うしおととらの「とら」の正体は人間?封印されていた秘密と理由を考察

「うしおととら」は藤田和日郎の作品です。物語は「獣の槍」という妖怪を殺すことのできる槍を偶然にも手にしてしまった蒼月潮、槍に封印されていたとらの2人が出会うことから始まる物語です。ここでは「うしおととら」の大妖怪(とら)について少し掘り下げていきます。

 うしおととらの「とら」の正体は人間?封印されていた秘密と理由を考察のイメージ

目次

  1. 「うしおととら」とは?
  2. うしおととらの大妖怪とら
  3. うしおととらを慕う妖怪
  4. とらの正体は元々は人間だった?
  5. うしおととらと白面の者の関係
  6. うしおととらの宿敵:白面の者ととらの因縁
  7. とらの最期?うしおととらの別れ
  8. うしおととらの硬い絆が描かれていた!

「うしおととら」とは?

うしおととらのあらすじを紹介します。「人間か」そう言って地下室の暗がりからうしおに声をかけるとら。500年もの間、地下に封印され秘密にされていた大妖怪です。それがうしおととらの出会いでした。暗がりに浮かぶとらの目が光る登場シーンです。「化け物が珍しいのか小僧?だったら自由になった化け物を見せてやる。この槍を抜きな小僧」そう言って槍をうしおに抜かせて自由になろうとします。

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次の日に、うしおのもとへ幼馴染の中村麻子と井上真由子が訪ねてきますが、500年の間地下室に閉じ込められ秘密にされたとらの妖気が流れ出てしまい、ほかの化け物を呼び寄せてしまいます。その化け物に幼馴染が襲われてしまい、うしおはとらの正体も知らずに封印から解放してしまいます。とらは妖怪を倒すとうしおに約束をし、妖怪を倒します。ここからうしおととらの物語は始まります。

うしおととらの奇妙な関係

妖怪を退治した後とらは立ち去ろうとしますが、うしおに妖怪退治を強要されてしまいます。とらはうしおに憑りついて隙を見てうしおを食べようとします。お互いにけん制しつつ、うしおととらの共同生活が始まります。その後も何度もとらはうしおを食べようとします。しかし獣の槍が邪魔をして上手くいきません。うしおととらは初めのうちはこんな関係から始まります。

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それからうしおととらは共にに行動するようになります。はじめはとらはうしおを食べるため、うしおはとらを獣の槍で滅ぼすために一緒に行動します。はじめはお互いの考えは違いましたが、うしおととらはここからの様々な妖怪との戦いの中でうしおととらは絆を繋いでいきます。

うしおととらが出会った人間

うしおととらの周りには、妖怪を怖がらない人間もいました。その中でも井上真由子は特別な存在だと思います。とらにハンバーガーをあげたり、とらのお嫁さんになると言ったりします。うしおととらの中でも重要なキャラクターの一人です。それは彼女にも特別な秘密があったことが関係しているようです。彼女の知らなかった秘密がありますが、その正体はうしおととらの物語が進むにつれて明らかになります。

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井上真由子はうしおの幼馴染のひとりですが、もう一人の幼馴染、中村麻子もとらを怖がらない一人です。海に遊びに行ったうしおととらの前にとらの昔を知る妖怪「海座頭」が現れます。海座頭に妖怪の退治を頼まれた二人でしたが、その妖怪に中村朝子が飲み込まれてしまいます。その妖怪を退治するときに麻子はとらと出会います。

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この後も、うしおととらは様々な人達と出会いながら旅をすることになります。その旅の途中での出会いや別れが二人の絆を深めていきました。とらも少しずつ変わっていきて、食べ物としてしか見えていなかった人間のことを守るようになっていきます。

うしおととらの大妖怪とら

妖怪を滅ぼすことのできる獣の槍が何故、とらを滅ぼさなかったのでしょう。そのことは後の話で触れられていますが、そのあたりにもとらの強さの秘密があるようです。このあたりにもとらの正体の秘密が隠されています。

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大昔から生き続けてきた妖怪のとらですが、とらという呼び方になったのはうしおが名付けたからです。かつては雷を操ることから「雷獣」、「わいら」などとも呼ばれていました。獣の槍に封印される前は「長飛丸」と呼ばれ、日本中の妖怪に恐れられる存在でした。

うしおととらで恐れられる大妖怪とら

長飛丸の名前の由来は、一瞬で山を二つ三つと飛び越えてしまうほどの速さで移動できることからそう呼ばれるようになりました。800年前の白面の者との戦いにおいてもすさまじい強さを発揮しています。そのことが日本中の妖怪達に名前を知られて恐れられる存在となりました。

心優しい妖怪とら

うしおに槍から解き放たれてからのとらは、500年前の長飛丸と呼ばれていたころのものとは少しずつ変わりつつあります。うしおをすぐには食べなかったことから、妖怪に襲われていた麻子や真由子を助けたり、とらに戦いを挑んできた妖怪や人間を殺さずにいます。本来ならば、嬉々として殺してしまってもおかしくなかったはずなのに、何故か命を奪うことはしませんでした。

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襲ってきた光覇明宗の秋葉流に尋ねられた時、とらは「あいつといると、退屈しないから」とこたえます。秋葉流との戦いにおいても、人間の心や脆さを見透かすかのような言動がありました。とらは自分と違い体の脆さ、心の脆さを持つ人間を食料として見ることが出来なくなりました。上の画像のように流の最期に向かって「だから弱っちくてキレェなんだよ…人間は…」とつぶやき落胆しています。

