言の葉の庭の聖地は新宿御苑！舞台となった場所をシーンごとに紹介

新海誠監督の作品として大ヒットした『君の名は。』などがありますが、『言の葉の庭』という作品はご存知でしょうか。高校生と教師の恋愛を描いた作品ですが、『君の名は。』のように舞台となった場所があります。その場所とは新宿御苑です。こちらでは、『言の葉の庭』作中のシーンと合わせて実際の場所をご紹介します。切なくも優しい物語ですので、作品をまだご覧になっていない方はぜひこの記事と合わせてご覧ください。

『言の葉の庭』は新海誠監督の作品です。彼は『雲の向こう、約束の場所』や『秒速5センチメートル』などのアニメーション作品を手掛ける監督であり、『君の名は。』は日本のアニメーション監督としてはジブリの宮崎駿監督に続いて2人目となる興行収入100億円を突破しました。また、『秒速5センチメートル』『言の葉の庭』『君の名は。』は監督自身が小説も書かれています。後日談も書かれていますので作品のファンは必見です。

2013年に発表された『言の葉の庭』は、映画上映と同時にDVD、ブルーレイを発売しています。通常の映画の料金が大人1800円に対し、1000円で23館のみでの公開でした。しかし、公開3日で興収3000万円というヒットを記録し、『言の葉の庭』という言葉はTwitterのトレンドも1位となっています。当初3週間の期間限定公開の予定を延長し3ヵ月の上映となり最終的には興行収入1億5000万円となる評価の高い作品となりました。

靴職人を目指すタカオは雨の日は学校をさぼり、公園で靴のデザインを考えていました。そんなある日、彼は昼間から公園でビールを飲む女性に出会います。ユキノと名乗る女性に、タカオはどこかで会ったことがあるか尋ねますが、彼女はある万葉集の短歌を言い残して去っていきます。それから雨の日の午前中だけの交流が始まりますが、実は彼女はタカオの高校の教師で、嫌がらせによって退職に追い込まれていたことを知るのです。

『言の葉の庭』の新宿御苑内聖地巡礼の一番初めは作品の冒頭に出てくるこちらの池です。新海誠監督の作品といえば、映像美でも有名ですがまずこちらのシーンで一気に作品内に引き込まれたという方も多いのではないでしょうか。葉の1枚1枚、水に映る影、どれをとっても実物と変わらないリアリティと美しさはさすが、新海誠監督作品だというシーンの1つです。特に雨、雪、桜吹雪など情緒的な描写に長けています。

タカオが学校をさぼり公園に行く場面の序盤に出てくるのがこちらの入り口です。門はもちろん、門の向こうに見える木々や看板まで忠実に再現されています。この作品が新宿御苑が舞台と知らなくてもこちらのシーンを見ればすぐに分かるほどの再現性です。『言の葉の庭』がファンタジア映画祭の今敏賞、第18回アニメーション神戸賞の作品賞・劇場部門の受賞や、アメリカやフランスでもプレミアム上映される理由が分かる作品です。

写真かと見間違えるほどにリアルな描写の券売機です。タカオはあることを思いながら雨の日に新宿駅を降ります。電車内で制服を濡らす他人の傘や背中につくじめっとした服に体温など、彼は今まで特に経験していませんでした。子供の頃はもっと空が近く思えていたと考えながら、新宿御苑へと向かうのです。彼は雨の日は1限目をサボって新宿御苑で靴のデザインをしているのでした。

そしてこちらの東屋が物語を動かすキーとなる場所です。タカオはここで靴のデザインをし、ユキノと出会い交流を重ねることになるのです。ユキノはここでチョコレートを食べながらビールを飲みますが、実際の新宿御苑内は飲酒禁止のためご注意ください。味覚障害を持つユキノはタカオのお弁当には味を感じることができるのでした。そしてそのお礼にユキノは靴の本をプレゼントするのです。

タカオは、デザインをしている靴の採寸をさせてくれるようにユキノに頼みます。応じたユキノの足をタカオは腫物のように丁重に扱います。そんなタカオにユキノは、「うまく歩けなくなっちゃったの」と言います。それを聞いたタカオは、今デザインをしている靴をユキノのために作ることに決めるのです。その後梅雨明けがあり、新宿御苑に行かないことでお互い会えないことが寂しく雨が降ることを待ちわびるのでした。

