒会の役員、今は関根くんの同級生と結婚している数音を見ると、関根くんはなぜかイライラして、原因不明の胃痛に悩まされたりと、情緒不安定になるのです。そして、もてあまして出入りした手芸店の店主の孫のサラに、それは恋だと指摘され、初めて自分が、数音に対して長く片思いをしていたことに気づきます。

数音先輩への気持ちに整理をつけた関根くんは、サラへの気持ちに気づき、初めて自分が自覚する恋心を持てあまします。今まで何をやるにも受け身過ぎて、どう接したらいいのかすらわからない関根くん、まるで中学生男子のように恋に悶えては失敗を繰り返し、明後日の方向へと向かっていくのです。

サラを思って、サラのファーストシューズ入れをマトリョーシカのように量産したり、出張先でもスーツケースの中はレース編みの成果物でいっぱい、サラへの想いを募らせて、サラに似合う色のセーターをあふれるほどに編んでしまいます。最終回のネタバレですが、この手編みのセーターをサラが着て、関根くんがその糸をほどきながら二人が結ばれるシーンは、読者の間でも評判でした。

このハイスペック無自覚イケメンの関根くんが、恋を自覚してどうしようもなくバカを繰り返し、器用貧乏が不器用になんとか恋を実らせていくというのが、「関根くんの恋」のあらすじネタバレです。読者の間では「じわじわくる漫画」「久しぶりに漫画を一気に読んでしまった」と好意的な感想を集めたようです。

漫画「関根くんの恋」のヒロインである如月サラ（きさらぎ さら）は、関根くんが通う手芸用品店の店長の孫として登場します。手芸が得意で自分で編んだ服を着たり、ふわふわとした外見なのに、内面は意外としっかりと芯のある姿が描かれています。

サラはふらっと旅に出てしまう困った祖父の尻ぬぐいのため、関根くんに手芸を教え、交流を深めていきます。完璧に見えるのに突然情緒不安定な姿を見せる関根くんは、サラの前では突然泣いてしまったり、挙動不審な姿を散々見せてしまいます。

サラの、関根くんとはまた違った目線は、関根くん自身がずっと自覚していなかった先輩への片思いの気持ちにも気づいてしまいます。漫画あらすじでは、関根くんが先輩への恋を終わらせ、関根くんの気持ちが自分に向いていることになんとなく気づきながらも、サラも素直になれないでいます。

関根くんの残念な面もわかっていながら、こんなハイスペックな人と自分は合っていない、流されてはいけないと自分を律する地に足をつけた考えもできる女の子なのです。

最終回のネタバレになってしまいますが、サラも関根くんに惹かれているものの忘れようとします。関根くんがサラのために作ったハンドメイド作品を目にして、結局は無自覚な関根くんの魅力に押され、サラは関根くんにほだされるようにその気持ちを受け入れる、というあらすじになっています。

漫画「関根くんの恋」に欠かせないのが、数少ない脇役の一人、紺野朔太郎（こんのさくたろう）です。関根くんの数少ない友人として登場し、関根くんの高校の同級生でもあります。

ハイスペックイケメンの関根くんとは反して、ぽっちゃり体型のちゃっかり屋さんで、お節介焼きでもあります。結婚しているのに気軽に合コンに参加したり、奥さんとスワッピングを計画したりと、見た目に反するチャラさですが、憎めないキャラです。

この友人の紺野、意外にも高級スポーツカーを所有していたり、スワッピングを計画したり、宝くじに当たったりと、意外な隠し玉をたくさん持っています。関根くんもそんな彼をなんとなく信頼し、サラとのデートの際には車を借りたり、アドバイトを求めて全然アドバイスにならなかったりと、いい友人関係のようです。

漫画「関根くんの恋」で、関根くんの恋のあらすじを語る上でのキーマンとなるのが、関根くんの友人である紺野朔太郎の妻・紺野数音(こんのかずね)です。関根くんの高校時代の先輩でもあり、関根くんと一緒に生徒会役員をしていました。

