【鬼滅の刃】獪岳（かいがく）はクズでかわいそう？裏切り者になった理由を考察

獪岳（かいがく）は、鬼滅の刃に登場する敵キャラクターの1人です。元々、獪岳は人間でしたが、鬼殺隊を裏切って鬼になりました。彼は人間だった頃から自己中心的で、どのような悪事を働いても自分は悪くないと思い込むかわいそうなクズキャラとして知られています。

ここでは、その獪岳について詳しく紹介していきます。獪岳がなぜかわいそうなクズキャラになったのか、彼の生い立ちを辿り考察していきましょう。獪岳について紹介していく前に、まずは鬼滅の刃の基本情報を紹介していきます。

鬼滅の刃は、漫画家・吾峠呼世晴が生み出した漫画作品です。2016年2月15日から2020年5月18日にかけて、集英社が発行する『週刊少年ジャンプ』誌上にて連載されていました。話数は全205話、単行本は全23巻で完結しています。

2019年にテレビアニメ化されたことをきっかけに知名度が上がり、国民的漫画の1つとなりました。2020年には劇場版アニメ『鬼滅の刃1無限列車編』が全国の映画館で公開され、日本歴代興行収入第1位という大ヒットを記録しています。

主人公の竈門炭治郎は、亡き父に代わって家族を支えるしっかり者の少年です。ある日、彼が炭を売るために町へと出かけ帰ってくると、家族が鬼に殺されていました。唯一生き残った妹の禰豆子も鬼にされており、理性を失って炭治郎に襲いかかってきました。危ないところを鬼狩りの剣士・冨岡義勇に助けられた炭治郎は、禰豆子を人間に戻す方法を探すため、自らも鬼狩りとなって鬼と戦う覚悟を決めました。

獪岳（かいがく）は、鬼滅の刃に登場する鬼キャラクターです。身長は167センチで、体重は64キロ。趣味は博打です。獪岳は元々鬼殺隊に所属していた人間で、元鳴柱である桑島慈悟郎に師事した雷の呼吸の剣士でした。同じく桑島慈悟郎に師事し、雷の呼吸の剣士となった我妻善逸とは兄弟弟子の関係です。獪岳は過去、鬼殺隊の一員として鬼を狩る生活をしていましたが、ある出来事をきっかけに鬼殺隊を裏切り、鬼になりました。

獪岳（かいがく）の血鬼術は、雷の呼吸による斬撃が黒い雷となり、その斬撃で対象の皮膚や肉にひび割れを発生させるというものです。獪岳の戦い方は、鬼殺隊の隊士であった頃と同様、刀を使ったものです。獪岳は雷の呼吸の基本である壱ノ型以外の型を会得しているため、それらに血鬼術を上乗せして攻撃をします。

クズキャラとされている獪岳（かいがく）ですが、ファンの中には「獪岳は悪くない」「かわいそうな環境で育ったためクズになってしまった」と考える人もいます。ここからは、獪岳は悪くないという意見が上がる理由、獪岳本人が自分は悪くないと思うようになった理由を、彼の過去から考察していきます。

獪岳（かいがく）は孤児でした。庇護してくれる親を持たず、安全に暮らせる家も持たなかった獪岳は、いつ死ぬかもわからない貧しい日々を送っていたようです。どん底の日々は、獪岳の中に「死ぬまでは負けじゃない」という考え方を植え付けました。

生きてさえいればいつかは勝てる、そのためにどんな手段を使っても生き続けなければならない。それが獪岳という人間を支える芯となります。この考え方は獪岳の心を支えた一方で、その後の人生を歪ませるものにもなりました。守ってくれて、善悪を教えてくれる親がいなかったことが、獪岳がかわいそうと言われる原因の1つです。

孤児としてかわいそうな生活を送っていた獪岳は、やがてある人物に救われました。その人物とは、鬼殺隊の岩柱・悲鳴嶼行冥です。悲鳴嶼は鬼殺隊に入る以前、寺に身寄りのない子供たちを集めて面倒を見ていました。

獪岳も悲鳴嶼に引き取られ、寺で暮らす子供たちの一員となったのです。寺での生活は慎ましいものでしたが、1人で泥をすすって生きていた頃とは雲泥の差でした。しかし、その生活も長くは続きません。獪岳がクズすぎる行動をした結果、彼は寺を出ていくことになります。

獪岳のクズすぎる行動とは、寺の金を盗んだことです。彼がなぜ金を盗んだのか、詳しい理由は明らかになっていません。泥をすするような生活ではなくなったとはいえ、貧しいことに変わりはなかったため、自分だけでも貧困から抜け出そうと金に手をつけた、と考えられています。

