2019年06月30日公開
2019年06月30日更新
【ゴールデンカムイ】都丹庵士は生きている?盲目のガンマンにモデルはいる?
ちばてつや賞受賞の漫画家・野田サトルによる「ゴールデンカムイ」。2014年週刊ヤングジャンプで連載が開始されるとすぐに人気に火が点きました。物語では脱獄囚たちの体に彫られた刺青を頼りに、隠された金塊を探すサバイバルバトルが展開されます。本作の主要登場人物の一人で盲目のガンマンとして知られているのが、本記事の主役・都丹庵士です。これから都丹庵士の死亡説の真偽やモデルとされている人物のことなど様々な情報をお届けしていきます。
都丹庵士はゴールデンカムイの刺青囚人の一人
ゴールデンカムイの作品情報
ゴールデンカムイは、ちばてつや賞受賞の漫画家・野田サトルによる漫画です。2014年に「週刊ヤングジャンプ」で連載が開始されるとたちまち大人気となりました。物語では隠された金塊を探してバトルが展開されますが、まずは金塊の手掛かりとなる体に刺青を彫られた脱獄囚たちを追跡することから始まります。
コミックスでは第19巻発刊の時点で1000万部を突破し、「マンガ大賞2016」で 1位を受賞。さらにアニメ化もされTOKYO MX、読売テレビなどで2018年4月に第1期が、同年10月には第2期の放送が開始されました。2019年6月現在、Huluなどの動画配信サイトでも観ることができます。
ゴールデンカムイの概要
ゴールデンカムイは、アイヌ人が残した金塊を血眼になって探すグループと、金塊の在りかの手掛かりとなる刺青を入れた脱獄囚たちとの間で展開されるサバイバルバトルが圧巻の漫画です。
一方で、ゴールデンカムイにはグルメ漫画としての見所も用意されています。ヒロインのアシリパがアイヌに伝わるゲテモノ料理を作って披露すると、腹を空かせた主人公の杉元佐一が気持ち悪そうに食べるシーンが面白いとファンの間で評判になりました。
ゴールデンカムイのあらすじ
明治時代末期、日露戦争が終結し主人公の杉元佐一も戦地から引き揚げてきました。急を要する事情で大金を工面しなければならなくなった杉元は、遥々砂金が採れるという北海道・樺太にやって来ます。砂金を手にできずに焦る杉元のもとに、ある日アイヌ人が残したという金塊の情報が入ります。杉元が調査すると、現在網走監獄に服役している”のっぺらぼう”という囚人が金塊を強奪して隠したということがわかりました。
さらに調べると金塊の隠し場所は、”のっぺらぼう”が刑務所を脱獄した囚人たちの体に刺青として残したことが判明します。早速杉元は金塊強奪時に父親を殺されたというアイヌの少女・アシリパに接触、一緒に囚人たちに彫られた刺青の絵柄を探ります。
ところが、刺青の情報は金塊を探している他のグループにも伝わっていました。こうして日本最北の荒野を舞台に、壮絶な金塊争奪バトル開始のゴングが打ち鳴らされたのです。
都丹庵士の人物像
ここからは本記事の主役・都丹庵士(とにあんじ)の人物像について解説します。都丹庵士は、金塊の在りかの手掛かりとなる刺青を持つ脱獄囚の一人です。服役中強要された硫黄山での硫黄採掘で亜硫酸ガスを浴び失明していました。
都丹は耳に集音用の覆いを装着し、舌を鳴らして反響した音から周囲の状況を察知することでハンディを感じさせない身のこなしを手に入れていました。舌を鳴らす音が下駄を履いて歩く足音に似ているところから「天狗の下駄音」と呼ばれ恐れられています。硫黄採掘で視力を奪われた恨みから、鉱山会社の重役を次々に襲ってはなぶり殺しにしていました。
都丹庵士は生きている?
