時をかける少女の原作小説のあらすじ・結末をネタバレ!アニメとの違いや繋がりは?

細田守監督のアニメ映画として有名な『時をかける少女』ですが、みなさんは原作が今から50年以上前に刊行されたSF小説だということをご存じでしょうか?アニメ映画と原作小説の間には、登場人物、時代背景、ストーリーや細かな設定などさまざまな違いがあります。今回は『時をかける少女』原作小説のあらすじ・結末をネタバレ紹介するとともに、アニメ映画版『時をかける少女』との違いや繋がりを解説していきます。

時をかける少女の原作小説のあらすじ・結末をネタバレ!アニメとの違いや繋がりは?のイメージ

目次

  1. 時をかける少女の原作小説のあらすじが気になる!
  2. 時をかける少女とは?
  3. 時をかける少女の原作小説のあらすじを結末までネタバレ!
  4. 時をかける少女のアニメ映画と原作小説の違いとは?
  5. 時をかける少女の原作小説を読んだ感想や評価とは?
  6. 時をかける少女の原作小説のあらすじ・結末まとめ!

時をかける少女の原作小説のあらすじが気になる!

2006年に上映された細田守監督のアニメ映画作品『時をかける少女』。さわやかな夏の風景の中、高校生の主人公や友人たちが織り成す切ない恋模様と、「タイムリープ」というファンタジックな題材を軸にした少し不思議な物語が大きな反響を呼びました。そんな大ヒット映画『時をかける少女』の原作小説は一体どんな物語で、どんな結末なのでしょうか?気になるあらすじや結末の内容をネタバレありでご紹介します。

時をかける少女とは?

最近ではもっぱらアニメ映画として有名な『時をかける少女』。主人公の真琴があるきっかけで時間を飛び越える能力を手に入れ、それを使う中で起きた友人・千昭や功介との関係の変化に戸惑いながら少しずつ成長していく、青春恋愛とSFが入り交じった夏の映画作品です。しかし世代によっては「『時をかける少女』といえば実写映画作品を思い出す」というような人も少なくありません。

実は、『時をかける少女』はアニメ化以前から実写映画、ドラマ、ボイスドラマなどさまざまな形で何度もメディア化されており、2016年には五度目の実写ドラマ化がされるなど、幅広い世代から長く愛されている名作なのです。原作『時をかける少女』は短編SF小説ですが、それぞれの派生作品が生まれた年代などに合わせて、作中の時代背景や人物設定に多種多様な違いが生まれています。

その大元となった原作は、1967年に刊行された短編SF小説『時をかける少女』。もとは教育誌で連載されていたジュブナイル小説でした。作者は同じくアニメ映画化した小説「パプリカ」などを生んだ筒井康隆(つついやすたか)さん。当時としては珍しい「タイムリープ」という題材を軸に少年少女の切ない恋愛が描かれており、現在ではライトノベルの先駆けとも言われる作品です。

時をかける少女の原作小説のあらすじを結末までネタバレ!

実験室の人影

アニメ映画版『時をかける少女』は活発な女子高生・真琴の恋と成長を描いた作品ですが、原作小説の『時をかける少女』はどのような物語で、どのような結末なのでしょうか?ここからは小説『時をかける少女』のあらすじから結末まで、ネタバレありで内容を紹介します。

放課後の理科室

主人公は中学三年生の少女・「芳山和子」。ある日彼女が同級生の「深町一夫」、「朝倉吾郎」と三人で理科室の掃除をしていると、実験室から物音が聞こえてきます。しかし中には誰もおらず、落ちて割れた試験管から漏れた液体が煙を発しているだけ。そして、室内に漂うラベンダーの香りを嗅いだ和子は突然気を失って倒れてしまいます。大事には至らずすぐに回復しましたが、その三日後になると不思議なことが起こりはじめました。

タイムリープ

実験室での事件から三日経った深夜、街を大きな地震が襲い、吾郎の家の隣にあった風呂屋が火事になる騒ぎが起きました。さらに翌朝、和子と吾郎が登校している最中に暴走トラックが突っ込んできて、あわや大事故という状況に直面してしまいます。しかしトラックに跳ねられそうになったその瞬間、気が付くと和子は自室のベッドに横たわっていました。

卓上カレンダーの写真

夢でも見たのだろうかと釈然としない和子でしたが、部屋にある日めくりの日にちがひとつずれていたり、昨夜の地震や火事で大変だったはずの吾郎が何食わぬ様子で現れたりして、半信半疑ながら「自分が一日前の過去にタイムスリップしたのでは?」と思い至ります。吾郎に話してみても当然信じてはもらえなかったのですが…その夜、和子が言った通り地震や火事が起こったことで、推測は確信に変わります。

