2021年09月08日公開
2021年09月08日更新
【時をかける少女】黒板の「time waits for no one」の意味は?作品のテーマ?
筒井康隆のSF小説を原作とする細田守監督によるアニメ映画「時をかける少女」。様々な映画賞に輝いた名作アニメですが、黒板に書かれた英語の文章「time waits for no one」の意味を考えたことはあるでしょうか?この記事では、時をかける少女で理科実験室の黒板に書かれた英文の意味を解説、さらには作中の数々のシーンで登場するこの言葉が作品のテーマであるかどうかについても検証していきます。
目次
時をかける少女とは?
時をかける少女のアニメ映画の概要
時をかける少女とは、2006年7月15日に公開された細田守監督によるSFアニメ映画です。原作は1967年に出版された小説家・筒井康隆の同名の小説。ただし、原作小説そのものの映画化ではなく、原作から20年後の世界で原作の主人公・芳山和子の姪・紺野真琴を主人公とした物語になっています。
出典: https://ciatr.jp
日本国内では、第30回日本アカデミー賞の最優秀アニメーション作品賞などを受賞、また海外でも第39回シッチェス・カタロニア国際映画祭アニメーション部門で最優秀長編作品賞を受賞するなど高い評価を受けました。
時をかける少女のあらすじ
高校生の紺野真琴は、ある日の放課後偶然立ち寄った理科実験室で床に落ちていたクルミを割ってしまいます。その後真琴は、母の用事で自転車に乗り美術館へと向かいます。途中坂道で自転車のブレーキが利かなくなり、電車が接近する踏切に突っ込んでしまいます。電車にはねられそうになったその瞬間、彼女は今来た坂道に戻って転んでいました。クルミを割ったことがきっかけで彼女はタイムリープの能力を手に入れたのです。
時をかける少女の黒板の「time waits for no one」の意味は?映画のテーマ?
考察①「time waits for no one」の英文・英語の意味
時をかける少女の作品の概要を頭に入れていただいたところで、ここからは本記事のテーマ、理科実験室の黒板に書かれた英文・英語の意味について解説していきます。
この「Time waits for no one」という英語で書かれた文章は、時をかける少女全編を語る上でのキーワードと言われています。紺野真琴が偶然入った理科実験室の黒板に英語で描かれていたtime waits for no oneという文章、まずはどのような意味なのでしょうか?
「time waits for no one」という英文を直訳すると、「時は誰も待ちはしない」となります。ただ直訳ではわかりにくいので、もう少しかみ砕いて説明してみましょう。
中国・六町時代の詩人・陶淵明の詩から取ったことわざに「歳月人を待たず」があります。「年月は人の都合に関係なく過ぎていきとどまることはない」という意味で、過ぎ去った時間は戻らないのだから、悔やまないよう努力を怠ってはならないなどの戒めの言葉として用いられています。黒板に書かれたtime waits for no oneという英文は、このことわざを英語に翻訳したものと考えられます。
考察②「time waits for no one」は映画のテーマ?
このtime waits for no oneという英文は、映画・時をかける少女のテーマなのでしょうか?それを解明するには、時をかける少女のストーリーをたどっていく必要があります。この英文time waits for no oneは、真琴が理科実験室でタイムリープの能力を得る前から作中に登場していました。また、文字として出てくるだけではありません。千昭がカラオケ店で歌っていた歌のタイトルもこのtime waits for no oneでした。
time waits for no oneという英文には、後悔しないよう今を大切にというメッセージも含まれていると言われています。タイムリープの能力を手に入れてからは「ダメなら戻ればいいや」とばかりに真剣に人生に向き合ってこなかった真琴ですが、映画のラストで将来本当にやりたいことを見つけます。
また、果穂や友梨は後悔しないよう好きな相手に自分の思いを伝えようとし、医者を目指す功介は勉強にいっそう専念します。このように、理科実験室の黒板に書かれたtime waits for no oneという英語の言葉は、時をかける少女全体を貫くテーマとなっていると考えられるのです。
時をかける少女の魔女おばさんを考察
考察①魔女おばさんとは?
time waits for no oneと並んでアニメ映画・時をかける少女に現れるキーワードに「魔女おばさん」という言葉があります。魔女おばさんとは、原作小説のヒロインで、アニメ版では真琴の叔母さんとして登場する芳山和子のことになります。
芳山和子は、真琴がタイムリープを獲得するときに向かっていた美術館で絵の修復の仕事をしています。年齢は30代後半、結婚はしていません。世間離れした不可思議なキャラから、真琴は彼女のことを「魔女おばさん」と呼んでいました。
考察②魔女おばさんがタイムリープを知っている理由
自分勝手な都合でタイムリープ能力を使い始める真琴を見て、魔女おばさんは適宜助言を与えます。その様子から察すると、魔女おばさんもタイムリープを知っているようでした。
では、なぜ魔女おばさんがタイムリープを知っているのでしょうか?原作小説を読んだ方ならご存じでしょうが、魔女おばさんも真琴と同じように学生時代にタイムリープ能力を獲得していました。
魔女おばさんこと芳山和子は、中学3年生の時に理科実験室でラベンダーのような香りを嗅ぎ気を失ってしまいます。そして、タイムリープの能力を手に入れました。真琴同様、最初は偶発的でしたが、その後はタイムリープしたいときに自らラベンダーの香りを嗅いでいました。このように魔女おばさんがタイムリープを知っている理由は、自らがタイムリープの能力者だったからでした。
時をかける少女の名言や名セリフ集
名言①「真琴がいい目を見ている分…」
ここからは、時をかける少女の名言や名セリフを紹介していきます。最初に紹介するのは前項で考察した、魔女おばさんこと牛山和子の名言からです。
和子「真琴がいい目見てる分、悪い目を見てる人がいるんじゃないの?」
タイムリープ能力を手に入れた紺野真琴は、自分勝手な理由でこの能力を行使していました。その様子を見ていた叔母・和子が、諭すように真琴に言ったのが次のセリフでした。真琴が行ったタイムリープのせいで損失を被る人が出始めていました。経験談からでた名言ですので、より説得力があるのではないでしょうか?
