2021年07月08日公開
2021年07月08日更新
二月の勝者を子供に読ませるとどうなる?悪影響・つまらないと言われる理由を考察
高瀬志帆による漫画作品「二月の勝者-絶対合格の教室-」。ある中学受験専門の学習塾を舞台に、中学受験の現実をリアルに描いていると大きな話題になっています。それと同時にお金の問題も含めて教育制度の裏側まで突きつけてくる作品なので、小学生の子供に読ませるのはどうなのか?とためらう方の声も挙がっています。この記事では、二月の勝者を子供に読ませることで考えられる悪影響や、さらにはつまらないと言われる理由を中心に考察していきます。
目次
二月の勝者とは?
二月の勝者の概要
高瀬志帆による漫画作品「二月の勝者-絶対合格の教室-」。小学館の週刊ビッグコミックスピリッツ2018年1号に掲載され、現在も連載中の作品です。単行本の累計発行部数は、2021年4月時点で既刊11巻130万部を超えています。
また詳しくは後述しますが、実写ドラマ化の企画がスタートし主演俳優も決定していたのですが、新型コロナ流行の影響で撮影は延期を余儀なくされます。しかし、先ごろ2021年10月期に放送予定である旨のアナウンスがありました。
二月の勝者のあらすじ
物語の舞台は東京吉祥寺の桜花ゼミナール吉祥寺校、中学受験の学習塾です。新たに校長に就任した黒木蔵人は、名門中学御三家の合格者ゼロという汚名を返上するため奮闘。「学習塾は子供の将来を売る場所」と冷たく言い放ち、新人講師・佐倉麻衣の甘い幻想を打ち砕きます。その一方、学校で差別を受ける女子生徒や父親との関係に悩む男子生徒らに掛ける優しい言葉や優れた指導が徐々に生徒や親の心を掴んでいくのでした。
二月の勝者はいつ完結?
現在ビッグコミックスピリッツで連載中の漫画二月の勝者。単行本では11巻までが刊行されています。いつ完結するのか?気になっている方もいることでしょう。
2月の受験シーズンを終わってさらに継続中なので、もうしばらく連載は継続されるのではないでしょうか?受験には、合格する子供がいれば失敗する子供もおり悲喜こもごもですが、作者がどのような結末を構想しているのか是非見届けていきましょう。
二月の勝者の実写ドラマ化
中学受験に巻き込まれていく小学生の子供たちにスポットを当て、従来にない切り口で描いていく二月の勝者。一部には熱烈な支持者もいるようです。
概要でも触れましたが、この二月の勝者にドラマ化の企画が持ち上がりました。主演は個性派俳優の柳楽優弥、メインキャストに井上真央やNEWSの加藤シゲアキの名前も挙がっていました。ところが、折からの新型コロナ流行を受けて撮影は無期限延期を余儀なくされてしまいました。
しかし、このたび2021年10月に日本テレビ系土曜ドラマ(10:00~10:54pm)での放送が決定しました。放送開始までもうしばらくなので、楽しみに待ちましょう。
二月の勝者の漫画を子供に読ませるとどうなる?メリットを解説
メリット①中学受験に向けたスケジュールが理解できる
漫画作品二月の勝者を子供に読ませるのはどうなのでしょうか?中学受験を控えた子供を持つ親御さんなら気になるところでしょう。まず、漫画・二月の勝者を子供に読ませた場合のメリットについて解説していきます。
メリットその①は、中学受験までのスケジュールが理解できることです。受験勉強は長期戦を強いられます。ゴールの中学受験の時期はわかっていても、それまでの長い期間、いつ何をしなければならないか、何も情報がない中で管理していくことのできる子供はほとんどいないでしょう。
ところが、漫画二月の勝者を読めば、2月から新たな学年の講義が始まることや、春期・夏期・冬期に特別講習が行われること、そして志望校を決定しなければならないタイミングなど、中学受験に必要なあらましを知ることができるのです。絵を通じてイメージとして記憶に残る、漫画の効果は大きいと考えられます。
メリット②塾にかかる費用がわかる
続いて紹介するメリットは、進学塾に通わせるためにどれだけの費用がかかるかわかることです。二月の勝者では、お金の問題もオブラートに包んだ言い方はしません。