テーブルに置かれた白い砂時計の写真

二人がその不思議な体験について理科の先生に相談してみると、和子は何かの原因でテレポーテーションやタイムリープの能力を身につけてしまったのではないかと告げられます。きっかけはおそらく、四日前に実験室で嗅いだあのラベンダーの香り。なぜそのような能力を得てしまったのか、真相を解明するには四日前の実験室を訪れる以外に方法がありません。

古びた試験管などの学校の備品の写真

その時、思い悩む和子の頭上に突然鉄骨が降ってきて、危機的状況を回避するためにタイムリープが発動。その事件をきっかけに、和子はタイムリープを自分の意思で操ることができるようになります。自分の身に起こった出来事の真実を知るため、和子は四日前の実験室へとタイムリープを決行するのですが…。

事件の真相とは?

四日前の実験室、倒れる前の時間に跳んだ和子。あの時この場を訪れていたはずの「誰か」を待ち受けていた彼女の前に現れたのは、なんと同級生の一夫でした。そこで和子は彼の口から衝撃的な事実の数々を告げられます。

ラベンダーにハチが停まっている写真

一夫の本名は「ケン・ソゴル」。西暦2660年の未来からタイムリープしてきた大学の研究者で、未来では手に入らなくなってしまったラベンダーを採取するためこの時代にやってきたのです。和子が嗅いだラベンダーの香りは、一夫が未来に戻るために調合していた薬品のにおいでした。突然現れた和子に驚いた一夫が薬品を落としてしまい、そのにおいを吸い込んでしまったことで、和子にも一時的なタイムリープ能力が備わったのです。

誰もいない木造校舎の教室

戸惑う和子に、一夫はさらに打ち明けます。同級生として過ごしてきた記憶も催眠術によるまやかしに過ぎず、実際に一夫がみんなと過ごした時間はせいぜい一か月程度。けれどその一か月の間に、一夫は和子に恋心を抱いてしまったのです。不意打ちで打ち明けられた想いに和子もどきりとしましたが、やはり一夫はもとの時代に帰らねばならないうえ、過去の人間にタイムリープの話を教える行為自体も犯してはならない禁忌でした。

小指から赤い糸を垂らした女性の後ろ姿

最後に「いつかきっとまた会いに来る」と約束し、一夫は人々や和子から自分に関わるすべての記憶を消し去って、一人未来へ帰っていきます。全てを忘れてしまった和子ですが、その胸の中には最後に交わした「約束」がほのかに残っていました。その約束を胸に抱き、和子は名前も顔も顔もわからない「誰か」が再び自分に会いに来るその日を待ち続けるのでした。

あらすじまとめ

原作小説『時をかける少女』のネタバレあらすじは以上です。「タイムリープを巡る少し切ないSF恋物語」というおおまかなあらすじや、最後に約束を交わして別れるという結末の展開自体はアニメ版でも共通ですが、設定やキャラクターたちの性格には大きな差異が見られます。

一夫の存在自体を忘れてしまった和子が「ラベンダーの香りを嗅ぐと懐かしい気持ちになる」と語るなど、原作のストーリーには悲恋の色が濃く出ています。大切な人がいなくなってしまったのに「いなくなったことさえわからない」という、切ない締めくくりです。

Thumb時をかける少女のアニメ映画あらすじを解説!その後の展開などネタバレ考察 | 大人のためのエンターテイメントメディアBiBi[ビビ]

時をかける少女のアニメ映画と原作小説の違いとは?

ここまでは『時をかける少女』原作小説のネタバレあらすじをご紹介しました。アニメ映画を既にご覧になった方は、あらすじを読んだだけでもさまざまな違いに気付いたのではないでしょうか?ここからはアニメ映画版と原作小説、それぞれの『時をかける少女』の違いについて、アニメ映画版のネタバレも交えつつ解説していきます。

今回原作と比較するアニメ映画の内容についてネタバレ込みで詳しく解説している記事もありますので、アニメ映画版『時をかける少女』の内容について詳しく知りたい方はぜひそちらもご覧ください!

タイムリープの仕方

まず設定上で印象的な違いといえば、タイムリープ能力の性質です。先ほど紹介した原作のネタバレあらすじでは「ラベンダー」が鍵を握っていました。未来では採取できないラベンダーを調合した液体状の薬を使うことで、一定時間タイムリープの能力を行使できるようになるという設定です。一夫の正体はそのラベンダーを入手するためにやってきた未来人でした。

しかし、アニメ映画版で登場したのは薬品ではなく「クルミの形をした装置」です。この装置に触れることでタイムリープの力を「チャージ」する仕組みになっており、クルミに触れた主人公・真琴の体にはタイムリープの残り回数を表す数字が浮かび上がりました。ラベンダーの薬の効果が一定時間で消える時限制なのに対して、クルミ型装置のタイムリープは回数制ということです。

