【天国大魔境】キルコの正体をネタバレ解説！能力や脳移植された過去とは？

キルコは『天国大魔境』に登場する主要キャラクターの1人。『天国大魔境』に登場するキャラクターたちはそれぞれ謎や秘密を抱えていますが、キルコも自身の正体についてある重大な秘密を抱えています。ここでは『天国大魔境』のキルコについて詳しく紹介していきます。

キルコの正体や能力、彼女に関するファンの考察などを知り、キルコというキャラクターへの理解を深めていきましょう。物語に関する重要なネタバレが含まれるので、ネタバレが苦手な人、全く情報を入れずに作品に触れたい人は注意が必要です。

『天国大魔境』は、講談社が発行する月間青年漫画雑誌『月刊アフタヌーン』で2018年から連載されている漫画作品です。作者は『それでも町は廻っている』『外天楼』『木曜日のフルット』で知られている石黒正数です。漫画『天国大魔境』は、2023年5月時点で単行本が8巻まで刊行されており、公式コミックガイドも発売されています。

作品のジャンルはSF。文明が崩壊してしまったあとの世界を描く、ポストアポカリプスものに該当します。文明崩壊後の日本で生きる少年少女たちにスポットが当たっており、彼らにまつわる謎が描かれます。読者を一瞬で引き込む世界観と考察しがいのあるストーリーが話題を呼び「このマンガがすごい！2019」ではオトコ編第1位に選ばれました。2023年4月にはアニメ化もされています。

壁に囲まれた施設で、友人たちと穏やかな毎日を過ごしているトキオ。ある日、抜き打ちテストを受けていたトキオは、問題が表示された画面に一瞬「外の外に行きたいですか」という言葉が浮き上がるのを目撃します。一方、トキオと同じ顔をした少年・マルは、キルコという女性と共に、文明が滅び荒廃した日本を旅していました。

キルコは『天国大魔境』の主要キャラクターの1人です。彼女は文明崩壊後の日本・東京都中野区を拠点に便利屋を開業している少女です。主な仕事は旅人の身辺警護。ミクラという人物の依頼で、マルを「天国」まで送り届けることになり、以降マルと一緒に荒廃した日本を旅しています。外見年齢は18歳程度ですが、ある事情から精神年齢はもう少し下です。スタイルが良く赤毛が特徴的な美人で、サバサバとした性格をしています。

荒廃した世界で他人を警護しながら旅ができるほどサバイバル技術に長けており、急なピンチにも即座に対応できる分析力・判断力も優れています。しかしいつでも頼りになるわけではなく、時折抜けていてマルにツッコまれることもあります。男性口調で喋り、一人称は「僕」。マルからは「おねえちゃん」と呼ばれています。

身を守るために持ち歩いている武器は、ミクラの形見である銃です。卓越した銃の腕前を持つキルコは、光線が放たれるこの銃を使いこなし、旅の中で遭遇する化け物「ヒルコ」を倒します。キルコは銃による攻撃を自身の名前とかけて「キル光線」と呼んでいます。このことからわかるように、ネーミングセンスはありません。キルコは自身の正体についてある秘密を抱えているのですが、この秘密は物語序盤で明かされることになります。

ここからは『天国大魔境』に登場するキルコの正体や能力についてネタバレありで紹介していきます。キルコは一見普通の人間ですが、実はその正体は「普通」とはいえない驚くべきものです。キルコの衝撃の正体について知り、彼女への理解を深めましょう。物語の重要なネタバレに触れますので、ネタバレが嫌だという人は注意してください。

まずは『天国大魔境』に登場するキルコの正体について、ネタバレありで紹介していきます。『天国大魔境』に登場するキルコの正体は、身体と脳が別人である改造人間です。キルコの身体は、5年前に浅草で電動カートレースの選手として活動していた少女・竹早桐子。脳は桐子の弟である春希のものとなっています。キルコは自分のことを、姉の身体に脳を移植された春希であると認識しています。

つまり、キルコの正体は男性である春希なのです。春希は過去に人食いの怪物・ヒルコに襲われて瀕死の重傷を負いました。その際、同じく瀕死状態となった姉の身体に脳移植され、生き延びています。当然、姉を犠牲にして生き延びることは、春希の望んだことではありませんでした。

春希は脳移植手術を行った迫田という医者を探し出し、自分と姉の身に何が起こったのかを明らかにすべく、便利屋のキルコとして活動を始めます。キルコが脳移植された過去の詳細は後述します。また、キルコの三人称は引き続き「彼女」で統一します。