都丹庵士は生きていた
都丹庵士の経歴については、人物像の項で説明した通りです。網走監獄を脱獄後は、同じように硫黄山での苦役によって失明した囚人たちを従えて、屈斜路湖周辺を根城として強盗を繰り返しながらも、死亡することなく何とか生きていました。
両耳の集音装置や舌で音を立てその反響から周囲の状況を把握するなど、鋭敏になった聴覚や嗅覚により常人と変わらぬ動きを獲得していました。また、音だけを頼りに高い命中率を誇る射撃の名手でもありました。
都丹庵士の再登場
都丹庵士は、登別の鄙びた温泉宿で働きながら堅気の生活を送っていました。かつて強盗を繰り返していた都丹庵士からは想像できないほどの変貌ぶりでした。
アシリパに「こんなことをしていては闇から抜け出せない」と窘(たしな)められた都丹庵士でしたが、その言葉に後押しされたのか、人様に後ろ指を指されない人生を選択したかに見えました。
按摩師をする都丹庵士
都丹庵士は温泉宿で按摩師として真面目に働いていました。しかし、これにはある事情がありました。都丹が生活の拠点としていた登別温泉は、かつて日本軍の第七師団が療養地として使っていました。つまり都丹庵士因縁の第七師団ゆかりの場所だったのです。
按摩師は情報収集のため
実は都丹庵士は仲間を引き連れてこの地に潜入し、第七師団の情報を収集しては土方に伝えていたのです。このことから、都丹庵士が未だ土方に協力していることが判明しました。
下駄男の正体とは
一方第七師団では「真っ暗な雪山を灯りも持たずに駆け下りていった下駄男」のうわさで持ちきりでした。その下駄男を見たという兵士・有古と彼の上長・菊田がその後の足取りを追っていました。「変な模様の服を着ていた」という有古の目撃証言をもとに調査を続けるうち、有吉の見たものが実は服ではなく刺青の模様だったことが判明します。
すでにお判りのように、菊田が追跡していたのは本記事の主役・都丹庵士本人だったのです。有吉が下駄だと思ったのは都丹が鳴らす舌の音でした。また顔こそ見られませんでしたが、都丹は特徴の刺青を目撃されてしまいました。
盲目のガンマンは最強
追手が第七師団と知って遅かれ早かれ見つかってしまうことを悟った都丹は、自分から先制攻撃を仕掛けることにしました。それは夜の闇を利用した襲撃で、都丹の得意分野でした。ところが、都丹の思惑通りには進まず、準備万端整えていた菊田の巧みな戦略や宇佐美らの加勢もあって都丹は徐々に劣勢となっていきます。
起死回生を図る都丹庵士は暗闇の坑道で菊田らを待ち伏せにして反撃、なんとか窮地を脱します。圧倒的な戦力の差を物ともせず盲目のガンマン・都丹庵士は、優勢のうちにバトルを繰り広げます。ところが、鋭い洞察力と巧みな戦略に加えて自然まで味方にした菊田らを前に、都丹は雪崩に巻き込まれてしまいました。
3度目の窮地とは
2度にわたり命を失いかけた都丹庵士ですが、今度は自然の猛威によって絶体絶命の窮地に追い込まれてしまいました。安否は不明ですが、これまでの経緯から推察しても都丹が簡単に命を落とすことは考えられないでしょう。「天から役目なしに降ろされた物はひとつもない」というこの作品全体を貫くテーマの通り、都丹の担っている役割が残っている以上彼の命も保証されているのではないでしょうか?
もっとも菊田ら追っ手に抹殺されるのが都丹の役目だというのであれば話は別です。都丹庵士が死亡してしまったかどうかが、彼の役割を明らかにする分水嶺だと言えるのかも知れません。
都丹が今もなお土方に協力していたことが判明しましたが、それが土方を尊崇してのことなのか、あるいは土方を支援することで自分の思いを実現できるからなのかは未だわかりません。そうした謎はこれから解明されていくと考えられますので、都丹庵士にはまだまだ役目が残っていそうです。
都丹庵士・盲目のガンマンにモデルはいる?