高校時代から拒食症で入院するほどで、骨や血管が浮き出てしまうほどにがりがりにやせ細っています。高校時代から、紺野は数音に片思いをしており、「一度でも笑ってもらえればいい」と奇妙なキャラ弁を作り、数音は食べず、紺野が残飯処理をして太っていくというあらすじでした。

結局、続くキャラ弁に数音の心が開かれ、紺野と数音は結ばれ、結婚します。関根くんは高校時代からその2人の世話をずっと焼いて、数音が貧血で倒れればおんぶして、二人の結婚式のときは写真を撮りと、三人の関係は続いていました。

ネタバレのあらすじになってしまいますが、実は関根くんは無自覚ながら数音に片思いをしており、数音の細い腕に嫌悪感を感じていたのも、実は数音が気になるからだったのです。

関根くんは自分ではそれをただの嫌悪と思っていたところ、サラの指摘によって、関根くんはようやく初恋だと気づいたのでした。「関根くんの恋」が一つ終わった瞬間でした。数音は紺野と結婚しても相変わらずで三人の関係は続いていきます。がりがりだった数音も、妊娠によってふくよかになっていきます。

漫画「関根くんの恋」で、関根くんの恋のライバルとして登場するのが友人・紺野の同期である堂島です。努力を知らない生まれながらのイケメン・関根くんとは反対に、堂島は努力の末のイケメンです。

食べ過ぎればウエイトコントロールのためにマラソンをし、美容のためにパックをし、自分が他の人からどう見られているかを常に考えて行動しており、「その努力わかる」「かなりリアル」と男性からの感想も見られました。

漫画「関根くんの恋」のあらすじでは、堂島は田舎育ちで、モテるためにとにかく勉強を欠かせない男となっています。田舎から都会に出てきたことを機に、努力を重ねてきた堂島は、なんの努力もせずにハイスペックイケメンで、しかも無自覚にモテている関根くんが気に入りません。

堂島はあの手この手で関根くんの足を引っ張ろうとし、恋の邪魔まで仕掛け、サラの手芸店にも顔を出します。そして関根くんは、見事術中にハマり、堂島の存在が気になって仕方なく、堂島を勝手に恋のライバルと認定してあれこれ悩んでいます。

あらすじのネタバレですが、堂島は実は幼馴染みの年下の女の子が心の中にずっといます。時間をかけてあらゆる努力を怠らず、積極的に子どもじみた邪魔を関根くんに仕掛けてきた堂島ですが、意中の女の子が他の男とつきあっていようと自分に振り向くまで待つという、意外にも不器用で意外にも懐の深い描写もあるのです。

漫画「関根くんの恋」は、なぜこれほどに人気を集めるのでしょうか。それはなんといっても主人公関根くんの可愛さのようです。何をやっても簡単にこなしてしまう、鈍感で受け身で器用貧乏という三重苦が祟って、30歳になっても本当の恋を知らない関根くんが、遅咲きの恋をします。

30過ぎて趣味一つない自分に気づいた関根くんは、なんとなく手芸を始め、持前のド器用さを発揮して、ぐいぐいと上達していくのです。どんな女性からもモテまくる無自覚イケメンが、手芸に没頭して、こんなところでもハイスペックぶりを発揮してしまうギャップが可愛いと評判です。

30歳になってもひたすら受け身できた関根くんは、ただ立っているだけでもイケメンで女が寄ってきます。それでも淡々と仕事だけの生活を送る関根くんが、手芸屋の孫娘のサラと出会い、心が揺らぐようになり、サラに接近する堂島をライバルと勝手に見なしては紋々とします。

男としては確実に堂島に勝っているのに、初めての恋に一人で七転八倒するというのが「関根君の恋」のあらすじです。関根くんの中学生のような不器用な姿がまた不憫で、読者の共感や「可愛すぎる」という感想を集めたようです。

これではここからは関根くんの恋1巻のあらすじをネタバレこみでご紹介いたします。関根圭一郎は見た目もよく、スポーツもこなし、仕事もできるというハイスペックイケメンの30歳です。なまじ基礎のスペックが高いだけに、何もしなくても女性が寄ってきて、人生で苦労というものを知らずに生きてきました。

