【九条の大罪】菅原遼馬は介護施設「輝幸」代表！正体や山城祐蔵との関係は？　

この記事では、『九条の大罪』の2巻から3巻にかけて展開される「家族の距離」に登場する介護施設「輝幸」代表・菅原遼馬を特集します。これから、菅原遼馬の正体や山城祐蔵たちとの関係、そしてモデルとなった人物について解説していきますが、まずはその前に『九条の大罪』の作品情報をお届けしましょう。最初に『九条の大罪』の作品概要、そして簡単なあらすじ解説へと進みます。

『九条の大罪』は、真鍋昌平による日本の漫画作品で、小学館の「ビッグコミックスピリッツ」にて2020年46号から連載されています。単行本は現在までに8巻が刊行され、2023年8月時点での発行部数は累計222万部を突破しています。また、2022年1月には「全国書店員が選んだおすすめコミック 2022」で第10位に選ばれました。

飲酒運転で父子を轢き逃げした若者、森田は知り合いの壬生社長の助言で九条弁護士に相談します。九条は彼の弁護を引き受け、危険運転致死罪回避を目指します。九条の指示通り森田は自首し、被害者の自転車が倒れていたと主張します。死人に口なしで被害者は心臓発作で死亡と断定され、森田は執行猶予付きの判決を勝ち取ります。ネットでの非難をよそに、九条はどんな依頼者でも擁護するのが弁護士の使命だと述べました。

ここからは、この記事のメインテーマである『九条の大罪』に登場する菅原遼馬の話題に移ります。菅原遼馬は、介護施設「輝幸」を経営する青年で、ガタイのよい体にぴったりとした黒Tシャツとスエット・黒キャップといういでたちで、イタリアの高級車ランボルギーニに乗っています。初登場ではそのロンTの袖から和彫りのタトゥーがのぞいていました。

介護施設「輝幸」の代表という肩書を持つ『九条の大罪』の菅原遼馬ですが、彼の正体はその肩書からイメージされる人物像からはほど遠いものでした。一般的に、介護施設の代表と聞いて思い浮かべるのは、親切で思いやりのある人物のイメージでしょうが、菅原は違います。彼は半グレとして知られ、単なる金儲けのために介護施設を経営している人物です。「情けはクソだ」と公然と口にします。

菅原が経営する介護施設「輝幸」には、今や腐敗しきった弁護士の山城が法律顧問として関与しています。また、菅原と似たような半グレ仲間が数人おり、下位の仲間に対しては極めて高圧的な態度で接します。彼の正体は正真正銘の半グレであり、自動車修理工場社長の壬生よりも、半グレの世界での地位は上でした。

介護施設「輝幸」は、その名前とは裏腹に入居者にとって「幸福」とはほど遠い場所です。菅原は介護施設「輝幸」の運営を、利益追求のための手段としか考えていません。この施設では、入居者の逃走を防ぐためにベッドに身体を縛り付け、火傷の恐れがあると言って冷たいレトルトカレーを無理に食べさせます。そして、入居者が食べ物を嫌がると、胃に穴をあけて管を挿入し、流動食を強制的に流し込みます。

なぜこんなことまでして食事を食べさせるかと言うと、少しでも長く生かしておいてサービス料という名のお金を安定的に吐き出させるためです。入居者たちは認知症が進行し、家族から見放された人ばかりであり、見舞いに来る者はいません。そのため、施設では入居者たちを好きなように利用し、搾取し続けることができます。

このビジネスモデルを練り上げ実行しているところから、菅原は冷酷であると同時に、その正体は知恵が働き頭の回転も良い人物です。実際に、外見とは対照的に、彼の考えは計算されつくした抜け目のないものであることがわかります。

次に、『九条の大罪』における菅原と山城祐蔵の関係に焦点を当ててみましょう。山城祐蔵は、九条が独立する前に所属していた法律事務所のトップ弁護士で、九条にとっては師匠的存在です。しかし、後に介護施設「輝興儀（きこうぎ）」の法律顧問として、遺言詐欺の訴訟で九条と法廷で対立することになります。