都丹庵士のモデルはトニー・アンソニー
刺青を入れた脱獄囚の一人として登場したけ都丹庵士。とにあんじと読みます。いくら大正時代の人名とは言え、日本人の名前としては違和感があります。実は、都丹庵士はあるキャラクターをモデルとしているというのです。
都丹庵士というキャラのモデルとなったのは、アメリカの映画俳優トニー・アンソニー(1928年10月25日~2006年1月19日)とされています。トニー・アンソニーは、1960年代以降に隆盛を極めたのマカロニウエスタン・ブームに乗って成功した俳優の一人です。主な作品に1967年の「暁の用心棒」や1972年の「盲目ガンマン」があります。
トニー・アンソニーは盲目のガンマンの主役
原作者の野田サトルが都丹庵士というキャラを作る上でモデルにしたのが、トニー・アンソニーが主役を務めた1972年の映画「盲目のガンマン」の主人公と言われています。これは、題名通りに主人公の盲目のガンマンが活躍する映画で、トニー演じるガンマンは、銃をスマートに使うというよりはダイナマイトなどをで泥臭くバトルを展開します。窮地に陥ってもしぶとく生き残るところは都丹庵士に通じるものがありました。
ガンマンとしてのスタイルを崩すことなく攻撃を仕掛ける都丹庵士ですが、トニー・アンソニーや盲目のガンマンがモデルとなっているのなら、今後本格的な戦闘が始まった時にはモデルとなったトニー・アンソニーよろしくダイナマイトなどの武器が飛び出してくるかも知れません。
都丹庵士が死亡説になった流れとは
杉元チームと戦闘した都丹庵士
ここからは、都丹庵士死亡説が生まれた背景について解説していきます。ゴールデンカムイ・コミックス12巻で初登場した都丹庵士は、休む間もなく戦闘に入ります。アイヌコタンで刺青囚人につながる情報を探していた杉元一行。彼らが最初に掴んだ情報が都丹に関するものでした。一方追っ手を気にかける都丹らは、杉元たちを犬童や鉱山会社が送りこんで来た刺客だと思い込み夜間に襲撃を仕掛け戦闘へと発展します。
都丹らの奇襲攻撃に、温泉でのんびり入浴していた杉元たちは慌てます。無防備な状態でしかも月明かりのほとんどない闇の世界での戦闘を強いられます。微かな音を頼りに正確無比な狙撃を身上とする都丹と、微かな光さえあれば正確に敵を狙撃出来る尾形との一騎打ちの様相を呈し、一瞬の気の弛緩が死亡を招く緊張の連続となりました。
土方の仲裁で九死に一生を得る
都丹庵士と杉元との戦闘は、両者一歩も引かず睨み合いが続く中、間一髪のところで土方が登場、彼の仲裁によって終結を迎えます。敵を死亡させることなく刺青の情報を手に入れてきた杉元一行でしたが、今回の戦いではそんなことは言っていられないほど切迫していました。土方の仲裁がなければどちらか一方が死亡していたかも知れません。
緊迫状況から解放された都丹は、土方の「これから犬童典獄と喧嘩だ」という言葉で一転、敵の敵は味方という論理で杉元と協力関係を結ぶことになります。網走監獄侵入計画を遂行するため、都丹は杉元やアシリパらの先導役を自ら買って出ました。
2度目の命の危機
上述のように土方に促され共通の敵を倒すために杉元と手を組んだ都丹でしたが、敵の一人犬童によって頭にぶつけられた鉄球の一撃で戦闘不能に追い込まれます。都丹庵士にとって2度目の死亡を覚悟する危機となりました。
保護された後の描写がなかった
重傷を負ったものの、土方らに保護され教誨堂の地下に運ばれた都丹庵士。死亡していないことは確認されましたが、その後釧路へ向かう土方一行に都丹の姿はなく、以来本編から消えてしまいます。こうしたことが背景となって、都丹庵士死亡説が囁かれるようになったのです。
都丹庵士に関する感想や評価
謎めいている!
