2018年10月07日公開
2018年10月07日更新
悪の教典の漫画最終回がひどい?ラストの結末や感想をネタバレ考察
大ヒット小説『悪の教典』の漫画版の評判がとんでもなく悪いとネット上では話題になっています。『悪の教典』は映画化もされていて、こちらも大ヒットを記録しています。原作ファンが起こっているのは最終回の結末が原作と違う事が原因のようで、漫画版は最悪だという感想でネット上は溢れています。原作はサイコパスの猟奇殺人鬼をテーマにした後味が悪い結末を迎えることで有名ですが、漫画版ではどういった結末を迎えているのか。今回はネタバレも含めて、『悪の教典』の漫画版の結末を見ていきましょう。
目次
悪の教典の漫画版の結末をネタバレ!読んだ人の感想も紹介
貴志祐介の大ヒット小説『悪の教典』のコミカライズ作品であるコミック版『悪の教典』の出来が最悪だと話題になっています。特にラストの展開が最悪で、原作を侮辱する内容になっていると言われています。ネタバレもありで見ていきましょう。
悪の教典の作品情報
『悪の教典』はホラー漫画を描くことで若者に大人気の小説家の貴志祐介が2010年7月30日に文藝春秋から出版したサイコ・ホラー小説です。優秀な人物でありながらサイコキラーという裏の顔を持つ高校教師の蓮見が生徒を虐殺していく内容となっています。サイコパスがテーマになっており、蓮実がサイコパスとして殺人を犯す過程や彼の人間性を掘り下げ、その暗いテーマをスリリングなエンターテイメントとして仕上げています。
出版当初から話題になっており、第1回山田風太郎賞受賞作、第144回直木三十五賞候補作、第32回吉川英治文学新人賞候補作、2011年本屋大賞ノミネートなどかなり高い評価を受けました。多くのメディア展開がされていて、2012年に『漫画化』と『映画化』された作品となっています。
累計発行部数100万部突破のベストセラー
伊藤英明主演で映画『悪の教典』が公開されるとさらに話題になり、累計発行部数100万部を超えるベストセラー作品となりました。同時に漫画化もされており、幅広い世代に知られる作品となりました。そのセンセーショナルな内容に社会的に物議をかもした作品でもあります。
作者は稀代のミステリーホラー作家の貴志祐介
貴志祐介は日本を代表するミステリーホラー作家として知られています。『十三番目の人格 ISOLA』でデビューし、1997年には『黒い家』で第4回ホラー小説大賞を受賞して人気作家の仲間入りを果たします。その後も『青の炎』や『硝子のハンマー』を出版し、最近では『新世界より』でSFに挑戦するなど多くの作品で様々な挑戦をしています。『悪の教典』は近年の代表作となっています。
悪の教典の漫画版あらすじをネタバレ紹介
ここからは漫画版の『悪の教典』を見ていきましょう。ネタバレも含めて、あらすじを紹介していきます。漫画版の『悪の教典』は『good!アフタヌーン』にて、2012年5月7日発売の22号から2015年7月号まで連載しました。作画担当は烏山英司。その内容は終盤の結末を除けば、原作『悪の教典』をほぼ忠実に再現しています。
完璧な教師の蓮実聖司
物語の舞台は東京都町田市の『私立晨光学院町田高校』に英語教師として勤める蓮実聖司は、イケメンで教師としての能力はトップクラスで生徒や教師、PTAからも人気者の『晨光学院町田高校』の救世主として期待されています。しかし、蓮実は裏では自分に都合の悪い人間を次々と秘密裏に殺害しているサイコキラーで、問題解決のためなら生徒を殺害することもいとわないという残虐な人間でした。
学校を自分の王国に
蓮実の野望は『学校を自分の王国にする』というものでした。そのためならどんな手段を用いることにも抵抗がなく、王国のために邪魔となる教師、生徒、保護者までありとあらゆる残虐な方法で排除していきます。『私立晨光学院町田高校』は不良生徒やモンスターペアレント、学校裏サイト。さらには集団カンニング、淫行教師など数多くの問題を抱える高校でもありましたが、蓮実はこの問題を次々と解決していきます。
邪魔者を次々と謀殺
順調に王国設立を進めていた蓮実はすでに自分のクラスを手中に収めていました。そんな蓮実にとって邪魔な存在は学校一の不良である蓼沼将大でした。蓮実は蓼沼を排除するために、学校裏サイトに蓼沼の悪口を書き込ませるように生徒を誘導させて、ネットを炎上させます。そのことで不信感を募らせた蓼沼は暴力事件を起こし退学に追い込まれてしまいます。
