美女と野獣・原作のあらすじと結末をネタバレ!意外な本当のストーリーとは?

1991年制作のディズニーアニメ映画『美女と野獣』という物語ほど、“人は見かけじゃなく中身だ”ということを丹念に綴っています。ディズニーアニメ映画『美女と野獣』の原作は、18世紀フランスで出版されています。皆さんがご存知のディズニー版とは、イメージが違っている点も多々あります。現代とは価値観が違う、18世紀版『美女と野獣』の原作のあらすじをネタバレしながら、意外な本当のストーリーをまとめてきます。

美女と野獣・原作のあらすじと結末をネタバレ!意外な本当のストーリーとは?のイメージ

目次

  1. 『美女と野獣』の原作のあらすじと結末をネタバレ!本当のストーリーが意外だと話題に!
  2. 『美女と野獣』の原作は実はふたつあった
  3. 『美女と野獣』の原作のあらすじをネタバレ!
  4. 『美女と野獣』の原作のあらすじを知るとさらにディズニー版も楽しめる!

『美女と野獣』の原作のあらすじと結末をネタバレ!本当のストーリーが意外だと話題に!

皆さんがテレビや映画、書籍等で知っている『美女と野獣』は、フランスの民話を原作としたものをアレンジしたものです。人間と違った種族と人間が結婚するという異類婚姻譚(いるいこんいんたん)の設定となっています。漫画やアニメで、よく使われるポピュラーな設定です。美女と野獣の原作の基本的なあらすじとハッピーエンドな結末は一緒です。

民話が原作となった『美女と野獣』は、18世紀フランスで出版されます。結婚しか選択肢がなかった近世の嫁入り前の女子のために、“結婚生活とは野蛮な男性(野獣)と寝食を共にするようなもの”という結婚の現実を織り込んでいたのです。

インターネットの普及で情報過多となった現代と違い、美女と野獣で、当時は童話という媒体を利用して結婚生活の実態を伝えていたのです。当時の童話作家の3分の2を占めていた女性作家らは、使命感を持って若い女子に物語を提供していたのです。

自由恋愛も選択肢に加わった現代と違い、当時の婚姻は両親など家族間の合意で勝手に決められていたのです。メルシェの「18世紀パリ生活誌」によると、“富裕階級の娘の自由恋愛や結婚は親の監視が厳しい”と書かれています。しかし、嫡子を産めば妻の浮気を容認していたのです。『美女と野獣』のベルと野獣のように、真摯に相手と向き合えば、愛が芽生えることもあるのではと言われています。

映画『美女と野獣』公式サイト

『美女と野獣』の原作は実はふたつあった

美女と野獣は、フランスの民話を原作とし、1740年にガブリエル=シュザンヌ・ド・ヴィルヌーヴ(ヴィルヌーヴ夫人)によって最初に書かれています。1756年にジャンヌ=マリー・ルプランス・ド・ボーモン(ボーモン夫人)がヴィルヌーヴ版を短縮し、児童向けに出版した『美女と野獣』がポピュラーとなっています。

民話を原作に『美女と野獣』を最初に書いたヴィルヌーヴ夫人(1685-1755)

フランスの作家。プロテスタント系貴族の子供として生まれます。不幸な結婚・離婚を経て困窮しますが、パリで職業作家として自立の道を歩みます。劇作家クレビヨンの元で、家政婦兼秘書として働きながら文筆活動をしてたそうです。ヴィルヌーヴ版『美女と野獣』は、1740年刊行の物語集「アメリカ娘と洋上物語」の第1話として収録されています。

ヴィルヌーヴ夫人の原作を短縮したボーモン夫人(1711―1780)

フランスの作家。中流家庭に生まれ、十分な教育を受けます。最初の夫と離婚後、同郷の男性と再婚します。6人の子宝に恵まれ、幸せな結婚生活を送ります。後に夫妻はイギリスに渡り、家庭教師として児童教育に力を注ぎます。雑誌「新フランス誌」に、次々と自作を発表したそうです。晩年は地方の村に引退し、近隣の子女の教育にあたるかたわら、多くの童話を執筆したそうです。

『美女と野獣』の原作者 キャリアウーマン

女性の地位が低かった近世で、離婚し自立の道を歩むのは容易ではなかったはずです。ボーモン夫人は再婚語、子宝に恵まれ、キャリアを充実させたようです。ヴィルヌーヴ夫人は、不幸な結婚・離婚を経て職業作家となります。再婚したという記述がないので、シングルでキャリアアップしたでしょう。『美女と野獣』の原作者である2人の女性作家は、プライベートでは対照的な人生を送っていたようです。

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『美女と野獣』の原作のあらすじをネタバレ!

