【アンデッドアンラック】ループについて解説！ヴィクトルとジュイスの目的を考察

『アンデッドアンラック（公式略称：アンデラ）』は、戸塚慶文による日本の漫画作品です。「週刊少年ジャンプ」2019年9号で、読み切り作品『アンデッド＋アンラック』として発表され、その後2020年8号から連載がスタートしました。

この作品は、2020年に開催された「次にくるマンガ大賞」でコミックス部門1位を受賞し、2021年6月には「第5回みんなが選ぶTSUTAYAコミック大賞」で7位に選ばれました。そして、国内外の幅広い層から支持を集め、2022年3月時点で全世界での累計部数は150万部を突破しました。

不運をもたらす特異体質を持つ孤独な少女、出雲風子は、愛読漫画の完結を機に自殺を決意します。しかし、彼女の行動を「不死」の男・アンディが阻止します。彼は風子の力で「本当の死」を得るため、彼女と行動を共にするようになります。二人は世界を救済する組織「ユニオン」に加入し、最高の死亡方法を見つけるため様々な課題（クエスト）に挑んでいきました。

ここからは、この記事のメインテーマである『アンデッドアンラック（アンデラ）』の世界観である「ループ」を解説していきます。「ループ」とは、神（サンsun）による世界の物理的な繰り返しのことを指します。この世界の秩序（ルール）はUMA（ユーマ）によって行われますが、ループは神のみが実行可能です。

『アンデッドアンラック』の組織は、古代の遺物（アーティファクト）や黙示録（アポカリプス）から課題（クエスト）を与えられます。クエスト成功で報酬を手にしますが、失敗すると罰（ペナルティ）が待っています。その中で101番目のRAGNARØK（ラグナロク）が起こると、黒い巨人SUN（サン）が数多く出現し、地球を破壊するのです。

『アンデッドアンラック』での地球の破壊とは、全ての生命が消え去り、地球そのものが粉々になってしまうことを意味します。命は失われ、宇宙には砕けた地球の破片が漂うのです。太陽や月以外の天体も消え、神sunによる再構築が始まります。新たな地球では、長い時間をかけて命が再び芽生え、人類が誕生します。新たな歴史が幕を開けるのです。

物を壊すのは簡単ですが、創るのは大変なことです。例えば、陶器のお皿を考えるとわかりやすいでしょう。お皿を壊すのは簡単で、床に叩きつけるだけで一瞬で終わることです。しかし、作るのは勝手が違います。粘土を形作り、乾かし、焼き、装飾を施し、焼き上げるといった作業は、完成までに2週間から1カ月もかかります。

上で解説したように、なぜ神は手間をかけているのでしょうか？それは、太陽にいる神（サンsun）と月にいる神（ルナLUNA）が、ゲームをしていることが原因だと言われています。彼らは地球にいる否定者と理（ルール）であるUMAの間で自分たちにどちらが勝利するかを賭けているようです。ただし、これまで解説してきたこと以外に理由があるかもしれませんので、今後もそれを見極める必要があります。

『アンデッドアンラック』では、この世界は永遠に、何度も何度も繰り返されます。アンデラの世界は既にこれを100回も繰り返しています。創造と消滅を繰り返し、そのたびに課せられるルール。組織の目的は、このループから人々や自分自身を解放することかもしれません。そして、アンデラの物語の最終目的はそこにあるのかもしれません。

次に、アンデッドアンラックの世界がループしている理由を解説します。神が世界をループさせる理由は、月の神ルナと太陽の神サンが行うある賭けにあります。その賭けは、「否定者」と「理（ルール）」である「UMA」のどちらが神に届けることができるかというゲームです。このゲームがループの原因とされています。そして、もしこのループを終わらせるならば、神を打ち倒すことが必要だと考えられています。

