去年の冬、きみと別れの原作小説をネタバレ!あらすじ・結末や感想も紹介

2013年に幻冬舎より刊行された中村文則のサスペンス小説『去年の冬、きみと別れ』。「実写化不可能」とも言われていた本作ですが、2018年に岩田剛典主演で実写映画化し注目されました。映画を見て原作本に興味を持たれた方、タイトルを聞いて興味が湧いたという方も必見。一度手に取ってほしい小説『去年の冬、きみと別れ』のあらすじから結末、そして小説を読んだ方の感想までをネタバレいたします!小説の構造を巧みに利用した、究極の叙述トリックにあなたも騙されてみませんか?

去年の冬、きみと別れの原作小説をネタバレ!あらすじ・結末や感想も紹介のイメージ

目次

  1. 去年の冬、きみと別れの原作小説のあらすじが気になる!
  2. 去年の冬、きみと別れの原作小説のあらすじをネタバレ!
  3. 去年の冬、きみと別れの原作小説の結末をネタバレ!
  4. 去年の冬、きみと別れの原作小説の伏線や謎をネタバレ解説!
  5. 去年の冬、きみと別れの原作小説を読んだ感想とは?
  6. 去年の冬、きみと別れの映画も要チェック!
  7. 去年の冬、きみと別れの原作小説のネタバレまとめ!

去年の冬、きみと別れの原作小説のあらすじが気になる!

2013年に幻冬舎より刊行された中村文則のサスペンス小説『去年の冬、きみと別れ』。映画『脳男』や『グラスホッパー』も手掛けた瀧本智行監督が岩田剛典主演で制作した2018年の映画『去年の冬、きみと別れ』の原作小説でもあります。

映画を観て原作小説に興味を持たれた方も多いのではないでしょうか?結末を知ると思わず目を丸くしてしまう中村文則の小説『去年の冬、きみと別れ』のあらすじや結末、感想をネタバレいたします!

映画『去年の冬、きみと別れ』オフィシャルサイト

去年の冬、きみと別れの原作小説のあらすじをネタバレ!

それでは、さっそく気になる中村文則作小説『去年の冬、きみと別れ』の作品情報、そしてあらすじをネタバレ解説してまいります。複雑で緻密な伏線の回収、そして明かされる衝撃の結末。思わず「やられた!」と唸ってしまう結末もネタバレしますので、結末は直接小説を読んで知りたいという方はご注意ください!

去年の冬、きみと別れの原作者は中村文則さん

中村 文則(なかむら ふみのり)さんは1977年9月2日生まれで、愛知県東海市出身の小説家です。2002年に『銃』で第34回新潮新人賞を受賞しデビューを果たします。2005年には『土の中の子供』で第133回芥川龍之介賞を受賞、また2010年には『掏摸』で第4回大江健三郎賞を受賞。作品は各国で翻訳され、2014年に日本人で初めて米文学賞デイビット・グディス賞を受賞。

他の著作には『悪意の手記(2005年)』『世界の果て(2009年)』『悪と仮面のルール(2010年)』などがあります。また「人間とは何か、世界とは何か」という問いに正面から挑んだ大作『教団X』や、全体主義が世の中に蔓延する近未来のディストピアを描いた『R帝国』など、人間の中に眠っている深い闇やタブーに迫る鋭い内容、かつミステリーと順文学性を兼ね備えている作風が人気で近年注目を浴びている作家です。

『去年の冬、きみと別れ』原作小説の冒頭

あらすじを紹介する前に、原作小説の冒頭を予めご紹介します。原作小説を開くとまず冒頭に、「M.Mへ そしてJ.Iに捧ぐ。」というイニシャルを交えた文章が書かれています。著者が恩人、助言者などに感謝の気持ちを込めて送る言葉「献辞」です。

冒頭に献辞が書かれている小説は良く目にしますが、『去年の冬、きみと別れ』の冒頭にも献辞が書かれています。どことなく気になってしまうイニシャル「M.M」そして「J.I」とは誰の事なのでしょうか。特にあなたに読んでもらいたいという気持ちを表す献辞…中村文則さんと関係のある人なのでしょうか。このイニシャルを頭の片隅に置いたまま、あらすじネタバレへ進んでいきましょう。

