【宇宙兄弟】 金子シャロンは死亡する？難病ALS発症までの経緯とその後は？

宇宙兄弟の主人公ムッタたちを陰になり日向になり支えているのは、女性天文学者の金子シャロンです。彼女は難病ALSに冒され、物語が進むにつれ症状は悪化の一途をたどっていきます。シャロンがその後どうなるのか気になる方も多いことでしょう。

この記事では、シャロンの発病が宇宙兄弟の何巻なのか、そして発症までの経緯やその後を解説していきますが、その前にまずは宇宙兄弟の作品情報をお届けします。最初に宇宙兄弟の作品概要、そして簡単なあらすじ解説へと進みます。

「宇宙兄弟」は、日本の漫画家・小山宙哉により創作された漫画作品です。講談社の漫画雑誌「モーニング」で2008年1号から現在も連載が続けられています。2012年には森義隆監督、小栗旬主演による実写映画やテレビアニメが制作され、大きな話題となりました。さらに2014年には、アニメーション映画も制作・公開されています。

宇宙兄弟の単行本は、現在42巻まで発行されており、2023年1月時点での電子版も含めた累計発行部数は実に3100万部超を記録しています。また、2011年には、第56回小学館漫画賞一般向け部門と第35回講談社漫画賞一般部門をダブル受賞しました。

2006年7月9日、夜空を見上げていた南波六太と弟の日々人は、偶然UFOを目撃します。それをきっかけに2人は宇宙飛行士になることを誓います。それから19年が経ち、時は2025年、日々人は夢を実現し月面に着陸します。一方、六太は夢を諦め会社員として働いていましたが、上司に暴力を振るい解雇されてしまいます。しかし、そんな六太のもとにJAXAから宇宙飛行士の書類審査通過の通知が届くのです。

ここからは、メインテーマである「宇宙兄弟」の金子シャロンの話題に移ります。金子シャロンは、漫画「宇宙兄弟」に最初期から登場する女性天文学者です。天体観測所シャロン天文台で、助手の田村と共に働いています。この天文台は、主人公ムッタや弟が住む「たけのこニュータウン」近くに位置しています。

シャロンは、幼少期に満天の星空を見て感動し、天文学者を目指すことになりました。その後、日本の天文学者・金子進一博士と結婚します。博士はその後小惑星を発見し、その小惑星に妻シャロンの名前を付けます。しかし、博士はその後結婚からわずか4年後に病気のため死亡してしまいました。

シャロンの夢は、死亡した夫が発見した小惑星「シャロン」の姿を肉眼で見ることです。そのために、彼女は月面に望遠鏡を建設する計画を立てました。ところが、そんな彼女にALSという難病が襲いかかり、夢をあきらめざるを得なくなります。

やがてALSの病状は進行し、声や脚力まで奪われてしまいます。自宅での療養や電動車椅子を使った生活を余儀なくされましたが、同じ病に苦しむ仲間たちと出会い、その頑張りを目の当たりにして勇気をもらうことができました。

シャロンが暮らすシャロン天文台は、ムッタたちの家の近所です。宇宙に興味を持つムッタや弟のヒビトは、幼い頃からシャロンのいる天文台をよく訪れていました。つまりシャロンとムッタ・ヒビトとは昔からの顔なじみなのです。

物語の中では、幼いムッタとヒビトが英語や楽器を学ぶ場面が描かれています。兄弟にとってシャロンは母親のような存在でした。シャロンには子供がいなかったため、ムッタ兄弟に我が子のように接し、よき理解者となります。その後、兄弟が大人になってからも、シャロンは彼らの相談によく乗っていました。

「ALS」というのは、「筋萎縮性側索硬化症」という病気の略称です。宇宙兄弟の作中では、医師の伊東せりかがムッタにALSについて説明する場面があります。この病気では、運動ニューロンと呼ばれる神経が障害を受け、脳から筋肉を動かす指令が伝わらなくなるのです。その結果、筋肉が衰えて、手足の動きが次第に制限され、食事や話すことや自力での呼吸といった日常生活に最低限必要な機能が失われてしまいます。

