よつばと!がアニメ化されないのはなぜ?作者が許可しない理由を考察

よつばと!は2003年より月間電撃大王にて連載が開始され、15年たった今においてもその人気は衰えることを知らない空気系・日常系漫画です。新刊が出れば間違いなく本屋さんに平置きになり、多くの人が一度は見たことがあるでしょう。けれどもそんなよつばと!ですが、アニメ化についてはまるで音沙汰がありません。ここではそんな人気漫画よつばと!のアニメ化について考察していきます。

よつばと!がアニメ化されないのはなぜ?作者が許可しない理由を考察のイメージ

目次

  1. よつばと!がアニメ化されない理由に迫る!
  2. よつばと!とは?
  3. よつばと!作者について
  4. よつばと!のあらすじを紹介
  5. よつばと!がアニメ化されない理由を考察
  6. よつばと!のアニメ化を期待する声は多い
  7. よつばと!はアニメ化よりグッズ展開などに注力?
  8. よつばと!がアニメ化されない理由まとめ

よつばと!がアニメ化されない理由に迫る!

よつばと!は、日本だけでなく世界でもその名を轟かせ、老若男女問わず多くの読者から愛される空気系漫画です。新刊が出るたびに話題に上がり、考察サイトやブログでの感想も数多く存在し、今や日本を代表する人気漫画のうちの1つであることは疑いようがありません。またそれと同時に、ゆるい日常を描いた空気系漫画のパイオニアとも言える存在となっています。

けれどもそんな人気漫画であるにもかかわらず、ほかの人気漫画には必ずと言っていいほどあるものが、よつばと!にはないのです。それが「アニメ化」です。第1巻が発売される当初より話題性があり、もはや15年以上も続いているマンモスコンテンツであるにもかかわらず、これまでの間一切映像化されていないというのです。今回はそんなよつばと!について、アニメ化されない理由について考察していきます。

よつばと! | 月刊コミック電撃大王公式サイト

よつばと!とは?

よつばと!は月刊コミック電撃大王(アスキーメディアワークス出版)にて2003年より連載されている漫画で、ちょっと変わった5歳の女の子の「よつば」を主人公とした日常を描いています。もともと海外にいたよつばは日本のいろいろなことが新鮮で、初めての体験、初めての出会いが皆楽しくてたまりません。そんな日常の中の小さな感動の連続を詰め込んでいるのがこのよつばとなのです。

単行本は2018年現在14巻まで発行されていて、発行部数は累計で1300万部、2006年には第10回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を、2016年には第20回手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞しています。なお、それらの賞を受賞した2016年上半期においては、Amazonランキング大賞で第1位を記録し、現在13ヶ国語に翻訳、国外23ヶ国でも100万部以上発行されています。

タイトルにもなっている「よつば」ってどんな子?

主人公よつばはいつも元気で自由奔放な5歳の女の子です。何に対しても全力で取り組み、子ども特有の独自の視点で日常に小さな感動を発見していきます。外国でとーちゃん(小岩井葉介)に拾われたとあるのですが、人種や国籍などそのあたりの詳細についてはほとんど触れられておらず、ただ初対面の相手が一目見て外国の子と認識する描写が複数見られます。

日本の常識には疎いようで、年齢相応以上に素直で信じこみやすい性格をしています。また自分の失敗を隠すためや自分の主張を押しとおすために嘘をつくことも度々ありますが、年齢相応でもあり、また常識に疎いこともあり、すぐに周りには見破られてしまいます。周りにもとーちゃんにも「へんな子」と思われていますが、たくさんの人を和ませ、またたくさんの人からめいっぱいの愛情を受けて育っています。

なお、このよつばという子について、またよつばととーちゃんの出会いについてなども、世間では様々な考察がなされていますが、一定の見解は得られていません。それは、よつばと!全体において、しいてはあずまきよひこさんの作品全体に言えることでもありますが、物語の中においてそれほど重要ではない要素についてはほとんど掘り下げていないからなのです。

ただ逆にそれがネットを中心に話題となり、数多くのサイトにて考察されるに至り、それもまた大きな話題となる要因にもなっているのです。

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よつばと!作者について

よつばと!の作者は前作「あずまんが大王」でも知られるあずまきよひこ(ひらがな表記)さんで、アニメ風の人物でのんびりとした日常を描く漫画を主としています。

よつばと!作者あずまきよひこさんの経歴を紹介!