あらすじネタバレ①木原坂雄大との出会い

ライターの「僕」は、ある犯罪者に関する本を執筆する仕事に取り掛かっています。その犯罪者とは、既に死刑判決を受けている「木原坂雄大」。35歳でアート写真専門のカメラマンを職業としながらも、主に祖父の遺産で生活をしている男性です。

被害者である「吉本亜希子」と「小林百合子」二人の女性を燃やして殺害した罪で起訴され、一審で死刑判決が言い渡されました。本を執筆するため拘置所に足を運び、木原坂の内面を知ろうと面会する「僕」。

“知る覚悟はあるのか”と聞いてくる木原坂に対し、戸惑い不気味さを感じます。しかしその中でも木原坂に関して分かった事は、両親のネグレクトにより幼い頃姉と共に児童養護施設で暮らしていたという事。カメラマンとしての評価は高く、「蝶」という作品は海外で受賞しているという事。さらに「K2」と呼ばれるサークルに足を運んでいるという事が判明します。

あらすじネタバレ②木原坂に対する疑問

面会を重ねて木原坂の内面を知るうちに、「僕」は一つの疑問へ辿りつきます。「被写体が、つまり人間が燃えている情景を、なぜ木原坂は撮らなかったのか」という事。つまり、木原坂のような猟奇的な芸術家なら“被害者が燃えている写真”を撮らなかったはずがないという疑問が浮かび上がってきます。

“燃えている女性を撮影したい“という狂気的な信念こそが、二人の女性を焼き殺した動機だと「僕」は考えます。木原坂の内面を知って行く事で「僕」は、本当に木原坂が犯した殺人事件なのか分からなくなり、この事件に対し違和感を覚えて行くのでした。

あらすじネタバレ③木原坂雄大の姉・朱里との接触

取材の中で、木原坂の姉・朱里と接触する事になります。指定された古びた旅館で始めて会った際、朱里は「僕」に対して「私達の領域にまで、来る事が出来ない」「あなたには、とても私達の本は書けない」と突き放します。しかし「僕」は再度朱里との接触を試み、彼女の自宅を訪れます。どこか儚げで色気を感じさせる朱里の雰囲気に飲み込まれた「僕」は、彼女の誘惑に負けて口付けを交わします。

彼女の手によって絶頂を迎えた「僕」を見下ろした朱里は、「…私を助けて」と謎の台詞を言い残します。その後木原坂との面会時、「姉は心を病んでいて、これまで交際した男性二人を自殺に追い込んだ」という彼女が持つ別の顔を教えられます。木原坂雄大の姉・朱里がどのような秘密を抱えていて、何から救いだして欲しいのか分からない「僕」は、彼女の秘密を知る為にもさらに取材を続けて行きます。

あらすじネタバレ④K2という謎のサークル

木原坂雄大は事件前、K2という謎のサークルに所属していました。「僕」は木原坂を調査するためにK2に接触することにします。調査を進めていく内、K2がある天才人形師の愛好家達を集めたサークルという事が判明し、K2のメンバーや天才人形師との接触を試みる「僕」。人形師の屋敷へ行き、木原坂や“人形”に関する話を聞くことになります。

「つくってはならないもの、存在してはならないような人形を作りたい」という人形師。死人を蘇らせる事が出来ると言う狂気じみた人形師の話を聞く内に、木原坂が求める芸術性の異常性が分かってきます。さらに「美しくなると思った。彼女が死ねば、彼女を撮った自分の写真が」と呟いた人形師。

「僕」はK2と接触した事で、木原坂が殺人を犯した動機は「芸術のために、女性を二人焼き殺したのではないか」と確信。その真相は一体…?

去年の冬、きみと別れの原作小説の結末をネタバレ!

ここまで中村文則の小説『去年の冬、きみと別れ』のネタバレあらすじをご紹介してきました。「僕」と木原坂雄大の関係、姉の朱里に関して、そして謎のサークルK2…まだ全てが謎に包まれている状態で小説前半が終わります。ここからは小説後半、さらに深掘りしてその結末をネタバレありでご紹介しますので、直接小説を読んで結末を知りたい方はご注意下さい!