ある日、高校時代からの友人・紺野に合コンに誘われます。ぽっちゃり体型の紺野は、中身は明るく適当で、関根くんとも長い付き合いです。すでに結婚しているのに合コンに参加するというちゃらんぽらんなところがあります。紺野の奥さんは関根くんの高校の先輩でもあるため、浮気をしないか監視のために参加するまじめな関根くんです。

合コンの場で、紺野は既婚者と明かしていたので、関根くんは参加者の女性たちから一方的にロックオンされます。合コンでよくあるそれぞれの趣味の話になったとき、関根くんはかつて自分が何に対しても熱中したことがなく、恋愛も生徒会役員もスポーツも、それなりにこなせるが故に受け身でやってきて、趣味というものがまったくないことに気づいたのでした。

合コンの後、これはいけないと一念発起した関根くんは、いろんな趣味を考え、行きついた先がなぜか手芸でした。街の手芸屋に入ったところ、関根くんを待っていたのは店主のあやしげな老人と、その孫娘のサラでした。この二人との出会いから、受け身だった関根くんの人生が変わり、「関根くんの恋」が始まるのです。

店長から手芸を習っていた関根くんは、いつのまにか手芸ではなく手品を習っていました。1芸につき1000円というなかなかのぼったくり価格と適当な教え方ながら、持前の頭脳と器用さでこなしてしまいます。ある日、関根くんが手芸店に行ったところ、店主は旅に出てしまい、手芸の指導を孫のサラが引き継いだと聞きます。

手芸店店主の老人から手品を習っていたはずの関根くんは、今度はサラから編み物を習い、一目つむぐごとに、過去の悪夢を思い出していくのです。学生時代の家庭教師に押し倒された過去、同じ学校の女子生徒たちから肉体関係を迫られた過去、常に受け身の過去です。そして、友人紺野の妻となった数音先輩の異常な腕の細さを思い出し、嫌悪します。

この「関根くんの恋」での一番のポイントは、関根くんのハイスペックぶりと、関根くん自身の自らの評価とのギャップです。何の不自由もなく周囲には勝ち組のようにしか見えない関根くんが、実は常に受け身で常に空虚でいる自分に葛藤しているのです。この残念感たまらない感じが、読者の心に食い込むようで、「残念ぷりがいい」という感想が多くありました。

一見何にも困っていなさそうなのに、何もない空虚な自分自身に不安になり情緒不安定に泣いてしまう、そんな関根くん自身を見つけたのはサラでした。サラは、顔にそばかすの散った、いもっぽい、垢ぬけない外見の女子です。そんな年下のサラが、関根くんの見せる弱さをしっかりと見つけます。数音を見ると謎の落ち着きのなさに陥る関根くんに、さりげないけれどまっすぐな言葉で、片思いだと指摘します。

「関根くんの恋」第1巻最後の「それが関根さんの恋でしょう？」というサラのシンプルな言葉は、関根くんの心に刺さりますが、読者の感想でも「普通の女の子っぽいサラが、残念イケメンの世話を焼いている姿が素敵」という感想も多く見られました。

高校の同級生・紺野の妻であり、先輩でもある数音に片思いをしていると、サラに指摘された関根くんは、さらに情緒不安定に陥ります。数音の細い腕やがりがりの身体を見るたびに感じていた嫌悪感は、数音が気になるが故の片思いの感覚だったのです。

数音の妊娠を知ってからは、サラのアドバイスで、関根くんは生まれてくる赤ちゃんのための靴下やぬいぐるみを編むことにします。30歳のイケメンが、小さなかぎ針でせっせと小さな小さな靴下を編む姿は、かなりのギャップ萌えで、ネットの感想でも可愛いと評判でした。

関根くんが作った作品は、持前の器用さがここでも輝いてしまい、完璧すぎる数々です。ほめるサラを見ながら、なぜか関根くんはまたもや情緒不安定に泣いてしまいます。そんなある日、関根くんは友人・紺野に飲み会に誘われて、紺野の同僚の堂島という男に出会います。堂島は、何の努力をしなくても無自覚にモテている一方的に関根くんを疎ましく思います。