小学校時代はスポーツ少年だったそうですが、中学校3年生の頃から友人の影響で漫画やアニメに傾倒していったと言われています。その後高校で同人サークルに入り、漫画を描き始めたのはその頃ということです。また将来はアニメーターを志望するということで大阪芸術大学芸術学部映像学科に入学するも、すぐにアニメ熱が冷めてしまい1年で中退しています。

ただし絵そのものは好きであったとのことで美術系専門学校を経て神戸芸術工科大学芸術工学部資格情報デザイン学科に入学します。在学中には『A-ZONE』という個人誌で同人活動を開始、セーラームーンのパロディ漫画などを描いていました。

1994年より漫画家として活動を開始し、はじめは主にゲームの4コマ漫画やアンソロジーコミックの作者として活躍、その後1999年より月刊コミック電撃大王にて連載が開始した、とある高校を舞台にした学園コメディ4コマ漫画「あずまんが大王」にて一躍有名になりました。

萌え4コマ、空気系ジャンルを世に知らしめた「あずまんが大王」の作者!

現在ではよつばとで大変有名な作者であるあずまきよひこさんですが、もともと世にあまり浸透していなかった「萌え4コマ」「空気系」といったジャンルを確立させた作者としても知られていて、その後のいわゆる萌え4コマ・空気系漫画と言われる「けいおん」や「らき☆すた」、「ひだまりスケッチ」や「みなみけ」「日常」などのテンプレートを作り、先駆けになったと言われています。

テンプレートの具体例としてはロリ、天然、暴走、突っ込み、無口、体力、百合があげられており、その後の同系統の作品をけん引しているとされているのです。また登場人物はじめ舞台に関する設定を細かく定めないやり方も、このあずまんがが走りだという考察をよく見かけます。

2000年以降の漫画・アニメの歴史を考察するにあたり、あずまんが大王の影響力は非常に大きかったとされており、この漫画以降萌え4コマ漫画は飛躍的に増えることとなりました。もちろんその多くは作者もろとも短期間で消えてしまいましたが、反面確かに当時一大ブームを起こした漫画もまた多く、らき☆すた等については今現在でもなお連載が続いています。

よつばと!やあずまんが大王の作者であること以外ほとんど謎に包まれた人物!

よつばと作者あずまきよひこさんはプライベートを公にしない方針ということで、よつばとやあずまんが大王の作者ということ以外ほとんど何も分かっていないのが現状です。様々な考察がされていますが、結局のところ唯一プライベートに関して情報があるとすると、2011年に執筆されたブログにて、資料用に使う気に入った子ども用の椅子を購入することを「子どもがいない」ため躊躇しているとの記載があることくらいです。

よつばと!のあらすじを紹介

よつばと!は上述の通り、自由奔放な5歳児よつばを中心に、あらゆる日常の小さな感動を描く一つ一つ丁寧に描写していく物語です。そんなよつばと!について、1巻から5巻までを、各話ピックアップしてあらすじを紹介していきます。

よつばと!1巻。よつばととーちゃん、そして綾瀬3姉妹の登場!

よつばととーちゃん(小岩井家)が綾瀬3姉妹の家の隣に引っ越してきて物語が始まります。お隣さんとなるあさぎ、風香(ふうか)、恵那(えな)の綾瀬3姉妹は3人それぞれ全く違う性格で、小学4年生の恵那は年長ぶろうとするものの、よつばとも一番歳が近いこともあり近しい視点でよつばをとらえてます。ふうかは高校生ということでよつばを見守る立場になりますが、一番よつばの自由奔放な性格に振り回される立ち位置です。

そして最年長のあさぎは大学生ということですが、小悪魔的、お調子者的な性格も相まって、ふうかとは逆によつばをからかったりうまく丸め込むような立ち位置として登場します。読んでいただくとわかりますが、このように様々なよつば以外の登場人物の視点を共有することで、よつばの色々な面の魅力が堪能できるようになっているのです。

またとーちゃんの幼馴染であり今も非常に仲の良い友人であるジャンボ(本名竹田隆)もここで登場です。ジャンボは今後もよくよつばや恵那を遊びに連れて行ってくれる物語の発起人ですが、1巻ではセミ取りにつれて行ってくれていました。1巻の最後で大雨の中遊びまわるよつばを眺めるとーちゃんが「あいつは何でも楽しめるからな。よつばは無敵だ」と話しますが、これは今後のよつばと!の大事なテーマでもあると言われています。

よつばと!2巻。突っ込み役のみうら登場!