ネタバレ①木原坂雄大は誰も殺していない!

序盤から木原坂雄大が「二人の女性を燃やして殺害した猟奇殺人犯」として話が進んでいきますが、実際には彼は誰も殺していません。『去年の冬、きみと別れ』のあらゆるシーンで盛り込まれている、彼の異常性を際立たせる情報は読者を惑わすフェイクだったのです。全ては彼を憎む人たちによる策略だったのですが、では一体誰が彼を陥れようとしたのでしょうか?

ネタバレ②「僕」に木原坂雄大を取材させていた男こそが…?

『去年の冬、きみと別れ』の作中で「僕」が木原坂雄大のことを取材し始めたきっかけは、「編集長に言われて取材を始めた」と記されています。実はこの編集長こそ、木原坂雄大を猟奇殺人者に仕立て上げた犯人だったのです!

彼は以前、ある盲目の女性を愛していました。好奇心旺盛で何事にも前向きな彼女に対し、彼はそんな彼女を危険に晒したくないと束縛していました。いつしか二人の間には溝が生まれ、彼女は彼に別れを告げます。

その後、編集長と交際していた彼女を木原坂雄大は写真のモデルに選びました。しかし、撮影中の事故によって彼女を死なせてしまったのです。男は木原坂雄大を許すことはできず、彼を陥れる計画を企て復讐を実行。木原坂雄大が二度目の焼身事故を起こしたように見せかけて、一度目の焼身事故も木原坂雄大による殺人だと警察に思わせる事により、彼を死刑犯に仕立て上げるという恐ろしい計画だったのです。

ネタバレ③焼身事故で死んだ二人目の女性とは…?

木原坂雄大へ復讐を実行すると共に、さらに編集長は彼の心を弄んだ姉・木原坂朱里にも復讐を実行することにしたのです。実は焼身事故で亡くなった二人目の女性は、木原坂朱里だったのです。事前に拘束していた女性と、薬で眠らされた姉の朱里のすり替えが行われたのです。彼は二件目の焼身事故を起こすことで木原坂雄大を死刑へ追い込む復讐を果たし、さらに姉の朱里を抹消するという二つの復讐を実行していたのでした。

ネタバレ④復讐はそれだけでは終わらない!

彼の復讐はさらに続きます。編集長となった男は、ライターである「僕」に猟奇殺人犯・木原坂雄大の本を書くように提案します。そして、この復讐劇でもあった事件の真相を書いた小説『去年の冬、きみと別れ』を拘置所で木原坂雄大に読ませることによって、復讐を完成させようとしていたのです!つまり、これまで手にとって我々読者が読んでいたこの作品こそが、編集長が木原坂雄大に読ませるために作った小説だったのです! 

しかし小説を作る事で、事件の真相が警察に知れれば捕まる可能性があるます。それにも関わらず、なぜリスクを冒してまで事件の真相を小説にしたのでしょうか?

もちろん復讐という理由もありましたが、もう一つの理由は愛する女性、吉本亜希子との約束を果たすためだったのです。作中に「もし推理小説みたいに私が誰かに殺されたら、その本を作って欲しい」という内容があります。彼は小説を完成させることで約束を果たしたのでした。

去年の冬、きみと別れの原作小説の伏線や謎をネタバレ解説!

これまで『去年の冬、きみと別れ』のあらすじと結末までをネタバレでご紹介しました。さて、未だ疑問に感じる事があるのではないでしょうか。ここからは原作小説に巧妙にちりばめられている伏線、そして謎を一気にネタバレ解説していこうと思います。全てが明らかになった後、もう一度『去年の冬、きみと別れ』を読みたくなる事間違いなしです!

イニシャルと献辞の意味をネタバレ解説!

記事の始めに「M.Mへ そしてJ.Iに捧ぐ」という献辞が書いてあるとご紹介しました。献辞は本来、著者の恩人や助言者などに対し感謝の気持ちを込めて送る言葉です。

本を実際手に取った方も「M.MさんとJ.Iさんは中村文則さんの知り合いだろう」という気持ちで、それほど深い意味はないように感じた人もいるのではないでしょうか。しかしこの献辞すら、物語の仕掛けとなっているのです!この献辞、そしてイニシャルの謎に迫って行きましょう。

M.MとJ.Iって一体誰?イニシャルの意味をネタバレ!

