【工場夜景】漫画全話のネタバレあらすじと感想！有賀リエが描く社会派恋愛作品

「有賀リエ連作集 工場夜景」とは、性暴力事件とそこに巻き込まれてしまった高校生男女の恋愛を描いた漫画です。工場の夜景が重要なモチーフになっており、NHKで取り上げられるなど大反響を巻き起こしました。また、「リアリティのある漫画だ」という感想も多く見受けられたのとことです。この記事では、工場夜景のあらすじを1話から最終回結末までネタバレを交えて紹介します。また、読んだ方の感想も取り上げていきます。

有賀リエ連作集 工場夜景は、モーニング2022年13号から20号まで全7話が連載された漫画です。最終回結末までコミックス全1巻にまとめられており、複数のWebコミック配信サービスで読むこともできます。工場夜景は、「現代の世相をえぐり出した社会派ラブストーリー」という感想を持たれているとのことで、2022年12月20日にはNHKの「ニュースLIVE！ゆう5時」で取り上げられるなど、世間的にも大きな関心を呼びました。

工場夜景の原作者は、女流漫画家の有賀リエです。有賀リエは年齢と生年月日を非公表にしており、長野県に生まれました。2011年の「第6回KissIN」に作品「天体観測」を応募して、Kissゴールド賞を受賞します。天体観測がデビュー作として、Kissに掲載されました。有賀リエの代表作は、実写映画化とテレビドラマ化されたことで有名な「パーフェクトワールド」です。有賀リエは、現在Twitterを通じて情報発信を行っています。

有賀リエ連作集 工場夜景は、「あらすじを読んだだけでも興味深い」という感想を多く持たれている漫画だとのことです。また、「辛い境遇の中で、愛を育んでいく高校生カップルに感動する漫画だ」という感想も見受けられました。工場夜景は連作集なので、1話1話の密度の濃さが評判を呼んでいます。この章では、工場夜景の最終回結末への伏線となった1話から4話までのあらすじを、ネタバレを交えながら紹介していきます。

工場夜景の主人公は、本仮屋碧と常盤貴臣です。ある日の夏、25歳の貴臣はぼんやりと煙のような雲を見ながら、8年前の出来事を思い出していました。17歳だった彼は、東海地方の臨海地区に住んでいたのです。この地区には、大きな工場群が立ち並んでおり、一種独特の雰囲気を放っていました。貴臣は、このような地元の空気感を嫌っています。特に空に立ち上る白い煙が、彼のことを陰鬱な気分にさせるのでした。

当時の貴臣は、高校を卒業したら地元を離れて、自由に生きていきたいと考えています。高校時代、貴臣と碧いはクラスメイトでした。2人が辞書の貸し借りをしているところへ先生がやって来ます。碧は貴臣が英検1級の合格したことに驚きました。貴臣と碧は、周りから見てもとても仲の良い友人同士ですが、付き合うまでには至っていません。碧の父親は、街中の工場の1つで部長職にあり、母親は同じ工場部下で職場結婚だったのです。

一方の貴臣は母子家庭で、母親は工場に勤めながら女手1つで子供たちを育てていました。貴臣は、母親を気遣い給付型奨学金のある国立大学を目指しています。貴臣は、辞書を貸してくれたお礼に碧の好物であるカフェオを渡しました。碧は努力家の貴臣を尊敬しています。貴臣が、ふいに「夏休みに工場の夜景を見に行かない？」と提案しました。8月31日の夏休み最終日、2人は工場夜景を見に行こうとしましたが、叶いませんでした。

有賀リエ連作集 工場夜景の2話は、貴臣と碧に不幸が訪れるエピソードです。待ち合わせ場所で碧を待っていた貴臣は、彼女から「ごめん。行けない」という連絡を受けました。帰宅した貴臣を待っていたのは、ただならぬ様子の母親と叔父の守です。守は、「母親が碧の父親に性的暴行を受けた」と貴臣に事実を伝えました。そして、碧の父親が逮捕されたとのことです。暴行事件は1ヶ月半前のことで、貴臣は暗澹たる思いになりました。