恵那の小学校の友人であるみうら(早坂みうら)が初登場です。みうらは恵那の家にしょっちゅう遊びに行っており、ついでによつばともよく遊ぶため、2巻に限らず今後も非常に多く登場しますし、ジャンボともよく絡みます。2巻では公園に一緒に写生に行ったり、綾瀬家に遊びに行ったらたまたいたり、一緒にケーキを買いにったりします。

また少々度の過ぎたいたずらも好きなようで、田んぼにある鳥よけの大きな目玉のようなものをかぶってよつばを脅したりもします。後にも先にも、よつばをそこまで泣かせたのはとーちゃん以外には彼女だけでしょう。

1巻では綾瀬家とジャンボとのつながりが中心だったのが、2巻では恵那の友人みうらの存在で少しだけ世界が広がります。けれどもこのみうら、恵那と同じ小学4年生ではありますが、その視点は全く逆方向を向いていると言っても過言ではありません。恵那はどちらかというと物事にあまり臆さずマイペースで、よつばの目線や感覚を一緒に楽しむ役割となります。

それに対してみうらはよつばをからかったりいたずらしたり、かつ心配性な面もあることから「おいおいちょっと待てよ」とブレーキ役・突っ込み役に回ることが多いのです。全体を通して基本的によつばに対して寛容な登場人物たちの中において、重要な突っ込みキャラとなっています。

よつばと!3巻。動物園に花火大会!

前半は綾瀬3姉妹の長女あさぎとの絡みが多く、後半は動物園から花火大会と、夏のイベントにおけるよつばの話が多く掲載されています。1~2巻ではよつばと周囲の人物の絡みを中心に日々の日常にスポットが当てられてきましたが、ここにきてイベントの体験というフェーズが出てきます。

普段誰もが知っていてもはや当たり前のものになってしまった数多くのイベントが、よつばの新鮮な目線を通すことによって「こんな視点があったんだな」と再び新鮮なものに見えてきてしまうのも、このよつばと!の魅力の1つです。

よつばと!4巻。風香の失恋!

とりとめのない日常回が続く巻ですが、何と言っても一番のトピックスは風香の失恋でしょう。街中を自転車で走っているさなか、好きだった男の子が他の女の子と仲良く歩いている光景を見かけたということでした。そんな風香によつばは「チューしたか?そっかーまだかー」など、知ったかぶっていながら全く理解もしていない会話を繰り広げます。

実はそもそも、失恋というナイーブな話題であるにもかかわらず、2人の間に会話が成り立っているのかどうかも怪しいところで、そこが微妙に笑いを誘ってくるのです。こういった会話が中心の場面で微妙に話がかみ合ってない感は芸人のコントでもたびたびお目にかかるのですが、それを天然で出してしまうよつばの魅力に脱帽です。なお、そんな風香の失恋は、最終的にはよつばの作った号外にて家族みんなに知れ渡ることになります。

よつばと!5巻。ダンボーとやんだが初登場!

未だ漫画には2回しか登場していないにも関わらず、グッズ展開や派生キャラ(にゃんぼー)のアニメ化など多方面にて大活躍のダンボーですが初登場となります。恵那とみうら2人共同の夏休みの自由研究で作った段ボールのロボットなのですが、たまたまダンボーの中にみうらが入っている時によつばが来てしまい、みうらが即興で「自分は高名な博士に作られたロボットだ」と言ってしまったことで、ダンボーのキャラが生まれました。

またもう1人重要な登場人物、やんだが初登場です。とーちゃんの後輩だというやんだですが、本気かふざけてかはともかくよつばと幼稚な言い争いをしたり、よつばから「へんなやつ」認定されるなど、大人の目線でよつばから突っ込みを受ける役割となっています。

初登場時は勝手に家に入ってきて自分をからかう不審人物としてよつばに嫌われるのですが、一番よつばの目線でかまってくれるというのもまた事実で、以後よつばから非常になつかれるのです。

よつばと!がアニメ化されない理由を考察

さて、ここまでよつばと!と、同じ作者のあずまんが大王にも触れながら作品を紹介してきました。ここで気になるのが、よつばと!はアニメ化されるのか?ということです。同じ作者のあずまんが大王はすでにアニメ化しており、これもまた多くの反響を集めましたし、よつばと!がアニメ化されればそれ以上の反響が見込めるのも当然というものです。ここからはそんなよつばと!のアニメ化について考察していきます。

あずまんが大王のアニメスタッフが作者あずまきよひこさんを怒らせた?噂の真相は?