塾にかかる費用の額を理解することが、小学生の子供にとっても有益だと考えられます。もちろんそれを疑問視する親御さんもいるでしょうが、その費用を支払うために両親が仕事を頑張っている事実を子供が知ることは重要です。塾にかかる費用を無駄にできないという意識が芽生え、講義を受ける態度にも良い影響が表れることでしょう。
メリット③受験本番をリアルに感じられる
紹介するメリットの最後は、二月の勝者を読むことで体験したことのない受験本番をリアルに感じられることです。
受験を経験したことのない子供には、受験本番前の緊張感や受験当日の雰囲気、合格発表で自分自身や親など周囲の反応などは想像もできません。想像できないことをリアルに疑似体験できるメリットは、決して小さくはないでしょう。
中学受験を他人事ではなく、自身が乗り越えなければならない現実として理解できた時、日々の勉強に臨む態度にも好影響を与えるのではないでしょうか?
二月の勝者の漫画を子供に読ませると悪影響?つまらない?
二月の勝者を小学生や子供に読ませると悪影響?
ここまで二月の勝者を小学生や子供に読ませる場合のメリットについて解説してきました。ここからは、逆に悪影響やつまらないといったネガティブな部分を紹介していきます。
SNSなどで紹介されている二月の勝者に関する評価を見ると、悪影響などメリットだけでなくデメリットについても論じられています。二月の勝者が小学生の子供に悪影響与える可能性も、必ずしも否定できないでしょう。また、中学受験を取り巻く環境については、中高一貫校が増えるなど変化しつつあります。これまで当たり前とされていたことが、音を立てて崩れ始めているのです。
そうした厳しい現実を目の前に突き付けられた場合、感受性の強い子供には刺激が強すぎることもあるでしょう。委縮してしまって勉強に身が入らなくなるなどの悪影響も否定できないかも知れません。
二月の勝者がつまらないといわれる理由
前項で悪影響というネガティブな部分を考察しましたので、次に二月の勝者を読んでつまらないという感想を抱くケースを紹介します。つまらないと言っても様々な理由がありますが、つまらない理由で最も多いのが期待していた内容ではなかったというものです。
では何を期待していたかと言いますと、「楽しく勉強する方法」だそうです。おそらく受験漫画の代名詞ともなっている「ドラゴン桜」のような作品をイメージしていたのでしょう。そうした方にとっては、二月の勝者はつまらない、期待ハズレとなるのかも知れません。
二月の勝者が面白い理由
面白い理由①塾の裏側がわかる
前項で二月の勝者がつまらない理由を挙げましたので、最後に二月の勝者の面白い理由を考察してみましょう。
この二月の勝者には、営利を目的とする民間企業としての塾の顔が至るところで現れてきます。つまり塾の裏側の姿がリアルに描かれているのです。親であれば、小学生の子供にこんな漫画を読ませたら塾に幻滅して塾嫌いになったり塾に行くのを嫌がりはしないか心配になる方もいらっしゃるでしょう。
しかし、実際には小学生の子供にも概ね好感を持って受け入れられているようなのです。実際に塾に通っていても、いつも見ているのは表の顔だけ、裏側を知ることができて面白かったという感想を寄せている子供もおりました。小学生の子供の目には新鮮に映ったのかも知れません。
面白い理由②リアルな受験生
SNSでは、二月の勝者に登場する受験生のエピソードを読むと作り話ではなく受験生のリアルな姿に触れることができて面白いという感想も多く目にします。
例えば、受験勉強のストレスから机に向かっている間に無意識に髪の毛をむしり取ってしまう女の子とか、学校の試験では常に100点満点を取っているのに塾の模試では偏差値40だったなど、中学受験生あるある話が満載なのだそうです。
リアルな受験生を描いている二月の勝者は、受験生がどんな悩みを抱えどう対処したのか、あるいは何に興味を抱きどんな楽しみを持っているのかが手を取るようにわかると言われています。それが、親や子供にとって、あるいは教員にとっても面白く見ることのできる理由の一つなのでしょう。
面白い理由③名言や名セリフが多い
二月の勝者には、要所要所で名言や名セリフが飛び出してきます。桜花ゼミナール吉祥寺校の校長に就任した黒木蔵人の有名な名言が次の言葉です。極めて冷徹に現実を見て、いささかの感情も交えずに語った名セリフと言えるのではないでしょうか?