特に読んでもらいたい相手に向けて書く献辞。事件の黒幕であり、『去年の冬、きみと別れ』の作者でもある編集長が特にこの本を読んでほしいと思っている人といえば、復讐を完結させるための相手である木原坂雄大。そしてもう一人は約束を果たしたことを知らせるための相手である、愛する女性・吉本亜希子の二人であったと考えられます。

小説の最終行に「……全く同じ本を、片方には憎悪の表れとして、そして片方には愛情の表れとして……。M・Mへ、そしてJ・Iに捧ぐ」と書いてあることにより、M・Mが木原坂雄大、そしてJ・Iが吉本亜希子の事を示しているのだと推測できます。しかし、木原坂雄大も吉本亜希子とイニシャルが一致しないことによって首を傾げた読者もいた事だと思います。この謎を解くヒントが作中に、編集者の言葉の中に含まれています。

最終頁に、「これは小説だから本文では仮名を用いたけど、そこには彼らの本名を。まずは、あの死刑になるカメラマンへ。そして大切な君に」という編集長の言葉があります。これにより、『去年の冬、きみと別れ』に登場する人物は全て「仮名」であることが分かります。

つまり、献辞のイニシャルと一致しない理由は、木原坂雄大と吉原亜希子という名前は「仮名」であり、またイニシャルこそが彼らの本名だということを現しているのです。

『去年の冬、きみと別れ』のタイトルに隠された意味とは?

原作の文中に「去年の冬、きみと別れ、僕は化け物になることに決めた」という一文があります。物語の流れから「僕」は編集者であり、「きみ」は吉本亜希子であることが推測出来ます。そして「去年の冬」はいつの事を示すのかというと、編集長と亜希子が恋人関係を解消した時のことではありません。“化け物になる”という事から編集長が事件の真相を知り、「木原坂に復讐をする」と決断した時の事を意味しているのです。

去年の冬、きみと別れの原作小説を読んだ感想とは?

これまで『去年の冬、きみと別れ』のあらすじや結末、そして小説の中に隠された謎をネタバレ解説していきました。190ページという短い物語の中に多くの伏線が隠されていて、あっと驚くどんでん返しが結末に隠されているというミステリーの傑作とも言える『去年の冬、きみと別れ』。本作を実際に読んだ読者の方々は、どのような感想を述べているのでしょうか?次は読者の様々な感想に迫って行きます!

感想①先が気になって一気読みしてしまう人が多数!

全190ページで比較的短い小説ではありますが、「一度読み始めると続きが気になりすぎて手が止まらなくなる」という感想が多数上がっていました。「僕」の視点と「木原坂雄大」の視点が変わりながら物語が進んでいったり、事件に関する資料が文中に盛り込まれていることによって、このような感想が多く上がっているのだと考察します。展開もテンポも良く、一度読み始めたら止まらなくなる魅力が多くの読者を惹きつけています。

感想②衝撃の真実に驚愕!

やはり小説内に隠された数々の伏線、そして事件の真相に辿り着いた読者の方々は皆、衝撃をうけて驚愕しているようです。「まさかタイトルや、献辞にまで謎が隠されているとは思わなかった」という感想も多く上がっていました。また「この小説、本当に映画化できるの?」「実写不可能なのでは?」という疑問の声が多く上がっていると同時に「映画化が楽しみすぎる」という期待が含まれた感想も多く寄せられていました。

感想③真相を知った後、もう一度読みたくなる!

「結末まで一気に読み終わった後、真相を知るとまた読みたくなる」という感想も多く、『去年の冬、きみと別れ』に中毒性がある事が示されています!中には「二度読んではじめて全部の謎が解けた気がする」という読者もいました。一度読み終わって少しでも疑問が残るような時には、再度じっくり読みなおして『去年の冬、きみと別れ』の世界に入り込み、さらに理解を深めるのも良いですね。

感想④中村文則さんの本をもっと読みたくなる!