実のところ、よつばと!がアニメ化されない理由の一つとしてまことしやかに囁かれる噂があることをご存知でしょうか。それはよつばと!作者あずまきよひこさんが、前作あずまんが大王のアニメスタッフに対して怒った、そのせいで関係が悪くなった、というものです。

その理由についてはすでに様々な考察がされております。あずまんが大王は、上述の通り2000年初頭のゆるい空気系・日常系漫画の走りでもあり、また同時に現在まで続くゆるいアニメの先駆けでもあります。後の世に決して小さくない影響を与えたわけですが、当時そういった漫画は少数派で、またそのアニメ化も非常に珍しいものでした。それ故に、当時はあずまんが大王のアニメにさまざまな批判があったこともまた事実なのです。

当時「電撃大王」において、あずまんが大王は異色のコンテンツだった?あずまんが大王にたいする批判について考察

あずまんが大王が連載開始された2000年当時の電撃大王のラインナップを見てみると、Kanon/ブギーポップデュアル負け犬たちのサーカス/ガンドライバー/Train+Train/悠久黙示録エイドロンシャドー/聖霊機ライブレード/無限のリヴァイス/機動戦士ガンダム0079など、濃いストーリーものの漫画が多数を占めていて、そこにそれぞれコアな読者がファンとしてついていたのも容易に想像が付きます。

そして当時の感覚で言えば、その中でゆるい空気系の4コマ漫画といえば、膨大なページの中のおまけのような存在であったのです。ですがそんなラインナップで颯爽とアニメ化を勝ち取ったとなると、既存のファンからすれば面白くなかっただろうということは容易に想像がつきます。

実際に既存の電撃大王の読者からは「他の作品をアニメ化した方がよかった」という声が多数聞かれますし、今でも「至る所で絶賛していて気持ちが悪かった。今思えばステマだった」といった意見があるのも事実なのです。

加えてもう1つ、既存の電撃大王の読者にとって面白くない事実を挙げるとすると、あずまんが大王の成功から少しずつ、電撃大王の雑誌のコンセプトが萌えの方向に傾いていったということです。あずまんが大王の成功は4コマ漫画の文化に新しい風を入れ、電撃大王にとっても新たな読者を獲得するに一役買いましたが、同時に以前から愛読していた読者の反感を買ってしまったという側面も存在するのです。

あずまんが大王はアニメ化が難しかった?空気系漫画のアニメ化の弊害について考察

もう1つ、アニメあずまんが大王が批判される理由を考察すると、空気系漫画のアニメ化の困難さが挙げられます。アニメあずまんが大王は、実は原作のファンの間でも評価が分かれる作品です。

人によっては「原作の空気を失わずに、原作に忠実に表現されていた」「声優さんの声もキャラクターのイメージに合っていた」と好評を得ていましたが、同時に「原作の良さを殺してしまっている」「フリ・ボケ・ツッコミという4コマ漫画のテンポの良さが死んでいる」といった声が聞かれるのもまた事実なのです。

考察するに、これは4コマ漫画というものをどう読むのかという個人の感性に依存するものと考えられます。上記のような評価が分かれるポイントとして「間」の問題があります。あずまんが大王の原作を読んでみると、セリフのないほぼ同じ絵、同じ構成のコマが連続で続いたり、そこにある微妙な変化、それはキャラクターの視線であったり、口元の緩みだったりするのですが、そういった「間」を大いに楽しめる漫画であると言えます。

ただし、その「間」の捉え方、もっと言えば読むスピードや行間の一息置く感覚は、読む人によってだいぶ差があるのです。通常の漫画であれば絵の量や文字の量である程度読者のスピードをコントロールできるものの、あずまんが大王においてはその「間」の取り方はあまりにも人それぞれで、とてもコントロールできるものではありません。