盲目のガンマン・都丹庵士特集の最後に、アニメ視聴者の感想や評価を紹介します。最初は謎めいた都丹庵士に興味を持たれた方です。何の罪で収監されのか不明だし、再会した土方をさん付けで呼んだり、盲目なのに優れた銃の腕前を披露したりと謎が多くあります。こうした謎を残しておくのも作家の技量のうちなのでしょうか?
都丹庵士って結局何の罪で収監された人なんだ? 硫黄山で失明して以降の動きは白石の解説とかがあるけど、再会した土方に対してはさん付けして「あなた」と呼び分けるくらいのリスペクトを持つし、網走監獄で初めて出会った土方は若かったと言うし、あの銃の技量といい、地味に謎めいてる。
— 隘路 (@airo_ao) March 12, 2019
年輪を刻む声優の声!
次の感想や評価は、アニメ版で都丹庵士の声を担当した声優・水島裕に関する件です。都丹庵士のようなドスの効いた声は好みではないとしながらも、こうした年配者の声を演じるようになった水島にファンならではの感慨を抱いたということでした。
もし、水島裕さんの声や演技が最初からこの都丹庵士ならファンにはなってなかったかも知れない。でも、ファンとしては裕さんがこの役をやるようになったことが感慨深く、嬉しい。デブゴンおじいちゃん役になるくらい時間が経った訳だから当たり前なのかも知れない。#ゴールデンカムイ
— 水玉裕 (@mizutamayu1) December 4, 2018
異色の存在!
都丹庵士に関する感想や評価、最後はゴールデンカムイのキャラの中にあって、都丹庵士はかなり異色な存在と分析する方です。杉元のように敵と見なせば躊躇なく殺害してしまうキャラが大半を占めるのに、出来る限り殺さずに済ませる道を探る都丹庵士は新鮮に映ったようです。
てか「今までの囚人とは」というより、ゴールデンカムイのキャラの中でも、都丹庵士はかなり異色かもしれん。
— 藤沢いと子 (@hujisawaito) June 29, 2017
一旦敵とみなせば、誰であろうと躊躇なく殺すキャラクターが大半(その最たるのが主人公の杉元)なのに、真剣勝負の場でも出来る限り不殺の道を探るあたり、杉元とはまた対極の存在かも。
都丹庵士は生きている?まとめ
ここまで、【ゴールデンカムイ都丹庵士は生きている?盲目のガンマンにモデルはいる?】と題して「ゴールデンカムイ」の都丹庵士にスポットを当て様々な情報をお届けしてきました。最後に本記事の内容をまとめてみます。
都丹庵士は、金塊に絡む刺青を持つ脱獄囚の一人です。服役中の硫黄採掘作業が元で失明しましたが、耳に付けた集音装置や鋭敏な聴覚のおかげで健常者と変わらない動きができ、射撃は超一流の腕前です。かつては強盗を繰り返す罪人でしたが、アシリパに諭されて温泉宿で按摩師として働き堅気の生活を送るようになりました。
実は按摩師は世を忍ぶ仮の姿で、療養で訪れていた第七師団の情報を土方に伝えていました。その後、都丹を追跡してきた杉元チームと対戦、ピンチに陥りますが駆けつけてきた土方の仲裁で九死に一生を得ました。土方に促され杉元と手を組み犬童典獄らを襲撃します。そこで犬童により鉄球を頭にぶつけられ重傷を負ってしまいます。その後、消息が一切不明なため都丹庵士死亡説が囁かれています。
また、都丹庵士というキャラにはモデルがあり、アメリカの俳優トニー・アンソニーが主役を務めた映画「盲目のガンマン」の主人公がモデルとなっているとされています。それでは皆さんもこの記事をきっかけにゴールデンカムイの異色の存在、都丹庵士についてさらに洞察を深めてみてはいかがでしょうか?