春の呪いのあらすじを最終回までネタバレ!感想や作者・小西明日翔についてまとめ

web発の人気コミック「春の呪い」は、「このマンガがすごい!」でもランクインした話題作です。死んだ妹の婚約者の恋人になった主人公と、妹の婚約者だった男と物語です。あらすじだけ聞くと、ただのドロドロの恋愛劇に思えてしまうのですが、読めば読むほど胸にさざ波が立つような、心に刺さるモノローグが共感を呼んでいます。今回は「春の呪い」のネタバレ込みのあらすじと、作者・小西明日翔についてもご紹介いたします。

春の呪いのあらすじを最終回までネタバレ!感想や作者・小西明日翔についてまとめのイメージ

目次

  1. 春の呪いのあらすじから最終回をネタバレ!評価や感想も紹介!
  2. 春の呪いの登場人物を紹介!
  3. 春の呪いのあらすじを最終回までネタバレ!
  4. 春の呪いの最終回をネタバレ紹介!
  5. 春の呪いの作者小西明日翔について!
  6. 春の呪いを読んだ人の評価と感想は?
  7. 春の呪いのあらすじと最終回をネタバレまとめ

春の呪いのあらすじから最終回をネタバレ!評価や感想も紹介!

「春の呪い」は、2016年から2017年にかけて、ゼロサムオンラインで連載されていたオンラインコミックです。作者の小西明日翔(こにしあすか)にとって、「春の呪い」は初の単行本ですが、初の単行本にして「このマンガがすごい!2017」ではオンナ編2位に選ばれるという話題作です。

大好きだった妹・春を病気で失ってしまった主人公夏美は、春の婚約者の柊冬吾に交際を申し込まれ、付き合います。このあらすじだけ聞くと、ただの少女漫画になってしまうのですが、夏美にも冬吾にも、そして死んだ春にも、それぞれの葛藤と思惑があり、それぞれの気持ちのすれ違いによって新しい真実が見えてきます。

家族を思い、妹を失った痛みに耐えながら、心は冬吾に惹かれていき、罪悪感に追い詰められていく夏美の姿が、読者の心をえぐります。すっきりと2巻で完結していますが、1巻でも3巻でもなく、上下巻となる2巻でまとめ切った作者の小西明日翔の実力も高く評価される作品です。

小西明日翔の線の直線的な太い作画で描かれる物語は、シャープな線だからこそ、その心理描写が鋭く表現されています。あらすじの表面的な印象とは裏腹に、主人公夏美が、笑顔で頑張りながらもどこか歪んで痛々しく見えてしまう、そこに読者の心がえぐられ、漫画を読んでいるのにも関わらず「小説のように濃密」のだと評価されています。

重いあらすじ設定でありながら、重くなりすぎないでいるのは、ところどころに挟まれる主人公・夏美と冬吾のコミカルなやりとりです。病に苦しむ妹、その妹を失っても、必死に前を向いて笑顔でいようとする夏美の姿は、読み手を痛々しくさせながらも、ちょっととぼけた性格と言動に思わずふっと笑ってしまう明るさもしっかりと描かれています。

春の呪いの登場人物を紹介!

主人公夏美は、底抜けに明るくガサツな性格のロングヘアの女性です。闘病中の妹のために栄養学を勉強し、栄養士の資格を取って働いています。父親と義母とはうまくいっておらず、それゆえに、唯一血のつながった妹・春をかけがえのない存在として依存しています。春の心を一瞬で奪った冬吾のことを、殺したいほど憎んでいましたが、春の死後、「春と出かけた場所に連れていく」という条件のもと、冬吾と付き合い始めます。

夏美は次第に心が冬吾に向かっていく自分を自覚し、春への罪悪感で苦しみます。これが春の呪いと言われるものなのですが、実際に春の呪いとあったのかというと、最終回までそこを考えさせる作者の話の運び方の巧みさを感じます。

夏美の妹・春の婚約者である冬吾は、資産家の三男で、イケメンで高学歴、優良企業に勤めるハイスペックな男性です。代々続く家柄に押しつぶされることなく、無表情・無感動なまま淡々と親の指示に従って生きてきました。春との婚約も、春の旧華族の血を望んだ母親の希望でしたが、春の死後、半ば強引な手を使って夏美と付き合い始めます。