『アンデッドアンラック』での循環の中では、何度も繰り返される出来事や人々の宿命、神々の戦いなど、様々な要素が存在しています。この中で、神々や人々は成長し、学び、新たな可能性を探求することになります。そして、神々同士の関係や人々のきずなも、大切な要素となっています。

ここまで解説してきたように、神々が世界をループさせる背景やその中で起こる出来事には、複雑な要素がからみ合っているのです。神々の駆け引きや戦い、人々の宿命など、興味深い多彩な要素が存在しています。

『アンデッドアンラック（アンデラ）』の世界では、二人の人物がループのことを知っています。他の人々は、今いる世界が何度も繰り返されていることについて考えもしません。このループの事実を知っているのは、ヴィクトルとジュイスだけなのです。

ヴィクトルは、死を否定する能力を持ち、地球が何度粉砕しても生き続け、そのループを見ています。一方ジュイスは、古代の遺物であるアークに乗り込んで飛び、ループを経験しています。アークとは、時空を越えるタイムマシンのようなものです。一人乗りなので、他の人が一緒に行くことはできません。

ヴィクトルは、地球が復活するまでずっと見守り続けてきました。人類が誕生するまで、彼は独りぼっちでした。もう一人のジュイスは、アークを使って人間が生存できる未来へ旅立ちました。

この二人は、何度もループを繰り返し、その間、すでに4554億年もの時間が経過しています。神が引き起こすループやこの世の理に強制される呪縛、否定の力を見てきました。そうした呪縛からの解放を求め、unionという組織を立ち上げます。しかし、99回目のループで二人は袂を分かつことになりました。ジュイスによれば、それはヴィクトルが諦めたためとのことです。

ヴィクトルが諦めたのは本当のことでしょう。彼の苦悩は非常に大きかったからです。地球が現在の状態になるまで46億年もかかっています。しかも、失敗続きで99回もやり直さなければなりません。果てしないループを独りで続けることは、双六を延々とやらされているようなものです。不死の能力があるため、地球が砕け散っても何があっても死ぬことはありません。独りだけで人類が誕生するまで待たねばならないのです。

これを考えると、戦慄を覚える人もいることでしょう。諦めたくなっても仕方ないかもしれません。一方のジュイスも同じような時間を繰り返しているので、多くの苦労や困難に直面していることでしょう。ただ、ヴィクトルと比べると、まだマシだと考えられます。この点では、ヴィクトルに分があります。

『アンデッドアンラック（アンデラ）』のループした世界では、否定者やUMAの誕生に変更は見られず、歴史も同様に変わらないようです。ヴィクトルやジュイスは、故意に歴史を変えるとループが変わってしまうのでは？という懸念を持っています。実際、課題の内容や報酬はループごとに変化していると考えられます。同様に、古代遺物の所在も毎回変わっているようです。

100回のループを経験したジュイスですら、使い慣れたリメンバーの所在がわからなかったことから、実際に変化していると考えてよいでしょう。また、課題への参加者数も変動していることがあります。そこで、ジュイスは100回目のループで101番目の罰であるRAGNARØK（ラグナロク）の阻止に失敗し、望みが叶わなかったのです。

そして今回のループで新たな展開を迎えます。ジュイスは風子に古代遺物アークを託す決断をしました。風子はアークに乗って101回目のループにより1972年9月11日に移動し、九能明がGライナーに触れようとするのを止めさせます。この瞬間から101回目のループ世界が始まり、新たな物語や歴史が展開されました。

ジュイスと風子、この二人の女性の共通点は何でしょうか？彼女たちは共に「歴史を意図的に変えた」のです。失敗の歴史にピリオドを打ち、成功への道を切り拓いたのです。成功するかどうかは未知数ですが、新しい試みです。これまでとは全く異なる歴史が幕を開けます。風子が101回目のループで新たな世界を切り開く中で、ジュイスの目的や人類の解放は果たされるのでしょうか？

『アンデッドアンラック（アンデラ）』は、ループした後が面白いといわれています。ここからは、その理由について解説してみます。特に主人公の風子がループ後にどれだけ強くなるかが注目ポイントとなっていますので、彼女の強さについても深掘りしていきます。