あずまんが大王がアニメ化された際に、その「間」においては十分な量を取っていたものと推察されます。けれどもそれが、人によっては心地よく感じられ高い評価につながったり、逆に「間延びしすぎている」「テンポが悪い」といった感想にもつながってくるのです。

噂の真相とアニメ化しない理由について考察

さて、そういったいくつかの批判や悪評が巡り巡って、原作者のあずまきよひこさんがアニメスタッフに対して怒っている、などといった噂が立ってしまったわけですが、これはあずまきよひこさん自身がブログにてその噂を真っ向から否定しています。

むしろアニメ化の際、打ち上げでは最後まで一緒に飲んで、「こんなに遅くまでいる原作者は珍しい」と言われるほどに良好かな関係であったことが複数の記事でも掲載されています。ではなぜアニメ化しないのか。その理由についても、同ブログにてあずまきよひこさん本人がこう語っています。「よつばならではのしぐさをカットせずにアニメ化することは難しいから」というのです。

ここで、先に述べた「間」の話に戻ります。よつばと!もあずまんが大王と同様に「間」を非常に大事にしている漫画と言えます。よつばの表情の微妙な変化や、ギャグを言った後にその場に流れるなんとも言えない微妙な空気、セリフが一切ないながらもその場の盛り上がりやよつばの騒々しさなども、「間」を使って実にうまく表現されています。

物事の表現にはそれぞれ良し悪しがあって、音声や声、セリフ回しなどはアニメにしか表現できないものですが、同じように、静止画である漫画でしか表現できないものというのもまた存在します。コマとコマの間の時間を読者に託すことで、読者が一番心地よい「間」をそれぞれ持つことができる表現の方法と言えるでしょう。

ただそれを万人に受け入れられるように標準化することが非常に困難であることは、あずまんが大王の経験からも十分に考えられます。作者あずまきよひこさんの言葉では「よつばならではしぐさをカットせずに」と表現されていますが、まさに漫画ならではの表現を駆使したよつばの天真爛漫さ、素直さ、感情の豊かさが、時間で「間」を区切られてしまう「アニメ」という表現方法では十分に活かせないということなのでしょう。

空気系漫画の中でもよつばと!は特にアニメ化しにくい?

それでも空気系漫画であるにも関わらずアニメ化された作品は数知れず、またその中でヒットした作品も、それほど多くはないながらも確かに存在します。「ヒット」の定義にもよりますが、そもそもあずまんが大王のアニメ化について考察しても、そのDVDの売上や話題性などを考慮すれば十分ヒット作品のうちの1つに数えても差し支えはないはずです。批判の数に負けないだけの高い評価の声も数多く上がっていたのですから。

ここで、よつばと!とあずまんが大王の違いについて触れながら、考察しなければなりません。それは、「アニメ化においてどこに重点を置くか」という点です。あずまんが大王をはじめ、これまでヒットしてきた数々の空気系アニメをよく見れば、登場するキャラクターの個性が非常に強く出ていることが分かります。映像の中でゆるい空気を醸成しつつ、どこかでキャラクターの強烈な個性でもって締めている部分があるのです。

それは謂わゆる、あずまんが大王で確立された空気系4コマ漫画のテンプレート(各キャラクターにとがった役割:ロリ、天然、暴走、突っ込み、無口、体力、百合などをあてがうこと)通りであれば、アニメコンテンツへとしての仕上がりもある程度予測できる、もっと言えば容易になったということでもあります。

ではそういったテンプレートによつばと!を当てはめようとすると、これがなかなか難しいのです。よつばと!のキャラクターはそこまでとがっていません。例えば度を超えて暴走するような登場人物もいませんし、周りから盛大なツッコミを入れられるほどにボケている登場人物もいません。そこら辺に普通にいるかも知れない人物をより丁寧に、ほんの少しだけ誇張した程度に描写しているのです。

そんな普通の登場人物たちが織り成す、まったくの日常の物語の中で発見される小さな感動をどう表現するか。漫画としての表現方法を追求してこそ完成されたその空気をどう映像に落とし込むのか、そこに納得がいくまでは、作者のあずまきよひこさんは首を縦に降らないのではないかと言われているのです。