妖怪違いされるとら

流以外にも、とらを滅ぼそうとした人間はいました。鏢という符術師です。彼は自分の家族の仇を探して日本にやってきました。家族を殺されたときに鏢自身も怪我をしています。右目のあたりに三本の獣の爪痕が残っています。うしおの顔に同じような傷をみた鏢は、とらを仇と勘違いして滅ぼそうとしますが、うしおととらの2人に敗北してしまいます。その後も日本に留まり、仇を探し続けました。

うしおととらを慕う妖怪

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昔のとら(長飛丸)の正体を知っている妖怪も登場します。座敷わらしもその一人です。昔のとらの正体を知っているからこその言葉が「お前はもっと冷酷だと思っていたのだがな」と、とらに声を掛けます。とらは閉じ込められている座敷わらしを見て、自分も閉じ込められていたことを思い返して自由にしてあげようとします。そのことで座敷わらしは、うしおととらに感謝して旅の途中で手を貸してくれました。

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とらの秘密を知らずに自分よりも弱いと思い、はじめは軽蔑しているような態度だったかがり。とらの左腕を切り落としてしまうほどの切れ味を持つかまいたちの妖怪です。その後、昔のとらのことを知っている雲外鏡に話を聞かされ態度が一変しました。兄弟の凶行をうしおととらに止めてもらったことで恩義を感じ、うしおととらの旅の途中で怪我の治療などサポート役として大きな役割を果たしています。

イタチのような身体、小さい身体には似合わない大きな態度、とらにも大口を叩いては雷を落とされる愛嬌の持ち主イズナです。人体に入り込むことが多く現代社会の言葉を理解している数少ない妖怪です。人間とは相容れないと言っている割にうしおの父の紫暮と仲が良いようです。とらのことを慕っている様子で、はたから見ていると兄弟のようにも見えます。

とらの正体は元々は人間だった?

とらとはいったい何者なのでしょう。いつ頃生まれたのでしょう。それもそうですが、何故妖怪になってしまったのでしょう。元々は人間だったとら。何があったのでしょう。

不幸に憑りつかれた孤独な男シャガクシャ

時代は約2500年前、古代インドに生きていたシャガクシャ。生後間もなく白面の者の依り代に選ばれて、その際に周囲にいた人や両親が命を落としてしまいます。それをきっかけに「呪われた子」として忌み嫌われてしまい、憎しみに満ちた獰猛な性格となり孤独に生きていました。

その強さから小国の将軍となり、過去を知らない人々から慕われていたが、貴族たちからは妬まれていました。そんな時に、シャガクシャを慕うラーマとその姉と出会い、束の間の安らぎを得ることができました。しかし、その安らぎは長くは続かずシャガクシャの国に大国が攻め込んできました。シャガクシャは、ラーマ姉弟を逃がそうとしましたがラーマが見つからず、姉だけを連れて逃げようとしました。

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しかし、そこで敵の待ち伏せに会いラーマの姉が殺されてしまいます。そのあとラーマを見つけましたが大怪我を負っていてシャガクシャが見守る中、息を引き取ります。

うしおととらと白面の者の関係

ラーマの姉が殺されることにより、怒りと憎しみが大きくなり、シャガクシャの右肩から実体化した白面の者が生まれます。白面の者ととらはこれだけ深い因縁があったのです。白面の者を生み出してしまった者の正体は、人々への憎悪と憎しみだったのです。

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白面の者が長い間シャガクシャの体の中に共生していたことで、彼の身体は不死身となりました。その後、彼は白面への恨みと憎しみ、それと白面を生み出してしまった自責の念に突き動かされて、白面を探す旅に出ます。その旅で、中国の山奥深くで封印されていた獣の槍を発見して、最初の使い手として戦うようになります。戦いの末、獣の槍に魂を吸い取られてしまって字伏と呼ばれる妖怪になってしまいます。

ほかにも存在した?とらと同じ妖怪たち

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シャガクシャの後にも獣の槍を使う人間達は存在しました。その後の使い手も字伏となり、白面の者への恨みと憎しみを強めていきます。うしおととらと白面の者を共に倒そうと、とらの力になろうと最後の戦いの前に集まります。

うしおととらの宿敵:白面の者ととらの因縁

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うしおととらの白面の者に対する怒りは計り知れません。二人とも自分の大切な人を白面に奪われているからです。

うしおととらと白面の者

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白面との戦いは熾烈を極め、人間と妖怪の力を合わせて挑みました。ついに白面を追い詰めるまでに至った時、白面はうしおととらとの一騎打ちに持ち込みます。

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激しい戦いの末、うしおととらは勝利しました。しかし、その為に大きな代償を払うこととなりました。白面が日本の地盤を支えていた岩盤を崩してしまったために、その穴を塞ごうと妖怪の殆どが人柱になってしまったのでした。

とらの最期?うしおととらの別れ

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その戦いの中でとらも深い傷を負ってしまいました。白面が消えていったあと、自分が消えていくのを感じたとらは「そろそろらしいや」とつぶやきます。うしおに「俺を食うんじゃなかったのかよ」と言い寄られますが、そこでとらは「もう食ったさ」「腹いっぱいだ」と言葉を残し消えていきました。

うしおととらの硬い絆が描かれていた!

最期にはうしおととらの強い絆が結ばれて物語は終わりを告げます。とらは自分の目的を達成したのでしょうか?妖怪は土に返っても死なないと…雲外鏡が言っていたようです。そんなうしおととらを一度見てみてはいかがでしょうか?

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