最初に、世界的に大ヒットとなったディズニー版『美女と野獣』の元となったボーモン版『美女と野獣』の原作のあらすじから結末までをネタバレします。ヴィルヌーヴ版を児童向けに短縮したことにより、ボーモン版美女と野獣が幅広く読まれることになったのだと言われています。

商人の家の生まれたベル

本編のヒロインとなる心優しく美しいベル(フランス語で“美しい”という意味)には、大金持ちの商人である父と、3人の兄と2人の姉がおり、ベルは末娘となります。破産してしまった商人は、町から離れた小さな家で農業をしながら生計を立てています。3人の息子とベルは一生懸命働いていますが、貴婦人気取りの2人の姉は怠けています。(現代風に言い換えると、2人の姉はニートになります)

宮殿に迷い込んだ商人

1年後のある日。港町へ出かける商人に、姉たちは豪華な土産をねだります。一方ベルは、バラを一本だけを頼みます。港町に出かけた商人は、無一文で帰ることになります。商人は森で迷ってしまい、大きな宮殿に迷い込みます。誰ものいない宮殿には、なぜだがご馳走が用意されています。疲れ切っていた商人は飲み食いして寝てしまいます。

バラを摘み取ってしまった商人

翌朝、ベルの願いを思い出した商人は、庭園のバラを一枝摘み取ってしまします。そのとたん、凄まじい音と共に現れた野獣が商人を罵ります。娘のためだと弁解する商人に野獣は、“お前の代わりに、娘のひとりがここへ来て死ぬというなら許す。もし、ひとりも来ないなら、3か月後にお前が戻って来い”という条件を出します。商人は、野獣から貰った箱一杯の金貨を馬に積んで家に帰ります。

野獣との出会い

商人は子どもたちに、迷い込んだ宮殿での出来事を話します。商人からバラを渡されたベルは、父のため自分が行くと申し出ます。宮殿にベルを連れて行った商人は、泣きながら宮殿を後にします。不安なベルは野獣に促され、自分の望みが見える大きな鏡で、父が無事に家に辿り着いた様子を見ます。野獣の優しい心音を垣間見たベルでしたが、野獣からの唐突なプロポーズを拒絶します。

宮殿での生活

野獣からのプロポーズを無下に拒絶したベルは、自己嫌悪に陥ります。しかし、毎晩訪ねてくる野獣に、善良さを感じ取ったベルは心を開き始めます。そんな矢先、例の大きな鏡に、商人が病気で倒れた様子が映されます。商人の身を案じたベルは、野獣に1週間だけ帰省したいと願い出ます。仕方なく承諾した野獣は、戻りたくなったらテーブルの上に指環を置くように告げます。

里帰り

朝、目覚めるとベルは父親の家におり、再会を喜びます。しかし、2人の姉は前よりずっと美しくなったベルに嫉妬します。2人の姉は、約束の1週間を破らせベルを陥れようとします。怒った野獣はベルを食べてしまうだろうと思ったからです。姉たちの本心を知らずに、優しくされたのが嬉しかったベルは、もう1週間滞在を延長してしまいます。

元に戻った王子

10日目の夜に、野獣が死にかかっている夢を見たベルは、貰った指輪の力で宮殿に戻ります。そして、死にかかっている野獣にベルは生涯の愛を誓います。明るくなった宮殿には、美しい王子がいます。王子は意地悪な仙女により、“美しい娘が結婚を承諾するまで野獣の姿にされいた”というネタバレをします。

いつまでも幸せに…

宮殿には、両家の家族と仙女がいます。仙女はベルに嫉妬した2人の姉に、間違いを悟る日が来るまで、“石像になって妹の幸せを眺め続ける”という罰を下します。ベルたちは王子のいた王国へ移り住み、2人は結婚し末永く幸せに暮らします。

善人は幸せになり、悪人には罰が下る ボーモン版『美女と野獣』の原作の総評

童話では必ずと言っていいほど、苦難を乗り越えた善良な主人公は幸せになり、意地悪なサブキャラは罰が下る、という結末になっています。このパターン通り、ボーモン版『美女と野獣』もベルに嫉妬した2人の姉に罰が下り、ベルは王子と共に幸せに暮らすという結末です。誰もが理解しやすいこのあらすじと結末のネタバレは、「水戸黄門」や「遠山の金さん」に繋がる普遍さを感じます。

最初に書かれたヴィルヌーヴ版『美女と野獣』の原作のあらすじをネタバレ

“ベルのために、商人は野獣の宮殿のバラを摘む“→“野獣の怒りに触れ、商人はベルを差し出す”→“ベルと野獣が心を通わす”→“意地悪な姉たちの妨害の末、ベルは野獣に愛を伝える”→“悪い仙女に野獣にされていた王子は、元に戻りベルと幸せに暮らしました”までは、ヴィルヌーヴ版とボーモン版は一緒です。最初に書かれたヴィルヌーヴ版では、“末永く幸せに暮らしました”という結末に至るまで、もうひと山、ふた山あるのです

成人した王子は、もと養育係だった老仙女から結婚を申し込まれますが断ります。腹いせに老仙女は、王子を野獣に変え、知性を禁じます。そして、自らの意志で野獣にその身を捧げる乙女が現れない限り、呪いを解くことはできないと告げます。元の姿に戻った王子の前に現れた母親である王妃は、商人の娘であるベルとの結婚を反対します。