続いて『天国大魔境』に登場するキルコの能力について、ネタバレありで紹介していきます。キルコには、ヒルコの中に入ってヒルコを殺すことができるマルのような特殊な力はありません。しかし彼女は先述の通り、見事な射撃の腕前を持っています。動き回るヒルコにキル光線を当てることができるのは、キルコが高い射撃技術を持っているがゆえです。

キルコは春希であった頃、自作の銃を作って瓶を的にした射撃訓練を行っていました。元から射撃の才能があり、さらに射撃訓練を行っていたおかげで、相当な射撃の腕前になったと考えられています。キルコの能力は射撃の腕前だけではありません。キルコは非常に頭の回転が速く、洞察力に優れています。

不測の事態が起こっても冷静に状況を見て必要な情報を収集し、即座に解析して最善の判断を下せます。その能力で、キルコは何度も窮地を脱してきました。冷静に状況を見極めて判断を下すという能力は、兄貴的存在である稲崎露敏に憧れ、彼の背中を見つめ続けてきたために獲得した能力であるようです。さらにキルコには、高いサバイバル能力があります。

荒廃した世界にはスーパーやコンビニなどありません。生きていくためには、自分の力で食糧を確保し、安全な寝床を見つける必要があります。無法地帯となっているため、人々が騙し騙されるのは当たり前。そのため、他人との交渉能力や護身術も必要になってきます。キルコが生き残っているのは、それらの能力を身に着けているためです。

ここからは『天国大魔境』の漫画読者・アニメ視聴者に衝撃を与えた、キルコの腕がヒルコに食いちぎられるシーンについて、ネタバレありで紹介していきます。桐子の脳を春希に移植した医者が「不滅教団」という組織にいるかもしれないと考えたキルコは、マルと共に不滅教団への接触を試みました。しかし、キルコとマルの前に現れたのは不滅教団ではなく、不滅教団と敵対する組織「リビューマン」の者たちでした。

キルコはリビューマンの者たちから「不滅教団の地下に人食いの怪物が飼われている」という情報を教えられます。キルコとマルはリビューマンからの依頼で、地下にいるというヒルコを殺しにいくことになりました。キルコとマルはとある地下駐車場に案内され、そこで仮死状態のヒルコを発見しました。ヒルコは複数存在していて、ほとんどが人間の赤ん坊程度の大きさのヒルコで、1体が巨大な親玉です。

キルコが親玉を観察していると、突然仮死状態だった小さなヒルコたちが動き始めました。キルコはキル光線で撃退しようとしますが、小さなヒルコたちに光線は驚くほど効きません。ヒルコたちはキルコを拘束し、その内の1体が銃を握るキルコの右腕に噛みつきました。キルコの抵抗も虚しく、彼女の右腕は食いちぎられてしまいます。ヒルコは腕だけでなく、キルコのつま先も食いちぎりました。

キルコは死を覚悟するのですが、ふと気がつくと、マルにキスされていました。周囲にヒルコの姿はなく、銃を握った自分の右腕は無事です。実は、キルコの右腕がヒルコに食いちぎられるというシーンは、ヒルコの親玉によって見せられた幻覚でした。現実には、キルコはヒルコたちに襲われておらず、当然腕も足もついています。

ずっと正気だったマルによると、キルコは突然暴れ始めて何もないところにキル光線を撃ち始めた、とのことでした。ヒルコの親玉の能力は、対象にその人物が恐れている光景を幻覚として見せることだと考えられています。キルコは春希であった頃、ヒルコに食われかけています。そのため、腕を食いちぎられるというショッキングな幻覚を見てしまったと考察されています。

ここからは『天国大魔境』に登場するキルコの、脳移植の過去について詳しく見ていきます。キルコの脳移植手術を行った医者についてや、キルコが脳移植手術を受けることになった経緯や理由の考察などをまとめてチェックしていきましょう。ストーリーに関する重要なネタバレがあるため、引き続き注意してください。

『天国大魔境』に登場するキルコは、過去に脳移植手術を受けました。脳移植手術を行った医者は、迫田という人物です。迫田はキルコが春希であった頃、浅草で住民の治療を行っていました。荒廃した世界で医者は貴重です。

人が集まって暮らしている場所は日本国内にいくつかありましたが、その全てに医者がいるわけではありませんでした。そのため迫田は、春希たちが住む町で重宝されていたようです。一方で、彼には「人食いの研究をしている」「人体実験をしている」などといった不穏な噂があり、稲崎露敏たちが密かに調査を行っていました。彼は春希と桐子がヒルコに襲われた事件のあと、姿を消します。