何事にも心動かされない冬吾でしたが、春とのお見合いの席で、初めて夏美を見たときから、すでに夏美に心が動いていたのです。春と会いながらも、無意識のうちに視界に入ってくる夏美の姿に戸惑います。普段は寡黙で無表情ですが、夏美と付き合い始め、約束が果たせなくなったと別れを切り出す誠実さや、夏美のために激情にかられる一面も持っています。

そんな冬吾の婚約者であり、夏美の妹として登場するのが春です。ショートカットで物静かな大和撫子という、冬吾の理想を体現したような女の子ですが、わずか19歳で他界します。

しかし、冬吾と姉が無意識のうちにお互いを気にかけていることや、夏美と会ったときの冬吾の一瞬見せた笑顔を見て、姉を妬む気持ちに苦しみます。そしてその気持ちをSNSに残し、それが呪いとなって後の夏美を追い詰めていくことになります。

春の呪いのあらすじを最終回までネタバレ!

春の呪い1巻 第1話のネタバレ!

第1話のネタバレです。「春の呪い」は冒頭から妹の死で始まります。主人公夏美は五人家族ですが、父親とは折り合いが悪く、母は後妻のため他人のような関係、義弟とは仲良くしているものの、本当の自分の味方は実の妹の春だけだと思っています。おしとやかで成績優秀な春は夏美にとっては何よりも代えがたい存在です。

親との関係に悩む夏美と春は、お互いの存在によって支えられていました。まだ高校生の春ですが、そんな春に婚約者としてあてがわれたのが柊冬吾です。夏美と春の父親が旧財閥の血筋を引いており、その血筋を求める冬吾の母親の目論見で、春は冬吾の婚約者となります。

春が選ばれたのは冬吾の意志ではなく、冬吾の母が成績優秀で見るからに品行方正な春を選んだためでした。一目で冬吾に恋に落ちた春、そしてそれを見ていた夏美は、唯一の心の拠り所だった春の心を奪った男を殺してやりたいほど憎むのです。

妹・春との最後の別れのシーンで、棺で眠る春に、夏美は「すぐに行くから待っていてくれ」と告げます。両親との関係は修復できず、血のつながった妹だけが、夏美の心の拠り所だったのです。波風を立てずに家族を続けているものの、夏美と春はお互いだけが唯一の肉親として支え合ってきたのです。

棺の春に別れを告げる夏美の後ろ姿を、冬吾が静かに見つめていました。冬吾は葬儀の後、消沈する夏美にとんでもない提案をします。「妹が死んだのであればかわりにその姉と付き合いたい」という提案は、家同士の縁談故に理由としては通りますが、通常であればまかり通らない内容です。しかし夏美はそれに怒ることもなく、一つだけ条件をつけてその提案を受け入れるのです。

「生前、春と行った場所に、自分も連れて行ってほしい」というたった一つの条件をつけて、夏美は妹の婚約者と付き合い始めます。しかし、2人の間に恋人らしさはありません。最愛の妹の姿を、妹の婚約者を通して見つけようとする夏美に、その夏美を静かに見つめる冬吾。恋人とも呼べない曖昧な関係のまま、冬吾との逢瀬は続きます。この関係は最終回ではいったいどうなっていくのか、淡々としているのに緊張感を感じます。

妹の婚約者・柊冬吾は、資産家の家に生まれ、親の敷いたレールの上を何一つ疑問を持つことなく進んできました。恵まれた外見に秀でた頭脳と社会的立場、全てを持っている冬吾は何事にも心揺らすことなく生きてきました。親の決めた婚約にも文句ひとつ言わず従ってきた冬吾ですが、たった一人だけ、婚約者の姉である夏美の存在にだけ、心が揺さぶられたのです。

双方の親には内緒で二人は会い続けます。冬吾に会うたびに、夏美は妹への罪悪感で死への衝動に駆られます。踏切に飛び出していく夏美に、冬吾は初めて必死の形相となり、「おまえが死んだら自分も死ぬ」と脅し、夏美は「あなたが死んだら春が悲しむ」と言い、春が冬吾を見ていたのと同じ目で、冬吾の気持ちが自分を向いていると気づくのです。ネタバレですが、二人は無意識のうちにお互いを気にしていました。

冬吾の想いに気づくたび、夏美は春の死の直前に冬吾を呼んだ声を思い出します。「呪いのようだ」と感じますが、それでもいい、春の声を忘れないでいられるのなら、と夏美は思うのです。この呪いが二人にとって何なのかについては最終回で明らかになります。

春の呪い1巻 第2話のネタバレ!