タイムリープにラベンダーを用いないことで、アニメ映画版の未来人・千昭が現代にやってきた理由は「この時代、この場所にしか現存が確認されていない絵画を見るため」という全く異なるものに変更されています。

時代が異なる

ラベンダーとくるみの違いもそうですが、アニメ映画版と原作にはもっと大きな違いがあります。そもそも登場するキャラクターたちそのものが、性格も見た目も名前も全くの別人なのです。しかし、アニメ映画版をご覧になった方の中には既に思い当っている人もいるのではないでしょうか?実は、原作主人公の和子本人と思われる人物がアニメ映画の中にも登場しています。

真琴の叔母で、どこかミステリアスな雰囲気から彼女に「魔女おばさん」と呼ばれている女性。彼女の名前は「芳山和子」、原作小説の主人公だった少女が大人になった姿です。彼女はタイムリープについて相談してくる真琴に対して、たびたび実体験をもとにした助言のような言葉を投げかけます。原作における自分と未来人の恋の結末を、同じような能力を手にした真琴の行く末に重ねていたようです。

原作では中学三年生だった和子も、アニメ映画版では30代後半。いまだに独身を貫き、かつてタイムリープ能力を使ったときに再会を約束した人物を、今も心のどこかで待ち続けています。

主人公の真琴は彼女の姪ですから、アニメ映画版『時をかける少女』は原作小説の20年ほど後の世界を描いた作品ということになります。とはいえ細かな設定上の違いもあるので、原作小説とアニメ映画版の世界は「パラレルワールド」的な関係性なのかもしれません。いずれにせよ和子の登場は、小説や実写映画ファンは思わずにやりとしてしまうような原作要素のひとつです。

原作とアニメ映画の設定は全く違う!

アニメ映画版『時をかける少女』のネタバレも含めつつ、原作との違いを解説しました。タイトルは同じですが、登場人物、ストーリー、タイムリープの仕組み、時代設定など、原作の『時をかける少女』とアニメ映画にはかなり大きな違いがあることがわかります。これはアニメ映画版を手掛けた細田守監督が、原作の物語を2006年当時の現代風にチューニングした結果です。主人公が行動的な性格の真琴になったのもその影響でしょう。

物語の結末で「また会いに来る」と言った一夫を待つことを選んだ和子と、「未来で待ってる」という千昭に「すぐ行く、走っていく」と返した真琴の対比が特に印象的です。「少女がタイムリープ能力を手に入れ、その能力の本来の持ち主だった未来人の少年と恋をする」という物語の大筋は変わりませんが、アニメ映画版は原作小説を大胆にアレンジしたリメイク作品と言えるでしょう。

時をかける少女の原作小説を読んだ感想や評価とは?

現在ではアニメ映画版の知名度がかなり高い『時をかける少女』。原作の小説を読んだみなさんはどのような感想を抱いたのでしょうか?原作小説版『時をかける少女』についての感想をいくつか見ていきましょう。

原作『時をかける少女』が雑誌上で連載されていたのは1965年から1966年。「タイムリープ」が当時としては目新しい題材だったことも、今日に至るまで続く長い人気の発端になったのでしょう。年代としてはかなり古い作品なので、年齢が若い人も逆に新鮮な気持ちで読めるようです。もともと中学から高校生ほどの若者向けの雑誌に掲載されていたこともあって、読みやすい文体で甘い恋を描く面白い作品になっています。

アニメ映画版との関係性についての感想も多数あります。アニメ映画版は原作小説を知らなくても問題なく視聴できる構成になっていますが、「魔女おばさん」こと和子が少女だった頃にどのような経験をしたのか、知っているのと知らないのとではアニメ映画を観たときの感慨も違ってきます。

「魔女おばさん」は作中で、千昭に対して不誠実な態度を取ったまま別れを迎えたことを後悔する真琴に対して、過去の自分の経験を踏まえたアドバイスを贈ります。結果自分の意思で千昭を助けに行き、最後には千昭のいる未来に向けて生きるという目的を得た真琴と、帰って来ると約束した相手を待つ和子の対比も面白い点のひとつのようです。

時をかける少女の原作小説のあらすじ・結末まとめ!

今回は原作小説版『時をかける少女』のあらすじ・結末をネタバレ紹介するとともに、原作とアニメ映画版との違いをネタバレ解説しました。アニメ映画版は原作とストーリーも設定も異なるリメイク作品ですが、「魔女おばさん」こと和子の存在から窺えるように、原作小説へのリスペクトが随所に散りばめられています。

100ページほどの短く読みやすい作品なので、「アニメ映画版ファンだけど原作を読んだことがない」というみなさんこそ、ぜひ一度原作小説を読んでみてください!原点にして過去である原作を読めば、アニメ映画版をより一層楽しめること請け合いです。

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