迫田が桐子の身体に春希の脳を移植した理由について、ネタバレありで紹介していきます。春希と桐子は浅草にある孤児院で暮らしていました。孤児院を支える稼ぎ頭は、電動カートレースの選手である桐子です。ある日、姉のレースを見守ろうとしていた春希は、コースにヒルコが侵入していることに気がつきました。春希は桐子を守るためヒルコを退治しようとするのですが、ヒルコに捕まって吸収されてしまいます。

弟がヒルコに捕まっていることに気づいた桐子が助けようとしますが、時すでに遅し。ヒルコから引きはがした春希の身体はほとんど食われ、上半身しか残っていませんでした。桐子もその際に重傷を負い、姉弟は迫田のもとへ担ぎ込まれます。春希は身体のダメージがひどく、桐子は脳にひどいダメージを受けていました。

このままでは2人とも死んでしまうと考えた迫田は、せめて1人の命を救うため、桐子の脳を春希の身体に移植したのです。迫田の取った行動は、子供を死なせたくないという善意によるものでした。

キルコは迫田の不穏な噂を聞いていたため、自身と姉が人体実験をされたと思い込んでしまったようです。迫田は確かにヒルコの研究をしていましたが、それはヒルコによる周囲への被害をどう減らすかや、どうすればヒルコを安全に閉じ込められるか、といったものでした。

桐子が脳を損傷した理由について、ネタバレありで紹介していきます。キルコが迫田を疑った理由は、噂だけではありません。春希が最後に見た桐子は、頭に傷など負っていませんでした。脳へのダメージなどなかったはずなのです。そのため、自分と違って助かるはずの姉がなぜ犠牲になったのかわかりませんでした。迫田を見つけたキルコは、彼に詰め寄って当時の話を聞きます。

春希と桐子がヒルコに襲われたあのとき、何があったのか詳しいことは迫田にもわかりません。迫田が知っていることは、姉弟が自分のもとへ運ばれてきたとき、桐子の頭に銃による弾痕があったということです。キルコは迫田の話を信じざるを得ませんでした。頭の中で鳴り響く銃声と、自分の頭に一部ハゲがあることが、迫田の言葉が嘘ではないと告げています。

キルコは桐子が死んだ理由は迫田にあると思い込んでいましたが、実は桐子の死には別の誰かが関わっているということが明らかになりました。桐子は何者かに撃たれて脳を損傷し、意識が回復する見込みがなかったため、迫田は無事である春希の脳を身体の損傷が少ない桐子の身体に移植したということです。

桐子を殺そうとした犯人に関する考察を、ネタバレありで紹介していきます。迫田が見つかったことで、桐子の死の原因となった存在が別にいるという事実が明らかになりました。そこで浮上する謎は、桐子を撃った犯人が誰かということです。ファンの間では、春希の兄貴分であった稲崎露敏が犯人なのではないか、と考察されています。

露敏が犯人だと考えられている理由は、原作でキルコがついに露敏を発見した際、露敏がひどく驚いた顔でキルコを見ていたためです。この表情が、殺したはずの人間が自分の目の前に現れて混乱している顔だと捉えられました。

またキルコは、露敏のこの表情を思い出すと同時に、頭の中で鳴り響く銃声のような音を聞いています。このシーンが、露敏が桐子を撃ったのだと示す伏線になっているのではないか、と考えられています。しかし、露敏が桐子を撃ったとして、なぜそのような行動に出たのかはわかりません。露敏には妹がおり、妹の存在が謎を解くキーなのではないかと期待されています。

ここからは、アニメ『天国大魔境』でキルコの声を担当した声優のプロフィールと出演作品、演じたキャラを紹介していきます。体は女性で脳は男性という難しいキャラクターをどのような声優が演じたのか、チェックしていきましょう。

アニメ『天国大魔境』でキルコの声を担当したのは、声優の千本木彩花です。千本木彩花は1995年11月24日生まれで、血液型はA型。埼玉県出身で、所属事務所はアイムエンタープライズです。高校2年生の頃から日本ナレーション演技研究所大宮校に通うようになり、高校在籍中に声優デビューを果たしました。アイムエンタープライズ所属となったのは、2014年のことです。

千本木彩花は2016年に初のメインヒロインを演じ、同年10月にはアニメで初主演を果たしました。2017年の第11回声優アワードで、新人女優賞を受賞しています。2019年に『甲鉄城のカバネリ』（生駒）、『僕のヒーローアカデミア』（上鳴電気）、『KING OF PRISM』（香賀美タイガ）などに出演している声優の畠中祐と入籍しました。千本木彩花と畠中祐は、アニメ『甲鉄城のカバネリ』で共演しています。