仙女の女王は、壮大なるベルの出生秘話をネタバレします。ベルの母親は仙女の女王の妹で、父親は王妃の弟で幸福島の王です。若い仙女と人間との婚姻が禁じられていたため、とある悪い仙女の告白によりベルの母親は幽閉されてしまいます。そして、悪い仙女はベルに“将来、怪物と結婚する運命“となるように呪いをかけます。妻が突然いなくなり、悲しんだ幸福島の王は、忘れ形見であるベルを溺愛します。

悪い仙女は、ベルの養育係となり王に近づき誘惑します。相手にされなかった悪い仙女は、王の愛情を一身に受けるベルを家臣に誘拐させて森の中で殺させようとします。森の中でベルを救った仙女の女王は、同時期に乳母の家で病死した商人の娘と入れ替えたのです。この悪い仙女こそが、その後王子に呪いをかけることとなる仙女だったのです。

ベルが王家の血筋であると判明し、王妃は2人の結婚を認めます。そこに幽閉を解かれたベルの母親である仙女が加わり、ベルの家族と共に婚姻を祝う宴が始まります。

波乱万丈なヴィルヌーヴ版『美女と野獣』の原作の総評

“ベルの純真な愛の力で、野獣から元の王子に戻って、めでたしめでたし”からのあらすじと結末をネタバレしましたが、こちらの方が波乱万丈です。ハリウッドで特殊効果を駆使したスピンオフ映画が2~3本ぐらい出来そうです。

ヴィルヌーヴ版『美女と野獣』の原作を児童向けにしたボーモン版『美女と野獣』

ボーモン版ではこれらの部分をカットし、仙女が意地悪な2人の姉に罰を下し、ハッピーエンドな結末をなっています。ちなみにベルには3人の兄もいましたが、ボーモン版では兵役に就いている設定になっており出番は無しです。児童教育に力を注いでいたボーモン夫人は、ベルのように家族思いの優しい女性になって欲しいというメッセージを打ち出したかったのかと言われています。

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『美女と野獣』の原作のあらすじを知るとさらにディズニー版も楽しめる!

ディズニー版『美女と野獣』のあらすじと結末のネタバレは割愛し、ディズニー版との違いをまとめていきます。基本的な設定は一緒ですが、底抜けに明るい楽しいディズニー版に対し、ゴシック小説(18世紀末から19世紀初頭にかけて流行した神秘的、幻想的な小説)であるヴィルヌーヴ版やボーモン版のネタバレに驚く人もいるでしょう。

呪いがかけられた経緯

ボーモン版での王子が呪いをかけられた経緯は簡潔なのに対し、ヴィルヌーヴ夫人版では、話が広がり過ぎています。ディズニー版では、人を外見でしか判断しない傲慢な王子が魔女に呪いをかけられます。連帯責任で召使いたちにも呪いがかけられます。しかし、家財道具になってしまった明るく愛らしい召使いたちが、ベルと野獣のロマンスを後押しし、物語を盛り上げてくれます。

ヒロイン・ベルについて

ヒロインとなるベルは、“美人で父親思いの優しい娘“という設定はそのままです。嫁入り前の娘の教育を織り込んだ近世の童話は、“ベルのような女性“=“家庭を守る女性”になるようにとのメッセージを発信していたのでしょう。ディズニー版では、本好きで夢見がちな性格が加味されています。すなわち、様々な選択肢がある現代女性は、“本を読み、知識を吸収し、人生を豊かにする”ことができる意味合いがあるのでしょう。

自己中なガストン

ベルの3人の兄と2人の姉は登場せず、父子家庭の設定になっています。ベルに嫉妬する2人の姉に代わり、ハンサムで人気者だが乱暴で下品なうぬぼれ屋ガストンという新キャラが登場します。ハンサムだと自覚しているガストンは、自分に惚れない女はいないという自己中な男性です。ガストンから結婚を迫られているベルは、壁癖しています。現代風に言い換えると“セクハラ”になるでしょう。

物語の重要なアイテム 一輪のバラ

ボーモン版&ヴィルヌーヴ版では、商人がベルのために摘んでしまったバラは、野獣の怒りを買う原因となります。ディズニー版では、城に宿泊したい醜い老女(魔女)が、王子にバラを差し出します。外見で判断し拒否した王子は、報いとして野獣にされてしまいます。魔女が置いていったそのバラの花びらが全部散るまでに、王子が“実の愛“を見つけなければ魔法が解けることはないという、重要なアイテムとなっています。

天真爛漫なベル

天真爛漫なベルにより、荒んだ野獣の心が癒されていくという展開に対し、原作では野獣の優しさを知りつつも、外見に囚われているベルが徐々に心を開いていく様子を描いています。原作のベルは善良な人間ですが、ディズニーのヒロインとしてはインパクトに欠けます。なのでディズニー版では、ベルにポジティブ要素を加えたのだと言われています。

真実の愛

ボーモン版の基本的なあらすじとハッピーエンドな結末を組み込んだディズニー版は、万人が楽しめるエンターテイメントな仕上がりとなっています。多様性を認め始めた現代では、様々な生き方を選択することができます。それでも人々は、真実の愛を求めやまないのです。ディズニー版『美女と野獣』では、ベルと野獣は多様性を認め、真実の愛を手にするまでの過程を丁寧に描いていると言えます。

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