そして藤棚で将来について話します。タカオは靴職人になりたいと、今まで誰にも言わなかった夢をユキノに話すのでした。また、このシーンでタカオは傘を閉じ、ユキノは傘をさしています。傘はそれぞれの世界を意味しており、この時点での距離感を表していると監督はDVDについているブックレットで語っています。この距離感も、物語終盤では大きく変化するので対比してみて下さい。

タカオとユキノは交流を重ねていきます。タカオは家庭環境のせいで大人びたところがあります。一方で成長しきれていないと自覚しているユキノはお似合いで、お互い惹かれていきます。また、実はユキノは『言の葉の庭』だけでなく、『君の名は。』にも同名で登場しています。その中では飛騨の山奥にある糸守町で教師をしています。気が付いていなかった方はぜひチェックしてみてください。

ホーム以外にもJR新宿駅の描写は多くあります。走る電車を上から移したカット、階段など全て細かく再現されています。また、新宿駅はタカオが利用しています。タカオは母と兄の3人家族ですが、母親は兄が家を出て同棲を始めるのが気に入らず、一回り年下の恋人の元へと家出していました。そんな家族にタカオは靴職人になる夢を言えず、専門学校へ通う資金を貯めるためにアルバイトをしているのでした。

一方のユキノはJR千駄ヶ谷駅を利用しています。電車を何本も見送り、結局乗れずに新宿御苑に行きビールを飲む彼女は実はタカオの高校の古文の教師をしていました。3年生のある生徒がユキノのことを好きになりますが、その生徒には彼女がいました。その事実を彼女に話しますが、彼女の敵意は男子生徒ではなくユキノに向かってしまうのです。嫌がらせを受け、追い込まれたユキノは学校へ行けなくなり味覚障害も患うのでした。

雨が降らず、公園で会えない日々が続く中タカオは自分の高校でユキノを見かけます。そこでユキノが教師であり、退職に追い込まれたことを知ったタカオは問題の彼女を殴りますが、周りにいた男子生徒に返り討ちにされてしまいます。

ユキノのマンションは新宿御苑からほど近いところにあります。ユキノの立場を知ったタカオは晴れているにも関わらず新宿御苑へと向かいます。そして、初めて会った時にユキノが残した「雷神の少し響みてさし曇り 雨も降らぬか君を留めむ」という短歌に対する返歌「鳴る神の少し響みて降らずとも吾は留まらむ妹し留めば」を口にするのです。騒動のことを知らず、普通に接していたタカオにユキノは救われていたのでした。

にわか雨によってびしょ濡れとなった2人はユキノのマンションに行き、服を乾かすことにします。ユキノが服を乾かす間、タカオはオムライスを作り、お互いに今が1番幸せだと思うのでした。そしてタカオはユキノに告白しますが、彼女は四国に帰ると伝えます。家を出ていったタカオを追いかけるユキノですが、彼女に嫌いだという言葉を投げつけます。そんなタカオにユキノは抱きつき、「あなたに救われていたの」と伝えるのです。

場面は冬になります。ユキノは四国で再度教師としてやり直し、タカオは靴の勉強を続けます。高価な皮を何枚もダメにしながらユキノのために靴を作り続けるのでした。そして、ユキノから手紙が来たことで、彼女の本名が雪野百香里だということを知るのでした。タカオはお互いが歩く練習をしていたことに気づき、もっと遠くまで歩けるようになったら彼女に会いに行こうと決意をするのです。

『言の葉の庭』の舞台となった場所とシーンをご紹介しましたがいかがでしたでしょうか。実際の場所をモデルとすることの多い新海誠監督の中でも特に、その場所ずばりのシーンがあるのが『言の葉の庭』です。昨今旅行もかねて映画やアニメの聖地巡礼が流行っています。近場の方はもちろん、観光にも適しているため地方の方にもおすすめの聖地巡礼の場所である新宿御苑で各シーンを振り返ってみてはいかがでしょうか。