また、獪岳の趣味が博打であることから、博打のために寺の金を盗んだのではないか、という考察もあります。真相は不明ですが、この時点で獪岳の人間性が歪んでしまっていることはその後の行動からみても明らかであるため、利己的な理由で盗みを働いたのだろうと推測されています。獪岳の起こしたこのクズすぎる行動が、後に寺を襲った大きな悲劇の引き金となります。

獪岳が寺の金を盗んだことに気がついたのは、寺で暮らす他の子供たちでした。子供たちは当然、獪岳を責め、罵ります。彼らの怒りは収まらず、獪岳は盗みを働いたその日の夜に、寺から追い出されました。問題だったのは、獪岳が盗みを働いたこと、そして獪岳を追い出したことを、子供たちが悲鳴嶼に知らせなかったことです。

子供たちは、獪岳を追い出したことを後ろめたく思ったのか、悲鳴嶼に対して獪岳は寝ていると嘘をつきました。悲鳴嶼は目が見えません。そのため、子供たちの嘘に気づけませんでした。子供たちが正直に獪岳のことを悲鳴嶼に報告していれば、悲鳴嶼が獪岳の不在に気づいていれば、その後の悲劇は起こらなかったかもしれません。

また、この一件から透けて見えるのは、獪岳とそれ以外の子供たちとの関係があまり良いものではなかったということです。この頃から利己的であった獪岳は、貧しい中でも互いを思い遣り支え合って生きる悲鳴嶼や子供たちとは合わなかったと考察されています。

もし良好な関係を築いていたとすれば、盗みを働いたからといって危険な夜に獪岳1人を追い出すということはしません。悲鳴嶼に相談をし、話し合いをしたうえで今後どうするかを決める、という選択肢があったはずです。

盗みを働いたことで子供たちに追い出された獪岳は、夜の森で鬼と遭遇しました。彼は自分が生き残るため、鬼を相手にクズ極まりない交渉を持ちかけます。それは、寺にいる悲鳴嶼と子供たち8人を差し出すため自分だけは見逃してほしい、というものでした。当時、寺のあった地域には鬼の脅威に関する伝承が残っていました。そのため寺では夜になると、必ず鬼が嫌う藤の花の香炉を焚いていたそうです。

獪岳は寺に戻るとその香炉を消し、鬼を招き入れました。結果、悲鳴嶼と少女1人を除く全員が、鬼に殺害されてしまいます。鬼は怒り狂った悲鳴嶼によって倒されました。事件の目撃者である少女が錯乱していたこと、鬼の死体は消滅して子供たちの遺体だけが残ったことで、悲鳴嶼は殺人事件の犯人として投獄されました。その後、鬼殺隊のお館様に救われ、鬼殺隊隊士となったのです。

獪岳の行動は多くの子供たちの命を奪い、慎ましく生きていくつもりであった悲鳴嶼の人生を狂わせました。しかし過去に獪岳がこの事件を起こさなければ、悲鳴嶼が鬼殺隊に入ることはなく、柱最強といわれる男が生まれなかったこともまた事実です。

ここからは、獪岳（かいがく）が裏切り者になった理由を解説していきます。獪岳は鬼殺隊の一員となり、貧しさから抜け出しました。鬼と戦う以上命の危険はありますが、ようやくまともな生活を送れるようになったはずです。なぜ、その生活を捨てて鬼についたのか、彼の行動について詳しくチェックしていきましょう。

獪岳がどのようにして元鳴柱である桑島と出会ったのかは、明らかになっていません。何かしらの形で出会い、雷の呼吸の適正を見出され、弟子として拾われたのでしょう。承認欲求の強い獪岳にとって、自分の才能を認めてくれる桑島は重要な存在でした。彼に認められるため、獪岳は熱心に修行をしたようです。

獪岳は生きるため、自分の価値を示すためであれば努力をすることができる人間でした。その結果、雷の呼吸の型をいくつも会得します。しかしただ1つ、雷の呼吸の基本である壱ノ型だけは、どうしても会得できませんでした。このことが、獪岳にとって大きなコンプレックスとなります。

桑島と出会い、彼に才能を見出された獪岳。必死に修行し、雷の呼吸をマスターして鳴柱の地位を継ぐことが、獪岳の目標でした。その目標が達成されれば、自分の承認欲求も満たされると思っていたようです。しかし獪岳にとって想定外の事態が起こります。それが、雷の呼吸の基本である壱ノ型を会得できなかったこと。そして、自分より劣っていると思っていた弟弟子・我妻善逸が壱ノ型を会得したことでした。

