2018年11月16日公開
2018年11月16日更新
岳の漫画最終回の内容は?あらすじやラストの結末・島崎三歩の生死を考察
山岳救助という他にないテーマと登山の楽しさと厳しさが前面に表現された漫画が岳みんなの山です。他に類を見ないテーマの漫画だけにどのような内容になっているのか予想ができないという人も多くなっている反面、高い評価を受けている漫画でもあります。今回は岳みんなの山のあらすじをラストの結末まで紹介しつつ、最終回で描かれる事になる島崎三歩の生死についても考察した物をまとめて紹介していきます。
目次
岳の漫画最終回の内容が気になる!
岳みんなの山は過去には俳優小栗旬さん主演で実写映画化された事もある名作漫画です。主人公島崎三歩を中心とした山岳救助ボランティアという登山の厳しさと楽しさをリアルに表現した漫画は人気と同時に高い評価を獲得しています。そんな漫画なので全18巻で描かれるあらすじ、岳の最終回はどんなあらすじになっているのかと気になるという人も多くなっています。
また岳の最終回は大きな考察要素がある為、かなり多数の人が考察を行っています。今回は岳について漫画の概要から簡単なあらすじ、作者や登場人物など紹介しつつ、最終回で描かれる事になる結末、ラストについて考察、結末まで読んだ人の感想や評価までまとめて紹介していきます。
岳の漫画の基本情報を紹介!作者はだれ?
出典: https://eiga.com
岳みんなの山は、2003年に小学館の発売する漫画雑誌、ビッグコミックオリジナルの19号にて連載を開始し、ビッグコミックオリジナル増刊などを使いながら不定期に連載。2007年からは毎号連載となり、2012年12号にて完結した作品です。ビックコミックオリジナル掲載時には「岳みんなの山」というタイトルで単行本になる際には「岳」とタイトルが変わる珍しい作品でもあります。
登山の楽しさと厳しさをリアルに描く表現に高い評価を受けており、初開催となったマンガ大賞2008(第1回)で大賞受賞、同じく2008年に発表された第54回小学館漫画賞一般向け部門を受賞、さらに完結後の2012年には第16回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞も受賞しています。完結間近の2011年には俳優の小栗旬さん主演で実写映画化もされています。
作者は石塚真一さん
岳がリアルな登山の様を描けるのには作者石塚真一さんの経歴が関係しています。石塚真一さんはアメリカの大学に留学し、気象について学ぶ傍らでロッククライミングの虜となり、頻繁に山に登っている生活を送っていました。そんな経験をした後に帰国、そしてその頃の経験を元に岳を手掛ける事になります。またそのような経緯から石塚真一さんが漫画を描き始めたのは帰国後28歳になってからで岳が初連載作品でもあります。
岳の連載期間中から他の作品も手掛けつつ、岳が完結するとジャズを題材としたBLUE GIANTを連載。現在は一区切りついた段階で改題し「BLUE GIANT SUPREME」のタイトルで連載を続けています。BLUE GIANTも岳と同じく高い人気と評価を受ける作品であり、岳でも受賞した小学館漫画賞一般部門を受賞している他、岳では優秀賞だった文化庁メディア芸術祭マンガ部門で大賞も受賞しています。
岳の登場人物を紹介!
