【名探偵コナン ベイカー街の亡霊】ヒロキとは何者？コナン＝工藤新一と分かった理由は？

ヒロキが登場する名探偵コナンベイカー街の亡霊は劇場版名探偵コナンシリーズの6作目に当たる2002年に公開されたコナン映画です。「待ってろ…絶対、また逢えっから…」「夢か幻か!?歴史の迷宮に隠された真実をつかめ！」のキャッチコピーで公開されたベイカー街の亡霊は34億円もの興行収入を上げた程の人気作品になっています。

バーチャル世界を舞台とする事で基本的に海外に出る事の出来ないコナンが海外、それもコナンが大好きな世紀末のロンドンを舞台としたファンタジーな要素もある作風は高い人気を集めた他、次回作である「迷宮の十字路」からデジタル制作に移行した為、劇場版名探偵コナンシリーズ最後のセル画で作られた映画になりました。

新型の仮想体感ゲーム機「コクーン」の完成披露パーティーに招待されたコナン達。しかしそのパーティーで開発者の樫村忠彬がトマス・シンドラーに刺殺される事件が起こります。この事件の証拠にコクーンで実装されたゲームにヒントがあると感じ取ったコナンは阿笠博士からもらった参加権を利用してゲームに参加する事を決意します。別ルートで参加権を手に入れた少年探偵団と共に19世紀末のロンドンを舞台にゲームの攻略に挑む事になります。

ヒロキはフルネームでヒロキ・サワダという名前のベイカー街の亡霊オリジナルのキャラクターです。樫村忠彬の息子で両親が別れ母と死別するとなぜかトマス・シンドラーの養子となっていた天才少年です。10歳にしてマサチューセッツ工科大学に在籍する程の天才ですが、人工知能「ノアズアーク」を始め様々な発明から有名人になり、厳しい監視体制の中での生活を余儀なくされていました。

ノアズアークはそんなヒロキが開発・発明した人工知能です。「成長する人工知能」としてヒロキに開発され、1年で人間の5年分にも及ぶ成長をする事が出来ます。ベイカー街の亡霊の作中の2年前に開発された為、期せずして現状ヒロキと同じで実質的に10歳といえる状態です。ちなみにノアズアークという名前の由来は旧約聖書のノアの方舟に由来しています。

ヒロキが自殺する直前に開発された後、自殺するヒロキの最後の抵抗として一般の電話回線に逃される事になります。その後、行方不明になっていましたがヒロキが体験した「個性を認めない日本の教育」に対して独自に判断し、実質10歳という子供の無邪気さ的な行動力と自身の能力を用いて日本の教育をリセットするべく、コクーンのプログラムに入り込み、日本の2世、3世を人質に取る手法を取る事件を発生させる事になります。

そんな人工知能ノアズアークを生み出したヒロキですが、実はベイカー街の亡霊の時間軸での2年前の時点で自殺してしまっており、既に亡くなっているのが大きな特徴になっています。ベイカー街の亡霊の映画冒頭はそんなヒロキが自殺するシーンから始まり、それ以降キーパーソンでありながらヒロキ自身が登場する事がないのです。

なぜヒロキが自殺する事になったのでしょうか？なぜならヒロキは元々日本の教育に束縛を感じ孤立した経験から疎外感を感じていました。その後母と共にアメリカに留学する事になりますが、そこでトマス・シンドラーに拾われる事になり、自室にすら監視カメラをつけられる厳しい環境で開発を余儀なくされる事になります。そんな環境に耐えきれずにヒロキは自殺してしまったのです。

ベイカー街の亡霊の亡霊ではラストシーンでコナンが同じくロンドンステージに参加していた諸星秀樹の体を借りてノアズアーク自身がゲームに参加していた事が明かされるシーンがあります。この時コナンは言い換えてヒロキ君と呼び諸星秀樹の姿がヒロキに変わるシーンがあるのでヒロキは生きていたと勘違いされる事もありますが、これはあくまでもノアズアークがヒロキの姿かたちを借りていたに過ぎません。