「中村文則さんの本を始めて読みました」という感想が多く上がっていた事から、『去年の冬、きみと別れ』が中村文則さんを知るきっかけとなった読者も多いようです。圧倒的に「面白かった!」「こういう作風が大好き」という声が多く、「中村文則さんの他の作品も読みたい!」という感想が数多く上がっていました。

去年の冬、きみと別れの映画も要チェック!

2018年3月に公開された映画『去年の冬、きみと別れ』。この「映像化不可能」と言われる作品を監督や脚本家はどのようにして映像化したのか…原作を読んだ方には、そのあたりも注目しているのではないでしょうか。ここからは、映画『去年の冬、きみと別れ』の作品情報やキャスト、原作小説と映画の違いなども交えてご紹介していきます!

見た人すべてが騙される?『去年の冬、きみと別れ』作品情報

読者を欺く巧妙なトリックが仕掛けられ、最後の最後まで緊張が止まらない小説『去年の冬、きみと別れ』。衝撃的な展開と狂気に満ちた純愛が話題を呼び、「2014年本屋大賞」にノミネートされるなど注目を浴びました。「映像化は不可能」と言われた今作ですが、作者も唸らせた画期的な方法を用い、ついに映画化が実現しました!

監督は傑作サスペンス『脳男』、『グラスホッパー』などを映画化してきた瀧本智行。脚本家は『デスノート』や『BECK』の脚本を手掛けた大石哲也です。この二人が最高のタッグを組み2018年3月10日公開した映画『去年の冬、きみと別れ』に出演しているキャストは誰なのでしょうか?緊張感走るサスペンスを演じきる豪華キャスト陣を一覧でご紹介します!

『去年の冬、きみと別れ』の主演キャストは岩田剛典!

連続焼死事件の真相を追う主役のライターを演じるのは「がんちゃん」の愛称で知られている岩田剛典。小説では「僕」という視点でしたが、映画では 耶雲恭介という名前になっています。21歳の頃、慶應大学在学中に三代目J Soul Brothersに加入、さらに2014年からはEXILEとしての活動も兼任している大人気のパフォーマーです。

2016年の映画『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』では高畑充希とW主演を務め、日本アカデミー賞の新人俳優賞を受賞するなど俳優としても頭角も現しています。前作は甘いマスクを生かした爽やか系や癒し系の役どころでしたが、今作のサスペンスミステリーではどのような表情を見せるのでしょうか?俳優として新たな姿を見せたいと、本人も強い気持ちで映画『去年の冬、きみと別れ』に挑んでいます。

主人公の婚約者役は、女優として飛躍を続ける山本美月

原作では「雪絵」だった婚約者の名前が、映画では「松田百合子」になりました。さらに原作で二番目の被害者となる女性の名前が「小林百合子」という人物ですが、ライターの「僕」とはまったく何の接点も無い女性です。映画では「松田百合子」を巡って耶雲恭介と木原坂雄大が様々なやり取りが繰り広げられますが、上記の通り設定が異なるので原作でそのような場面はありません。

「映像化不可能」と言われた本作を映像化するため設定や構成を大胆に作り替えたのだと思わる本作で、新たなキャラクター「松田百合子」を演じる山本美月は、高校3年生の頃に第1回「東京スーパーモデルコンテスト」でグランプリを受賞。以来「CanCam」の専属モデルを勤め2017年9月号をもって専属モデルを卒業しました。数々のドラマや映画に出演され近年さらなる飛躍が期待されている女優の一人として活躍されています。

凶悪事件を起こす天才写真家・木原坂雄大役を演じる斎藤工

「君に覚悟はあるの?」という怪しくも妖艶な雰囲気を漂わす一言で、主人公の耶雲に詰め寄る姿が印象的な斎藤工。映画では執行猶予がついて釈放されたという設定となっていますが、原作では二件の殺人事件を犯し死刑判決が下っています。現在は高等裁判所への控訴前で被告として拘置所にいる設定でしたが、映画では容疑がかかっている事件も二件ではなく一件となっています。