ALSは進行の速さも人によって異なり、数十年以上にわたって徐々に悪化する人もいれば、せりかの父のように短期間に進行する場合もあります。せりかの父は診断からわずか2年10か月で死亡しました。

それでは、漫画「宇宙兄弟」において、シャロンの病気が発症するのは何巻なのでしょうか？シャロンの病気の症状が「宇宙兄弟」の何巻で判明したかというと、12巻で明らかになりました。12巻の中でのシャロンは脚力や握力が弱く、小さな子供とぶつかっただけで転倒してしまいます。

シャロンの力の低下に気づいた医師で宇宙飛行士の伊東せりかは、彼女がALS（筋萎縮性側索硬化症）にかかっている可能性があると考えます。そして、詳しい検査の結果、シャロンの病気はALSと断定されました。

その後、シャロンは、アメリカ・ヒューストンに滞在しているヒビトに会いに出かけるのですが、何巻でのことでしょうか？それが何巻かというと「宇宙兄弟」12巻になります。この頃のシャロンは、ちょっとした段差につまずいたり、携帯やコップを落とすことが頻繁に起こるようになっていました。ヒビトは、握手した時、シャロンの握力の弱さに気づきます。

その時、シャロンは子供と衝突し転倒してしまいます。心配した彼女の助手・田村はシャロンを病院に連れて行きますが、検査結果に異常は見つかりませんでした。医師の診断では、単なる疲労とのことでした。

その後、シャロンは日本の宇宙飛行士たちとの交流会に参加し、医師で女性飛行士の伊東せりかと会話する機会を得ます。シャロンが最近手が弱くなっていることを伝えると、せりかは不吉な予感を抱きます。

シャロンの症状は、せりかの父の死亡時の状況に似通っていました。せりかの父は、ALSという難病を患っていたのです。翌日、せりかは再びシャロンを病院に連れて行くことを提案します。そして、前述のように精密検査の結果、シャロンはALSと診断されました。

漫画「宇宙兄弟」最新刊は何巻でしょうか？それが何巻かというと最新刊の42巻となります。42巻時点でのシャロンの状態についてお話しします。まず、シャロンは現在も死亡せず生きています。彼女は月面ミッション中のムッタと頻繁にメールのやり取りをしています。その後、ムッタとヒビトは、月に水が存在することを証明するという偉業を達成します。その際、シャロンは彼らを賞賛するメールを送りました。

シャロンがALSと闘いながらその後どうなるのか、死亡していないかどうか気になる方も多いことでしょう。シャロンは、現在の状態を維持しながらALSと向き合って生き続ける可能性が高いと考えられます。その理由は、「宇宙兄弟」の作者・小山宙哉がALSという病気を重要なテーマと考えて描いているからです。

シャロンが患っているALSは、実際にある難病であり、以下のような特徴があります。まず、ALSは極めて稀な病気であり、10万人に1〜2人の割合で発症します。筋肉の表面が小さく痙攣する症状が現れ、筋委縮によって体の自由が制限されます。さらに、病気の進行が月単位で変化していくという特性もあります。

「宇宙兄弟」では、シャロンとせりかの父親がALSに罹っており、2017年には「宇宙兄弟はALSを決して忘れません」という意思を込めて『せりか基金』が設立されました。シャロン自身も、ALSが進行すると徐々に体の自由が奪われ、話すことも難しくなる可能性が高いです。実際のALS患者では、死亡するケースは残念ながらありますが、その一方で生存期間が10年以上に及ぶ人も10％ほど存在します。

もし「宇宙兄弟」の展開で今後シャロンが死亡してしまった場合、作中でのALSの描写がなくなります。せっかく注目度が高まってきたのに、彼女の死亡により忘れ去られてしまう恐れがあります。その意味でも、「宇宙兄弟」のシャロンがALSとして生き続けることは重要なのです。

やがて医師のせりかによる新薬の実験が成功しますが、それは何巻でのことでしょうか。それが何巻かというと27巻になります。今後、ALSの治療薬の開発進展が期待されています。せりかたちによって開発された新薬がシャロンの救世主となることも十分に考えられます。「宇宙兄弟」のシャロンを取り巻く今後の動向に注目していきましょう。