ここからは岳の実際の内容に関して紹介していきます。岳は基本的に1話完結という事もあり、その話限りの登場人物も多いですが、まずはあらすじの中でも比較的多く登場する登場人物を簡単に紹介していきます。
島崎三歩
岳の主人公となるのが島崎三歩です。高校時代から登山にどっぷりとのめり込み、卒業後海外に出て世界名峰を登頂。アメリカで山での救助活動を学び日本に帰国、作中では民間の救助ボランティア団体である山岳遭難防止対策教会に参加しています。豊富な登山経験と知識、技術を持ち、多くの救助を成し遂げる様が描かれます。岳の人気の高さの1つがこの島崎三歩のキャラクター性にあります。底抜けに明るく前向きな性格をしています。
要請があれば危険を顧みずに遭難者を探しに行き、決して遭難者を責めず、生存者には力強く「よく頑張った」「あやまらないあやまらない」などと毎回違った言葉を声をかけ、救助が間に合わず死んでしまった者にも祈りと敬意を捧げる事を忘れません。作者の石塚真一さん自身が多くの有名クライマーを掛け合わせる形で誕生させたと語る程で岳を代表するキャラクターです。
野田正人
長野県警察の山岳遭難救助隊のチーフで三歩の幼馴染でもあるのが野田正人です。三歩が長野を中心に活動する1つの理由となっています。常に冷静で責任を持って行動する為にドライで冷たい人物に見えますが、三歩と同様にその本質は非常に熱い人物です。しかし後輩である新人隊員の阿久津が救助活動の際に二重遭難してしまうとその責任をとって異動する事になってしまいます。
椎名久美
岳では主人公の三歩は既に登山や山岳救助のベテランなので、山について詳しくない読者とはなかなか視点が合いません。そんな読者に近い視点で描かれているのが椎名久美です。立場的には野田の部下で、山岳遭難救助隊の隊員ですが、山を好きになれずにいました。山岳救助の経験を積み重ねつつ、葛藤しながら成長していく姿も描かれています。岳は久美の成長物語でもあるのです。
結末として描かれるエピローグでは屋ん岳遭難救助隊隊員として活動を続けておりその様から同じく三歩を知り隊員となっている小田からは「三歩にそっくり」と言われるようになっています。また燕レスキュー所属の青木誠と結婚しているようで名字が青木に変わっており、既に子供も生まれている様子も描かれています。ちなみに映画「岳」ではヒロインでり、長澤まさみさんが演じています。
横井ナオタ
岳では遭難した当事者だけでなくその後の家族の事を描く事もありますが、その中でも取り分けしっかりと描かれたのが横井ナオタです。登場時は父子家庭で育った小学生で、父が北アルプスで遭難し死亡してしまってからは祖父母に引き取られて暮らしています。父を失う悲しい出来事にも負けない逞しい性格で、父を救助してくれた三歩の事を「山のお兄ちゃん」と呼んで慕っています。最終回では青年になった姿が描かれました。
ザック・ウェザース
三歩は世界の名峰に挑戦した実績を持ちアメリカで山岳救助を学んでいる為に海外の知人や友人も多くそれらの人物も登場します。アメリカのティートン・レスキューチームで三歩のチームに属していたザックもそんな一人です。来日後、日本に残り、居酒屋でアルバイトをして生計を立てながら山岳救助のボランティアへ出動もしています。後述する小田が帰国すると入れ替わる形でアメリカに帰国しアメリカでボランティアを続けています。
小田草介
会社を辞めてエレベスト公募登山隊に参加した青年で、学生時代に冬の穂高岳で遭難し三歩に救助された経験を持っているのが小田草介です。ローツェに向かう途中の三歩がネパールで再会する事になります。参加したエレベスト公募登山隊は度重なるトラブルに襲われ遭難寸前まで陥ってしまいました。しかし過去の経験から隊の中で体力を残した数少ないメンバーになっています。
上記の登場人物達は三歩が北アルプスを出てからはどうしても登場が減る事もあり、ヒマラヤ遠征編では準主人公的な扱いで描かれます。最終回までには上記のエレベスト公募登山隊での登山から無事に生還した後、日本に帰国、久美達の山岳救助隊に参加している姿が描かれています。
岳の漫画あらすじをネタバレ!
岳という漫画は全18巻もある比較的長編の漫画でありながら基本的なあらすじはほとんど1話完結で描かれており大きなあらすじという物はあまり存在しません。ただ1つの流れとしては上記の登場人物紹介でも紹介したように、椎名久美が三歩の元に救助を学びに来るというのがあらすじとなっています。
この頃の三歩は長野県の北アルプスにテントを張り、要請を受けて遭難者の救助に向かう姿が描かれます。成長物語という意味では久美の果たす役割が大きく、同時に伝わりにくい三歩の事が徐々に明かされる形であらすじが展開される事が多くなっています。
岳1話のあらすじ
参考までに岳の1話のあらすじを紹介しておきます。1話の時点では野田や久美はまだ長野県にある北部警察署地域課の内勤をしています。そして北穂高岳東で1人の男が遭難するのです。その男、黒岩はサラリーマンとして働いており、出世の願掛けに山に入って遭難してしまいます。申請していた下山予定時間に遅れる黒岩。野田の指示で久美が三歩に連絡を取り、三歩が救助に向かう事になります。
野田の口から三歩の過去などが断片的に語られる中、黒岩が山を登った経緯が語られる中、三歩が黒岩を発見。黒岩は右腕の骨こそ折れてしまっていましたが意識などははっきりしていました。三歩は一度自身が山の上に登って黒岩をロープを使って引っ張り上げた後に背負って下山するルートを取り、無事に黒岩を救出。黒岩は住所を持たない三歩に対してのお礼に北部警察署にカニを送ってくるのでした。
岳の漫画最終回とは?ラストの島崎三歩の生死をネタバレ考察!