ループ後が面白いと言われるのには、風子の「不運の能力」にその理由が隠されています。彼女が関わる人間や出来事は、彼女の能力によって思いもよらない方向に進んでいくためです。この能力によって風子自身も苦悩し、自分の存在や使命について深く考えることになります。このような緊張感やドラマが、ループ後の世界に魅力を与えているのです。ちなみに、風子はループ後にユニオンのボスに就任しました。

ユニオンのボス、ジュイスは、風子が不運な能力で強力な敵を退けるのを見て、これこそが「神を殺す能力」かもしれないと述べました。その能力から、風子はユニオンのボスに相応しいと見なされていきました。風子はユニオンの指導者としての責任を全うするため、自らの能力に磨きをかけています。過去の戦いから学び、新しい戦略を考案し、ユニオンを守るため全力を尽くします。

同時に、風子はユニオンのメンバーとの協力関係を重視しています。リーダーシップを発揮し、メンバーの個々の能力を最大限に引き出すための計画を練ります。こうして、彼女はユニオンの結束を強め、困難に立ち向かうために共に歩むことで、ユニオンのボスとしての地位を確立していきます。風子がユニオンのトップになったことは、組織にも大きな利益をもたらすことでしょう。

風子の姿勢は、ユニオンに勇気と希望を与え、組織全体を進化させるエンジンとして働きました。言い換えれば、風子の存在は、ユニオンの未来に輝かしい展望をもたらすことになるのです。風子と組織の成長の過程を観察することが、ループ後の『アンデッドアンラック』の魅力のひとつとなっています。

ループ後の『アンデッドアンラック（アンデラ）』が面白いという理由として、多くの人が「ループ後の風子が強い」ことを挙げています。風子の能力は、ループ後とても強力になり、自身の存在や使命について考える場面も見られるようになりました。「不運（アンラック）」という能力を持ち、接触した相手の運勢を悪化させ、トラブルや不運を引き起こすことが可能です。この能力により、ループ後の風子は驚くほど強力になったのです。

彼女はこの力を利用して敵を苦しめたり、困難を乗り越えることができるようになりました。しかしその一方で、その能力は彼女自身に影響を及ぼすこともあります。自分の能力を制御し、最大限に活用する方法を探し出すことが課題となりました。今後は、風子がどのようにその能力を活かし、物語がどのように進展していくのかに注目が集まっていくことでしょう。

ここまで『アンデッドアンラック（アンデラ）』のループ特集をお届けしてきましたが、最後にループに関する感想や評価をTwitterより紹介します。

この記事でも解説しましたが、『アンデッドアンラック』はループ後に面白くなるという評価が数多くあります。こちらのツイートもその一つで、「最高」と讃えていました。

こちらのツイートでは、『アンデッドアンラック』のループの面白さを具体的に紹介しています。ループのたびに漫画のジャンルが変わってしまうそうです。

最後に紹介するツイートでは、『アンデッドアンラック』の好きなところとしてテンポの良さを挙げています。その特長が、ループによりさらに顕著になったようです。

この記事では、『アンデッドアンラック（アンデラ）』のループを特集し、世界がループしている理由を解説するとともに、ヴィクトルとジュイスの目的についても考察してきました。

「ループ」とは、世界の物理的な繰り返しのことを指し、これを実行できるのは神のみです。そして、神が世界をループさせる理由ですが、月の神ルナと太陽の神サンが行う賭けのためでした。その賭けとは、「否定者」と「理（ルール）」である「UMA」のどちらが勝利できるかというというゲームです。このゲームがループの原因だったのです。

また、ヴィクトルとジュイスの目的は、意図的に歴史を変えるとループが変わってしまうという懸念を持ちつつも、歴史を変え失敗の歴史にピリオドを打ち、成功への道を切り開くことにあると考えられます。