なぜならヒロキは既に2年前に亡くなっており、その時点でノアズアークは生まれたばかりだった為、ヒロキの意思を反映しているとは決して言えない為です。その為、ヒロキが語った「1度くらい友達と遊びたかった」というセリフについても生前のヒロキの思いを解析したノアズアークのセリフであり、実際にヒロキが放ったセリフではないのです。

ベイカー街の亡霊のラストシーンでも印象的だったと言われるのがヒロキ/ノアズアークがコナンの事を「さような……工藤新一」とその正体について言及した事です。なぜヒロキは/ノアズアークはコナンの正体を知る事が出来たのでしょうか？

そもそもヒロキとコナンはこのコクーンの中で初対面しました。既に亡くなっているヒロキですが、自殺したのは2年前であり、当時まだコナンは工藤新一として生活しており江戸川コナンという存在すらなかったはずです。それはコナンから見ても同様でしたが、コナンは自身の推理力から諸星の正体がヒロキであることを見抜いています。なぜならヒロキの行動のいくつかにそのヒントがあった為でした。

ノアズアークとしてはプレイヤーをサポートするような動きをしてしまった事がコナンにその正体に疑問を持たれるきっかけになっています。対してコナンは普段からその正体を隠している事もあり、別段コナン＝工藤新一としてつながる要素はほぼりませんでした。

一応コナン達が挑んだバーチャルゲーム「オールド・タイム・ロンドン」には開発に関わった工藤優作、阿笠博士の両名の遊び心で、主要なキャラクターの容姿に彼らや工藤優作の妻で工藤新一の母である工藤有希子の姿を模したキャラクターが登場しており、コナンが多少ツッコミを入れるシーンこそありましたが、それだけではコナン＝工藤新一と紐づける事は出来ないものでした。

ではなぜコナンの正体が工藤新一だったと分かったのでしょうか？なぜならコナンがコクーンに参加した事が原因です。コクーンはバーチャル世界にそれぞれの人間性を把握し再現する仕組みです。そしてこの仕組みの中でヒロキを再現したノアズアークは少なくとも普通では気づけないレベルで諸星の人間性を再現してゲームに参加する事が出来ました。つまりノアズアークはコクーンに参加していた子供達の人間性を解析することが出来たのです。

実際、諸星の正体がヒロキ（を再現したノアズアーク）である事に言及出来たのはコナンだけであり、コナンが最初に疑問に思ったシーンとして上げたゲーム開始序盤の時計の仕組みを聞いても誰も疑問に感じていませんでした。元々交友のあった友人達ですら不審に思うような発言をしたシーンはない程、それだけノアズアークの諸星の再現は完璧だったといえます。

相手がまだ子供とはいえその正体をほぼ悟られない程に再現できる程に読み取る事ができるという事は、ノアズアークがその気になれば諸星以外の参加者の子供達のデータを読み取る事も容易であるという事です。加えてコナンがコクーン内で本当の父である工藤優作に対して心の中で語りかけたシーンについてもなぜかノアズアークは把握していました。

この事からノアズアークは人間性を読み取るだけでなく対象のデータである脳にまでアクセスできる程の高性能なAIだったという事が分かります。以上の理由からノアズアークはコナンの正体が工藤新一であると見抜く事が出来たのでした。

劇場版名探偵コナンベイカー街の亡霊のオリジナルキャラクターであるヒロキ役の声優を担当したのは声優の折笠愛さんです。1988年に「小公子セディ」にて主人公セディ役で声優デビューを果たすとアニメやゲームの枠に囚われず、海外のアニメ、海外ドラマ、映画の吹き替えなど幅広く活動し、声変わり前の少年役から大人の女性まで幅広く演じる事ができる実力を持った声優です。

名探偵コナンの原作者である青山剛昌先生がファンである事を公言しており、名探偵コナンシリーズではベイカー街の亡霊のヒロキ/ノアズアーク役だけではなく、目暮みどり役、スペシャル回での浅井成実役、工藤有希子が扮したメデューサ役、さらには大谷育江さんがすべてのレギュラー番組を降板して休業した際には円谷光彦役の代役を担当するなど主要なキャストではないものの重要な役どころを任される声優としての立場を確立しています。

