2019年04月02日公開
2019年04月02日更新
ピンクの象がトラウマになる?アニメ映画ダンボ(1941)の怖いシーンを考察
皆様はディズニー映画のダンボに登場したピンクの象はご存知でしょうか?ディズニーアニメ映画ダンボのワンシーンにおいて5分間奇妙な姿をしたピンクの象が踊り続けるといった怖い映像が流れ続け、多くの子供たちにトラウマを植え付けました。では多くの子供たちにトラウマを植え付けた怖いピンクの象とはいったいどのような意味が込められているのでしょうか。本記事ではそんなピンクの象についてアニメ映画ダンボの作品情報を交えてピンクの象に関する情報をまとめてご紹介していきます。
ピンクの象が登場するアニメ映画ダンボ
アニメ映画ダンボ(1941)の作品情報
非常に怖いと話題を集め、多くの子供たちにトラウマを植え付けたダンボは1941年に制作されたアメリカの長編ディズニーアニメ映画です。アニメ映画ダンボは誰もが知る大きな耳を持って黄色い帽子を被ったディズニーキャラクターダンボを主人公にしたアニメ作品であり、このダンボを中心に家族との絆を描いた物語が展開されます。また日本では1951年に「空飛ぶゾウダンボ」というタイトルで上映され、非常に人気を集めました。
ディズニーアニメは基本子供を対象に制作した作品が多く、本作のダンボもかわいいキャラクターデザインから子供向けの作品のように見えます。しかしアニメ映画ダンボはディズニーの作品では珍しく大人向けの作品となっており、非常にアーティスティックで哀しいシリアスな物語が描かれています。また作品内で奇妙な像がダンスをするトラウマとなる怖いシーンが描かれており、当初映画を観た人を驚愕させました。
しかしこのことでアニメ映画ダンボは大人からの支持を大きく集めることになり、今現在ではディズニーを代表するアニメ作品として幅広い層から人気を集める作品となりました。そんなトラウマを植え付けると共に人気を集めたアニメ映画ダンボは「アリス・イン・ワンダーランド」や「チャーリーとチョコレート工場」などの作品で監督を務めたティム・バートンを監督に起用し、2019年の3月29日に実写化が決定しました。
新たに実写化が決定したことでアニメ映画ダンボは再度注目を浴びることになり、多くのディズニーファンから期待を集めています。本記事ではそんな人気が再沸騰しているアニメ映画ダンボに登場するトラウマを与えるほど怖いといわれるピンクの象について、怖いといわれる理由やピンクの象の意味についてまとめましたのでご紹介していきます。
アニメ映画ダンボ(1941)のあらすじ
ではまずアニメダンボに登場するピンクの象についてご紹介する前に、アニメ映画ダンボの簡単な物語のあらすじをネタバレ紹介していきます。ある日サーカスに所属する象のジャンボのもとに赤ちゃんを運ぶコウノトリが現れます。サーカスの一団に現れたコウノトリはトラやクマ、キリンなど様々な動物の赤ちゃんを配達していきました。そして最後に象の赤ちゃんがジャンボのもとに配達されてきます。
サーカスの一団は配達されてきた象の赤ちゃんをさっそく見に行きます。しかし配達されてきた象の赤ちゃんは巨大な耳をした奇形の象であり、サーカスの一団は驚愕します。ジャンボは当初象の赤ちゃんにジャンボ・ジュニアという名前を付けていましたが、醜い姿を笑ったサーカス団は象の赤ちゃんにダンボという名前を勝手につけます。赤ちゃんを差別されたジャンボはダンボを抱きしめ、一人愛情を注ぎます。
しかしダンボへの差別が止まることはなく、サーカスを見に来た子供たちにダンボがいじめられてしまいます。その光景を見たダンボは怒りを爆発させ、子供たちを追い返します。サーカス団が怒り狂うジャンボを止めようとするものの、ジャンボの怒りが収まることはなく、凶暴な象として隔離されてしまいます。このことでダンボは一人取り残されることになり、辛い孤独な人生を歩み始めることになるのでした。
ピンクの象がトラウマに?