名言②「あたしみたいなタイプじゃないでしょ?…」
次に紹介する名言も和子が姪の真琴に向けて言った言葉です。和子はすぐに行動に移す真琴とは逆のタイプの女性です。高校時代思いを寄せる男性から「必ず戻ってくる」と言われて、和子はその後ずっと待ち続けました。その結果として、現在も独身生活を送っていました。
和子「でも真琴。あなたは私みたいなタイプじゃないでしょ?待ち合わせに遅れてきた人がいたら、走って迎えに行くのがあなたでしょ」
和子の言葉に背中を押された真琴。あと一回タイムリープができることを思い出すと、タイムリープして過去に戻り千昭に会いに出かけました。
名言③「未来で待ってる」
和子の言葉に背中を押された真琴。前項で説明したように、あと一回タイムリープができることを思い出すと、タイムリープして過去に戻り千昭に会いに出かけました。
千昭の「未来で待ってる」という言葉に対し、真琴は「うん、走って行く。すぐ行く」と答えています。これが2人が交わした最後の会話となりました。この名言が意味することをめぐり、さまざまな考察が行われてきました。単純に千昭による愛の告白であるとか、一旦未来へ戻ると今後過去にタイムリープできないので真琴の方から会いに来てほしいという解釈などさまざまです。皆さんはどのように感じたでしょうか?
時をかける少女に関する感想や評価
ここまで時をかける少女に登場する英文を特集してきましたが、最後に時をかける少女に関する感想や評価をTwitterより紹介します。
最も好きな映画の一つであるアニメの方の「時をかける少女」を久々に観た。
— レオン (@Reon__0302) August 28, 2021
高校生の時に初めて観て衝撃を受けたのを覚えている。当時、「未来で待ってる」のシーンで「うおおおおおお!」ってなったけど、さっきもなったわ。笑
僕はもう高校生には戻れないけど、高校生に戻ってもう一度観たいな。 pic.twitter.com/op0Ubg1mcx
最初に紹介する時をかける少女に関する感想や評価は、時をかける少女が最も好きな映画の一つと言う方のツイートからです。この記事でも取り上げた「未来で待ってる」のシーンは、初めて見た高校生の時には思わず大声を上げるほど感動したと言います。
それからどのくらい時が経過したかはわかりませんが、先ほど観た時のも同じように感動したそうです。それにもかかわらず、高校生に戻ってもう一度見てみたいとのこと。主人公と同じ年齢・環境だからこそ、見えてくるものがあるのでしょうか?
マリさん夏にオススメのDVDはアニメですが細田守監督の時をかける少女です!美しすぎるくらいの繊細な夏の描写と3人の恋の行方が甘く切なくてたまらない大好きな作品で夏になると必ず観たくなります!#ps765 pic.twitter.com/K0CrRYdwKM
— ならまちのバスコダ・ガマクチ (@Vascoda_g) July 2, 2021
続いて紹介する時をかける少女に関する感想や評価は、夏にお勧めのDVDとして時をかける少女を挙げている方のツイートからです。美しく繊細な夏の描写が印象的で夏になると必ず見たくなるそうです。このほかにも「夏と言えば時をかける少女」というツイートがいくつかありました。夏の幻想的な雰囲気とタイムリープという夢のような出来事が重なるのかも知れません。
「時をかける少女」
— 何か (@misakiery) September 2, 2021
細田守監督。爽やかで、切ない恋愛ストーリー。この作品について何か作風や内容などをあれこれ言うつもりはありません。見て。とにかく見て。そしてこの作品を通してアニメ映画って面白いな!って思っていただきたいです。 pic.twitter.com/H2DeeO0NWA
最後に紹介する時をかける少女に関する感想や評価は、時をかける少女を純粋に恋愛物語と見ている方のツイートからです。とにかく見てほしいと訴えかけています。そしてアニメ映画の面白さを実感してほしいとも。今までに見たアニメ映画の中でも人に伝えたくなるほど感動した作品だったのでしょう。
時をかける少女の黒板まとめ
ここまで、アニメ映画・時をかける少女で理科実験室の黒板に書かれた英文「time waits for no one」の意味やこの英語の言葉が作品のテーマとなっているのかなどを考察してきました。いかがでしたでしょうか?
この英文「time waits for no one」は直訳すると「時は誰も待ちはしない」ですが、もう少しかみ砕いて言うと「年月は人の都合に関係なく過ぎていきとどまることはない」となります。時をかける少女・作中では、過ぎ去った時間は戻らないのだから、悔やまないよう努力を怠ってはならないなどの戒めとして使われています。
また、真琴が映画のラストで将来本当にやりたいことを見つけたち¥り、果穂や友梨が後悔しないよう好きな相手に思いを伝えようとしたりと、作品を貫くテーマとなっていたこともわかりました。こうした基礎知識を得た上で、アニメ・時をかける少女を鑑賞してみましょう。何気ないシーンにも深い意味があることがわかり、作品をより好きになるかも知れません。