思い通りに蓼沼を排除した蓮実の次のターゲットは『モンスターペアレントの清田勝史』でした。娘が苛められていると訴える清田勝史はクラスに問題がないという評価を守りたい蓮実にとって邪魔な存在でした。そんな清田を蓮実は清田宅の近隣で噂にあっている放火犯の手口を真似て殺害します。用意周到に計画していた蓮実ですが、こうした行動で同僚の数学教師の釣井正信に疑惑の目を向けられてしまいます。
疑惑の目を向けるものを排除
完璧な高校教師を演じていた蓮実ですが、同僚である釣井正信は蓮実の不審な行動から疑惑の目を向けて蓮実を調べ始めます。それを察知した蓮実は釣井を電車内で自殺に見せかけて絞殺します。これで蓮実の王国を脅かすものはいなくなったと思われましたが、一連の学校周辺のおかしな出来事で蓮実に疑念を持つ人物が現れます。
過去に集団カンニング事件を首謀し、蓮実にその計画をつぶされたことで蓮実に不信感を持っていた学校屈指の頭脳を持つ早水圭介は一連の騒動で蓮実は校内を盗聴しているのではないかと推測しました。深夜の学校に忍び込み、蓮実が仕掛けた盗聴器を発見した早水ですが、蓮実に発見され捕まり殺害されてしまいます。蓮実は早水の遺体を校内に埋めてしまいます。しかし、これが蓮実の王国を崩壊させる決定的なきっかけとなります。
悪の教典の漫画版の結末は?衝撃のラストをネタバレ
ここまで蓮実の思い通りに王国設立は進んでいる様子をネタバレも含めてみてきました。王国建設に向けて数々の悪事に手を染めてきた蓮実ですが、ついに王国が崩壊する日が来てしまいます。この後、蓮実は自身のクラス全員を虐殺することを決意します。そして問題になっている結末まで、ネタバレありで見ていきましょう。
クラス全員の殺害を決意
蓮実は早水を始末して、彼の携帯を使って失踪したように見せかけることに成功しました。しかし、この携帯を処分しなかったことが蓮実の犯行が露見するきっかけになってしまいます。そしてそれが生徒全員を虐殺するという最悪の結末へと導いていくことになります。そのきっかけとは蓮実が日頃からペット扱いしていた女子生徒の安原美彌が早水の携帯を発見したことでした。
早水の携帯があったことを安原に問いただされた蓮実ですが、その場は何とか乗り切ります。そしてそこで蓮実は安本を消そうと密かに決意します。その実行日は『文化祭前夜』。クラスの生徒が学校に泊りがけで準備をする日にしました。
文化祭前日に決行
文化祭前日に屋上で安原を自殺に見せかけて落としたところを、蓮実のクラスの生徒に目撃されてしまいます。蓮実はそれを隠蔽するため、クラス全員の殺害を決意し、しかもそれを同僚教師の仕業に見せかけて散弾銃で皆殺しにし始めました。
学校中の人間を次々と殺害
最初の被害者は蓮実が安原といたことを目撃した永井あゆみです。永井を皮切りに、自分の生徒を次々と殺害していった。その殺害方法は多種多様で散弾銃を使ったり、ブラックジャックを使ったりと今までの蓮実の経験値が手際よく生徒を始末するために役立っています。反撃する生徒もいましたが、戦闘力も高い蓮実には手も足も出ずに殺害されていきます。
二人が生き残ったが、蓮実は巧みに言い逃れる
蓮実は全てのクラスメイトを始末した後、最後の仕上げで美術教師の久米剛毅を自殺に見せかけて殺害し全ての犯行を久米をなすり付けたところで警察が到着し、警察も蓮実の説明に納得した様子を見せていました。全てが蓮実の思い通りになったと思われたとき、警察の前に二人の生徒が現れます。蓮実に射殺したと思われていた片桐怜花と夏越雄一郎が生き残って、警察にすべてを暴露し始めます。
しかし、蓮実の巧みな話術で警察は二人の話を信用せずに、すべては蓮実の思い通りになってしまうと思われました。しかし、ある意外なものが蓮実を追い詰めることになります。
ついに蓮見逮捕!AEDが決定的証拠に
蓮実のいう通り、片桐怜花と夏越雄一郎は精神錯乱の状態にあると思われたその時でした。鑑識課員が発見したAEDに蓮実の声が録音されていました。そこには生徒の一人である山口卓馬たちを殺した際の蓮実の犯行を裏付ける音声が録音されていました。それが決定打となり蓮実は逮捕され、凄惨な夜は終わりを迎えたかに思えました。
さすがの蓮実もこの決定的な証拠に言い逃れすることができずに観念しておとなしく逮捕されたように見えました。しかし蓮実は連行される時に『全部、神の意志だった』などと言って精神異常者のふりをして、裁判で無罪になることを狙っての事でした。この蓮実の様子をみて、生き残った二人は彼の思惑を悟り、『まだ終わっていない』と確信するのでした。
判決!禁固20年
