るろうに剣心・追憶編のあらすじをネタバレ！最高傑作アニメと言われる理由は？

不殺の誓いを立てた流浪人の活躍を描いた大人気漫画「るろうに剣心」ですが、中でも絶賛されてるのがOVA作品『るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-追憶編』です。その人気は世界中で話題を呼び、日本アニメでは異例の大ヒットをしました。今回は「るろうに剣心・追憶編」がどうして世界中のアニメファンに絶賛されているのか？「るろうに剣心・追憶編」の魅力について、あらすじやネタバレを紹介いたします。

『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』は、和月伸宏原作による時代劇を題材とした漫画で、1994年から1999年にわたり集英社の『週刊少年ジャンプ』で連載が開始されました。作風と物語の面白さに従来の読者層である男性のみならず女性ファンも獲得し、シリーズ累計発行部数は6000万部を突破。2017年には『ジャンプSQ』にて約18年ぶりに新シリーズの北海道編が連載開始されるなど人気の勢いが衰えることはありません。

幕末の動乱に人斬り抜刀斎として暗躍していた緋村剣心は、ある出来事をキッカケに、だれも殺さず弱き者のために剣を振るう浪人として全国を旅してました。偶然立ち寄った東京で、神谷道場当主の神谷薫と出会いそのまま居候することに。そして出会った仲間たちと共に数々の死闘を繰り広げていくことになります。

1996年にはTVアニメシリーズが放送開始され、最高視聴率は16％を突破。ゲームやグッズなどの関連商品も好調な売上を叩き出し、2012・14年には佐藤健主演で実写映画化もされています。少年誌のバトル漫画を題材とした実写映画では異例の大ヒットし最終興行収入は30億円を突破、数多くの賞を獲得しました。

原作『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』最終章「人誅編」で、一連の騒動の首謀者が義理の弟、雪代縁だったことを知った剣心は仲間たちに自身の過去について語ります。この剣心が語った約14年前の回想シーンを映像化したのが99年にリリースされたOVA作品「るろうに剣心・追憶編」です。この「るろうに剣心・追憶編」は原作をベースに様々な変更点が加えられて、より良い作品へと進化しています。

「るろうに剣心・追憶編」と原作との違いの1つとして、剣心が仲間たちに過去を語る回想形式ではなく、幼少期の生い立ちから比古清十郎と出会い、剣術を学んだ修行時代。新時代のため暗躍してきた人斬り抜刀斎時代。そして大切な人を失い、不殺（殺さず）を誓うまでの緋村剣心の半生を1つの作品として映像化しています。

「るろうに剣心・追憶編」では、原作やTVアニメとはキャラクターデザインや演出も異なっています。リアルな劇画調の作画とシリアスな物語、原作のようなキャラのデフォルトやギャグシーンは一切ありません。現在の少年誌やＴＶアニメでは表現できないリアルを徹底的に追求した作品、それが「追憶編」です。

ここからあらすじをネタバレ紹介します。るろうに剣心・追憶編の物語は全4幕構成。1幕30分の収録で、VHS・DVD・Blue-ray・デジタル（ストリーミング＆ダウンロード）といった複数のメディアで販売。また全幕収録+追加映像を加えた「特別版」も販売されています。ここでは「るろうに剣心・追憶編」の全幕のあらすじをネタバレしながら紹介します。各あらすじにネタバレが含まれていることをご理解した上でお読みください。

幼くして両親を病気で亡くし、人買いの一家に養われていた心太。ある日、人買いの一家が野盗に襲撃され、幼子を含めた一家全員が殺されてしまいます。通りすがりの剣客、比古清十郎に助けてもらった心太は、清十郎から「剣心」の名を授かり、剣術を学ぶことになります。

修行に勤しむ日々。14歳となったある日、一刻も早く動乱を終わらせたかった剣心は、清十郎と喧嘩別れをして修行半ばで清十郎のもとを離れてしまいます。山を降りた剣心は奇兵隊の入団試験で剣技を披露し、高杉晋作と桂小五郎に見出されます。そして幕府の要人の暗殺を請け負う人斬り抜刀斎として暗躍するのでした。

己の手を血に染めながらも、人々が安心して暮らせる新時代のために剣を振るう剣心でしたが、暗殺対象の重倉十兵衛を護衛していた京都見廻組の一人「清里明良」と対峙します。力の差は歴然でしたが、清里の執念の一太刀が剣心の左頬をかすめ、消えることのない傷を負ってしまいます。