山城祐蔵は、かつての全盛期においては、人望が厚く同業者からの尊敬を集めていました。しかし、名声を手に入れると本業以外の分野に手を出し、投資の失敗で多額の負債を抱え込んでしまいます。その時助けを受けたことで、反社とズブズブの関係になり、次第に堕落してしまったのです。

ロータリークラブや政治家のパーティーで金回りの良い”お客様”を選別し、煩わしい案件は法律事務所の評判を貶めるとして断ることもしばしばです。自宅には戻らず、シティーホテルに滞在し、クラブを訪れたり、時折、若い女性との乱交パーティーに加わることもあります。上質な黒いコートに、首には柔らかいストールを巻き、ふくよかな腹部が富裕な彼の正体を象徴しています。

もともと、山城祐蔵にとっては金や酒・女性が重要な要素だったでしょう。しかし、こういった欲望に焦点が当たることで、九条のもう一人の恩師である人権派弁護士・流木との違いが浮き彫りになりました。流木からは「あいつは同期だけど、欲に満ち、品のない弁護士だ。名前を聞くだけで不快に感じる」とたいそうな嫌われようですが、その一方で、山城祐蔵は憎めないキャラだという評価もあります。

特に、九条の事務所に怒り心頭で乗り込み、「徹底的に叩き潰してやる」と宣言しますが、その後、一緒に酒の飲み比べをして、最終的には酔いつぶれている様子などは、ダメ親父的な魅力あるキャラクターと言えるのかも知れません。

山城祐蔵と菅原の関係性を探る上で、参考になるエピソードがいくつかあります。ある日、家守華恵という富裕層の女性が九条の事務所を訪れます。彼女の父親は認知症を患っており、施設で作成された遺言書によって、その遺産4億円が他人の手に渡ってしまうとのことでした。

父親が入居していた施設とは、九条が最近紹介された介護施設「輝幸」で、この施設はかつて九条の上司だった弁護士の山城祐蔵が関与していることが判明します。さらに、山城自身もこの案件に何らかの形で関わっているようでした。

また、ある日のこと、山城は九条を電話で呼び出しました。九条が到着すると、山城は急な呼び出しについて謝罪し、自身が法的顧問を務める介護施設「輝幸」の代表である菅原遼馬を紹介しました。九条が不審な表情を見せたところ、山城はキャバクラを出た後で、「もう一軒、付き合いなさい。」と小料理屋に誘いました。

そこで山城は、菅原の正体が詐欺と強盗を主要な収益源とする半グレであることを明かしました。今の時代、ヤクザよりも半グレの方が金を持っているとのことで、金払いの悪い輩は社会に害を及ぼすだけなので、量刑を重くし刑務所送りにすべきだと言って山城は笑いました。

山城祐蔵は、『九条の大罪』の主人公である九条の恩師にあたる人物です。九条は今の法律事務所を設立する前、山城の事務所で居候弁護士、いわゆるイソ弁として修行していました。その時の経験は、今の九条にとって血となり肉となっています。山城も九条を高く評価し、「うちの事務所から独立した中で一番優秀」と語り、「息子のような存在」と述べるほどです。山城はしばしば九条を飲みに誘い、父親のように接しています。

最初、家守が遺産に関する問題で九条の事務所を訪れた際、九条は断る決断を下しました。しかし、九条の学びの師でもある人権派の弁護士・流木から、「山城を止めることができるのはあなただけだ」と説得され、結局依頼を受け入れます。これにより、かつての師弟が法廷で対決することになり、緊迫した法廷ドラマが展開されることとなりました。

壬生は、自動車整備工場を経営する一方、その正体は地元の不良少年たちから恐れられている半グレのリーダーです。さらに、サパークラブをはじめ、ラウンジ、ガールズバーなど多くの飲食店の経営者でもあります。後輩たちが巻き起こすトラブルの法的処理を九条に依頼し、九条の素早い対応にいつも感心しています。特に第3話から第8話にかけての事件の処理では、九条を「天才」と称賛し、尊敬の念すら抱きました。

一方で、『九条の大罪』の主人公である九条とは、互いに「先生」「壬生くん」と呼び合う関係を築いています。壬生は少年時代から可愛がっていたパグ犬「おもち」の死に深い恨みと自責の念を抱え、その記憶を背中に刺青で刻みこんでいます。冷静で礼儀正しい一方で、失敗した者には容赦ない制裁を加える一面もあります。

