2018年09月22日公開
2018年09月22日更新
シンデレラのガラスの靴だけ残った理由は?魔法が解けない謎を考察
女の子が大好きな童話といえば?と聞かれてあげられることも多いお話が「シンデレラ」です。時代が変わっても人気は衰えることを知らず、映画化もされている作品です。そんなシンデレラの最大の謎とネット上などでも話題になっているのが、「シンデレラにかけられたすべての魔法は解けてしまったのに、なぜガラスの靴だけ魔法が解けずに王子様の手元に残ったのか?」という疑問です。言われてみれば、ガラスの靴だけ消えないのは不自然に見えます。今回はこの疑問について徹底的に調べてみました。
目次
シンデレラのガラスの靴が残ったのはなぜ?魔法が解けない謎を考察
女の子が大好きな童話といえば?と聞かれてあげられることも多いお話が「シンデレラ」です。時代が変わってもシンデレラの人気は衰えることを知らず、アニメ化や実写での映画化もされています。そんなシンデレラの最大の謎とネット上などでも話題になっているのが、物語の大事なキーともいえるであろう「ガラスの靴」に関することです。
ネットで話題になっているのが、「シンデレラにかけられたすべての魔法は解けてしまったのに、なぜガラスの靴だけ魔法が解けずに王子様の手元に残ったのか?」という内容のものです。確かにガラスの靴だけ魔法が解けないまま残ったのは不自然で、言われてみれば気になるような疑問です。この疑問について、今回は徹底的に調べてみました。
シンデレラとは?
「なぜガラスの靴だけ魔法が解けなかったのか」という疑問の解決に取り掛かる前に、まずはシンデレラのお話の復習から入りましょう。おおまかなあらすじをご紹介します。
召使のように扱われる日々を送るシンデレラ
むかしむかし、ある国にシンデレラという心根がやさしくとても美人できれいな娘が住んでいました。実は貴族だったシンデレラですが、性格の悪い継母とその連れ子である二人の義理の姉に妬まれてしまい、まるで召使のように扱われる日々を送っていました。
そんなあるときにこの国の王子様が舞踏会を開くことになります。それを聞きつけた二人の義理の姉はきれいにドレスを着てお化粧をして出かけると楽しそうな様子です。シンデレラも行きたかったのですが、当然のごとく義理の姉たちと継母には猛反対されます。結局舞踏会へ赴く事は許されず屋敷でお留守番をすることになります。悲しい気持ちになったシンデレラは一人で寂しく泣いていました。
仙女の力を借りて舞踏会へ
そんなシンデレラの前に仙女が現れます。シンデレラがかわいそうだと思った仙女はシンデレラの願いどおりに舞踏会へ行けるように魔法を使って美しいドレス、かぼちゃの馬車、そして光輝くガラスの靴を用意します。仙女は「12時を過ぎればすべて元の姿に戻ってしまうから、かならず12時までには舞踏会から帰ってきなさい。」と忠告します。そして、シンデレラ「約束は守ります」と伝えると大喜びで舞踏会へ出かけました。
舞踏会に着いたシンデレラは、その美しさからすぐにその場にいる全員の注目を集めます。王子様も彼女に魅せられ、彼女を踊りに誘います。そうしてシンデレラは時の経つのも忘れて、王子様と夢のような楽しい時間を過ごしました。そしてついに約束の12時の鐘の音が聞こえました。シンデレラは言いつけ通り走り出します。王子は引き止めようとしますが、あとには彼女のガラスの靴が、片方だけ残されていました。
ガラスの靴を手がかりに
王子様は絶対にあの舞踏会で一緒に踊った女性を探し出そうと、国に命令を出しました。「ガラスのくつがぴったり合う女性を自分の妃にする」というものです。ガラスのくつが自分にきれいに合えば王子様の妃になれると、身分の高い女性が次々にガラスのくつを履こうと挑戦していきます。しかし、残念なことになかなかガラスの靴がきれいにはまる女性を見つけることはできませんでした。
シンデレラの義理の姉たちの順番になり、姉たちはどうにかしてガラスのくつを履こうとがんばりましたが、どうしてもそのくつを履くことは叶いませんでした。そこへシンデレラが進み出て、王子様のお使いに私も試させてくださいませんかと言います。
義理の姉たちは笑いましたが、王子様の命令は全員の娘に履かせるというものでした。シンデレラにも試さないと命令に背くことになるため、お使いはシンデレラにもガラスのくつを履かせてみました。するとガラスの靴はまるで彼女のために作ったようにきれいにはまったのです。そして、彼女はもうひとつのガラスの靴をふところから取って履きました。
お使いは、「この方こそ王子様の探しておられた女性だ」と確信します。早速シンデレラをお城へ連れていきました。シンデレラを見た王子様はたいそう喜び、数日後に2人は結婚式をあげました。心優しいシンデレラは、今までの意地悪を詫びた義理の姉たちを許し、たいそう親切に接したとのことです。
アニメが実写映画などの各作品で若干違いがあるものの、おおまかなあらすじは以上のようなものです。それぞれ違う味わい方が出来ますので気になったという方は是非見てみてください。
シンデレラのガラスの靴はなぜ残った?