明るく見える夏美が不安定になっていく第1話ラストから、第2話のネタバレに続きます。一方、妹の婚約者だった冬吾は、自分の過去を振り返り、唯一自分の気持ちを動かした女=婚約者の姉である夏美との出会いを思い出します。

資産家の家に生まれ、何もかも与えられ、期待にも応えてきた自分に、冬吾はなんの感動もなく生きていました。しかし、春と初めての顔合わせの場に居合わせた姉の夏美のことが、なぜか心に引っ掛かります。ネタバレ覚悟で読んでいただいている方には気になるところですが、夏美も無意識のうちに冬吾を見ています。

春との関係を順当に続けながらも、底抜けに明るくどこか陰を帯びた夏美を、無意識のうちに目で追ってしまう自分に、冬吾は気づきます。徹底して目を合わせずよそよそしい夏美が、気になっていきます。そして春が病気で入院しお見舞いに訪れた時、夏美の何気ない行動に初めて笑顔を浮かべ、自分に戸惑うのです。

春の葬式で最低な提案をした冬吾ですが、それは家の意向ではなく、実は冬吾の希望でした。思いがけず夏美の同意を得られ、夏美と目があった瞬間、冬吾は言いようもないめまいのような感覚に陥ります。夏美に恋に落ちた自覚に、春への罪悪感を感じた瞬間。冬吾が人生で初めて罪悪感を感じた瞬間でした。

夏美と冬吾は逢瀬を重ねます。庭園、美術館、バッティングセンター、かつて春とのデートで訪れた場所で、春の面影を探す夏美はギリギリのところを歩いているような危うさを持っています。そして冬吾も、底抜けに明るく破天荒な夏美に、心が動かされていきます。

二人は甘い言葉も恋人らしいふれあいもないまま、次第に心だけがお互いのほうを向いていくようになります。第2話でもこのギリギリ感、最終回はどうなるのでしょうか?第3話のネタバレに続きます。

春の呪い1巻 第3話のネタバレ!

冬吾のモノローグを終えて、第3話のネタバレです。妹が好きだった男、妹の婚約者だった男と付き合っている自分は何なのかと、夏美は悩みます。夏美は生きていたころの妹を探すために冬吾と付き合っているのに、冬吾と一緒にいると、いつしか当初の目的を忘れてしまいます。

ぎこちなく縮まっていく冬吾との距離。自分の意志に反して、冬吾のほうを向いていく心と、春の恋心を思い、夏美は苦しむようになります。そして無意識のうちに、春と冬吾のデートで訪れたことのない、夏祭りに誘ってしまうのです。ネタバレで言えば最終回まで怒涛の展開が続くので、この話が一番コミカルだったかもしれません。

春の呪い1巻 第4話のネタバレ!

第4話のあらすじです。ある日のデートの帰り、冬吾は夏美に別れを告げます。「春とのデートで訪れた場所が、ここで最後だから」からと言い、淡々と夏美に自分の気持ちを告白します。今まで告白しなかったのは、自分の気持ちが実ると思っていなかったから話す必要性がなかったと、なんの誤魔化しもなく、誠実に語る姿に、夏美は二人の関係を終わらせることにします。

別れてから、夏美は自分のしてきた残酷さに気づき、悩みます。春とのデート場所を自分と行くということは、冬吾の罪悪感を重ねさせる行為だったのではないかと、春と自分と冬吾のそれぞれの気持ちに思い悩むのです。

悩んだ夏美は、たまたまネットで「アキ」というハンドルネームの人間のSNSを見つけます。書かれた内容は闘病日記で、読めば読むほど妹の春の通院記録と一致するのです。自分の手帳と照らし合わせ、夏美はそのSNSが春によって書かれたものだと気づきます。

春の呪い2巻 第5話のネタバレ!