新学期が始まって1週間が経過しましたが、碧はずっと学校を休んでいます。貴臣は、彼女がこのまま引きこもってしまうのではないかと心配していました。すると、この日から碧が登校を再開したのです。安堵する貴臣ですが、碧の様子はいつもと明らかに違っていました。貴臣の心配は続きました。2人きりになる時間ができると、碧は思いつめた表情で、「ごめんなさい」と貴臣に謝罪します。貴臣はどうしたらいいのかわかりません。

普段の碧はとても気の強い性格で、状況によっては貴臣に対して言い争いも辞さない少女でした。そのような彼女が、今貴臣の前で怯えているのです。碧の気持ちをおもんばかった彼は、「君がしたことじゃない」と彼女の髪を撫でて慰めました。そして、「俺たちは今まで通りでいよう」と碧に語りかけます。碧は安心したようですが、街中の周囲の人々は、2人に対して好奇の目を向けるようになりました。

有賀リエ連作集 工場夜景の3話は、貴臣と碧の置かれた状況が悪い方向へ傾いていきます。貴臣と碧の気持ちをよそに、他人の好奇の目は留まることを知りません。工場地帯であり、関係者が多く住んでいるこの街では、まず大人たちを通じて暴行事件の話題が流されました。それは、工場勤めをしていない大人たちにも広まって、やがて子供たちにも伝わっていきます。そして、悪いことに現代はインターネット社会です。

インターネットによって暴行事件の内容が流されると、地元の新聞社がそれをニュースにして掲載しました。昔なら一地域の中だけで完結する出来事が、現代では一瞬にして世界中に広まってしまうのです。そのような状況下を、貴臣も碧も話題が鎮まるまで凌ごうとしました。しかし、好奇の目はやがて行動になって顕在化します。碧と彼女の弟が、学校でいじめられていることを受けて、碧の両親は離婚へと進んでいくのでした。

碧と弟を引き取った彼女の母親は、叔父のいる千葉県へ引っ越すことになります。一方、貴臣の母親も立ち直れないでいました。被害者であるにも拘わらず、貴臣の母親を侮辱する声も上がっているからです。その声を偶然クラスで聞いた碧は、クラスメイトに食ってかかります。クラスメイトたちが碧を辱める行為をしたのを見た貴臣は、激高して相手を殴る蹴るの暴行を働きました。碧は、自分は貴臣の側にいる資格がないと思います。

有賀リエ連作集 工場夜景の4話は、貴臣と碧の悲しい別れが描かれています。貴臣に暴力を振るわれたクラスメイトは、脳震盪で病院へ運ばれてしまいました。碧は正当防衛を主張しましたが、明らかに過剰防衛であり貴臣が何らかの罰則を科せられるのは避けられません。また、連絡を受けてやって来た貴臣の母親は、息子が庇った相手が自分に性的暴行をした男の娘だと知って、その場に泣き崩れてしまったのです。

貴臣の母親は、「どうしてあの男だけでなく、娘にも苦しめられないといけないの」と言いました。この言葉を聞いた時、貴臣の決心に揺らぎが生じます。母親を犯され、それなのに周囲から白い目で見られたり陰口を叩かれることに嫌気がさしました。何よりも、碧がいじめられたり辱められることに我慢がなりません。この出来事を境に、貴臣と碧は会っても口を聞かない関係になり、次第に疎遠になっていきました。

ある時、碧は躊躇する貴臣に「一度だけでいいから、工場夜景を見に行こう」と提案しました。貴臣は、碧と友達になった時のことを思い出します。英語が苦手な自分に、英語の楽しさを教えてくれたのが碧でした。碧は、貴臣を待っていましたが、「今日はやめておこう」のメッセージを見て泣きました。後日、友達経由で碧からの手紙を受け取った貴臣は、碧が学校を退学して街を出て行ったことを知って、1人で号泣するのです。

有賀リエ連作集 工場夜景は、「最終回結末まで一気に読ませる漫画だ」という感想が見受けられるとのことです。また、「最終回で貴臣と碧がどのような結末を迎えたのか気になる」と読者を惹きつけました。多くの読者は、最終回がハッピーエンドで終わってほしいと願っていました。この章では、工場夜景の漫画の5話から最終回までのあらすじをネタバレを交えながら、結末まで紹介していきます。