キルコ役を担当した千本木彩花の主な出演作品や演じたキャラは『帰宅部活動記録』（九重クレア）『ガーリッシュ ナンバー』（烏丸千歳）『甲鉄城のカバネリ』（無名）『マジきゅんっ！ルネッサンス』（愛ヶ咲小花）、『ピアシェ〜私のイタリアン〜』（七瀬萌里菜）『クロックワーク・プラネット』（アンクル）『アニメガタリズ』（上井草有栖）『踏切時間』（アイ）などがあります。

また『転生したらスライムだった件』（シュナ）『ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風』（トリッシュ・ウナ）、『超可動ガール1/6』（ベルノア）『あひるの空』（薮内円）『BEASTARS』（ハル）『ピーター・グリルと賢者の時間』（ピグリット・パンチェッタ）『かげきしょうじょ!!』（渡辺さらさ）『天才王子の赤字国家再生術』（ラーニャ・エルク・アルバレスト）などの作品にも出演しています。

ここからは『天国大魔境』のメインキャラクターであるキルコとマルの関係について、ネタバレありで紹介していきます。『天国大魔境』は、高原学園で暮らす子供たちにスポットを当てた「天国編」と、荒廃した世界での日々が描かれた「魔境編」という2つの物語を同時進行で描いています。キルコとマルは「魔境編」の主人公であり、2人の関係性は「魔境編」でとても重要であるため、チェックしておきましょう。

マルはキルコと荒廃した日本を旅している少年です。年齢は15歳程度。「天国編」の主要キャラクターであるトキオと同じ顔をしています。彼はミクラに連れられてキルコと出会い、キルコと共に自分と同じ顔をした人間がいる「天国」を探して旅をすることになりました。

マルの特徴は、身体能力と回復能力が異常に高く、またヒルコを殺す能力を有しているというところです。ヒルコの身体に触れることでヒルコの中に入り込み、ヒルコの核のようなものを破壊できます。ヒルコを確実に殺すには、マルが核を破壊するしかありません。キルコはマルの能力に「マルタッチ」という名前をつけています。

キルコとマルは、ボディガードと護衛対象という関係です。しかしマルは非常に強いため、一方的に守られる存在にはなっていません。キルコとマルは、互いが互いを守り合うパートナーのような関係になっています。行動を共にする中で絆を深めている2人ですが、互いへの気持ちには微妙なズレがあります。

マルはキルコに対し恋愛感情を抱いています。一方、キルコは自分が男であるという意識が強いため、マルに対して今のところ恋愛感情は抱いていません。ただしかけがえのない存在であるとは思っており、ストーリーが進むにつれてマルのことを意識するような描写も垣間見えるようになっています。

キルコが腕を食いちぎられる幻覚を見せられたシーンについてのコメントです。キルコの腕がなくなり、あまりの痛々しさにショックを受けた読者・視聴者は少なくないようでした。幻覚であったことがわかり、多くの人が安堵したようです。

キルコの正体と過去に関するコメントです。キルコの正体と過去については、物語の序盤で語られます。キルコの正体を知り、衝撃を受けた読者・視聴者は少なくないようでした。『天国大魔境』ではこのように衝撃的な展開の数々が描かれ、読者・視聴者を翻弄します。

キルコとマルの旅だけ見ていたい、というファンのコメントです。『天国大魔境』では、読者・視聴者にショックを与える衝撃的な展開の数々が描かれています。救いのない内容もあるため、作品に触れていて重苦しい気持ちになるファンは少なくありません。

その重苦しい気持ちを緩和してくれるのが、キルコとマルの旅シーンです。荒廃した世界を旅する2人のやり取りは軽快で、見た人の心を和ませてくれます。そのため、キルコとマルが楽しそうに会話しながら旅をする様子だけを見ていたい、と考えている人は少なくないようでした。

ここでは『天国大魔境』に登場するキャラクター・キルコの正体や能力、脳移植された過去について紹介してきました。キルコの正体に度肝を抜かれ、一気に作品の世界に引き込まれたというファンは少なくないようです。

キルコの正体は明らかになりましたが、キルコが現在の姿になった原因の1つである桐子の死については、未だ謎が残っています。キルコに関わる謎の答えが知りたい人は、漫画『天国大魔境』の最新話をチェックし続けてみてください。