君達が合格できたのは、父親の「経済力」そして、母親の「狂気」
夫婦共働きの武田家。妻の香織は、小学生の息子に塾の春期講習を受講させたいと夫に相談します。スマホゲームに興じる夫は妻の言葉も上の空。ゲームをしながら「いいカモになるだけだ」とうそぶきます。なお食い下がる妻・香織を「ゲームの最中だから30分待て」とはねつけます。ついにぶちギレた香織が放ったのが、下に挙げた一言です。この名セリフに溜飲を下げた方も多いのではないでしょうか?
何がいいカモだ
あんたこそ
画面のキャラに課金してんじゃねーよ。
(略)
子どもに「課金」して、クソ強いキャラに育てよーとして何が悪い。
勇人にどんな敵でもラスボスでも倒せるクソつええ武器持たせたいんだよ。
そのためなら、課金ゲー上等!!
面白い理由④感動するストーリー
受験生のリアルな姿を描いた二月の勝者では、彼らの失敗や挫折、葛藤を乗り越えて成長していくストーリーが主になります。
最難関校に合格するため塾業界トップのフェニックスに転校ならぬ転塾しようとした女の子が、ストレスで精神が不安定になってしまう話。最後は元の桜花ゼミナール吉祥寺校に戻ってくる展開になります。このシーンで感動し涙した方も多かったようです。このように読む人間が自然と感情移入してしまう展開で、感動を生むストーリーになっています。
二月の勝者に関する感想や評価
ここまで、二月の勝者が小学生の子供に悪影響を与える・つまらないと言われる理由を考察してきました。最後に二月の勝者に関する感想や評価をTwitterより紹介します。
中学受験漫画の『二月の勝者』がめちゃくちゃ面白いのでオススメ。
— チシノさん⸜( ॑꒳ ॑ )⸝ (@sareva02) February 9, 2021
高校受験しか知らないないからヒエッてなるとこあるし、自分も受けさせてもらってた塾の費用を考えると親に足向けて寝れなくなるよ。
最初に紹介する二月の勝者に関する感想や評価は、二月の勝者がとても面白いとおすすめしている方のツイートからです。多くの方がそうなのでしょうが、高校受験しか知らないという投稿者。二月の勝者を読んで現実を知り、「ヒエッ」と声が出るほど驚いたそうです。
私子育てとか向いてなさそうだな~~
— シェリー🌿Breaking Free🌸 (@shelly_711) December 8, 2020
特に子どもの受験とか……子どもより自分のメンタルが崩壊して悪影響与えそう……
って、二月の勝者を読んでて思う……
続いて紹介する二月の勝者に関する感想や評価は、二月の勝者を読んで「私は子育てに向いていなさそうだ」とため息交じりに呟いている方のツイートからです。
次の段落で、なぜそのように感じたかを解説しています。二月の勝者には中学受験でメンタルが不安定なった生徒のエピソードが登場します。それを読んだ投稿者は、子供よりも自分のメンタルが先にやられそうだと感じたそうです。子供の受験問題が親に与える影響の大きさを考えさせられるツイートでした。
二月の勝者7巻を読了。受験生の女の子同士の人間関係の機微を描けていて圧巻でした。中学受験の辛さをあらためて感じました。相対的に競争が少ない小学受験(お受験)・学費に課金して中学受験を回避することも選択肢としてありなのではと思いました。費用の差をどう捉えるか。#二月の勝者
— TA35 (@TA3575351082) February 12, 2020