堂島は地方出身で、都会に出てきてから、自分改革の努力に励み、努力の末に周囲にイケメンと認定されています。しかし、何もしなくてもイケメン、最初から何の努力もしなくてもイケメン、無自覚に女を引き寄せるイケメンである関根くんが妬ましくて仕方ないのです。

関根くん憎しで、堂島は関根くんが通っている手芸店に出入りするようになり、恋をしているわけでもないのにサラに接近します。自分の作品をサラがほめてくれたことから、サラのことが気になり始めていた関根くんは、その姿にわけもなくショックを受け、また情緒不安定に陥るのです。

情緒不安定ながらも、一見普通に見えてしまうのが関根くんの欠点であり魅力です。不安定になって泣いてしまう姿を、年下の垢ぬけないサラだけが見つけて、そっと見守っている姿が女性読者の目にも好ましく映るようです。そしてそのサラに、どんどん惹かれていき、ますます挙動不審になる関根くんの気持ちも揺れ方も見ごたえがあります。

ついに関根くんはサラへの気持ちに気づき、初めて自覚する恋に振り回されながらも、一生懸命サラに近づこうと努力をします。無駄にモテるくらにモテるためのHou to本を真剣に読んだり、興味のないサーカスに興味があると言って無理やりデートにこぎつけたり、関根くんが必死になるほどその奇行っぷりが笑えてしまうという感想が多く見られました。

ようやく取り付けたデートも、無自覚イケメンの関根は、自分の意識しないところで完璧なエスコートをして、ハイスペックぶりを見せつけてしまいます。この時点では関根の好意に気づいていないサラは、無自覚に「私たち全然似合ってない」という発言をしてしまい、関根くんは大ショックを受けます。

今まで受け身だった関根くんは、いざ本気の恋をしても、距離の詰め方がわからず、デートに行っても無駄なエスコートは自然にできるのに、連絡先すら聴けないでいるのです。30歳にもなって意中の相手に気持ちを伝えるどころか、連絡先も聞けず、明後日の方向へと爆走してしまう恋愛は、まるで中学生のようで可愛く微笑ましいと感想サイトでも見られました。

単行本4巻にして、ようやく関根くんはサラに自分の気持ちを伝えます。必死さ満載の告白で押し切り、二度目のデートにつなげ、嬉しいあまりに挙動不審な関根くんです。逆にサラは、ハイスペックなイケメンの関根くんがなぜ自分を?と信じられず、その気持ちを受け入れることができません。一見完璧すぎる関根くんは、相手をひるませてしまうのです。

自分と関根くんの格差から恋に臆病になったサラは、関根くんの心を正面から受け止めることができません。自分よりももっと関根くんにはふさわしい人がいるんじゃないかと関根くんに伝えてしまいます。初めて自覚し、自分から頑張った相手に言われた言葉は、関根くんの心を傷つけます。

しかし、メンタルが弱いかと思いきや、関根くんはここで心折れず、もう一度デートに誘うのです。30男の初めての恋に必死な姿ですが、コミカルですが、見苦しさはありません。つい応援したくなる可愛さがあると、読者の感想でも見られました。完璧残念男子が恋に涙する姿が、サラだけでなく読者のハートを鷲掴みにしたようです。

一度はサラに断られたものの次の食事デートに誘った関根くんです。しかし、仕事やいろいろなアクシデントが重なって、待ち合わせの時間に店にいくことができず、二人はすれ違ってしまいます。翌日、サラに会いに行きたい関根くんでしたが、重要な接待で、取引先の人と会っていました。その中に、以前関根くんを逆ナンしてきた女性・サチコがいました。

逆ナンしてきた頃は全く記憶に残っていませんでしたが、サチコは取引先相手という立場を利用してグイグイと関根くんに迫ります。接待帰りに関根くんがサチコに絡まれている場に、サラが出くわしてしまいます。

その場を見てショックを受けたサラは、関根くんにひどい言葉を告げてしまいます。そして関根くんもそれにまたショックを受け、サラの連絡先を携帯から削除してしまうのです。