岳は2012年に10年近い連載期間を終了し、無事に完結を迎えています。そして完結以降もっとも話題になるのが最終回付近で描かれる三歩に生死についてです。ここからは岳という漫画を語る上で外す事は出来ない最終回でのラストについて紹介していきます。
最終回付近のあらすじ
その前に最終回に繋がるあらすじを少し紹介しておきます。日本での救助活動をしながら多くの人と出会った三歩は自分探しの為、再び海外に目を向けます。目指したのは世界一の高さを誇る山エレベストの傍にある世界4位の高さの山ローツェです。このローツェには西側と南側という登頂ルートがありますが、南側は標高差が3300mある世界屈指の大岩壁だと言われています。
このローツェ南壁を三歩は単独、つまり1人で登る事を決意するのです。向かう道中では過去に助けた小野との再会なども描かれます。そして実際にローツェ南璧を単独登山している最中、友人グループが挑戦していたエレベストで遭難したという話を聞きます。三歩はローツェ南璧登頂を断念し、そのまま進路をエレベストに変え、決死の救助を行い幾人かを助ける事に成功します。
しかし三歩自身も二重遭難に合ってしまうのです。意識が朦朧とする中、既に空になってしまったコーヒーカップでコーヒーを飲んだ気になり、「帰ろう」と呟きます。岳は基本的に三歩の物語であるのでここをラストシーンと見なす人が多くいます。
島崎三歩の生死は定かではない
厳密には上記のエピソードは最終回1話前の話であり、岳という漫画の最終回では三歩は登場しません。劇中で三歩が北アルプスを去ってから5年の歳月が経過し三歩以外の登場人物のエピローグがあらすじとして展開される事になるのです。しかしそれらのエピローグの中でも上記のあらすじの後、三歩がどうなったのかに関しては触れられておらず、その他の登場人物の近況が書かれる事になります。
その為三歩の生死に関しては意見が分かれる事となり、結末・ラストが描かれて完結した後、6年が経過した2018年現在でも新たな考察が投稿されるなどの結果を生んでいます。まさに中心である三歩を最終回で描かないのは死んでいるから、という死亡説と、「このシーンはつまり三歩が生きているって事だろう」逆に「こういうシーンがないから三歩巴生きている」とするような生存説が考察されています。
考察結果は死亡説が優勢
死亡説、生存説両者が混在する三歩ですが、多くの考察を総括するとやはり死亡説の方が説得力の強い結果となっています。やはり三歩というキャラクターが全てと言っても過言ではない岳という漫画においてその主人公を描かないラストの最終回というのは死亡してしまっているからであるという意見がかなり多く、考察の多数を占める結果となっています。
生存説を唱える人の根拠としているのもやはり最終回でのエピローグです。「三歩さんが北アルプスを去って5年」という曖昧な表現、さらにエピローグのキャラクター達にも三歩を失ったという悲壮感が一切なく、カラリとして明るい雰囲気を描いているのです。また野田が最終回に登場しなかったのは三歩と一緒にエレベストに居るからとしている人もいます。
確かに断片的に見れば生存説の理由もある程度納得の出来る物になっていますが、それならばどこかに明示するのではないかという死亡説の前にはなかなか判断材料に欠けるのが現状です。後述する評価は基本的にそれらの考察を元にした物が多くなっており、それぞれに「死亡説」「生存説」を前提とした内容になるなどの結果も生んでいます。
岳の漫画をラストまで読んだ人の評価とは?
