【ピアノの森】映画版とアニメ版の違いは？あらすじ・構成や声優キャストなど比較検証

『ピアノの森』とは、女性漫画家・一色まことによる青年漫画です。1998年から「ヤングマガジンアッパーズ」にて連載が開始されています。そして途中で休載や掲載誌廃刊を経て「モーニング」に移籍しました。不定期連載ののち、モーニングの2015年49号をもって完結。コミックの巻数は26巻でした。なお、2018年1月時点でシリーズ累計発行部数は600万部を突破しています。

『ピアノの森』は2006年からモーニングにて連載が再開された後、翌2007年にアニメーション映画化されています。監督は小島正幸、脚本は蓬莱竜太が担当しています。また映画化だけでなく、2018年4月9日から7月2日までの間でアニメ1期が放送されており、その後2019年1月28日から4月15日までの間で2期が放送されました。アニメ『ピアノの森』の場合は、中谷学(第1シリーズ)と山賀博之(第2シリーズ)が監督を務めています。

それでは早速、『ピアノの森』の映画とアニメの違いを比較検証していきます。映画とアニメの違いは主に「尺や構成の都合によるもの」「一部のセリフ」「演奏に関する監修」があります。以上3つの違いをそれぞれ解説していくので是非ご覧ください。

映画版『ピアノの森』は2007年に、アニメ版『ピアノの森』は1期が2018年、2期が2019年から放映されました。映画版の構成・あらすじは原作連載途中の内容で、また尺も101分となっているため主人公・一ノ瀬海の小学生時代に焦点が当てられています。

小学生時代の一ノ瀬海に焦点を当てた構成・あらすじでは、森で楽しくピアノを弾いているだけで満足だった海が、ピアニストを目指す雨宮修平との出会いを契機にピアノコンクールへと出場し、オリジナルの曲を演奏する喜びを知るまでの過程が描かれています。

映画版に対してアニメ版は映画版の101分という尺よりも長く、全24話の2クールで描かれています。映画版よりも尺が長いため、構成・あらすじもアニメ版の方がかなり詳細に描かれていました。そんなアニメ版の構成・あらすじは主人公が成人して世界的なコンクールに出場するまでの過程が描かれています。

続いて紹介する映画とアニメの違いである一部のセリフについては、主に過激で下品な言葉や差別的な言葉の有無に違いが見受けられます。主人公は貧困層が暮らす地域出身なので、売春や盗みなどで生計を立てている人々が暮らすような治安が悪い環境で育っていました。

そのため、原作にある部落差別や性的差別用語が、アニメ版ではオブラートに表現されています。また映画版よりもアニメ版の方が一般視聴者に対する細やかな配慮がなされていました。さらに漫画や映画に登場する主人公の恋人・岸上冴は、アニメでは登場していません。

最後に紹介する映画とアニメの違いは演奏に関する監修です。映画版では世界的に有名なピアニストであるウラディーミル・アシュケナージ氏が、ピアノ演奏兼ミュージックアドバイザーとして関わっています。ピアノ演奏をテーマにした作品を取り扱う都合上、人々の心を躍らせる演奏を作品で表現する必要があるので、一流のプロを起用すること自体がテーマの説得力になるはずです。

また、映画版ではピアノ演奏が作画によるアニメーションで表現されていますが、アニメ版ではCGが用いられています。さらにアニメ2期においてはCGの使用頻度も減り、イメージのみの演奏が増えているので全体的に不満を抱いた方は多いかもしれません。

映画版『ピアノの森』のあらすじは主人公・一ノ瀬海の友人となる雨宮修平が転校してくる所から始まります。雨宮の父親は世界で活躍するピアニストであり、その影響で彼自身もまたピアニストになるために幼少期から過酷なレッスンを受けてきました。そんな雨宮は転校初日に自己紹介で、ピアニストを目標にしていることをクラスメイトたちに伝えます。