春の投稿らしきSNSを発見したところで第1巻が終わり、第2巻です。第5話のあらすじを紹介します。SNSの投稿は約2年前、春が体調を崩し通院を始めた頃から始まります。SNSの履歴から、当時の春が何を思っていたかを知ることになります。

スマホ画面に映し出されたSNSの投稿の演出が、じわじわと心に滲みよってくる、作者の表現の仕方がうまいとネットの感想でも話題でした。入院生活を始めた頃、お見舞いに来た冬吾が姉のことを無意識に見ていたことや、姉も冬吾の小さなケガに気づいていたこと。二人の間には春が努力しても得られない何かがあると感じ、姉をうらやむ気持ちがつづられていました。

そして病気が進行していくある日、姉から「これまで育ってきた環境や立場が違う相手と一緒に生きていく覚悟があるのか」と問われ、姉のほうが冬吾に相応しいのではないかと気づくのです。「自分に万が一のことがあったとき、姉と冬吾が結婚したら」と考えるようになった春は、冬のある日、姉と冬吾が偶々居合わせた際、冬吾が自然に笑顔を浮かべるシーンを目撃します。

自分と一緒にいるときはあんな笑顔にならなかった。あんな楽しそうな冬吾を見たことがなかった。もし冬吾が姉を好きだったらどうしよう。冬吾と姉が結婚したらどうしよう。姉がうらやましい。姉が妬ましい。病魔に侵されながら、春は弱った心で考えます。

そして春は「もし二人を引き離せるなら、姉を犠牲にする」「冬吾には幸せになってほしいから、二人で撮った写真だけを連れていく」という、一つの結論に達し、自分と冬吾の写真を棺に入れてほしいと姉に頼むのでした。かけがえのない妹の死の直前の自らへの気持ちを知って、夏美は愕然とします。春の呪いを知った瞬間でした。

春の呪い2巻 第6話のネタバレ!

第6話のあらすじです。死の直前の夏美の思いを知った夏美は、退職と引っ越しの準備をして身辺整理を始めます。春の心が冬吾に奪われたとき、自分は冬吾を殺したいほど憎んだので、春も同じように自分のことを憎んでいるのではないか。春がもし見ていたらと思うと、あれほど会いたかった春が怖くなります。

最初は春の面影を追うために冬吾と付き合ったはずなのに、心が冬吾自身を追うようになってしまい、春を振り返ることができないのです。日々迫ってくる罪悪感と春の幻想に、夏美は追い詰められていきます。

一方、夏美と別れた冬吾は、母親の意向ではとこの女性とお見合いをします。これまで母親の指示に何の疑問も抱かずに従ってきた冬吾は、親戚の篤実との会話をきっかけに、初めて敷かれたレールに乗ることに疑問を抱くようになります。用意された相手と結婚し、用意された人生を歩むことが初めてむなしいと感じるのです。

冬吾は夏美と付き合っていた数か月を振り返り、自問します。この数か月間の自分は、週末に夏美に会うことを目的に、それだけのために生きていたのではないか、だから夏美と別れた今はこんなにむなしいのではと気づくのです。

夏美は冬吾と付き合っていることを疑った義母に咎められ、口論となります。死んだ春とはケンカすることも謝ることもできない、そんな状態で冬吾と付き合ってしまっては、自分が傷つくことになると諫められた夏美は、思わず義母を責めて家を飛び出してしまいます。父と義母も、実の母と離婚する前から関係があったことを、夏美はずっと胸に秘めており、それが爆発したのです。

はとことのデート中、冬吾は付近の線路で若い女の人身事故が起こったことを耳にします。そして、夏美と付き合い始めたばかりの頃、不安定になった夏美が飛び込もうとしたことを思い出し、居ても立っても居られず走り出します。現場に駆け付けた冬吾は、人身事故の被害者が夏美でないことを確認し、安堵した一瞬、他の野次馬に押されて交通事故に巻き込まれてしまいます。

春の呪い2巻 第7話のネタバレ!