結末についての考察まで紹介した所で、ここからは既に岳を最終回で描かれる結末まで読んだ人の評価を紹介していきます。
高すぎるほど高評価を受けている岳
漫画、特に岳のように長期的に連載している漫画は連載が長くなるにつれてどうしても評価が下がっていくのが常です。長くなればなるほどストーリーを追いかけなければいけなくなるので新しく読み始める人は減り、結果的に脱落していった人が評価を下げていくのがそのカラクリなのですが、岳ではそう言った事が一切起こっておらず、ラストの結末が描かれる最終回が収録された最終巻18巻までそれぞれに高い評価を維持しています。
内容そのものの面白さはもちろんですが、それ以外にもそこには岳が18巻にも及ぶ漫画でありながら基本的には1話で完結する物語であり、途中から読み始めても読みやすいというのが理由になっています。それらは連載期間中はもちろん、連載が終了してからも同様で、結果的に岳の評価は2018年現在まで高い評価を維持し続けています。
三歩というキャラクターが気持ちいい
岳の主人公である三歩。彼の底抜けに明るく前向きな性格に対しても高い評価をする人が多くなっています。三歩の救助はいつも上手くいくわけではありません。時には救助が間に合わず辿り着いていた時には亡くなってしまっていた人、救助の最中に死んでしまった人もいます。そんな悲しいシーンでも三歩というキャラクターを通してみる事で悲壮感だけのシーンにならなくて済むという声も多いです。
そして三歩の行動が「厳しいけど、それ以上に楽しい」というメッセージを強く発しており、岳を読んで登山がしたくなった、実際に始めたという人も多くなっています。また細かな差ではありますが、三歩が救助者にかける言葉が毎回異なりその時の状況に合わせているのもよりリアルさを演出できていてキャラクター性を際立たせていると言った声が多くなる結果となっています。
岳の強いメッセージ性を見事に体現しているキャラクターでもある為、岳を好きになる=三歩を好きになる事だとする人も多くいる程です。
最終回の結末は賛否両論
高い評価を受け続けている岳ですが、やはり最終回で描かれる結末に関しては賛否両論があります。それもどちらかと言えば否定派が多いです。これまで数々の人を救いだしてきた三歩があまりにもあっさり死に過ぎではないか?という声が非常に多くなっています。やはり三歩というキャラクターに支えられてきた漫画でもあるので最後の最後まで元気な三歩を見ていたかったという声は多いです。
これは岳に限った話ではありませんがメインキャラクターの明確な死を描くラストや死んでいると感じさせる形で終わるラストはどうしても否定的な意見が多くなり、岳もこの例に漏れないと言った結果になっています。やはりそのキャラクター性に惹かれて読み続けてきた読者としてはショックも大きくなり、読後感も決して後味が良いとは言えないというのが大きな理由です。
しかし敢えて明確に「死んだ」とは書いていない事を評価する声もあります。岳という漫画を象徴するキャラクターの生死を曖昧にする事で、読者は多く考察を行い、結果さらに岳という漫画が広がる事にもなるからです。
ラストの結末は作者石塚真一さんなりの警告?
こちらもあくまでも読者の考察ですが、比較的信憑性が高い物なので紹介しておきます。岳の最終回での結末をあのような形にしたのは、作者である石塚真一さんなりの警告だったのではないかとする説です。岳の漫画や映画の影響もあり、また健康的なレジャーとしても最終回での結末が描かれる頃には登山ブームが起きていました。当然三歩を使ったPRなどもかなり積極的に行われていた時期です。
しかし登山を楽しむ人が増えるのに比例して遭難する人、遭難まではしなかったものの怪我をする人が増加しました。どうしても漫画やテレビなどでは表向きの楽しさを訴える内容が多くなるので登山は楽しさと同時に危険性をはらんでいる事、現実には三歩のように助けに来れる人はそうはいない事、そしてあの三歩ですら山で死んでしまうんだよと見せる為に三歩が死亡したように見せるラストにしたのではないかと言われています。
実際に作者の石塚真一さんは連載終了後に新聞に掲載された2014年のインタビューの中でも「登山は自己責任。三歩さんは架空の人物であり、そんなに都合よく誰かが救援してくれたりしない」と答えています。自身も長く登山にのめり込み楽しさも厳しさも知る石塚真一さんだからこそこのような結末・ラストにしたのではないでしょうか。
岳の漫画最終回までネタバレまとめ!
岳は高い評価を受ける漫画ですが、同時に最終回の結末・ラストには賛否両論がある漫画でもあります。しかしそれも全てそこまでの高い評価と感動的と言えるあらすじがあってこそであり、三歩というキャラクターが愛されていた証でもあります。やはり三歩には生きていて欲しいという一種の願いのような物もあるような評価が多いのも事実です。
山を題材とした漫画は他にもありますが、岳程にリアルで比較的身近に感じさせる事ができる漫画は他にはありません。山が好きな人はもちろん、三歩というキャラクター、そして岳自体が持つ強いメッセージ性には山に興味がない、よくわからないという人もいつの間にかハマりこんでいたとする作品なので、まだ読破していないという人は一度手に触れてみてはいかがでしょうか。