しかし、そのことでガキ大将である金平大学に目を付けられ、度胸試しとして地元の怪談話に登場する「森のピアノ」を弾いてくるように言われてしまいます。その会話に割って入ったのが一ノ瀬海でした。それから紆余曲折あって雨宮と海は森のピアノを弾きにいくことになります。海の案内で森の中に入った雨宮は、そこで森の梢から木漏れ日が差し込む場所にピアノがポツンと置いてある幻想的な風景を目にしました。

そこで早速、雨宮はそのピアノを弾いてみますが、壊れて音が出ません。それを海に伝えると彼は音が出るはずだと主張。そこで海がピアノを弾くと、実に見事な音色を奏でました。その演奏が雨宮の心を鷲掴みにし、以来雨宮と海はピアノを共通点として遊ぶ仲になっていきます。

そしてある日、雨宮の家で海と雨宮が学校の音楽授業を担当する教師・阿字野壮介のことを話題に会話を弾ませていましたが、その会話をたまたま居合わせた雨宮の母親・奈美恵が耳にします。奈美恵曰く、阿字野壮介は天才ピアニストとして活躍していた過去があり、悲劇の事故に見舞われたことで音楽界から姿を消したとのことでした。

そこで、雨宮は阿字野にレッスン教師をしてもらうようにお願いしますが、阿字野はそれを断り、その後巡り巡って海を教え子として育てることにします。こうして海は阿字野の勧めでピアノコンクールに出場することになり、同じくそれに出場する雨宮とはライバル関係になりました。

そしてコンクール当日、雨宮と海はそれぞれが見事な演奏を披露。雨宮は海の演奏を聞いた時、自分が負けたと悟りました。しかし、結果は雨宮がトップ成績で本選に出場することになります。海の演奏は観客からアンコール受けるほどの盛り上がりを見せていたのですが、コンクールの枠に嵌らなかったことが予選落ちとなった理由のようです。

アニメ版『ピアノの森』のあらすじは主人公・一ノ瀬海の名前がショパンコンクールの舞台でアナウンスされた所から始まります。海はピアノの椅子に座り、ショパンに対する感慨を浮かべた後、優雅に演奏を奏でていました。

これは海の未来の話です。物語は過去に戻り、映画版『ピアノの森』で描かれた雨宮と出会った小学生の頃から語られます。映画版『ピアノの森』ではコンクール出場後、雨宮が東京に転校するということで雨宮と海が別れた所で終わっていました。アニメでは天性の才能を持つ海と努力の天才である雨宮が別々の道を歩みながら、ピアノを通して高校生、海外留学、そして未来のショパンコンクールに出場するまでの道程が描かれています。

『ピアノの森』の映画とアニメの違いを「尺や構成の都合によるもの」「一部のセリフ」「演奏に関する監修」と3つ紹介してきましたが、登場人物の声を担当した声優キャストにも違いがあります。ここでは『ピアノの森』の映画版、アニメ版とそれぞれの声優キャストを一覧で紹介していきます。それではまず、映画版『ピアノの森』の声優キャストから見ていきましょう。

映画『ピアノの森』に登場する一ノ瀬海役を演じた声優キャストは、芸能事務所「オスカープロモーション」で女優、歌手として活動する上戸彩(うえとあや)です。上戸彩は2000年に放送されたテレビドラマ『涙をふいて』で女優デビューを果たしており、翌年にはテレビドラマ『3年B組金八先生』に出演したことで反響を呼んでいます。

タレントCM起用者数ランキングで6度の首位にランクイン。女性では最多の記録を更新するなど大人気の女優で、これまでに『エースをねらえ!』『流れ星』『半沢直樹』などを始めとした人気作品に多数出演しています。

映画『ピアノの森』に登場する阿字野壮介役を演じた声優キャストは、芸能プロダクション「吉本興業」でお笑いタレント、俳優、歌手、声優と幅広く活動する宮迫博之(みやさこひろゆき)です。宮迫博之は自分の頬を叩き、両人差し指を突き出しながら「宮迫〜ですッ!」というギャグで知られています。声優としては『ピアノの森』以外に映画『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦』に出演していました。