ある雨の日、剣心のもとに突然刺客が奇襲してきました。刺客との激しい攻防戦の末、剣心は刺客を一刀両断し返り討ちにします。しかし血の雨が降る中、その場に佇む一人の女性に目撃されます。そして「あなたは本当に降らせるのですね、血の雨を」と言い気絶するのでした。

大量の血を見て気絶した女性を口封じするか悩んだのですが、宿へと連れ帰ることにした剣心。女性の名は雪代巴、ほかに行く宛のなかった巴はそのまま宿屋に住み込みで働くことになります。その日、桂小五郎が訪れ、剣心が襲撃された裏に内通者がいることを告げました。
 

時が過ぎ、尊王攘夷派志士が潜伏していた池田屋を近藤勇率いる新選組が襲撃した「池田屋事件」が起こります。すべてを失い、しばらく身を隠すことになった桂小五郎と落ち合った剣心と巴。桂は、お互い京から落ち延びるため剣心と巴に連絡が来るまで大津で夫婦として暮らすよう命じます。

辺境の村で夫婦として暮らすことになった剣心と巴は、村民とふれあい、畑を耕しながら薬屋を営む生活に幸せを感じ始めていました。ある日、剣心との何気ない会話から過去を振り返り我に返る巴。幼馴染の婚約者だった「清里明良」を殺した人斬り抜刀斎に復讐するため協力者の指示で接触しましたが、剣心の優しさに恋愛感情を抱き泣き崩れてしまいます。

巴のもとに実の弟である縁が訪れます。巴の協力者からの連絡係として接触してきた縁は、抜刀斎に天誅を下す手筈が整ったことを告げます。しかし巴は、縁にこれ以上このことに関わらず、父にかんざしを形見として渡すよう頼み江戸へと帰らせました。大好きな姉の婚約者を殺して姉の幸せを奪ったこと、抜刀斎に復讐心を抱いてたはずの姉の心境の変化に、縁は剣心に対し激しい憎悪を抱くのでした。

その夜、巴は剣心に江戸の家族や幼馴染の許嫁が京で命を落とした事を語ります。そして剣心に寄り添い、清里の想いが複雑に絡みながらも剣心への想いを伝えます。剣心もまた、巴と過ごした生活で見つけた幸せ、犯してきた過ちと償う道を語り、巴に「君の幸せは俺が守る」と誓います。その言葉に巴は初めて心の底からの笑顔を見せるのでした。しかし巴は寝ている剣心に最後の別れを告げ、剣心のもとから立ち去ってしまいます。

巴を探す剣心のもとに長州藩士の飯塚が訪れ、巴が内通者だったことを聞かされます。部屋に残されていた巴の日記を読み、真実を知った剣心は急いで巴の元へと向かうのですが、巴の協力者「闇乃武」との戦いで視覚と聴覚を封じられてしまいます。

「闇乃武」の頭領から、抜刀斎の弱点にするために接触させ、自分の愛した女が間者（スパイ）だと知り、心を取り乱した状態の所を迎え撃つ計画だったことを知った巴は、持っていた短刀で自害を試みるが頭領に止められてしまいます。そして頭領から「清里がなぜ亡くなったのか」を悟られ、涙を流し葛藤します。

満身創痍の剣心は頭領との戦いで窮地に陥ってしまいます。そして頭領が巴から奪った短刀でとどめを刺そうとしたその時、巴が剣心を庇って二人の間に割って入ります。しかし、視力と聴覚が封じられていた剣心は巴ごと切り伏せてしまいます。白梅香の匂いで存在に気づき近寄りますが、巴は取り返した短刀で清里が付けた傷と交差するように左頬に傷を付け「ごめんなさいあなた」と言い、息を引き取るのでした。

「るろうに剣心・追憶編」の評価が高い理由に背景の美しさが挙げられます。鮮やかで繊細に描かれた風景や建造物、四季は1幕毎に移り変わり、舞い落ちる桜の花びら、夏の陽光、赤く色づいた紅葉、降り積もる雪など四季折々の日本風景がとても美しく、季節の情景を感じられます。「日本の四季折々を徹底的に描く」を掲げて制作された「るろうに剣心・追憶編」の美しさは、大作の長編アニメ映画にも匹敵します。

「るろうに剣心・追憶編」で流れる音楽もファンの間から高い評価を得ています。追憶編の音楽を担当したのは、アニメ・ゲーム・ドラマなど数多くの作品に楽曲提供を行っている作曲家、岩崎琢。岩崎氏が作曲した、時には力強く時には哀愁漂う数々の美しいメロディは美麗作画と相まって物語を引き立てます。使用された音楽が収録された追憶編のサウンド・トラックも好評を博しており、岩崎氏の最高傑作との呼び声も高いです。