「宇宙兄弟」で、なぜシャロンがALSにかかるという設定になっているのか疑問に思った方もいるかもしれません。その設定の理由は、難病ALSが作品内で描かれると読者へ訴えかける力が増すと作者が感じたからです。また、ALS患者は、宇宙空間に取り残された人々の状況と類似しているとも言えるでしょう。ここでは、それぞれの理由の背景について考察していきます。

「宇宙兄弟」が漫画雑誌「モーニング」に連載を始めた2008年当時、ALSはまだ世の中に広く知られてはいませんでした。漫画でこの病気を迫真を持って描くと、読者は高い関心を示しました。もしこれが仮にガンだったとしたら、現在は2人に1人が罹る病気なので、漫画で描いても「いや、こんなんじゃない」とか「違うでしょ」と違和感を抱く人がいるかもしれません。

しかし、ALSは患っている人の数が少なく、治療薬も存在しないため、経過はガンほど多様ではありません。さらに、当時はALSの知名度も低かったため、漫画で描くことによって「こんな病気があるのか」とか「大変なんだな」といった印象を読者に与え、作品に読者を引き込んでいきました。

つまり、ある種の「説得力」が生まれたのです。もちろん、作者の小山宙哉は、ALSを中途半端に描くことはなく、ALSの描写については非常に丁寧に取り組んでいます。その結果、ALSの患者からも信頼を得ていると言われています。

作者の小山宙哉は、「せりかのお父さんには、説得力のある難病の設定をしたい。そのような難病はありますか？」と担当者に質問したそうです。担当者は、知り合いの医師に相談しALS患者を紹介してもらいました。作者は、ALSについての知識を深めるためにNHKのドキュメンタリー番組を視聴したり、『逝かない身体　ALS的日常を生きる』という書籍を読み、熟考の末ALSを描くことを決意したそうです。

「宇宙兄弟」においてALSを描く理由の2つ目は、ALSと宇宙空間に共通点があるからです。ALS患者は次第に呼吸が困難になり、呼吸器なしでは生命を維持することができなくなります。宇宙空間で酸素が不足し、酸素ボンベなしでは生きていけない状況と類似しているのです。ALSと宇宙空間は、機械に対する絶対的な信頼がなければ生きられないという点で共通しているのです。

ALSと闘うシャロンは、NASAの支援を得て夢であった月面天文台計画を実現することになります。シャロンが月面に望遠鏡を建設しようとする理由は2つあります。まず第一に、地球上の宇宙望遠鏡では届かない遥かなる宇宙の深淵を観測し、天文学の飛躍的な進展をもたらすためです。

そして第二に、夫が発見した小惑星「シャロン」の姿を肉眼で見たかったからです。ムッタは、シャロンのこの願いを知り、彼女に月面望遠鏡の完成を約束します。一方で、ムッタは、宇宙飛行士の訓練中困難に直面した時、この約束を思い出し頑張ることができました。

シャロン月面天文台のモデルとなった建物ですが、国立天文台内の天文台歴史館がモデルとされています。天文台歴史館は、今からおよそ100年前の大正15年に建てられた建物です。その中にはシャロンの夫である金子進一博士が小惑星「シャロン」を発見したときに使ったのと同型の望遠鏡が所蔵されています。

宇宙兄弟の主人公ムッタは、宇宙飛行士エディ・ジェイ率いるジョーカーズに加わり、月へと向かいます。そして、シャロン月面天文台の建設に着手するのです。月面という過酷な環境の中での天文台建設には、さまざまな困難が待ち受けていました。最初のミッションは、太陽フレアによる磁気嵐から月面天文台のスーパーコンピューター「SHARON」を守り故障を防ぐことでした。

ムッタとジョーカーズは、さまざまな試練を乗り越えながら、シャロン月面天文台の建設を進めていきます。その中で、エディ・ジェイが宇宙服の損傷によって生命の危険にさらされますが、ムッタは限界のところで彼を救出します。