冬吾が事故に巻き込まれた6話のあらすじに続き、第7話のあらすじです。義母を詰って飛び出した手前、気まずい帰宅をした夏美は、義弟から冬吾が交通事故にあったことを聞きます。春を失い、今度は冬吾まで失うのかと思うと、じっとしていられず、夏美は家を飛び出します。病院を探し回り、ついに冬吾の入院している病院を突き止めるのです。

交通事故にあったものの軽いケガですんだ冬吾は、念のため検査結果を待っての入院をしていました。病室で冬吾は一人、夏美への想いに振り回される自分をもてあまし、うなだれます。夏美と別れたらそれだけのことで、元の生活に戻るだけだと思っていた自分。しかし、頭をよぎるのは夏美のことばかりで、「会いたい」と願うのも夏美だけだとわかるのです。

病室で悩む冬吾の前に現れた夏美は、冬吾の無事を確認して「生きていてよかった」と泣き崩れます。春のSNSを見つけたこと、春が自分と冬吾が結婚したらどうしようと怯えていたこと、もし自分と冬吾が結婚することになったら自分を犠牲にしてでも引き離したいと願っていたこと、春の生前の本当の気持ちを冬吾に伝えます。

春の本当の気持ちを知り、妹の恋人に恋をしてしまった自分が何度も死にたくなった、しかし冬吾を残して死にたくない、一緒にいたいと願ってしまう、罪悪感で引き裂かれそうな恋の苦しさを吐露します。

死ぬほどつらくても、それでも「どうせ死ぬのならあなたと一緒にいたい」と夏美は思いを告げます。大切な妹に呪い殺されるなら本望だという夏美に、冬吾も自分の気持ちを伝えます。ずっと何の目的もなく生きてきた自分が、夏美に会うことが生きる目的になり、別れても元の自分に戻ることができない。苦しげに顔を歪め、それでも「夏美、おまえが好きだ。俺はおまえが欲しい」と、初めて自分の中の激しい感情を表に出すのです。

冬吾に抱きしめられ、一瞬春の姿が脳をよぎりながらも、夏美は「わたしもあなたが好きです」と思いを伝えあうのです。思いは伝えあっても、春の呪いに縛られた二人は、罪悪感に苦しみながらお互いを抱きしめ合うのです。最初は静かに始まり、最終回前で弱さをさらけ出す二人の姿に、心をえぐられる読者も多かったようです。まるで文学作品のような重みは、作者が小説から始めた作品だからこそなのかもしれません。

春の呪いの最終回をネタバレ紹介!

コミカルな夏美と冬吾のやりとりに笑うこともありながら、最終回に向けて胸に刺さるシーンが次々と続く展開が人気を呼びんだ春の呪いです。かなりのあらすじネタバレでお送りいたしました。交わらなかった二人が、妹の死をきっかけに恋に堕ち、妹の死によって苦しむ二人に胸をかきむしられた読者も多いようです。

最終回のあらすじでは、夏美と冬吾にとって「春の呪い」とは何だったのか、本当に呪いはあったのか、最終回で作者がどう描き切ったのかを、ネタバレ込みで紹介します。

春の呪い2巻 最終回のネタバレ!

最終回では、退院した冬吾に、夏美は家を出ることを告げます。妹の婚約者と付き合うことになったと周囲の人が知ったら家族に迷惑がかかるので、家族を思っての夏美の出した結論でした。そんな夏美と生きていくために、冬吾は自分もすべてを捨てると言います。夏美に恋をして、親の敷いたレールを走ることができなくなった冬吾は、家も仕事もすべてを捨てて夏美と生きていく決意をするのです。

自然と二人で暮らしていく流れになり、夏美は「自分と一緒に生きていくなら、冬吾がこれまでの生活レベルを落としてやっていかなければならない」と話します。それはかつて夏美が春に決意を迫ったセリフでしたが、最終回での問いかけに冬吾は「楽しそうだ」と笑います。どちらかが合わせるのではなく、二人はお互いのために歩み寄れるのです。お互い家を出るなんて遅れてきた反抗期のようだと笑う夏美に、静かに冬吾は笑います。

夏美が家を出る準備をしていると、外出先から義母が戻ってきます。家を出ることを告げる夏美に、義母の口から、本当は夏美と春がずっと自分のことを好きじゃないことを知っていた。けれど娘二人を母親として愛していたという真実が語られます。義母という人間が初めて理解でき、今ならまだ家族4人で幸せな生活に戻れるのではという考えがよぎります。

しかし、夏美は冬吾の孤独な後ろ姿を思い出し、冬吾と生きる人生を選ぶのです。最終回で家族の関係に苦しんでいた夏美の心は少し軽くなるのですが、冬吾と歩んでいくことでまた次の重みを背負って生きていくことになるのです。