そのため桑島は、獪岳と善逸の2人を同時に雷の呼吸の継承者であるとします。これは獪岳にとって屈辱でした。承認欲求が異常に強い獪岳は、自分だけが特別であることを求めていました。桑島に認められるのは自分だけでいい、と思っていたのです。どれだけ桑島から高く評価されても、善逸と同等に扱われるのなら、それは獪岳にとって不当な評価でした。

不満を抱えながらも、獪岳は雷の呼吸の使い手として鬼殺隊に入隊しました。善逸の兄弟子である彼は、当然ながら善逸よりも先に選抜試験を受け、一足先に鬼殺隊に入隊しています。善逸が鬼殺隊に入隊した頃、獪岳はまだ鬼になっておらず、鬼殺隊隊士として活動していたようです。

鬼殺隊の一員になった善逸は、他の隊士たちが獪岳の悪口を言っているところに居合わせました。彼らの悪口から察するに、傲慢で利己的な獪岳は仲間からも嫌われていたようです。雷の呼吸の型をいくつも会得しているにもかかわらず、周囲からは基本の壱ノ型ができていなから駄目だと蔑まれていました。

獪岳が度々かわいそうだといわれるのは、自分ではどうしようもない不運に見舞われ人生がねじ曲がっているためです。孤児になってしまったこと、鬼殺隊入隊後に黒死牟と遭遇してしまったことなどが、彼の人生における最大の不運でした。鬼殺隊の仕事中、獪岳は上弦の壱・黒死牟と遭遇しました。一介の隊士が勝てるような相手ではありません。獪岳の眼前にあるのは死のみでした。

どうしようもない獪岳は、額を地面にこすりつけ、黒死牟に命乞いをします。「死ぬまでは負けじゃない」という考えに則った行動でした。それを見た黒死牟は、獪岳に鬼舞辻無惨の血を与えました。血を飲んで鬼化に成功すれば、鬼に仲間として迎えられ生き延びることができます。

血を飲まなかった場合その先にあるのは死であり、また血を飲んで鬼になれなかった場合も死が待っていました。生きることを第一とする獪岳に選択肢はありませんでした。彼は血を飲み、鬼となって鬼殺隊から離れたのです。

ここからは、獪岳（かいがく）と善逸の関係について紹介していきます。獪岳と善逸は兄弟弟子という関係です。同じ人物に師事した2人ですが、その関係は非常に複雑なものでした。善逸は獪岳のことをどう思っていたのか、獪岳が鬼になったことで2人の関係はどのようなものになったのか、詳しく見ていきましょう。

善逸は獪岳が自分のことを嫌っていることを知っており、自身もまた獪岳のことを嫌っていました。しかしそれとは別に、獪岳のことを尊敬する気持ちが確かにあったようです。善逸から見て、獪岳の努力は本物でした。ひたむきに努力し、雷の呼吸の型をいくつも会得していた獪岳は、善逸にとって目標だったのです。

善逸は自分にないものを持っている相手を素直に認め、尊敬することができました。善逸も桑島も、獪岳のことを認め、特別な存在として大切に思っていました。しかし、2人の思いが獪岳に届くことは最後までありませんでした。獪岳にとって、自分が望む認め方をしてくれない人間は無能であり悪なのです。

雷の呼吸の継承権を持った獪岳が鬼になったため、育手である桑島は自らの命で責任を取る決断をしました。桑島は獪岳の師匠として、腹を切り自害します。切腹の際、桑島は介錯をつけませんでした。腹を切るだけではすぐに死ぬことはありません。切腹時に首を落とす介錯がいるのは、切腹する者を長く苦しませないためです。

介錯をつけないということは、長時間苦しんで死ぬということでした。桑島は自分の弟子が鬼となった責任を取るため、あえて長く苦しむ死に方を選んだのです。苦しみに耐えかねて、自分の喉や心臓を突く、ということもしませんでした。善逸は柱稽古の最中に桑島が死んだという報せを受け取り、自分の手で獪岳を討つ決断をします。

獪岳と善逸が再会したのは、物語のクライマックスである無限城決戦編でのことです。無限城の中で、善逸は上弦の陸となった獪岳と遭遇しました。そこで善逸は獪岳に、師が責任を取って腹を切ったことを告げます。その事実を知った獪岳が悔い改めることはありませんでした。獪岳にとって、自分の思う認め方をしてくれなかった桑島はもはやどうでもいい存在でした。自分は悪くない、自分だけを特別扱いしなかった桑島が悪い。