ピンクの象が怖い・トラウマになると話題に
アニメ映画ダンボは物語の序盤で象の母であるジャンボが差別されるダンボを抱きしめて愛情を注ぐ様子が描かれており、非常に親子の絆を感じる映画です。ダンボはアニメではかわいい印象を受けるのですが、現実的に考えると奇形で生まれた子供です。また映画が公開された1941年は差別などが日常的に行われていた時代であり、奇形の赤ちゃんを抱きしめるジャンボの姿には称賛の声を多く集めることになりました。
一見このシーンだけ観ると親子の絆が描かれた非常に心温まる映画と思う方も多いことでしょう。しかしそれは映画の中盤になると一気に覆されてしまいます。ある日ダンボはサーカスに失敗したことでピエロにされてしまい、落胆します。そしてダンボは失意の中で誤ってシャンパンが入った水を飲んでしまいます。ダンボはそこで奇妙な姿をしたピンクの象の幻覚を見ることになり、多くの子供たちにトラウマを与えることになりました。
ピンクの象のトラウマシーン
ではなぜダンボが見たピンクの象の幻覚がトラウマを与えるほど怖いと話題になっているのでしょうか。それは幻覚に現れたピンクの象の姿が原因とされています。ピンクの象は最初愉快なミュージカルに合わせて縦横無尽に歩きまわります。すると突然ピンクの象はミュージカルの曲調に合わせてダンスやスケートを始め、奇妙で怪しい動きを開花させていきます。
ダンスが終わったと思えばピンクの象は突然ピラミッドのような形をした巨大な目に変わります。そしてピンクの象はラクダなどの動物と合体したような姿で登場し、目の前に歩いてきます。ほかにもピンクの象は分裂したり南泰もの象が合体するなど意味不明な動きをし、非常に不気味で怪しい動きで視聴者を惑わせます。この奇怪なピンクの象を見た子供たちは非常に怖い思いをしてしまい、トラウマを植え付けることになりました。
しかし大人がこのアニメ映画ダンボのピンクの象が登場する場面を見るとまた違った感情を抱きます。実際子供から見れば意味不明で不気味な怖いシーンとなっているのですが、ピンクと黒で表現された世界に美しさを感じます。また意味不明な動きをするピンクの象も今現在でも通用する表現が加えられており、非常に芸術的なシーンとして大人からは高い評価を集めています。
ピンクの象の海外での扱い
ピンクの象の海外での扱い①英語圏
怖いシーンから多くの子供たちにトラウマを植え付けたピンクの象ですが、各国で扱いが大きく異なっています。まずアメリカなどの英語圏では昔から「Seeing pink elepfant」という言葉が使用されています。この言葉を訳すとピンクの象が見えるといった言葉になり、映画ダンボで使用される以前からピンクの象という表現が使用されていたことが分かります。
また英語圏で使用されているこの言葉はアルコール依存などの影響で気が狂っているという意味が込められており、映画ダンボでピンクの象が描かれたシーンと全く同じ意味となっています。かなり古い言い回しであることから今現在使用されてはいないものの、映画ダンボのピンクの象を見た方からはドラッグを使用しながら映画を作ったに違いないと比喩されています。
ピンクの象の海外での扱い②タイ
英語圏では差別的な言葉として扱われているピンクの象ですが、タイでは全く逆の意味が込められた言葉となっています。タイという国は非常に神話的要素が強い国であり、インドと同じように象の姿をした神様がいます。そんなタイは神様を信奉していることから数多くの寺院が建てられており、その中で「ワット・サマーンラッタナーラーム」という寺がピンクの象と関係が深いことで有名です。
この「ワット・サマーンラッタナーラーム」という寺の内部にはピンク色をした巨大な象が寝そべって置かれており、タイの観光客に人気のスポットとなっています。このピンクの色をした巨大な象はガネーシャというヒンドゥー教の神様であり、商業や学問の神様として祀られています。またこの「ワット・サマーンラッタナーラーム」にあるピンクの象は夢を叶えてくれる象ともいわれており、非常に人気の高い聖地となっています。
このことからタイではピンクの象は人々の幸福を現す言葉であり、映画ダンボのピンクの象のイメージとは全く逆の意味が込められています。このように英語圏とタイでは全く違う言葉となっており、国によってピンクの象へのイメージが全く異なることが分かります。もしタイのピンクの象にご興味があれば、一度旅行で訪れてみるのもいいのではないでしょうか。
ピンクの象やダンボのトリビア集
トリビア①サーカスの周りの人々の意味
映画ダンボに登場する人間は動物たちを虐待しており、特にサーカスの団長は象に差別的な言葉を投げかけます。ほかにも映画ダンボには雑用をする黒人労働者やピエロの集団などが登場しており、非常に風刺的な意味が込められた作品です。アニメ映画ダンボが公開された1941年という年は未だ差別が日常的に行われていた時代であり、特にピエロは見世物として非常に差別される存在でした。
作中でもピエロへの差別が描かれており、ピエログループに所属したダンボは同じ象のおばぁちゃんたちに象の面汚しだと悪態をつかれます。そんなダンボは映画の結末でピエロとして大成功を収め、サーカスの団長に給料を上げるよう掛け合います。これは差別されているピエロも同じ人間であり、平等の立場にあるという風刺が込められていると考えられます。