数年後、蓮実の裁判の結果が出ます。最高裁まで争い、ついに蓮実の罪が裁かれる瞬間がやってきました。しかし蓮実に下った判決は禁固25年という極めて軽い判決でした。精神疾患が原因のためという理由で蓮実は25年で出てくるという最悪の結末を迎えます。ラストシーンで横断歩道を渡ろうとする怜花に姿が。そしてその向こうにはフードを被り顔が見えないように微笑む男の姿が描かれたところで漫画は終了します。
悪の教典の漫画版結末がひどいと言われる理由を感想から考察
ここまで漫画版『悪の教典』の内容をネタバレも含めてみてきましたが、原作ファンや漫画を見た人が漫画版の結末が最悪といっているのでしょうか。その理由を考察してみました。
蓮実への罰が軽すぎる
漫画版の『悪の教典』の結末が最悪といわれている理由の一つは『蓮実への刑罰に軽さ』にあるようです。クラスのほぼ全員を惨殺しておいて、禁固25年という軽さに対して怒っている人が多いようです。そもそも原作では蓮実の刑罰には言及されてなく、この刑罰は漫画版だけのオリジナルストーリーとなっています。精神疾患を演じた蓮実の勝利として描かれている点が倫理的な面で批判されている点のようです。
原作者の作品との差が大きい
原作が大ヒットしていることもあって、こういった作品の漫画化は難しいといわれています。特に、原作の改変は原作ファンの逆鱗に触れる行為です。貴志祐介作品はプロットもしっかりしていて、伏線もしっかりと機能しているので原作ファンの思い入れも強いようです。漫画の終盤で蓮実に華を持たせるような結末にしてしまったことがファンの逆鱗に触れたようです。どんな形でも改変していればアウトのようです、
漫画版では蓮実が出所してる?
漫画版のラストシーンでは怜花のそばに、フードを被って微笑む男の姿が描かれています。これは蓮実だと思われていて、逮捕から数年で出所したことが暗示されています。漫画のラストとしてはいいラストですが、原作とはあまりにも違うので批判されています。漫画版では蓮実寄りの展開になるように描かれていて、蓮実は大量殺人犯なのでこのラストでいいのかという意見もあるようです。
漫画版だけでなく映画版も酷評の嵐だった!
『悪の教典』が世に知られるようになったきっかけである映画版『悪の教典』も、実は酷評の嵐のようです。人気俳優の伊藤英明さんを主演にして、大々的にプロモーションしたのに評判は散々のようです。この試写会にゲストとして参加した女優の大島優子さんはあまりの残虐な描写であったために、ラストシーンを待たずして途中退席した話も有名な話です。
映画版は蓮実の人間性への掘り下げが不十分で、単なるサイコキラーとして描かれている点がファンの期待を裏切る結果となったようです。原作の『悪の教典』は文庫版で上巻が440ページ、下巻が416ページと長編作品なので二時間に収めるのは無理があったのでしょう。結果的に、内容の薄い虐殺映画になってしまいました。
悪の教典の漫画最終回がひどい噂についてまとめ
今回は漫画版『悪の教典』についてネタバレも含めてみてきました。漫画版の最終話までは原作に忠実に作られていると高評価を受けているようです。しかし、ラストで原作にない展開を持ってきてしまったことが酷評されている理由になっています。
ラストシーンの是非は倫理観?
ネット上の評判を見ていると、ラストシーンは漫画しか見ていない人には好評のようです。確かに、漫画版『悪の教典』はエンターテイメントとしてうまいラストになっていますし、蓮実の恐怖から逃れられない運命を暗示しているラストになっています。しかし、原作ファンとしては原作の良さを生かしてもらいたいというのも本音でしょう。
小説『悪の教典』は蓮実の行動をどう考えるかという事がテーマになっています。蓮実の行動や人間性をどう捉えるかということがこの小説の面白いところだと言われています。原作のラストをあえて明示しないことも、そうすることで読者の想像を掻き立てることを可能にしています。蓮実の刑罰を示している漫画はそうした魅力を奪ってしまっていると考える読者もいることも確かですね。
漫画版も小説版も読んで判断するのもオススメ!
今回はネタバレもしてきましたが、小説『悪の教典』も漫画版『悪の教典』も読んで自分で判断することもいい方法です。小説は数々の賞レースで話題になった作品で間違いなく傑作ですし、漫画版も最終回まではほぼ忠実に再現されています。どちらも読みごたえ抜群なので、ネタバレしていても読む価値ありの傑作です。ぜひ、両者を見比べてラストシーンをどう考えるかを確かめてみるのもいいでしょう。