そのような勝手な言い分を、善逸にぶつけます。師を侮辱する言葉に怒った善逸は、ついに獪岳との戦闘を開始しました。壱ノ型しか使えない善逸と、壱ノ型以外を使える獪岳の戦いは、獪岳有利に進んだかのように見えました。しかし最後の最後に、善逸は独自に生み出した7つ目の型「火雷神」で獪岳の首を切ります。結局、獪岳はそのまま消滅。善逸は重傷を負ったものの、仲間が助けてくれたため無事でした。

ここからは、鬼滅の刃のアニメで獪岳（かいがく）の声を担当した声優について紹介していきます。鬼滅の刃のアニメには、善逸の兄弟子として名前のないキャラクターが登場しています。これが後の獪岳です。

鬼滅の刃の漫画を読んでいるファンは、この名前のない兄弟子が後に獪岳として再登場することを知っているため、早い段階からその声優に注目していました。物語のクライマックスで、下野紘演じる我妻善逸と激しい戦いを繰り広げることになるであろう獪岳の声を担当したのが誰なのか、詳しくチェックしていきましょう。

アニメ・鬼滅の刃で獪岳（かいがく）の声を担当したのは、声優の細谷佳正です。細谷佳正は1982年2月10日生まれで、広島県出身。現在はフリーで活動しています。2002年に東京アナウンス学院を卒業したのち、マウスプロモーション附属俳優養成所へ入所。2004年にマウスプロモーション所属となりました。2014年にマウスプロモーションを離れ、フリーとなっています。

デビュー当初は海外ドラマや洋画の吹き替えを主に担当していましたが『テニスの王子様』への出演をきっかけにアニメ声優としても活躍するようになりました。2014年の第8回声優アワードと、2016年の第10回声優アワードにて助演男優賞を受賞しています。2017年に喉の病気を患い、一時声優業を休んでいました。

アニメ・鬼滅の刃で獪岳（かいがく）の声を担当した声優・細谷佳正の主な出演作品は『テニスの王子様』（白石蔵ノ介）、『ちはやふる』（綿谷新）、『妖狐×僕SS』（反ノ塚連勝）、『黒子のバスケ』（日向順平）、『マギ』（マスルール）、『キングダム』（王賁）、『進撃の巨人』（ライナー・ブラウン）、『ダイヤのA』（結城哲也）、『神々の悪戯』（ロキ・レーヴァテイン）、『ハイキュー!!』（東峰旭）などです。

また『Free！』（山崎宗介）、『遊☆戯☆王ARC-V』（赤馬零児）、『アルスラーン戦記』（ダリューン）、『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』（オルガ・イツカ）、『スタミュ』（天花寺翔）、『ツキウタ。』（卯月新）、『文豪ストレイドッグス』（国木田独歩）、『僕のヒーローアカデミア』（常闇踏陰）、『ゴールデンカムイ』（谷垣源次郎）、『半妖の夜叉姫』（麒麟丸）などにも出演しています。

獪岳（かいがく）に対する感情は、鬼滅の刃ファンの間でも大きく分かれています。獪岳は元々クズであるため鬼になるのは当然、という人もいれば、育った環境による悲劇で獪岳は悪くない、という人もいます。獪岳の過去を知り、彼がかわいそうな人間であったことを知ると、獪岳は悪くないという気持ちが湧き上がってくるようです。

世間の獪岳への評価に対するコメントです。鬼滅の刃ファンの中には、獪岳は絶対的な悪であるクズであると考えている人たちと、獪岳は環境のせいで幸せになれなかったかわいそうなキャラで、彼は悪くないと考えている人たちがいます。

このコメントを書いた鬼滅の刃ファンは、どちらも違うと考えているようです。獪岳は鬼として人を殺しました。どれだけ悲惨な過去があっても、それを悪くないとは言えません。しかし、獪岳だけが悪かった、というのもまた違うのではないか。そう考える鬼滅の刃ファンも多いようです。

獪岳の「俺は悪くない」という考え方に関する考察です。獪岳は人間だった頃から、自分は悪くないという他責思考の持ち主でした。自分は悪くないと繰り返すのは、心の奥底では自分の行いが良いことではないとわかっていたためではないか、と考える人は少なくありません。過去の行いを後悔して、しかし環境ゆえにやり直すことが許されなかった。そのため獪岳はかわいそうな人物である、と認識している人もいるようです。

鬼滅の刃に登場する獪岳（かいがく）のクズでかわいそうな過去についてまとめて紹介してきました。獪岳は最後まで自分は悪くない、自分以外の誰かが悪いと思い込み、満足感や幸せを感じることのないまま消滅したキャラクターでした。獪岳に興味を持った人は、自分の目で獪岳の登場シーンを見て、彼がただのクズキャラなのか、それともかわいそうなキャラであるのか見極めてみるといいでしょう。