後で会う約束をして一度夏美と別れた冬吾は、何かと気にかけてくれていた親戚の篤実に電話します。今まで支配してきた母親との関係を心配する篤実に、母と決別して自分の意志で前に進むことを宣言するのです。「いい機会だからほどほどに苦労しろ」と激励する篤実に、冬吾は笑顔で答えます。

駅での待ち合わせの時間30分前に到着した夏美、そこにはいつも通り冬吾が先に来ています。二人で歩き出そうとした矢先、夏美は春のことを思い出します。「春は今の自分を見てどう思うだろうか。殺したいほどに憎むだろうか」と、かつて思った疑問がよぎります。かつては振り返れなかった背後を、思い切って振り返ってみると、そこには誰もいません。あれほど会いたくて、罪悪感に苦しめられていた春の姿はないのです。

このとき、ようやく夏美は春の死を受け入れるのです。「春は本当に死んでしまったのですね」という夏美に、冬吾は「人は死んだらどうなると思う」と問います。わからないと答える夏美の手を握り「俺とおまえも本当は呪われていないかもしれない。しかし、それが解ける日は自分たちには一生ない」と、二人で生きていく決意を示すのです。

「それが解ける日」というのが、「呪いが解ける日」なのか、「人は死んだらどうなるのかという問いが解ける日」なのかは明らかになりません。二人で手を取り合いながら歩いていく後ろ姿は、後ろ暗いものを暗示しながらも、「ビジネスホテルに泊まったことがない」「だと思いましたよ!」といういつもの2人の軽口で物語最終回は終わります。

春の呪い2巻 番外編1のネタバレ!

春の呪い最終回の後は、番外編が2本入っています。後ろ暗いものを背負いながらのエンディングの後の番外編1は、過去の2人のある日の一コマです。ドロドロとした暗いばかりではない、楽しい日々を過ごしていたことがわかります。この作品が完全なハッピーエンドではなく、よくできたメリーバッドエンドと言われるのは、底抜けに明るいシーンを絶妙なタイミングで入れるからとも評価されています。

まだ夏美が春の面影を追っていたある夏の日、いつものデートの途中、冬吾と夏美はスーパーに買い物に行きます。あまりの暑さに麦茶を買いたい夏美が店で手に取ったのは、500mlペットボトルではなく、なんと2リットルサイズです。デートの最中にそれを持ち歩くのかと、冬吾が冷静に突っ込むコマは秀逸で、これまでのデートでもこんなやりとりが繰り返されてきたんだろうなと想像させられます。

飲み物の他に、おにぎりを買うと~と計算であたふたする夏美に、無表情で暗算の答えを出す冬吾。さらに冬吾のお茶を買って飲み物がまとめ割引されていくら、税込みでいくらと、冬吾は瞬時に暗算で答えてしまいます。ハイスペックすぎる冬吾に、「電卓のアプリみたいだ」と少し外れた衝撃を受ける夏美でした。

かなりのネタバレになってしまいましたが、夏美が春への罪悪感で死にそうになるばかりではなく、自然に過ごしている時間もあったんだなと随所で暖かい気持ちにさせるところに、作者の実力を感じさせます。

春の呪い2巻 番外編2のネタバレ!

番外編1では夏美と冬吾のデートの1コマでしたが、2つ目の番外編は、なんと冬吾の少年時代。中学生の冬吾の理想の女性像にフォーカスした話です。正月に親戚の家に集まっている中、冬吾は一人勉強をしています。

まだ親の意志に逆らわず淡々と過ごしていた時期で、声をかけてきた親戚の篤実にも無表情でお年玉をもらいます。「昔はお年玉で30万円もらっていたのに今は正月になると自分が30万払わなければならない」と笑う篤実のハイグレードな会話でした。

冬吾の美貌は親戚のおばさんたちに大人気で、高額お年玉をポケットに次々入れてもらう姿が、役者のおひねりのようだったと篤実にからかわれます。話の流れで、篤実は冬吾に「好きな女の子のタイプ」を聞きます。

あえて言うならと、淡々と好みの女の子の条件を並べる冬吾に、篤実は「静かで頭のいいショートカットの大和撫子か」とざっくりとまとめます。その好みの女性像はそのまま後の婚約者・春です。しかし10年後、実際に好きになったのは、それとは全く真逆の、騒がしくて髪の長いガサツな夏美だったというオチで、「春の呪い」全2巻は完結するのです。

幸せなはずなのに、もろ手を挙げての幸せと思えない、希望を持ちながらの最終回なのに、それだけでない影を感じる最終回です。そんな重い最終回の後、すっきりするようなこの番外編2作を入れるという、作者のストーリーテラーとしての評価が高まります。

春の呪いの作者小西明日翔について!