映画『ピアノの森』に登場する雨宮修平役を演じた声優キャストは、芸能事務所「Co-LaVo」で俳優、声優、YouTuberとして活動する神木隆之介(かみきりゅうのすけ)です。神木隆之介は、2005年に放映された映画『妖怪大戦争』の主演を務めたことで知名度が上がった俳優でした。

翌年には『探偵学園Q』でドラマ初主演を務めています。声優としても活躍しており、アニメ映画『千と千尋の神隠し』や『サマーウォーズ』、『君の名は。』など有名作品に出演しています。

映画版『ピアノの森』に登場する一ノ瀬海、阿字野壮介、雨宮修平の声を担当した声優キャストを紹介してきました。では次にアニメ版『ピアノの森』に登場する主要キャラの声を担当した声優キャストを紹介していきます。

アニメ『ピアノの森』に登場する一ノ瀬海役を演じた声優キャストは、声優事務所「81プロデュース」で声優、作家、シンガーソングライターとして活動する斉藤壮馬(さいとうそうま)です。斉藤壮馬はゲーム『剣と魔法と学園モノ。2G』のリモン役で声優デビューを果たしています。

2015年に第9回声優アワードにて新人男優賞を受賞し、2018年にアニメージュ第40回アニメグランプリ声優部門にてグランプリを受賞するなど実力派声優で、これまでに『キャプテン翼』の三杉淳役や『ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風』のヴィネガー・ドッピオ役などの主要キャラを演じていました。

アニメ『ピアノの森』に登場する阿字野壮介役を演じた声優キャストは、芸能事務所「東京俳優生活協同組合」で声優、ナレーターとして活動する諏訪部順一(すわべじゅんいち)です。諏訪部順一は、テレビアニメ『テニスの王子様』の跡部景吾役の声を担当したことをきっかけに声優としてブレイクしています。2017年にはテレビ朝日系列で放送された『人気声優200人が本気で選んだ！声優総選挙！3時間SP』で第14位に選ばれていました。

アニメ『ピアノの森』に登場する雨宮修平役を演じた声優キャストは、声優・タレント事務所「アクロス エンタテインメント」で声優として活動する花江夏樹(はなえなつき)です。花江夏樹は『ゴールデン☆キッズ』で声優デビューを果たし、2011年からアニメとゲームのジャンルを中心に活動しています。2012年にはアニメ『TARI TARI』のウィーン役でテレビアニメ初レギュラーを獲得していました。

こちらでは『ピアノの森』の映画版に関する感想があがっています。どうやら映画版『ピアノの森』で描かれた海の演奏シーンが感動したようです。やはりアニメ版とは違って尺が短いことが、演奏に力を入れた理由となっているのかもしれません。

こちらでは『ピアノの森』のアニメ版に関する感想があがっています。アニメ版『ピアノの森』の9話に関する感想があがっており、雨宮と海の関わりに言及されています。映画版では描かれたなかった2人の絡みはアニメでは見ることができるので、チェックしてみると良いでしょう。

こちらでも『ピアノの森』のアニメ版に関する感想があがっています。アニメ版『ピアノの森』の10話で登場したパン・ウェイに関して言及されています。新たなキャラも登場している所も映画版とアニメ版の違いと言えるでしょう。

『ピアノの森』の映画版とアニメ版の違いを、あらすじ・構成や声優キャストなどの情報を交えつつ比較してきましたがいかがでしたか？映画版とアニメ版の違いでは主に「尺や構成の都合によるもの」「一部のセリフ」「演奏に関する監修」の3つがありました。特に尺と構成の都合が映画版とアニメ版の違いを決定的にしているのかもしれません。

やはり、映画はアニメと違って尺が短い分、構成が具体的に描かれないようです。しかし尺が短い分、心躍らせるピアノの演奏が丁寧なアニメーションで演出されているので尺が短いからといって評価が落ちるというわけではないと言えるでしょう。アニメ版では映画版で描かれたなった主人公・一ノ瀬海の成人した姿が見れるので興味のある方はぜひチェックしてみてください。