凄惨な事件を引き起こした天才写真家の心の闇をどのような表情で演じるのでしょうか。どこかミステリアスな雰囲気が、木原坂雄大と重なる部分がある斎藤工。大人の色気漂う斎藤工は、高校生の頃から雑誌『MEN'S NON-NO』や『POPEYE』などのモデルとして活躍。2011年に『時の香り〜リメンバー・ミー』でスカウトされ俳優デビュー。以来数多くのドラマや映画に出演される度、数々の女性を独自の色気で虜にしています。

事件の鍵を握る木原坂の姉・朱里を演じる浅見れいな

斎藤工が演じる猟奇殺人犯・木原坂雄大にとってたった一人の家族、姉の朱里。雄大のためなら手段を選ばず、異様なほどの強い結びつきを感じさせる姉を演じるのは、女優そしてモデルとしても活躍している浅見れいな。物語の鍵を握る、大人の雰囲気漂うミステリアスな女性に抜擢されました。ラブシーンもある本作、難しい役にもがきながら必死に食らいついていると、今作にかける熱意を語っています。

浅見れいなは、2001年にフジテレビビジュアルクイーンを受賞。その後、雑誌『SEVENTEEN』の人気ファッションモデルとなりました。『SEVENTEEN』卒業後は主に女優として多くのドラマや映画に出演。『Dr.コトー診療所』『全開ガール 』から刑事ドラマまで幅広いキャラクターを演じています。2018年には一般男性と結婚し、第一子女児を出産した浅見れいな、今後の活躍も楽しみです。

週刊誌編集者・小林良樹役には、北村一輝

ライターの主人公・耶雲恭介と猟奇事件の犯人・木原坂雄大を引き合わせる、物語のきっかけとなる週刊誌編集者・小林良樹を演じるのは北村一輝。圧倒的な存在感を放つ北村一輝が、主人公そして猟奇事件の犯人とどのように関わって行くのでしょうか。斎藤工とは2014年に大ヒットとなったドラマ『昼顔』以来の共演です。

幼少期より映画好きで、深作欣二監督の『蒲田行進曲』に衝撃を受けたという北村一輝は、19歳で上京したものの俳優としての芽が出ず、約4年間海外へ放浪生活をした経験もあります。帰国後数々の映画に出演し、『皆月』また『日本黒社会 LEY LINES』で1999年キネマ旬報新人男優賞を受賞。ストイックな役作りをする事でも知られていて、真っ直ぐな力強い眼差しが魅力的な北村一輝、今後の活躍からも目が離せません。

映画『去年の冬、きみと別れ』のあらすじをネタバレ!

これまで映画『去年の冬、きみと別れ』に出演されている豪華キャストをご紹介していきました!原作小説では「映像化不可能」と言われている本作、映像化するにあたり原作小説とあらすじや登場人物が少し違う部分もあります。これまで原作小説のあらすじをご紹介しましたが、ここからは映画『去年の冬、きみと別れ』のあらすじをネタバレでご紹介します。

映画『去年の冬、きみと別れ』あらすじ【ネタバレ前半】

フリーライターの主人公・耶雲恭介は婚約者・松田百合子との結婚を間近に控えていました。フリーライターの恭介には長年「書籍化する」をいう夢がありました。そこで恭介は「天才カメラマン・木原坂雄大」についてまとめた企画を出版社に持ちこみます。「盲目の女性モデルを撮影中に事故で焼死させてしまった」という事件で世間に知られる事となった木原坂雄大に、恭介は興味があったのです。

しかしこの事件は「事故」として処理されたものの、木原坂は女性が燃えているのにも関らず救いの手を伸ばさず撮影を続けたという噂もありました。また木原坂には朱里という名前の姉がいて、「過去に二人を虐待していた父親を殺害した」という疑念を恭介は抱いていたのです。木原坂雄大について調べ上げ、事実を突き止めたいという恭介に対し、編集者・小林良樹はその企画を承認します。

木原坂雄大の取材を開始した恭介。しかし、それが悲劇のスタートでした。木原坂雄大は、「他人の所有物を欲しがる」という性質を持っていました。そんな彼に、恭介の婚約者・松田百合子の事が知られてしまいます。その頃仕事に夢中になっていた恭介は、百合子の相手をしていませんでした。その結果、百合子はマリッジブルーになってしまいます。そのタイミングで、木原坂雄大が百合子に接触してきます。