有賀リエ連作集 工場夜景の5話は、現在へと時間軸が戻り、最終回結末への伏線が展開されました。貴臣は、碧の夢を見て目を覚まします。あれから8年が経ちますが、彼は碧のことを忘れることができません。彼女の影響を受けて英検1級まで取得した貴臣は、大学卒業後に英語を活かせる職場に就職していました。一緒にあの土地を貴臣の家族も平穏に暮らしていますが、あの街での過去については極力触れないようにしているのです。

貴臣は、碧に誘われた工場夜景見学に行かなかったことを、今でも後悔しています。だから碧の夢を見たのだと思っていたのですが、別の予感があったようです。その日の職場に、派遣社員としてやって来たのが碧その人でした。貴臣は絶句しましたが、碧も自分のことをすぐにわかったようで、とても驚きよそよそしい態度を見せます。何とか碧と話したいと思った貴臣は、彼女の後をつけると、夜はスナックで働いていました。

貴臣は、スナックに客として入り碧と話をしました。その後、事情を知る店のママから話しかけられ、碧の身の上を知ります。高校退学後の碧は、昼夜働きながら弟の学費を稼いでいました。それでも、英語の勉強を続けているとのことです。それが、貴臣との唯一の繋がりでした。貴臣は、碧の想いを受け取って、高校時代にできなかった彼女との繋がりを維持できる方法を模索していくことになります。それが最終回結末まで繋がるのです。

有賀リエ連作集 工場夜景の6話では、最終回結末に繋がる事件が起きます。碧は、思わぬ場所で貴臣と再会したことで、彼の過去を思い出していました。自らも被害者であった彼は、最後まで加害者の娘の自分を庇ってくれたのです。今もあの頃と変わらない優しさの貴臣は、実に自然に、それでいて気遣いの心を碧に向けてくれました。碧は、そんな彼の心配りをありがたいと思いつつ、そのことがプレッシャーとしてのしかかってきます。

碧は、職場での貴臣の一挙手一投足が気になっていました。彼と普通に話すこともできるようになります。しかし、あと一歩を踏み出すことができずにいました。過去の出来事の影響で、自分が彼と対等に付き合うことはできないという感情に囚われているのです。社内のイベントで、貴臣と彼に絡む女性の会話を聞いて、落ち込むこともありました。貴臣は、そのように逡巡している碧井の様子に気づいており、誤解を解くべく話しかけます。

貴臣の想いに触れた碧は、それでも距離を縮めることができません。貴臣は、高校時代のように対等な関係に戻りたいと碧に訴えかけます。加害者側の立場に立つ碧は、貴臣の考え方を綺麗事に過ぎないと思っていましたが、当の彼がそう思うのなら任せてみようと思いました。ところが、貴臣の会社の新入社員が、彼と碧が一緒に写っている画像をSNS上に投稿したことで、2人の過去が会社中に知れ渡ることになってしまうのです。

有賀リエ連作集 工場夜景の最終回結末は、多くの人に「良かった」という感想を持たせたといわれています。自分たちの過去が社内に広まったことを知った貴臣は、すぐに碧の様子を窺いました。すると、彼女が出社していなかったので、慌てて彼女に電話をかけます。碧は電話に出ましたが、平静ではない様子でした。碧に黙って消えてほしくない貴臣は、電話中に聞こえた駅のアナウンスを頼りにして、彼女の居場所をつきとめます。

ようやく心の安定を取り戻しつつあった碧にとって、過去が再び晒されてしまったことは、死亡宣告に等しいものでした。思い悩む彼女のところへ、貴臣が駆けつけました。彼は碧の考えを尊重して、会社に残るにしても別の職場へ行くにしても、彼女が安心して働けるように尽力することを伝えます。貴臣も碧も、8年前に自分が取った行動を後悔していて、もう後悔するような真似はしたくないと心に誓っていました。

貴臣と碧は、近場にある工場夜景を見に行きました。夜景のあまりの綺麗さに、碧は言葉を失うほど感動しています。2人は、工場夜景を見ることができて、お互い元の関係に戻りたいと思っていることを悟りました。2人の親が関わった事件で、将来を振り回されてしまった貴臣と碧は、工場夜景を見ながら涙を流して抱き合います。今後の2人の関係がどうなるかわかりませんが、2人は手を取り合って生きていく決意を新たにしました。