さて、物語のあらすじを振り返ったところで、最初の疑問点であげていた「なぜガラスの靴だけは魔法が解けないまま残ったのか」という点について考えて見ましょう。ご都合主義で残ったとも思えるこの疑問ですが、実はしっかりとした理由があったのです。
ガラスの靴が消えなかった理由とは?
シンデレラは仙女の魔法のおかげでカボチャの馬車や御者、美しいドレスなどを手に入れます。しかし、そんなゴージャスな馬車やドレスも夜中の12時に時計台の鐘が鳴り、その最後の鐘の音が消えると同時にすべての魔法が解けてしまいます。
すべての魔法が解け、馬車はカボチャに戻り、白馬はネズミに、ドレスは元の服に戻ってしまいますが、お城に落としてきてしまったガラスの靴だけは魔法が解けないまま残ります。シンデレラの手元にあったもう片方のガラスの靴もそのままです。「一体どうして?」と気になった方もいるでしょう。
魔法が解けないままだった理由に関して、ネット上では「ドレスは幻覚魔法、靴は物質生成魔法でつくられていたからでは?」という意見や「実はガラスの靴自体が魔法を安定させるキーアイテムなんじゃない?」など、さまざまな憶測が出ていました。しかし、調べてみるともっと有力な理由が存在したのです。
鍵は「ペロー童話集」にあった!
その疑問を解決する鍵は、300年も前のシンデレラのフランス語原文「ペロー童話集」の中にありました。原文では馬車も馬も従者もドレスも動詞は「être changê(変わる)」になっています。しかし、ガラスの靴だけはちゃんと動詞が「donna(与える)」になってるのです。つまり、ボロボロの服は美しいドレスに、カボチャは馬車に、魔法の力で「変えられた」わけです。
ですが、シンデレラはこの時靴を履いていなかったため変える元がありませんでした。従って魔法使いによって「与えられた」、というように読むことも出来るのです。この訳し方は原文だけでなく、岩波文庫版の「ペロー童話集」でも同様にされています。調べてみると、原典から日本語への翻訳をする時に起こってしまうミスなんだそうです。訳し方がそれぞれのために、ガラスの靴も魔法で変えられたと1くくりにされることが多いのです。
シンデレラのガラスの靴は映画だと解けない魔法?
「どうしてガラスの靴だけ消えなかったのか」という疑問は解決しましたが、「映像作品では?」と新たな疑問を持った方もいるでしょう。翻訳でも様々な解釈があったように、映像作品でも様々な解釈がされています。ここからは「映像作品のシンデレラではどのようになっているか」という点に着目して見てみましょう。
アニメ版の場合は?
アニメ版を見てみましょう。仙女がドレスに魔法をかけると、ドレスと一緒にいつの間にか赤い靴からガラスの靴に変わっています。魔法をかけた瞬間はドレスに隠れてしまっているため見えませんが、ドレスの裾を少し上げるとガラスの靴に変わっているのです。
実写版になると?
ドレスと靴では全く違う魔法がかけられているのが実写版です。靴以外のものはすべて元となるものがあり、それに魔法をかけることでより豪華で優美なものに変化しています。しかし靴だけは別で、シンデレラは靴を脱がされ何も靴を履いていない状態になります。そこに全く新品なガラスの靴を作り上げられているのです。
使い古したくつに魔法をかけてきれいにしているのではなく、なにもないゼロのところから新品のくつを「作り出している」のです。ドレスやカボチャの馬車は元があるものを魔法で変化させていますがくつだけは新品のものを作っているため、魔法でガラスの靴という形を再現しているわけではなく「ガラスの靴そのもの」ということになります。
シンデレラのガラスの靴についてまとめ
シンデレラのガラスの靴についてまとめてきました。シンデレラのガラスの靴だけがなぜ魔法が解けないままだったのか、その理由は物理的に存在していたからだといわれています。王道の恋愛ストーリーであるシンデレラですが、これを踏まえてもう一度物語を見てみると最初とはまた違う見方も出来るのではないでしょうか?