折笠愛さんがこれまでに演じてきたキャラクターとしては「機動戦士Vガンダム」のファラ・グリフォン役、「ロミオの青い空」のロミオ役、「天地無用」の魎呼役、「犬夜叉」の蛇骨役、「ワンピース」のモモの助役、「血界戦線」のK・K役、「幽遊白書」の桑原静流役、「屍鬼」の桐敷千鶴役、「テイルズオブシンフォニア」のジーニアス・セイジ役、「ヴァルキリープロファイル」のエイミ役などを演じています。

ここからは既に劇場版名探偵コナンベイカー街の亡霊を視聴した人の感想をネタバレありで紹介していきます。ヒロキは映画全編に渡って活躍するわけではないものの映画冒頭がいきなりヒロキの自殺シーンで始まる為、かなりインパクトに残っているキャラクターであるとする声が多くなっています。特に複数回見てラストの展開まで知っている人程このシーンの印象的なシーンになっているとする声も見られます。

ノアズアークはノアズアークなりに分析して間接的にヒロキの願いを叶えようとしましたが、それはあくまでも間接的な事であり、既に死亡しているヒロキに対して何か干渉するものではありません。ヒロキとしてのセリフもあくまでもノアズアークがヒロキならこういうと想定してのセリフになっています。ある種でノアズアークなりのヒロキへの供養とも言える行為であり、ノアズアークを責める事は出来ないとする声も多くなっています。

劇場版名探偵コナンベイカー街の亡霊までの劇場版名探偵コナンシリーズはコナンというよりも新一としての視点で描かれる事が多くなっており、新一と蘭のラブストーリーがテーマになる事が多くなっていました。対してベイカー街の亡霊はほぼコナン＝工藤新一という要素はなく、精々コナンのホームズファンぶりに感じ取れる程度だったのでヒロキが工藤新一と言及した事についてはかなり驚いたという声が多くなっています。

コナンが自らの正体を明確に明かしたキャラクターは原作を含めてもそこまで多くはなく劇場版ではノアズアークに対してが初めての事でした。ノアズアークのセリフから正体に気づかれている事を把握しての事とはいえ、コナンの行動としてこの動きは珍しく、そんなコナンの心意気を含めてノアズアークが印象に残っているとする声も多くなっています。

コナンはその性質上海外に行く事がほぼない中、ベイカー街の亡霊ではバーチャル世界で過去のものとはいえ19世紀末のロンドンが舞台になった事が良かったとする声も多くなっています。バーチャル世界という事を生かした設定や展開も多かったものの、ラズトにノアズアークが再現したものとはいえヒロキが登場したのには驚いたという声も多いです。

ベイカー街の亡霊にてヒロキ/ノアズアーク役の声優を担当した折笠愛さんに関しては元々少年声に定評のある声優だったとはいえ、かなり特徴的な役どころだっただけに今でも印象に残っているとする声が多くなっています。ヒロキとしての声はもちろんながらノアズアークとしての声も演じている事には驚いたという声もあり、なぜそんな演じ分けができるのかとその演技力の高さを痛感出来たとする声も多いです。

ベイカー街の亡霊のヒロキは映画全編で活躍するわけではないものの作品の重要なキーパーソンになっているキャラクターです。劇場版名探偵コナンの中で初めてコナンの正体に言及するセリフがあったキャラクターで、コナンがそのセリフを肯定した事で劇場版キャラクターとしては初めてコナンの正体を明確に知ったキャラクターになりました。

重要な役回りのキャラクターだけに重要なセリフも多くなっており、ベイカー街の亡霊を語る上で欠かせないキャラクターになっています。まだベイカー街の亡霊を視聴していない人はヒロキの背後関係やセリフ、行動にも注目しながら視聴してみてはいかがでしょうか？