トリビア②日本のダンボは話す
ディズニーのキャラクターは動物でありながらも言葉を話すことで有名です。しかしダンボは当初言葉を喋らないキャラクターという設定が施されていました。しかしディズニーの人気がそこまで高くなかった日本で公開された際、ダンボは吹き替えられることになり、言葉を喋るキャラクターへと変更されました。言葉を喋るダンボは非常に珍しく、ダンボが喋るのは日本で公開された映像のみとなっています。
今現在ディズニーは世界的人気を誇る作品となっているため、ダンボが喋るというミスは起こることがないと考えられます。これについても映画ダンボが公開された1941年という時代背景を伺うことができる貴重な資料といえるでしょう。
トリビア③空飛ぶダンボはピンクだった
ディズニーランドの人気アトラクションである空飛ぶダンボは今現在世界で4か所しか設置されていません。そんな空飛ぶダンボは元々色がグレーではなくピンク色でした。実は元々映画ダンボでトラウマを与えたピンクの象をモチーフに制作しており、ピンク色になったといわれています。そしてウォルト・ディズニーがピンク色になっていることに激怒し、本来の色であるグレーに変更されたそうです。
上述でご紹介した通りピンクの象はアルコール依存で幻覚を見ている人の比喩表現であり、英語圏では差別的意味が込められた言葉でした。このため子供にとって夢の国であるディズニーランドには極めてふさわしくないものになります。こういった理由でウォルト・ディズニーは強制的にグレーへと変更したのではないでしょうか。
トリビア④TBS版ダンボのナレーション
映画ダンボは1941年に公開された後、20年の時を経て日本で公開されることになりました。日本で放送されたダンボには様々な種類があるのですが、その中でTBS版のダンボでは政治家の河野洋平がナレーションを務めていました。今現在では到底ありえない話ですが、当時は「わんわん物語」で浅沼次郎が声優として出演するなど、政治家がアニメ作品に出演することはあまり珍しいことではなかったといわれています。
ピンクの象やダンボに関する感想や評価は?
ディズニーアニメのダンボはすごーくすごーく大好きなんだけど、ピンクの象のシーンは怖すぎてとばしちゃう。
— タザワエミ (ドブリン) (@tazawa_emi) March 22, 2019
新しい映画のダンボもあのシーンあるよね…??
うーん…観たい…けど、怖い…。
映画ダンボにおいてピンクの象が登場するシーンは非常に不気味で奇妙であることから多くの子供たちにトラウマを植え付けることになりました。上記の感想にもある通り、このトラウマは今でも覚えている人が多く、映画ダンボを見る時はピンクの象が登場するシーンを飛ばして観る方が多いようです。しかし大人になればイメージも変わるため、一度勇気を出して観てみるのもいいのではないでしょうか。
ティム・バートンの『ダンボ』観た!
— くま@べあ (@kuma_zombi) March 30, 2019
ダンボは思っていたよりかわいいし、バートンらしいフリーク趣味やちょっとダークな味付けも良かったんだけど…一番期待していたアニメ版で一番気色悪いピンクの象のシーンが意外にもあっさりだったのが残念!
トラウマ必至のシーンにして欲しかったなぁ〜 pic.twitter.com/JhYJpgErVi
アニメ版ダンボを実写化した映画にはピンクの象があまり怖くなくて残念だったという感想が見受けられました。アニメ版はトラウマになるほど強烈な印象を与えたシーンとなったのですが、実写映画版だとあっさりとしたシーンに変更されており、あまり怖くありません。もしかすると子供でも楽しめる映画にするためにピンクの象が登場するシーンを変更したのではないかと考えられます。
ダンボ(アニメ)はラストが泣けるんだよ!
— あい (@real_u_dream) March 30, 2019
空から飛んできたダンボと母親が再会して包み込んで、ダンボが「お母さん…」て甘えるの。
これ打ってて泣きそう。
ダンボが捕まってるお母さんのところに行くんだけど、高い檻越しだから、お母さんが鼻だけ出してダンボを抱っこしてユラユラあやすの。
アニメ映画ダンボに関する感想では象の親子愛に感動したという感想が多く集まってます。アニメ版ダンボは差別されてしまうダンボを母であるジャンボが必死になって守ります。その中でダンボと再会したジャンボが子供を抱きしめるシーンは非常に感想するシーンとなっています。ピンクの象だけが有名になりすぎているのですが、アニメ版ダンボの物語は純粋に感動できる名作アニメ作品となっています。
ピンクの象のトラウマシーンまとめ
本記事ではアニメ版ダンボで描かれたピンクの象についてトラウマといわれている理由や映画の豆知識などについてまとめてネタバレ紹介させて頂きました。ピンクの象は不気味で意味不明な動きをすることで子供たちに恐怖を与え、トラウマとなって根付いています。しかし大人になれば芸術性を感じることが出来るシーンといわれており、もしトラウマとなっている方は是非一度勇気を出してチェックしてみてください。