有賀リエ連作集 工場夜景は、多くのファンの間で「最終回結末が良かった」や「貴臣と碧が幸せになれそうな結末で何より」という感想を持たれています。また、あらすじしか知らない人に対して、最終回結末まで一気に読んでみたいというパワーのある漫画とのことです。この章では、工場夜景の漫画の見どころや、同作品がどのような人におすすめなのかについて、考察していきます。

有賀リエ連作集 工場夜景の見どころで真っ先に挙げられるのは、同作品が異常なまでのリアリティを内包している点です。工場夜景は、日常生活にて起こり得る可能性のある性暴力事件と、それに伴う加害者側と被害者側に近しい人の状況を浮き彫りにしました。そのリアリティは、読者に対して、自分もそのような境遇になるかもしれないという気持ちを抱かせるのに十分です。故に、読者は漫画のストーリーと本気で向き合いました。

また、工場夜景は、純粋なラブストーリーとして読むことが可能な漫画です。貴臣と碧の関係は、不幸な事件に引きずられていきながらも、お互いのことを想い続けていました。そのような純愛が、最終回でハッピーエンドの結末を迎えることができた理由といわれており、多くの読者を感動させたのです。「貴臣と碧のような関係が理想」という感想を述べるファンも多いと評されていて、同作品の魅力に繋がっていました。

有賀リエ連作集 工場夜景を読むのにおすすめの人とは、過去に辛い経験をした人だといわれています。人生は山あり谷ありですが、谷底を味わった人ほど、同作品に感動できました。また、工場夜景は、何らかの形で引きこもっている人にこそ、読んでほしい漫画だと評されています。更に、同作品は、恋愛や社会の仕組みに慣れていない若い世代の人が読むと、人生経験の1つとして糧になるとのことです。

工場夜景の原作者である有賀リエは、同作品を執筆する以前から社会派の漫画家だと称されていました。特に、彼女の初連載作品である「パーフェクトワールド」は、多くの読者から絶賛されたとのことです。この章では、有賀リエの代表作漫画パーフェクトワールドの概要とあらすじを取り上げていきます。

有賀リエの漫画パーフェクトワールドは、Kiss2014年5月号から2021年3月号まで全59話が連載されました。パーフェクトワールドのコミックスは、講談社コミックスKissレーベルより全12巻が刊行中です。コミックスの累計発行部数が、200万部を突破していることでも知られています。同作品は、2019年「第43回講談社漫画賞」の少女部門を受賞しました。また、パーフェクトワールドはメディアミックスが行われています。

パーフェクトワールドのメディアミックスとして、最も知られているのが実写映画版です。杉咲花と岩田剛典主演の「パーフェクトワールド 君といる奇跡」のタイトルで2018年に公開されました。更に、松坂桃李と山本美月主演のテレビドラマ版が、2019年に放映されています。

パーフェクトワールドの主人公である川奈つぐみは、高校時代の同級生の鮎川樹と職場の飲み会で再会します。樹は大学時代に事故で下半身不随となり、車椅子生活をしていました。つぐみは彼のことを気にかけるようになります。そして、樹が床擦れで入院した時に樹への想いに気がついた彼女は、入院中の彼の仕事を手伝い、想いを告白しました。樹も想いを受け入れて、2人は付き合い始めますが、様々な試練が待ち受けています。

この章では、工場夜景の漫画に関するTwitterでのつぶやきを、いくつか取り上げていきます。工場夜景は、インターネット上でどのような感想や評価を受けているのでしょうか？

こちらは、工場夜景の大ファンだと思われる方のツイートです。同作品が、ダラダラと長く続ける類の漫画ではないことはわかりつつも、もう少しだけ長く読みたかったとう感想をつぶやいています。

こちらも、工場夜景の大ファンだと思われる方のツイートです。同作品を、加害者側と被害者側のそれぞれの視点で描かれている傑作だという感想を持っています。また、NHKで取り上げられたこともつぶやいています。

同じく、工場夜景の大ファンだと思われる方のツイートです。ヘビーな内容だけれども良作という感想をつぶやきながら、原作者である有賀リエの漫画に対する思いについて推察しています。

この記事では、有賀リエ連作集 工場夜景について特集してきました。同作品は、社会派漫画でありながら、それだけに留まらない魅力があると評されています。この機会に、是非一度工場夜景を読んでみてください。