「るろうに剣心・追憶編」のリアルを追求した演出は、当初は批判があったものの最終的には称賛されています。特に剣戟シーンが素晴らしく、原作のような超人的身体能力で戦い必殺技を叫ぶといった描写は一切ありません。原作、アニメファンからの批判を想定した上で制作された、首や四肢が切断されて血しぶきが飛び散り、侍が死に物狂いで斬り合う泥臭くて残虐な演出は海外でも好評を博しています。

史実を織り込んだ歴史背景、剣心の純粋な愛と巴の切なすぎる愛憎劇が泣けると、「るろうに剣心・追憶編」のシナリオの完成度の高さも絶賛されています。もちろん脚本は原作をベースにして制作されてるのですが、そこには制作陣のこだわりが詰まっており、厳選して決められた一切無駄のない台詞と細心の注意を払った心情描写、リアルを追求した脚本は作画や音楽と同じく作品の質を高めています。

桂小五郎、高杉晋作、新選組といった幕末に活躍した歴史上の人物が数多く登場し、実際に起こった出来事「池田屋事件」も物語に深く関わっています。これらは原作では数コマもしくは会話のみの登場でしたが、本作では見せ場が増えており、特に話題になったのが新選組一番隊組長沖田総司の活躍。原作では殆ど登場することはありませんでしたが、追憶編では剣心と一戦交えるシーンがあり、「池田屋事件」では戦闘シーンも描かれています。

「るろうに剣心・追憶編」では、原作とは異なる演出が多く見受けられるのですが、中でも原作よりも好評だったのがラストシーンです。原作では剣心が巴を斬りつけた時、宙を舞った短刀が偶然にも剣心の左頬を斬りつけたのですが、「追憶編」では自ら剣心の左頬に斬りつけています。このラストシーンの変更はかなり評判が良く、原作以上に相応しいラストと反響を呼びました。

海外（主に英語圏）で放送された「るろうに剣心」のＴＶアニメ版タイトルは、そのまま変更せずに「Ruroni Kenshin」として放送されましたが、劇場版とOVAは「Samurai X」の名前に変更されています。海外では知名度が高くコアなファンが多い日本の武士「サムライ」と剣心の十字傷に見立てた「X」を掛け合わせて「Samurai X」になりました。

しかし海外ではこの名前は不評だったらしく、大絶賛された「るろうに剣心・追憶編」の中で唯一のマイナス点。ちなみに余談ですが、「るろうに剣心」原作者の和月伸宏氏はこの「Samurai X」の名前を気に入っており、自身の別作品にも武器名で登場させています。

「るろうに剣心・追憶編」を見た海外のアニメファンからは大絶賛の嵐で、美しい背景や音楽、リアルで迫力ある剣劇シーン、儚く悲しい物語、全ての面で高い評価を得ています。あまりの完成度の高さに、今まで見たどのアニメ・映画よりも面白いと「るろうに剣心・追憶編」をアニメ史に残る最高傑作だと称し、追憶編に対する人気は数々の大作アニメやハリウッド映画と肩を並べられるほどです。

「るろうに剣心・追憶編」が海外で発売されると、追憶編を見た海外のアニメファンからの口コミで人気を呼び大ブレーク。日本で言うところの「オリコン」のような存在、北米の音楽雑誌「ビルボード」の全ビデオソフト売り上げランキングでは長期にわたりベスト10に入り続け、並み居る人気作を抑え最高7位を獲得しました。

「るろうに剣心・追憶編」の快進撃はこれだけにとどまらず、「Anime insider」海外アニメ批評家が選んだ歴代トップ50では30位。「5000 Best Movies」の総合部門、ベスト映画に選抜された5000作品中の410位、アニメのみだと33位。北米最大規模のアニメ紹介サイト「Anime News Network Top10」では4位を獲得するなど様々なメディアのランキングで「追憶編」の名前が入りました。

発売当初は今までと違う作風が国内では不評だった「るろうに剣心・追憶編」ですが、先に海外で火が付き大ブレーク、作品の完成度の高さが全世界で絶賛されました。海外でも人気がある「アニメ」と「時代劇」この2つを併せ持つ世界で認められた傑作アニメ「るろうに剣心・追憶編」。原作やこの記事のあらすじやネタバレを知ってしまっても、視聴する価値は大いにあるので未視聴の方はぜひ見てください。