菅原が関与しているあるクラブで、壬生の後輩たちがトラブルを起こします。壬生は菅原に土下座し、彼を「さん」付けで呼び詫びを入れました。さらに、壬生は菅原から頭を足で蹴られ、500万円を詫び金として持ってくるよう指示されます。このことから、菅原の地位が壬生より上であることがわかります。

菅原は、高齢者から金を巻き上げるために、購入した廃墟を大規模介護施設に転用しようとしていました。この計画を進めるため、菅原は施設で働いている久我を誘い込み、その時飲んでいたコーヒーカップを盃代わりとして兄弟の契りを交わしました。

ところが、この久我がくせ者で、実は菅原を陥れるために壬生が派遣した彼の手下でした。半グレである久我は「壬生さんの指示に従えば、何であれやり遂げます」という強い忠誠心を持っており、菅原はその罠にかかり所有していた施設を手放すこととなりました。この施設は壬生が自身の名前を出さずに買収に成功します。

菅原は賢い人物であり、裏で計画を進めているのは壬生だとの疑いを持っていましたが、確信には至っていないようでした。おそらくこの損失は、500万円の謝罪金ではカバーできなかったと考えられます。

ここからは、『九条の大罪』の菅原と山城祐蔵のモデルについて考察していきます。まず菅原からですが、彼のモデルとなった人物はいるのでしょうか？

菅原については、特定の実在のモデルは存在していないようです。おそらく、作者は取材した複数の半グレの人物を元にしてキャラクターを構築したと思われます。『九条の大罪』に登場する半グレたちが筋肉質でがっしりした体型をしているのは、作者によると地下格闘技などで体を鍛えている若者を参考にしてキャラクターを描いたからとのことです。

一方、山城祐蔵弁護士については、実在の弁護士がモデルとなっており、後に作者の真鍋が「本当にそっくりに描きました」と述べていました。ネット上ではさまざまな憶測が飛び交っていますが、モデルに関する詳細な情報は現時点では不明です。

ある日、作者が輩に呼び出され、銀座のクラブに行った時のことになります。以前その輩に紹介された当該弁護士も同席しており、彼から「俺じゃないの？」と尋ねられたそうです。そのくらい、山城がその弁護士によく似ているということです。どのような風貌の人物なのか実際に会ってみたくなるのではないでしょうか？

ここまで『九条の大罪』の菅原特集をお届けしてきましたが、最後に菅原に関する感想や評価をTwitterより紹介します。

最初に紹介するのは、菅原遼馬と壬生健吾に関する評価のツイートからです。両者ともに正体は半グレなのですが、真のクズという感じがしないと言います。自分なりの美学や思想を持って生きているのが感じられるそうです。他の道に進んでも成功したと思われるのに、選択を誤ってしまいもったいないと呟いていました。

こちらのツイートも、菅原と壬生に関する評価・感想です。壬生についてはとってもかっこよくて憧れると言います。それに対して菅原の方はと言うと、威張っているだけでかっこ悪いのだそうです。

最後に紹介するのは、現政権・政治家に対する不満を『九条の大罪』の菅原が代弁してくれているとするツイートからです。負担ばかりを押し付けられ未来の展望を描けない若者の現状は、『九条の大罪』の菅原社長が語っていたこととオーバーラップするそうです。

この記事では、「『九条の大罪』の菅原遼馬は介護施設・輝幸の代表！」と題して、彼の正体や山城祐蔵・壬生憲剛との関係などについて考察してきました。　

『九条の大罪』の菅原遼馬は、表向きには介護施設「輝幸」の代表という肩書を持っています。しかし、その正体は正真正銘の半グレであり、半グレの世界では名の通った人物です。また彼のモデルになった実在の人物については、残念ながらいないようです。取材を積み重ねてきた作者が、複数の半グレの若者を参考にしてキャラデザインを施したと考えられます。

菅原が代表を務める介護施設「輝幸」の法律顧問には、今や腐敗しきった弁護士の山城祐蔵が就いています。また、自動車整備工場を経営する壬生憲剛よりも半グレの世界での地位は上でしたが、壬生の策略にまんまと引っ掛かり所有していた施設を奪われてしまいました。