「罪深い無知」と「悲しい完璧」に、「不本意な経験値」や「無闇な手練れ」と、まれに見る残念な男・関根くんは、最終回でも相変わらずの残念男子を貫きます。

京都転勤を前に出張しても、スーツケースの中は編み物だらけ、新幹線の中でも捗る編み物超大作、自宅に帰ってきたら、そこにはサラを思って作った無駄に凝った柄のニットセーターや編みぐるみがたくさんあるのです。

関根くんの友人・紺野から、関根くんが京都に転勤する話を聞いたサラは、居ても立っても居られず、関根くんの家に駆け付けます。そこで待っていたのはサラへの思いをこめて作ったセーターをほどく関根くんと、ほどいた糸の海でした。部屋中が毛糸の海のようになってしまうくらい、関根くんは思いを編み続けていたのです。

捨てるなら欲しいというサラに、ここにあるものはすべてサラのために作ったものだと、動揺しながら関根くんは語ります。小さな手編みのケースの中から、さらに靴下、さらに靴下とマトリョーシカのように出てきて、最後に、昔借りたままになっていたサラのファーストシューズが出てくるのです。

数音の赤ちゃんのために編み物を始めたばかりの頃、参考にとサラが自分の赤ちゃんの頃のファーストシューズを貸したのです。関根くんはサラのファーストシューズを返せず、そのカバーをいくつも作って大切に自分の想いでくるみこんでいたのでした。そのカバーを見て、ようやくサラは関根くんの気持ちを素直に受け入れられたのです。

関根くんがほどきかけたセーターを着たまま「わたしもお揃いの気持ちだと思います」と言ったサラを、関根くんが抱きしめます。関根くんの気持ちでいっぱいになった毛糸の海の中で、二人は結ばれます。

思いが伝わってサラの前でやはり泣いてしまう関根くんですが、抱き合い始めると途端に無駄に色気過多なイケメンになってしまいます。それまでが残念すぎた故のギャップ萌え、かっこいいとファンの感想サイトでは大賑わいだったようです。

関根くんの恋を読んでのファンの感想です。2巻で恋を自覚し、3巻あたりからのたうち回っていく関根くんの恋模様、読んでいる読者もじれじれしていたようです。

かっこいい男をこれほどダメに描ける作品に、つい引き込まれていくという感想です。かっこいい男も、ハイスペック男子も、メガネ男子も、少女漫画の中では定番ですが、これほどすべてを兼ね揃えながら、情緒不安定で年下の女の子の前で大泣きしてしまうという残念男子はなかなか描かれないようです。

関根くんの中身が壮絶に残念ながらも、ちょっとしたシーンでものすごくイケメンに見えてしまうこともまた残念、しかし、そこが「関根くんの恋」の最大の魅力と言われているようです。

イケメンエリートの関根くんが、初めての恋に振り回されるシーンから目が離せない、と感想を述べる読者の投稿は、かなりの数が見られました。原作者・河内遙の残念男子極まれりな描写が上手く、恋に泣いてしまう30歳の男性なのにそれが可愛く見えてしまうのが不思議、という感想もありました。

ドラマ化の期待の声も高い「関根くんの恋」ですが、ネットでは「もし実写ドラマ化するならその配役は誰を思い浮かべるか？」という話題でも盛り上がっています。関根くんの一見ハイスペックなのにものすごく残念な役を演じられる俳優さんは誰かと考えると、なかなかの論戦となるようです。関根くんは加瀬亮や松田翔太、サラは北乃きいや宮崎あおいが挙がっていました。

一見すると完璧なイケメンなのに、常に受け身で、恋の自覚すらできなかった男が、30歳にしてようやく恋に動き出す、そんな残念な男の恋物語「関根くんの恋」の魅力を、ネタバレこみのあらすじとともにお届けしましたが、いかがでしたでしょうか？器用なのに行き過ぎて器用貧乏、そして恋に関しては不器用すぎるという、イケメン男子のギャップを堪能できるとの評価が高い作品です。

もし実写ドラマ化するのであれば、残念すぎるハイスペック男子を一体誰が演じ切るのかも、考えるだけで楽しみな作品と言われています。原作者の河内遙の作品は、雑誌Kissで「涙雨とセレナーデ」が連載中です。「関根くんの恋」とはまた違う、切ない恋物語をお楽しみください。