春の呪いのあらすじをネタバレで紹介いたしましたが、いかがでしょうか?唯一無二の存在だった妹を失った夏美が、深い喪失感と孤独と抗いながらも、妹の婚約者と恋をする葛藤、どのシーンをとっても無駄がなく、濃厚な小説を読んでいるかのような胸に迫る物語です。

作者・小西明日翔の独特の線のシンプルな太い作画で描かれる葛藤シーンは評価が高く、主人公夏美の心理描写が生で伝わるような静かな迫力に、作者の力を感じさせます。ネタバレであらすじを語っても、実際にこの漫画を読まないことには、この静かな迫力は伝わらないことでしょう。

それでは作者・小西明日翔とはどんな作家なのでしょうか?小西明日翔の他の作品のネタバレとともにご紹介いたします。

作者小西明日翔はpixiv出身!

「春の呪い」の作者小西明日翔は、インターネットでは鉄男という名義で作品を公開していました。Twitterや、イラスト投稿のpixiv、自身のホームページに掲載し、人気が広がっていった作家です。現在月刊アフタヌーン連載中の「来世は他人がいい」は、もともとはTwitter・pixivで掲載され、その人気から月刊アフタヌーンでの連載につながった作品です。

「春の呪い」の作者としてデビューし人気を博し、その次の作品「来世は他人がいい」もかなりの注目を浴びました。ヤクザの孫同士が婚約し、ヤクザ話あるあるをコミカルに交えたストーリーです。作者小西明日翔の、コメディシーンも交えながら切り込むような持ち味が存分に生かされた作品です。

春の呪いは元々は小説作品だった?

春の呪いは、漫画で連載される前は、実は作者小西明日翔のホームページで公開されていた小説とのことです。現在作者のホームページは見ることはできませんが、いくつか公開されていた未完の小説のうち1作を漫画にしたものが、春の呪いでした。漫画家を目指していたわけではない作者が、ここまでの人気作を生み出すのもまた奇跡です。作者小西明日翔は、ストーリーテラーとしての才能に恵まれていたということでしょう。

春の呪いを読んだ人の評価と感想は?

Twitterで、最終回まで読んだ人の感想です。「このマンガがすごい」を見て、話題作なので本作を手に取り感銘を受けたという声はこのほかにもたくさん見られました。シンプルな登場人物なのに、90年代のドラマのような、文学作品のような仕上がりに、よかったという感想が多く見られました。

ところどころコミカルなシーンが挟まれるところが、この作品を暗すぎないものにしてくれるという感想です。淡々と描かれるモノローグが、劇的ではなくまっすぐに心に来ると思ったファンも多いです。

ありきたり感が結局、私には拭えなかった。

全体を通して、微妙。

逆に、ありきたりととらえる読者もいるようです。設定としては無くもない設定ですが、もっとドラマチックに描かれるほうが分かりやすいという方もいるかもしれません。

主人公の性格のせいかな・・と思って気にしないようにしてたけど、どうにも会話の流れやノリが合わない。吹き出しの位置とかコマ割リが単調なせいかな・・。あと表情も単調でストレートすぎるっていうか・・。うーん。

作品の持つ独特のテンポと絵柄が合わない方の意見です。このストレートな胸に訴えてくる作風が、受け入れにくいという方もいるようですが、多くは胸に刺さるという感想でした。

春の呪いのあらすじと最終回をネタバレまとめ

「春の呪い」のあらすじやキャラクター、評価など、ネタバレ込みでご紹介いたしましたが、いかがでしたでしょうか?単行本1巻の表紙では向き合っていなかった二人が、2巻の表紙ではお互いを見つめ合っています。表紙がさらに物語を印象深いものにしています。あらすじのネタバレをしたものの、実際に読まなければこの「春の呪い」の力は伝わらないことでしょう。未読の方はぜひ手にとってみてください。

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