ムッタがシャロン月面天文台を完成させたのは「宇宙兄弟」の何巻でしょうか？それが何巻かと言うと、第35巻になります。ムッタはシャロン月面天文台を完成させ、シャロンとの約束を果たします。ムッタは、天文台の点灯式で「この場所は、私たちが来るまではただの暗闇でした」と感慨深げに述べました。月面天文台は、小惑星シャロンの姿を捉えます。シャロンは、心の中でムッタに「ありがとう」と伝えました。

ここで、アニメ「宇宙兄弟」のシャロン役の声優・池田昌子（いけだ・まさこ）のプロフィールを紹介します。池田昌子は、1939年1月1日生まれ・東京府東京市小石川区（現在の東京都文京区）出身の声優です。東京俳優生活協同組合に所属し、女優・ナレーターとしても活躍しています。

池田昌子は、幼少期には内向的で人見知りな性格でした。このことを心配した母親や小学校の先生が「集団の中で過ごすことで改善されるかもしれない」と考え、彼女を児童合唱団に入れることにしました。その後、児童合唱団は児童劇団へと様変わりし、昌子は児童劇の世界に進むこととなります。1949年には、山本嘉次郎監督の映画「風の子」で子役としてデビューを飾りました。

池田昌子は、児童劇を通じて役を演じる魅力の虜となり、やがて演劇の世界に入っていきます。その後、ラジオドラマなどで声優の仕事を始めることとなりました。声のみで役を演じる楽しさから、声優の仕事を増やしていったそうです。

また、同時に女優業も開始し、1953年にはNHKのドラマ「牛若丸と辯慶」で牛若丸役を演じています。1969年以降は、フジテレビ系列の「ライオン奥様劇場」のいわゆる昼メロの常連俳優として主要な役を数多く演じました。2007年には、第1回声優アワードの功労賞を受賞し、2020年には東京アニメアワードフェスティバルの「アニメ功労部門」で表彰されました。

次に、アニメ「宇宙兄弟」で金子シャロンを演じた声優・池田昌子の主な出演作品や演じたキャラを一覧で紹介します。

アニメ
 

• 銀河鉄道999（メーテル）
• 火の鳥（火の鳥）
• エースをねらえ!（竜崎麗香〈お蝶夫人〉）
• HUNTER×HUNTER キメラアント編（女王）
• 探偵コナン（幸田文江）
• 風の少女エミリー（ローラ・マレー）
• 刀語（語り）

• ローマの休日（アン王女）

ここまで漫画「宇宙兄弟」の金子シャロン特集をお届けしてきましたが、最後にシャロンに関する感想や評価をTwitterより紹介します。

最初に紹介するのは、シャロンの病気に関するツイートからです。病状からALSだとわかっていくのが辛く、身につまされると言います。どのような実体験なのでしょうか？

続いて紹介するのは、アニメ版を見た方の声優・池田昌子に関するツイートからです。池田昌子の声が、シーンの雰囲気とテンポにとても合っていると絶賛していました。

最後に紹介するのは、シャロンの名言に関するツイートからです。「迷ったときは、どちらが楽しいかで決めなさい」という言葉が胸に刺さったと言います。自身も職業選択の時、それを実行し成功したようです。
 

ここまで、「宇宙兄弟」に登場する女性天文学者・シャロンに焦点を当て、彼女が罹った病気、ALS発症は何巻なのかや、発症までの経緯、そしてその後などについて考察してきました。

まず、シャロンの罹った病気、ALSが判明したのは「宇宙兄弟」の何巻かという件からです。ALS判明が何巻かというと、それは12巻になります。そこでは、小さな子供とぶつかっただけで転倒するなど、シャロンの脚力や握力が著しく低下していることが描かれています。シャロンの異常に気づいた医師の伊東せりかが精密検査を受けることを勧め、検査の結果ALSであることが判明しました。

ALS発症までの経緯は、最初助手の田村が異変に気付き病院へ連れて行くのですが、異常は見つかりませんでした。その後、宇宙飛行士たちとの交流会で出会ったせりかが精密検査を受けさせ、ALSと判明したのは前述の通りです。病状のその後については、「宇宙兄弟」最新刊42巻でもシャロンは健在です。今後も現在の状態を維持してALSと共に生き続けると考えられます。シャロンの今後の動向にも注目していきましょう。