「モデルになってほしい」と木原坂雄大に誘惑された百合子は、そのまま彼のスタジオに監禁されてしまいます。そこでまさかの「火事」が起こってしまいます。木原坂のスタジオに急いで駆け付けた恭介と編集者の小林でしたが、既に手遅れでした。手錠を掛けられて椅子に拘束されたまま、激しく燃える炎の中身動きが取れない人影。その炎に包まれた人影を、木原坂雄大は笑みを浮かべながら一心不乱に撮影します。

木原坂雄大は前回引き起こした「盲目モデル焼身事故」の件があったため殺人罪で逮捕されました。しかし、失われた百合子の命は返ってきません。恭介は夢でもあった本の出版と引き換えに、最愛の婚約者を失ってしまうのでした。ここまでが映画前半、つまり物語の「表」のあらすじです。では真実を語る「裏」の物語ではどのように物語が変貌していくのでしょうか?

映画『去年の冬、きみと別れ』あらすじ【ネタバレ後半】

物語後半から、全てがどんでん返しとなります。女性焼身事件の事件の真実…それは「全ては耶雲恭介の計画」だったのです。そもそも「耶雲恭介」という人間は存在せず、「中園恭介」が恭介の本名でした。さらに、フリーライターという肩書も嘘。なぜ恭介が復讐に及んだのか…その真実は、恭介は「盲目の女性モデル」こと吉岡亜希子の元恋人だったのです!

雄大が亜希子をモデルとして目を付けていた時には、既に恭介と亜希子は破局していました。しかし、恭介は亜希子を愛し続けていたのでした。「亜希子が事故により亡くなった」と知った恭介はあちこち調べ周り、ついには『焼身事故』の真実に辿り着きます。その驚くべき真実とは、『あれは事故ではない。亜希子は木原坂姉弟によって命を奪われた』というものでした。

正しく言えば、姉の朱里の方が真犯人でした。朱里はスランプ気味の弟・雄大に刺激的な被写体を提供するため、亜希子を拉致して火をつけるという恐ろしい事をしたのでした。燃え盛る人影を見た雄大は、興奮した様子で撮影を続けていたといいます。この真相に辿りついた恭介は、“化け物”になることを心の中で決心するのでした。

恭介はまず協力者として百合子を引き入れました。百合子は多額の借金を抱えており、恭介の計画に協力することを承諾。雄大のスタジオに百合子が監禁されていたという嘘の情報を仕込んだ恭介は、スタジオにいる『生贄』に火をつけました。外出から戻ってきた雄大はもちろん、炎が上がっている人影を再び目の前にすると夢中になって撮影を続けました。恭介の思惑通り、雄大は猟奇殺人犯として逮捕されます。

雄大に対する復讐は終わりを迎えるも、朱里そして小林にも復讐をしていた恭介。恭介が火を点けたモデルの正体は、百合子ではなく朱里だったのです。恭介の復讐はさらに、この真実を記した本を二人に読ませる事で完成を迎えます。その二人とは獄中の木原坂雄大と、もう一人は朱里と男女関係にあった編集者の小林。本を通じて全ての真実を知り、目の前で崩れ落ちる小林の姿を見て、恭介の復讐は終わりを迎えるのでした。

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去年の冬、きみと別れの原作小説のネタバレまとめ!

ここまで、小説『去年の冬、きみと別れ』のあらすじと感想、そして映画との内容比較をご紹介してきましたがお楽しみいただけましたでしょうか?読了後は必ずといって良いほど「まさかの結末だった!」という感想を言いたくなる本作。この巧みに仕掛けられたトリックに気付いた時には、誰もが驚愕させられることでしょう。

小説『去年の冬、きみと別れ』は、一度原作小説を読んだ後に映画を観て比較し、その違いを味わうことによって「二度でも三度でも楽しめる」という感想も多く上がっています。中村文則の傑作サスペンス小説、読む価値は十分有りといっても過言ではありません。ぜひ一読されることをおすすめします!

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