次に紹介するツイートは、二月の勝者7巻まで読了したという方の投稿からです。中学受験の辛さを痛感した投稿者。中学受験を回避することを主眼に置くと、中学受験に比べて競争の少ない小学受験が選択肢の一つとして浮上してきたと言います。
ただ、この選択肢も先立つものがなければ絵に描いた餅になってしまいます。最後は、費用の差をどうとらえるか、つまり天秤にかけることになりそうです。
「子供に課金してクソ強いキャラに育てよーとして何が悪い」は「二月の勝者」ってマンガの一コマでね
— uni szk (@umpgl) January 13, 2020
全く無理解な父親に対して、ワーママが自分でコツコツ貯めた通帳叩きつけて「受験費用はここから出す!」ってタンカ切るセリフなのね
お母さんかっこいいし、このシーンは涙なしには読めない
次に紹介するのは、この記事でも取り上げた名言・名セリフが登場したエピソードに関するものです。子供の教育に無理解で話を聞こうともしない父親に、自分の稼ぎからコツコツと貯めた通帳を叩きつけ、啖呵を切る母親。
投稿者は、このシーンに感動し涙なくしては読めなかったと語ります。この後の父親の対応や息子さんへの影響などが気になるのではないでしょうか?
有名私立一貫校の高入停止とか、小学6年生の塾費用の恐ろしい辺りなんかをTwitterで見かけた流れで、『二月の勝者』を読んだ。
— ひみ(次はイヨ⛅) (@puyotyuu) December 15, 2020
他人事なわたしからするとただ面白い(興味深い)情報マンガだけれど、これ、この先受験を迎える都内近郊のお子さんを持つ親の立場だと考えると、ゾッとするな。
最後に紹介する二月の勝者に関する感想や評価は、読む人の立場によって漫画作品に対する感想や評価も変わることを提示しているツイートからです。有名私立一貫校の高校入試廃止とか中学受験の塾費用の恐ろしい金額をTwitterで見かけたことが、この投稿者が二月の勝者を読むきっかけだったと言います。そして、今まで知らなかった世界の情報として、興味深く読んだそうです。
ただ、それは中学受験が他人事である自分の感想であって、先々に受験を控えた子供を持つ親の立場で見たら面白いどころではなくゾッとすることに気付いたようです。別の立場の人がどう感じるかを想像できることは、素晴らしいことではないでしょうか?
二月の勝者を子供に読ませるメリットまとめ
ここまで「二月の勝者を子供に読ませるとどうなる?」と題して、中学受験をテーマにした漫画・二月の勝者が小学生の子供に悪影響を与えるとかつまらないと言われる理由を中心に考察してきました。いかがでしたでしょうか?
まず二月の勝者を小学生子供に読ませると悪影響を与えるという問題。二月の勝者で描かれている厳しい現実を目の前に突き付けられた場合、感受性の強い子供には刺激が強すぎて勉強に身が入らなくなるなどの悪影響は否定できません。次に二月の勝者がつまらないといわれる理由ですが、その多くは期待していた内容でではなかったというもの。「楽しく勉強する方法」を期待していると肩透かしを食うかもしれません。
しかし、二月の勝者にはそうしたネガな部分を補って余りある魅力もあることがわかりました。二月の勝者を子供に見せるメリットとしては、中学受験に向けたスケジュールが理解できること、塾にかかる費用がわかること、そして受験本番を疑似体験できることが挙げられます。子供だけではなく親や教員にも様々な問題提起をする二月の勝者。この記事を読んで興味を持たれた方は、一度作品に目を通してみてはいかがでしょうか?