よつばと!のアニメ化を期待する声は多い

よつばと!のアニメ化を期待する声は非常に多く聞かれます。特にこのよつばという天真爛漫な5歳児が画面の中を縦横無尽に動き回る様は、老若男女問わず注目の的になることはまず間違いありません。また上述の「アニメ化しない理由」と相反することとなりますが、よつばの表情の微妙な変化や小さな手足の小さな動きまで、映像で表現されることに対する期待感も込められていると言われています。

よつばの言動に対して一定の解釈が得られる、もしくは標準化されることをあえて望む声も多いということです。人物の細かい表現に対してどこまで追求できるのか、そういった期待感がよつばと!のアニメ化には込められています。

よつばと!はアニメ化よりグッズ展開などに注力?

一方で、アニメ化をする必要もない、という声もちらほら聞こえてきます。そもそもアニメ化するメリットとして「作品の知名度を広めることができる」「放送ごとにTwitterなどで話題に上がる可能性がある」「そこから派生したグッズなどの展開が容易になる」など、アニメ単体の収益よりもそれに付随するメリットの方が圧倒的に大きいとも言われています。

ではよつばと!はどうかというと、既に知名度はワールドクラスであり、テレビなどに露出しなくても割とどの年代にもとっかかりがあり、しかも新刊が出るたび、もしくはグッズやイベントが更新されるたびにTwitterなどで話題に上がってくるのです。

それならば、わざわざ多額の費用をかけてアニメ化せずとも、そのまま単行本の売り上げや、付随するグッズを展開していくだけで十分ともいえます。事実、上述したダンボー(5巻初登場)含めグッズの展開が非常に好評で、様々なコラボ含め数多くの商品が存在するのです。ここからはそんなグッズの展開について、その1部を紹介していきます。

ミニタオル/カプコンカフェ

カプコンのゲームのグッズ展開を行うカプコンカフェとのコラボ商品の1つです。よつばとダンボー、そしてクマのぬいぐるみジェラルミンです。

ほかにもマグカップ、ドリッパー、コルクコースター、角皿にランチバッグなど、様々な商品が展開されています。

リュック/OUTDOOR PRODUCTS

世界的な老舗ブランドOUTDOOR PRODUCTSとのコラボレーションで、同社定番のデイパック全面にダンボーの柄がプリントされています。

キャラクターものでありながら、そのダンボーのシンプルなデザインがバランスよく融合して、普段使いとしても十分使える代物となっています。柄の種類は全部で3種類、チョコケーキ、フルーツパフェ、そしてカフェラテとなっています。

ぬいぐるみ/ハリスツイード

世界中にファンを持つテキスタイルのブランド「ハリスツイード」とのコラボレーションです。全長約30cmでハリスツイードの生地を全面に使用、1体1体生地取りの場所が違い微妙な差となって表れていたり、ボタンもランダムに取りつけていることで、それぞれの個性を持ったぬいぐるみとなっています。

ちなみに後頭部には厳しい品質基準をクリアした証である「認定ラベル」もついていて、伝統的な生地の高級感とデザインはインテリアとしてだけでなく、贈り物としても人気があります。

ニャンボー

既存のキャラクターであるダンボーに個性豊かな猫耳と、それに合わせたアレンジで展開されるフィギュアシリーズです。

それぞれトラ、コトラ、シロ、クロ、ミケなど名前がついていて、2016年から2017年にかけてはNHK Eテレのミニアニメコーナー枠で、実写合成CGアニメーションも放送されていました。

よつばと!がアニメ化されない理由まとめ

いかがでしたでしょうか。よつばと!の概要からあらすじ、アニメ化されない理由についての考察、そしてグッズ展開まで紹介していきました。今のところよつばと!がアニメ化する気配はみじんも感じられないところですが、これだけアニメ化されておらず、アニメ化の要望が多い漫画は他にはないでしょう。

上述の通り一番懸念されていた「よつばと!の作者あずまきよひこさんがアニメスタッフとケンカしていたのではないか?」という噂についても、様々な考察サイトにて完全に否定されていることが述べられています。ですので、もしかしたら今後ファンの声を受けて、アニメ化が企画される可能性も決してゼロではないでしょう。その時をぜひとも首を長くして楽しみにしておきたいものです。

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